令和元年9月17日
農林水産省

農林水産省は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC) の第5次評価報告書(平成26年公表)を踏まえ、民間事業者に委託し、学識経験者の助言を得て、超長期食料需給予測システムによる「2050年における世界の食料需給見通し」を実施し、その結果を取りまとめました。

1.需給見通し実施の目的

国際的な食料需給は、低所得国の経済発展、人口増加に伴う需要量の増大、地球規模の気候変動の影響等を背景として、中長期的にはひっ迫する懸念があります。多くの農産物を輸入する我が国として将来の世界の食料需給動向を見通すことは、長期的な食料安全保障政策の方向性を検討するための重要な基礎となります。

このため、農林水産省では、気候変動に関する政府間パネル(IPCC) の第5次評価報告書(平成26年公表)を踏まえ、民間事業者に委託し、学識経験者の助言を得て、超長期食料需給予測システムによる「2050年における世界の食料需給見通し」を実施しました。

本見通しは、今後、想定される世界の気候変動の影響、人口増加、経済成長などの一定のシナリオに基づき、予測期間中、対象国・地域において基準年次(2010年時点)の政策や生産性の向上、技術進歩が継続することを前提として予見される将来の食料需給の一つの方向性を示すものです。なお、本見通しでは、気候変動の前提として2010年から2050年にかけて世界の平均気温が2℃程度上昇するシナリオを採用しています。

2.需給見通しの概要

(1) 世界全体

  • 人口増加と経済発展により2050年の世界の食料需要量は2010年比1.7倍となります。特に、畜産物と低所得国の伸びが大きくなる見通しです。
食料需給見通しのグラフ

(2) 品目別

【小麦】

  • 高所得国では、生産量が増加する一方、経済発展の鈍化により需要量の増加は少ないことから、純輸出量が増加する見通しです。
  • 低所得国では、生産量が増加する一方、人口増や経済発展により需要量が生産量の伸びを超えて増加することから、純輸入量が増加する見通しです。

【とうもろこし】

  • 中所得国では、アジアにおいて畜産需要の増大による飼料用需要量が大幅に増加するものの、中南米を中心に生産量の伸びが飼料用需要の伸びを上回ることから、 2050年には中所得国全体として輸出超過に転じる見通しです。
  • 低所得国では、生産量が増加するものの、経済発展による需要量の伸びを上回ることができず、純輸入量が増加する見通しです。
小麦、とうもろこしの需給見通しのグラフ

(3) 地域別

  • 我が国の主要農作物の輸入先である北米、中南米、オセアニア等では、主要農作物の生産量及び輸出量が更に増加し、世界の食料供給基地としての地位を高める見通しです。
  • アフリカ、中東では、経済発展に伴う農業投資の増大により主要作物の生産量は増加しますが、人口増加等による需要量の増加を上回ることができず、輸入量が大幅に増加する見通しです。
  • アジアでは、米の生産量、輸出量は増加しますが、食生活の多様化等に伴い小麦、大豆の需要量が増大し輸入量が増加する見通しです。

(4) 我が国の対応

  • 多くの農産物を輸入する我が国としては、国内生産の増大を図りつつ、日頃から世界の農作物の需給状況や見通し等の情報を幅広く収集する必要があります。
  • また、アフリカなど食料輸入の増加が見通される開発途上の国々に対して、生産性向上に向けた技術支援を継続的に行い、世界の食料安全保障に貢献することが重要となります。

3.更に詳しく知りたい方

以下のページを御覧ください。
http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/jki/j_zyukyu_mitosi/index.html

<添付資料>
2050年における世界の食料需給見通し-世界の超長期食料需給予測システムによる予測結果-(PDF:1,039KB)

お問合せ先

大臣官房政策課食料安全保障室

担当者:池田、森田
代表:03-3502-8111(内線3804)
ダイヤルイン:03-6744-2368
FAX番号:03-6744-2396

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