2019年9月11日(水曜日)
22時13分~22時37分
於:記者会見室

冒頭発言

皆様、夜遅くまで大変に御苦労さまでございます。

この度、経済産業大臣を拝命いたしました菅原一秀でございます。

安倍総理からは経済産業大臣並びに産業競争力担当大臣、国際博覧会担当大臣、ロシア経済分野協力担当大臣、原子力経済被害担当大臣、原子力損害賠償並びに廃炉等支援機構を担当する内閣府の特命担当大臣を拝命をいたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

質疑応答

就任の抱負

Q: まずは御就任おめでとうございます。  
初入閣ということになられますけれども、就任しての抱負と、ここには力を入れていきたいという点についてお聞かせください。

A: 2012年の暮れから、おおむね11カ月間、経済産業副大臣として、同役所で務めてまいりました。そして、あのときから6年ぶりに今回は大臣という重責を担って、ここに再びやってまいりました。  
安倍総理からもそれぞれ御指示がありましたが、まずは福島の原発の事故の対応、そして福島の復興の完遂、こうしたことにしっかり取り組み、また日本のGDP600兆円を目指し、生産性革命と人づくり革命を推進しながら、国内産業の再興やイノベーションの基盤の強化、ベンチャーやスタートアップ企業の育成、地域雇用の場の創出といったことに取り組むように、またRCEP交渉の早期の妥結など、戦略的な経済連携協定を推進をして、その成果を我が国の地方経済にその果実をつなげていくようにしていく。
また、日本の企業、350万社以上(注)ございますが、とりわけその大方を占める中小・小規模事業者をしっかりとバックアップして、資金繰りの支援や税制改正などでも事業承継税制の改正が行われまして、ここ1、2年は非常に事業承継がスムーズに行われております。これをさらに深掘りをしていくといったこと、そして日露経済の分野における協力プラン、これを具現化をしていくように進めていくこと、そして再生可能エネルギーや省エネの推進、そして安全性が確保、担保された原発の再稼働など、現在そして後世の国民生活に責任の持てるエネルギーの確実な供給を含む政策を展開をしていくといったこと、また自然災害に際しまして、減災、防災、国土強靱化のための緊急の課題を実施すること、こういったことの御指示があったものですから、ここをしっかりと進めていきたいと思っております。
また、台風15号の影響によって、当初千葉県、神奈川県を中心として大変な停電が起きたわけでございますが、果敢なる復旧作業の結果をもってしても、今もって千葉県で39万軒の停電が今残っているわけでございます。  
このうち千葉エリアの都市部は明日中に復旧の見込みが立ちました。成田エリア及び木更津エリアの、いわゆる南房総地域の電線など等の損傷が極めて大きいものですから、明日までの復旧ということはなかなかかなわないわけでございますが、一刻も早く39万軒全ての復旧に力を注いでいきたいと思っております。  
とりわけ病院で今、治療している方や本当に大変な思いをしていらっしゃる方々のためにも、電力の供給ということは喫緊の課題でありまして、東京電力を中心とするものの全国の電力会社から、いわゆる電源車を招集させていただきまして、その数が今320台になったわけでございます。  
引き続き今後、自衛隊にも協力を求めながら、経済産業省が前面に立って、東京電力とともに一刻も早い停電の復旧、そのことによって国民の命、生活を守る、千葉県の皆様の生活を守るべく取組を進めていきたいと思っております。  
大変長くなりましたけれども、抱負として以上でございます。しっかり足下の課題について、慎重かつ果敢に取組を進めていきたいと思っております。
以上です。

台風15号の影響による停電

Q: 台風15号による停電に関してなのですけれども、本省は今日中の全面復旧ということを見通しして対応を行ってきた。こういうこともありますけれども、今後東京電力に求める対応はどのようなことでしょうか。

A: 先ほども若干触れさせていただきましたが、複数の電柱や木が倒壊して、電線を切断してしまったようなケースが多いわけでございます。復旧に、そういう意味では時間を要している現状がございます。また、昨夜は夜間の大雨で思った以上に作業効率が上がらなかったということもあります。こういったことが要因で、今、懸命なる復旧作業を進めておりますが、現在千葉県で39万軒の停電が残っているわけでございます。  
繰り返しになりますが、千葉エリアの都市部におきましては、明日中に復旧、そして成田エリア、木更津エリアの南房総などの電線などの損傷が極めて激しいということもあって、明日中の復旧というのはなかなか難しいわけですが、可能な限り取組を進めていきたい。  
東京電力の職員が約8,000名、そして他社から約2,000名、更にここに来て1,000名増やしまして、明朝までに1万1,000人の体制を構築いたしまして、工事完了後の送電検査を迅速に行うために、送電検査要員を200人から400人に倍増すると、こういうふうになってございます。  
また、経済産業省が前面に立ちまして、この復旧に当たっているわけでございますが、地元の22の市、町、あるいは東京電力本社、千葉市内に支社があるに対しまして、経済産業省からも40人の職員を常駐させて、住民の避難所への誘導や電源車の派遣支援、非常用電源への燃料供給に従事をしている。こういうことでございます。  
自衛隊にも協力いただきまして、成田や、あるいは鎌倉でも倒木、土砂崩れの復旧ということにお力を頂いたわけでありますが、自治体と関係機関一体となって、一刻も早い復旧に全力を挙げていきたい、このように思っております。  
御高齢の方もいらっしゃるわけでございますし、暑さ対策などにも全力を挙げて取組を進めていきたい。電気がないという状況や復旧状況が分からないといった住民の皆様の声も重く受け止めておりまして、徹底した情報発信を行うとともに、重ねて復旧に全力を挙げていきたい、このように思っている次第でございます。

韓国向け輸出管理措置

Q: 日韓関係で伺います。  
7月に輸出管理を厳格化してから、韓国は一貫して反発しています。そして、WTO提訴の手続にも入りました。この貿易管理について、韓国とどう向き合っていくか、姿勢について伺いたいと思います。

A: これまで貿易管理の当局間では、真摯なコミュニケーションを積み重ねてきたというふうに認識をいたしておりますが、今後の具体的な対応など等については、協議要請の内容も精査の上で、WTO協定に定められた手続も踏まえて、適切に対応していきたい。このように思っております。  
いずれにしても、輸出管理の見直しということは、軍事転用の可能性、大量破壊兵器や通常兵器といったものにもつながるような軍事転用のある貨物、あるいは技術の貿易に適切にそういったものを管理するということに極めて大事な観点でありますから、WTO協定とともに整合的であるといったスタンスで、この日本の立場を今後とも各般に説明をしていきたい、こういうふうに思っております。

Q: 今の問題に関連して、日韓関係がかつてないほど冷え込んでいますけれども、今後どのようにこれを収束させていけばいいのか、大臣のお考えがありましたらお願いします。

A: 輸出管理の問題につきましては、今申し上げたとおり、軍事転用の可能性がある貨物や技術の貿易を適切に管理をするという基本的な考え方があり、それは各国もそのように今までやってきたものというふうに認識をいたしております。  
そして、日本としては韓国に対して、引き続き粛々と実施をしていく方針でありますけれども、そのことによって日韓関係に影響を与えるということは、こちらとしては意図しておりません。ましてや、縷々言われるような対抗措置では全くないというふうに考えておりまして、その上でこの日韓の関係というのは、外務省マターも当然あるわけでございますけれども、旧朝鮮半島出身労働者問題を始めとして、文在寅政権における今の韓国側からの否定的な動きが相次いでいる状況の中で、非常に厳しい状況が続いているわけでございます。  
重ねてこの旧朝鮮半島出身労働者問題への対応については、これは外務大臣にもお尋ねをしていただきたいと思うわけでございますが、日本政府といたしましては、引き続き韓国側に適切な対応を強く求めていきたい。この考え方に変わりはないというふうに考えております。

消費増税対策

Q: 10月1日の消費税率引上げというのは、安倍政権にとって、景気を冷やさないようにどう進めていくかという課題があると思いますが、経済産業大臣としてポイント還元、中小企業活性化などについて、どのように消費税対策を進めていかれるおつもりですか。

A: 消費税の引上げというのは、全世代型の社会保障、年金、医療、介護、子育て、福祉、全般にしっかりとした安定的な財源を確保しなければいけないということで、8%、10%ということで、法律も含めて決まっているわけでございますが、そのことによって消費がやや弱含んだり、経済的な影響が出るのではないか、そのために経済産業省が前からリーダーシップをもって取組を進めてきたわけでございますが、あくまでも需要の平準化対策として、今お話があったキャッシュレスポイント事業、これも消費者の利便性の向上ですとか、事業者の生産性の向上にもつながる極めて重要な事業だと思っていますから、しっかりと進めていきたいと思っています。  
また、実際に事業の開始におきましては、決済事業者が今のところ約900社協力を申し出をしてくれております。また、登録審査の迅速化ということも大変重要でございますけれども、現在約59万を超える60万社近い申請がございます。これの登録ということに万全を期していきたい。そのことによって、より多くの中小企業や小規模事業者に御参加をいただいて、商店街向けの説明会、あるいは決済事業者による個別の周知、いわゆる勧誘、こういったきめ細かな周知活動というものを行っていきたい。こんなふうに思っております。  
以上でございます。

エネルギーミックス・原発再稼働など

Q: エネルギー関連なのですけれども、国のエネルギー基本計画が2030年に原発比率を20から22%に高めるとしています。  
かつて脱原発を掲げていた大臣として、原発再稼働や新設、リプレイスといった施策にどのように取り組むのか、御所感などをお願いします。

A: 私が脱原発ということを掲げていたというのは、2011年、3・11が起きて、発災直後、当時自民党は野党でございましたが、物資の責任者をやっておりました。当然、福島、宮城、あるいは岩手、こうした被災3県を中心に、党本部から物資を運ぶときに、南相馬市やあるいは相馬市、こうした福島、浪江町なども含めて、私は現場に行きまして、原発の被害の大きさというものを目の当たりにしました。
そして、当時2010年までは、エネルギーの電源構成というものが原発が25%あったわけでございまして、化石燃料、再エネというものは、それぞれの割合があったわけですけれども、この福島原発の事故を機に、原発のリスクというものを考えながら、これを低減していこうということ、福島の復興、復旧とともに、政府としても、あるいは経済産業省、資源エネルギー庁としても、こうした基本的な方針でやってまいりました。  
直近の割合では、再稼働9基、再稼働しておりますけれども、そのことによって現在原発のウエートは3%というふうになっているわけですが、2030年のエネルギーミックスというお尋ねがございましたけれども、まさに大前提として安全性の確保、原子力規制委員会のこうした安全性の基準というものに合致をした中で、経済的なコストということと気候変動、ここに来て御案内のとおり、例えば太陽光にしても、気候がこれだけ変動するような時代になってまいりましたし、こうした問題やあるいはホルムズの問題を考えると、原油の輸入などがさまざまな要因で海外に依存している我が国としては、こうした依存度の観点からも含めまして、原発の原子力の比率も含めて、再エネ、あるいは化石燃料における高効率の火力のエネルギーなどもバランスよく活用した姿だというふうに認識をいたしております。  
2030年のエネルギーミックスの着実な実現に向けて、しっかりと取組を進めていきたい。このように思っております。

Q: 関連なのですけれども、先ほど30年以上となる原発の廃炉についてのお考えと新増設についてのお考え、先ほど官邸でも質問させていただいて、廃炉と新増設について、それと北海道は再エネの適地が多くあるのですけれども、再エネの適地ほど系統が弱くて、接続が困難だという問題があります。こうした問題に経済産業省としてどのように取り組んでいかれるおつもりかというのをお願いいたします。

A: 廃炉の問題につきましては、これまでもさまざまな取組を進めてまいりました。具体的にいわゆる小委員会を作って、いかにやっていくかということを進めてきているわけですが、期限いつまでというようなこと先にありきではなく、それぞれの分野からの専門家を呼んで小委員会の構成を図っているわけですが、これをいかに進めていくかということについても、取組を進めていきたいと思いますし、最後は北海道のお話でしたけれども、2番目は何でしたか。

Q: 新増設のお考えは。

A: 新増設とリプレイスの話については、これは今、現在は検討中ということで、全くそこは今考えておりません。今ある状況の中で取組を進めていくということですから、新たに新設、増設ということは今現在考えていませんし、リプレイスということも今は検討しておりませんので。  
それから、北海道は確かに申請をしているところとか、今後ということで幾つかあると思いますが、あくまでも原子力規制委員会の世界一厳しいと言われる基準、判断の中で、まず安全性というものが確保された上で、しっかりと判断していくということが大事だと思いますので、地元の皆様の御意見など等も含めながら、対応を図っていく、判断をしていくということになるのでないでしょうか。  
系統に関しては、お話があったようにエネルギーの基本計画、再生エネルギーの主力電源化を目指すということにしているわけでございますが、既存の送電線、これをまずは最大限に活用する方策の具体化ということを今進めております。  
その上で、再エネは地域に適した場所とそうでない場所、あるいは既存の送電線の活用だけではどうしても制約が残ってしまう地域もある。こういったこともよく現状としてございますから、今後、再エネの大量導入に対応できる送電ネットワークを形成していくという方針でございます。

地域経済活性化

Q: 先ほど中小企業庁の冒頭お話ありましたが、経済産業省がこれまで農林水産省と連携しながら、農山村の経済活性化、地方創生政策に取り組んでこられたと思うのですけれども、大臣が取り組みたい、重視されたい地域経済活性化、あるいは地方創生政策などについて教えてもらえればと思うのですが。

A: 日本農業新聞さんですから、私も地元練馬で都市農業を振興して頑張ってまいりましたが、いわゆる商農工連携ということで、今まで経済産業省、農林水産省で力を合わせてやってまいりまして、1兆円目標ということで掲げてまいりました海外への農産物の輸出、これが2年前が7,000億だったのが今は9,000億ということになってございます。これをさらに加速をさせていきたい。それが我が国の地方の創生といわば経済との連携ということにつながるわけでございますが、今お尋ねのありました地方創生と地域の活性化施策ということにおいては、例えば医薬品の産業が集積する地域があるといたします。例えば、そこに新たな医薬品の開発を行う地域経済の雇用につながったり、あるいは経済効果をもたらす事業者を、いわゆる地域未来牽引企業として選定をいたしまして、その設備投資を支援するといった施策を講じていきたい、こういうふうに考えておりまして、農産品、農漁業分野のみならず、地域経済に効果を発するようなさまざまな可能性を探っていきたい、こういうふうに思っております。

(注)実際の発言では「380万社以上」でしたが、正しくは「350万社以上」ですので、上記のとおり修正しました。  

以上

最終更新日:2019年9月13日