2019年9月10日(水曜日)
10時41分~11時01分
於:記者会見室

冒頭発言

軽減税率対応レジの普及状況

おはようございます。まず私から1点申し上げます。
消費税の引上げ、軽減税率制度の導入まで残り1カ月弱となっています。軽減税率制度に対応するレジ・システムの導入状況及び今後の対応方針について御説明をいたします。
まず、導入状況でありますけれども、レジメーカーや販売店へのヒアリング調査の結果、7月末時点で20万台前後の対応レジが導入されております。9月末までには24万台前後に達するものと見込まれています。
10月の制度開始前に新たな対応レジを導入する必要性が高い事業者というのは、まず1つは、もともとレジを御利用の事業者さんで、軽減税率導入後もお客さんからレシートの発行を求められる可能性の高い事業者、これが1つ目。もう一つは、今まではレジを利用してこなかったものの、自らが課税事業者で、売上高が年間5,000万円を超えるため、簡易な計算による納税が認められず、新たに対応レジできちっと管理をしなければいけない事業者、この2つの事業者が最もこの軽減税率対応レジ導入の必要性がある事業者ということになります。この事業者の数は、おおむね23万3,000者程度というふうに見込んでいるわけであります。
こうした状況を踏まえますと、9月末時点で24万台前後という見込みでありますので、必要な事業者に行き渡るだけの対応レジは供給できつつあるのではないかというふうに思っています。
これ以外の事業者さんでも、お客さんとの関係で軽減税率の内訳の表示を求められる場面は想定されますけれども、こうした場合は、例えば手書きの領収書、もう今、領収書のメーカーさんも軽減税率が記入できる領収書というのも出していますので、そういった対応が可能であるのではないかというふうに思われますので、そういったこともしっかり周知をしていきたいというふうに思います。
今、お店の側で、本当に自分がレジが必要なのかどうか、軽減税率対応のレジを入れた方がいいのかどうか、なかなか判断を迷っておられるお店が一部存在しているんだろうというふうに思います。そのため、新たに中小企業団体が全国7,000人体制で、特に商店街を始めとした中小・小規模店舗を個別訪問をして、事業者ごとの個別事情に応じたアドバイスを開始していきたいというふうに思っています。
また、今週13日に、中小機構の補助金コールセンターのオペレーターを増員をいたしまして、対応レジ導入の必要性の相談も受ける軽減税率対策コールセンターへと対策を強化したいと思います。
こういうことによって、お店ごとにしっかり寄り添って、別にこれはレジを入れなくても大丈夫ですよと、お客さんの数も少ないし、これだったら手書きで対応した方がいいですよとか、そういったアドバイスをしっかり行って、10月から始まる軽減税率で現場で混乱が起きないよう万全を期していきたいというふうに思っております。私からは以上です。

質疑応答

台風15号の影響

Q: 台風15号の影響について伺います。現時点でも62万戸余りの停電が続いていると言われています。また、今日も猛暑で熱中症の懸念も指摘されております。大臣の現状の認識と経産省としての対応をお聞かせください。
A: まず、台風15号で被害に遭われた皆さんに、心からお見舞いを申し上げたいと思います。
東京電力は、今、昼夜を徹して復旧に向けた作業を行っています。ただ、これは一つ一つ、電柱を建て直し、電線を確認し、安全を確認して通電をするという手作業的なことになりますので、残念ながら今朝9時の時点でも、いまだに62万件の停電が残っています。そのうち千葉県が57万件ということになっています。
東京電力には、これは私も指示をいたしまして、小まめに復旧計画をしっかり出すようにと、今、市町村単位で今日復旧するのか、明日なのかというようなことは、今ある程度わかるようにホームページ、ツイッターなどでしてもらっていますけれども、今日中に配電設備の修復を進めることで、少なくとも33万件の停電が解消される見込みであります。
残り27万件分は、複数の電柱の倒壊や倒木による電線の切断といったことによりまして、復旧に少し時間が掛かるものと見られますけれども、東京電力は早期復旧に向けて、他の電力会社の協力を得ながら最大限の取組を進めていただきたいというふうに思います。
これは私も関西、地元和歌山で去年の台風で停電が長期化した経験がありますが、例えば倒木の処置とか、そういったことに関しては、例えば電力事業者の手に余ることがあれば、これは関係機関、自治体ともしっかり連携をしたいというふうに思いますし、経産省としても、その間を取り持って、ともかく早く回復できるように頑張っていきたいと思います。
特に、今日は気温が上昇する見通しでありまして、今お話しのように、熱中症が大変懸念をされるわけであります。停電が長引く市町村については、東京電力と自治体が緊密に連絡をとって調整を進めております。自治体のそれぞれのニーズに応じて、例えば域内の病院、空調設備は、これはやはりどうしても稼働をさせないといけないようなところ、あるいは避難所など、これも空調設備が求められるような場所に電源車を配備をしていくということになっています。
とりわけ御高齢の方や小さなお子様がいらっしゃる御家族、御家庭の皆さんには、特に域内の防災無線とか広報車とか、あるいはネットによる情報提供など、よく確認をしていただいて、必要があれば熱中症防止のために、近くのエアコンの効いている避難所などで時間を過ごしていただきたいというふうに思っています。東京電力に対しては、改めて復旧状況や見通し、空調設備が使える施設について、ツイッターなどを通じて積極的に情報発信を続けていくよう指示をしているところであります。経産省としても、東京電力と、そして千葉県庁に幹部職員をリエゾンとして派遣をしております。電力の復旧ですとか、あるいは電源車が多数配備されますと、発電機の燃料の確保といった問題も出てまいります。そういったことに経産省としてもしっかり汗をかいていきたいというふうに思いますし、一刻も早い全面復旧に向けて全力で対応していきたいというふうに思っています。

キャッシュレス・消費者還元事業

Q: キャッシュレスのポイント還元制度で伺います。北海道の生活協同組合コープさっぽろが、9日に経済産業省から制度への登録を認めないとされたことが分かりました。コープさっぽろは、申請条件を満たしており、既に店頭やホームページでも消費者に伝えていました。他県のコープでは認められているところもありますが、コープさっぽろの登録を認めない理由と、他にもこうした案件があるのか、また、増税間近となって消費者の混乱を招いており、制度設計がずさんなのではないかという指摘もありますが、大臣の見解をお聞かせください。
A: 登録審査に関する個別の審査状況、判断については、お答えは控えたいというふうに思います。
ですので、一般論としてお答えをいたしますけれども、キャッシュレス・ポイント還元事業というものの原点に帰っていただきたいと思いますが、これは消費税率引上げ後の需要の平準化の観点で、大企業は自分でやれるけれども、中小・小規模の店舗がなかなかできない、そういう体力の弱い中小・小規模事業者への支援と消費喚起とキャッシュレスの推進という観点から、この政策を行っているわけであります。
この事業目的に照らすと、実質的に大企業とみなされるような事業規模を有する企業に関しては、この事業の趣旨、目的に照らして適切でないと判断せざるを得ない加盟店登録は認められないケースもあり得るというふうに思っています。
加盟店登録要領というのがちゃんと公表されて、それに沿って審査が行われているわけですけれども、その中には、最後のところに、「本事業の目的・趣旨から適切でないと経済産業省及び補助金事務局が判断する者」は対象としないということも、しっかりと明記をさせていただいているところであります。

日産・西川社長の辞任

Q: 大きく2つあります。1つは、日産の西川社長が報酬に対する懸念で辞任する方向となりました。日産のコーポレートガバナンスに関する問題の現れだと思うんですが、このあたりをどう御覧になっているのかというのをお聞かせください。
A: 日産の今回の問題は、もともと原点は今おっしゃっているように、コーポレートガバナンスが十分ではなかった。そういった中で、我々も少し関与をしながらコーポレートガバナンスの整備というのを行ってきたわけであります。
その結果、今、社外取締役が過半数を占めているとか、あるいは指名委員会、監査委員会が厳しく経営陣の状況について目を光らせているという状況になっているわけであります。また、コーポレートガバナンスを整備をするという路線を日産が採ったからこそ、やはりそのコーポレートガバナンスをしっかりさせることで、少数株主の権利も守っていくという議論になって、いわゆるルノーによる経営統合ということも現時点で成り立っていないということになっているわけであります。
そういう中で、今、西川社長に関することでありますけれども、私としては、この改革の結果、導入をされたコーポレートガバナンスがしっかり機能しているということだというふうに思っています。特に過半数の社外取締役、指名委員会、監査委員会、こういったものがちゃんと機能を果たしている、私は証左だというふうに受け止めています。
今後は、後任選びとか、そういったことになってくるんだろうというふうに思いますけれども、ぜひこのコーポレートガバナンスをしっかりワークさせる、かつてあったような社内抗争で何か人事が決まるということではなくて、指名委員会を中心とした、きちっとしたコーポレートガバナンスが機能する中で後継が選ばれていくことを期待をしたいというふうに思っています。
日産は、企業としての改革はもう待ったなしであります。そういった点もあるので、私はルメール大臣と、日本とフランスが政府として次世代自動車に取り組んでいくというバックアップも行っているわけであります。しっかりと日産は経営改革に取り組んで、一刻も早く経営状況を立て直して、この変化の激しい自動車産業の流れに対応していただきたいというふうに思っています。

RCEPなど国際交渉

Q: もう一点なんですけれども、8日にバンコクでRCEPの閣僚会合が開かれ、年内妥結を目指す方針が確認されました。現状の受け止めと、あと明日、内閣改造が予定されており、人事がどうなるかというのは、明日それを受け止めたいと思っているんですが、経産大臣として、これまで3年間、RCEPを始めとする交渉に参加されて、どのような実感、手応えを持っているのかについて。
A: RCEPのこの間の閣僚会合では、かなり閣僚間で胸襟を開いて話合いを行いました。事務方が入らない話合いも行うなど、かなり最終妥結へ向けて大詰めを迎えておりますし、この間の会合でも大きな前進があったというふうに思っています。
いわゆる交渉官レベルで議論できる分野というのは、もう大分終わってきていまして、いよいよ政治的に決断をしていかなければいけない事項というのが絞られてきていて、それに対して、それぞれで話し合っている。一部、クローズしたチャプターがないじゃないかというような御指摘も現地でありましたけれども、もう何か、何章をクローズさせるというよりは、残った政治的イシューをお互いパッケージで決着をさせていく、そういう段階まで来ているんだろうというふうに思っています。
まだ、いろいろ難所はあると思いますけれども、この後、ダナンにおける交渉会合などを経て、11月の首脳会合に向けて妥結は十分可能だというふうに私は思っています。
3年間を振り返ると、あたかも明日、辞めるかのようなお話になっていますけれども、いろいろ2016年8月に経産大臣に就任以降、特に保護主義的な動きの高まりや、第4次産業革命など世界経済の構造が変化を見せている中、日本が自由貿易の旗手として、自由で公正なルールに基づく国際経済枠組みの維持発展に全力を尽くし、その実現のため各国の架け橋になる、つなぎ役になる、そういう思いで取り組んでまいりました。
RCEPについては、私の在任中開かれた11回の閣僚会合全て、私は皆勤賞であります。これは、ほとんど他国は代理で済ませた国もあるわけですけれども、全て出席をしました。各国閣僚との個人的信頼関係もしっかり築いて、包括的で質の高い協定の早期実現を目指して、交渉をリードをしてまいりました この間の閣僚会合でも、やはり私が節目、節目でリード的発言をして議論の方向性を決めていくという役割を、これは議長とも気脈を通じて果たしてきているというような状況であります。年内、十分妥結可能なところまで来ていると思います。
G20は、これはもう皆さん取材していただいたとおり、2つの閣僚会合を主催をいたしました。価値観、経済状況、いろいろ違う20カ国をまとめるのは、これはエネルギー問題でも貿易問題でも大変だったわけですけれども、しっかり中身の濃い閣僚声明を発出をして、それがベースとなって、G7は首脳声明が出せなかったわけですが、G20では首脳声明もしっかり出せるということにつなげられたというふうに思っています。
また、もう一つは、私の提唱で日米EU三極貿易大臣会合というのが立ち上がりました。非常にアメリカを中心に貿易環境が厳しい中で、アメリカもしっかり巻き込みながら、EUもテーブルについて、WTO改革ですとか第三国による市場歪曲措置への対処、強制技術移転、デジタル貿易の課題ということについて、この3カ国でしっかりと議論ができたというのは大変価値あることだったと、有意義だったというふうに思っております。これはアメリカもEUも、この三極については非常に高く評価をしてくれていて、ずっと継続して頻繁に開催をしてきているわけであります。今後も自由貿易の旗手として、世界の架け橋として、日本が主導的な役割を果たしていくべきだというふうに思っています。

首都圏の電力供給強靱化

Q: お伺いいたします。非常に強い規模だったとはいえ、鉄塔が倒れるなど送電網に一定の課題が見えたのかなと思います。来年の台風シーズンを見据えて、東京オリンピックも控える中、送電網の強靱化というものについて、今後どのように強めていくか、お考えをお聞かせください。
A: やはり首都圏ですので、この電力供給の途絶というものがあってはならないわけであります。昨年の北海道でのブラックアウトなど、こういった災害の反省・教訓も踏まえて、ハード面、ソフト面ともに強靱化を図ってきているところであります。
具体的に申し上げると、ハードについては、東京中部間連系線の増強、これは120万キロワットから210万キロワット、2020年度中に完成予定でありますけれども、こういったことによる広域ネットワークの強化ですとか、配電線の地下化やルートの二重化などを行ってきています。
また、ソフトの面では、他電力会社からの応援人員ですとか、電源車の派遣を柔軟に行うことによる復旧の早期化ということにも取り組んでおります。
今回の停電や、その復旧プロセスについても、停電が復旧、まずそれに優先で取り組んで、その後、何が不足だったのか、どこを反省すべきかということをよく検証をして、更なる電力の強靱化にいかしていかなければいけないというふうに思っています。
Q: その関連で、27万戸がまだ今日中の復旧の見通しが立っていないという御発言だったと思うんですけれども…。
A: 29。すみません、27と言っていましたね。すみません、29万戸です。
Q: 今後のその見通しといいますか、どれぐらいで復旧しそうだとか、そのあたりの見通しは。
A: これは、できるだけ早くというふうに申し上げたいと思いますし、これは地域や事情によって全部違うと思いますから、東京電力がしっかり各地域別で、もう今、市町村でやっていますけれども、もう少しこれから絞り込まれていくと思いますから、復旧見込みを何よりも細かく出す。復旧見込みが分かっていれば、それぞれ対処の仕方もあると思いますので、今日直るのか、明日直るのか、それ以降なのかということは、しっかり東京電力に今後もきめ細やかな情報提供をさせていきたいというふうに思っています。

キャッシュレス・消費者還元事業

Q: 先ほどのコープさっぽろの件で、補足で質問させてください。個別の判断は控えたいということだったんですけれども、全国的には同様な事例があるのかということだけでも教えていただけないでしょうか。
また、今回、コープさっぽろは大企業と遜色ないと判断された理由について明確にされないと、つまり、どこで線引きされたのかということが示されないと、他の生協との公平性があるのかということを、消費者や事業者が客観的に判断できないかと思います。制度の曖昧さが混乱を引き起こしていると思いますけれども、今後、明確に基準を示す御予定はないでしょうか。
A: 明確に基準は示しています。大企業は対象にしないということであります。それに尽きるわけであります。コープさっぽろが中小企業だと思っている方は、いらっしゃらないんじゃないでしょうか。
Q: すみません、同様の例がほかで全国的に…。
A: それはお答えしません。個別の判断についてはお答えしません。

以上

最終更新日:2019年9月11日