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日時

2019年8月6日(火)9:59~11:39

場所

消費者委員会会議室

出席者

【専門委員】
古城座長、井手座長代理、小浦委員、古賀委員、白山委員、陶山委員、松村委員
【説明者】
国土交通省総合政策局安心生活政策課 奈良課長
国土交通省自動車局旅客課 早船課長、旅客課バス産業活性化対策室担当者、旅客課担当者
【消費者庁】
高島審議官、大森参事官
【事務局】
二之宮事務局長、福島審議官、金子参事官、事務局担当者

議事次第

  1. 開会
  2. 消費税率引上げに伴う公共交通運賃の改定案について
    (1)バス運賃の改定案について
    (2)タクシー運賃の改定案について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

  • 議事次第(PDF形式:165KB)PDFを別ウィンドウで開きます
  • 【資料1】 消費税率引上げに伴う公共交通運賃(バス)の改定について(国土交通省提出資料)(PDF形式:169KB)PDFを別ウィンドウで開きます
  • 【資料2】 消費税率引上げに伴う公共交通運賃(タクシー)の改定について(国土交通省提出資料)(PDF形式:190KB)PDFを別ウィンドウで開きます
  • 【参考資料1】 参考資料(国土交通省提出資料)(PDF形式:427KB)PDFを別ウィンドウで開きます
  • 【参考資料2】 消費税率引上げに伴う公共交通運賃の改定案及び北海道旅客鉄道株式会社の運賃の改定案について(消費者庁付議文書)(PDF形式:211KB)PDFを別ウィンドウで開きます
  • 【追加資料1】 消費税引上げに伴うバス運賃の改定案に関する公共料金等専門調査会意見(案)(PDF形式:197KB)PDFを別ウィンドウで開きます
  • 【追加資料2】 消費税引上げに伴う東京都特別区に係るタクシー運賃の改定案に関する公共料金等専門調査会意見(案)(PDF形式:188KB)PDFを別ウィンドウで開きます

≪1.開会≫

○金子参事官 皆様おそろいでございますので、本日の会議を始めたいと思います。

本日は、皆様お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会第57回公共料金等専門調査会」を開催いたします。

本日は、所用により、蟹瀬委員、長田委員、山内委員が御欠席との御連絡をいただいております。

まず、議事に入ります前に、配付資料の確認をいたします。

お手元の議事次第下部にございます配付資料一覧を御覧ください。

もし不足をしている資料がございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。

また、本日の会議につきましては、公開で行います。議事録についても、後日公開することといたします。

それでは、古城座長、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.消費税率引上げに伴う公共交通運賃の改定案について≫

(1)バス運賃の改定案について

○古城座長 それでは、議事に入らせていただきます。

本日の議題は「消費税率引上げに伴う公共交通運賃の改定案について」です。

本日は、消費者庁から高島審議官、大森調査・物価等担当参事官、国土交通省から総合政策局の奈良安心生活政策課長、自動車局の早船旅客課長、旅客課バス産業活性化対策室担当者、旅客課担当者にお越しいただいております。

なお、消費者庁の大森参事官と国土交通省の早船旅客課長におかれましては、所用により途中退席されることとなっております。

それでは、まずは事務局から御説明をお願いいたします。

○金子参事官 当専門調査会における当面の検討課題といたしまして、先に6月に御審議を賜りました定形郵便物の上限料金の改定等に引き続いて、本年10月1日から消費税率の引上げが予定されておりますが、それに伴う公共料金等の改定について、御審議いただく必要がございます。

本日は、初めに国土交通省より消費税率の引上げに伴う公共交通運賃の改定の全体に関わる御説明を行っていただき、それを踏まえて、まずバス運賃について、次にタクシー運賃について、それぞれ国土交通省からの御説明及び御議論を行っていただきたいと思っております。

以上でございます。

○古城座長 ありがとうございました。

では、まず消費税率の引上げに伴う公共交通運賃の改定の全体に関わる概要と、それに引き続いて、バス運賃について、国土交通省から御説明をよろしくお願いいたします。

○奈良安心生活政策課長 国土交通省総合政策局安心生活政策課長の奈良でございます。本日はよろしくお願いいたします。

国土交通省が所管する事業のうち、当調査会に該当する事業は、鉄道、乗合バス、タクシーの3分野ございますけれども、本日につきましては、消費税転嫁に関する国土交通省の基本的な考え方につきまして私から説明させていただき、その次に、乗合バス事業について、ここにおります自動車局旅客課長の早船から御説明させていただきます。また、タクシー事業については私から説明させていただきます。

なお、既に事務局より御案内のことと思われますけれども、鉄道事業につきましては、今週の金曜日、8月9日に鉄道局より御説明させていただくこととなっておりますので、よろしくお願いいたします。

お手元の資料につきましてですが、資料1が基本的な考え方と乗合バス事業、資料2がタクシー事業、及び参考資料という構成になっております。資料1、資料2を用いて説明させていただきます。

資料1の表紙をおめくりいただきまして、まず1ページ目でございます。こちらは昨年12月末に物価担当官会議におかれまして出されました「消費税率引上げに伴う公共料金等の改定について」という物価担当官会議の申合せの一部改正でございます。こちらの内容については、既に前回の会議の際に委員の皆様は説明をお受けになっていると事務局から聞いておりますので、詳細な説明は割愛させていただきますが、平成26年4月の消費税率8%引上げ時同様、税負担の円滑かつ適正な転嫁を基本として対処するというこちらの申合せを踏まえまして、2ページにあります国土交通省としての基本的な考え方ということで「公共交通事業等における消費税の運賃・料金への転嫁の方法に関する基本的な考え方」を昨年度3月12日に定めまして、関係者、関係局に通知をしたところでございます。

その内容でございますけれども、まず1.でございますが、消費税は、消費一般に負担を求める間接税ということで、これを円滑かつ適正に転嫁し、利用者が公平に負担することが基本だということとしております。

2.でございますけれども、先ほど申し上げた物価担当官会議の申合せに基づきまして、原則として、下記により適切に対応するということとしております。具体的には(1)事業者の改定申請が行われる場合には、運賃・料金への転嫁を基本として対処するということでございます。

(2)消費税率引上げにあわせて通常改定、いわゆる本改定ですけれども、その申請が行われる場合には、個別案件ごとに厳正に対処するということでございます。

(3)端数処理につきましては、合理的かつ明確な方法により行い、現行の運賃・料金体系を踏まえつつ、事業全体として108分の110以内の増収となるように調整する。

(4)ICカード利用における1円単位運賃と現金10円単位運賃と、同一区間において異なる運賃を設定する場合には、利用者の分かりやすさに配慮し、事前の周知等により、利用者からしっかり理解が得られるよう徹底することでございます。

(5)申請手続について、その運用をできる限り簡素化するなど、事業者の負担軽減を図るということ。

(6)消費税引上げに伴う運賃・料金への転嫁については、適用日以降に行うことを基本としますが、需要変動の平準化を図るために必要と認められる場合には、合理的な範囲内において前倒しすることも妨げないと物価担当官会議の申合せの方針に従って記しておりますけれども、公共交通については、その性格上、需要変動に影響を及ぼすものがないものですから、前倒ししなければならないような状況は通常想定されないのかなとは考えております。

国交省の基本的な考え方については、以上となります。

引き続き、3ページ以降の乗合バス事業について、旅客課長の早船より説明させていただきます。

○早船旅客課長 国土交通省自動車局旅客課長の早船と申します。本日はよろしくお願いいたします。

本日、大変恐縮ながら、バス運賃の改定に係る説明、議論の後に、先に退室をさせていただきます。失礼を御容赦願いたいと思います。

それでは、バス運賃の改定について説明させていただきます。資料3ページを御覧いただきたいと思います。

バスにおきましても、今、奈良課長から説明がありましたとおり、1ページ目の政府方針、また、2ページ目の国交省としての基本的考え方に沿いまして、運賃への転嫁を行うこととしております。そして、具体的な転嫁、端数処理の方法につきましては、前回、平成26年の消費税率引上げ時と基本的には同様に考えておりますけれども、一部変更しているところがございますので、その点を重点的に説明させていただきます。

3ページ、(1)1円単位運賃導入事業者から説明させていただきます。前回平成26年の際に、ICカードを利用いたしました1円単位運賃を、消費税率の引上げ分をより正確に転嫁する観点から、これを認めております。今回もより正確な転嫁を可能とする1円単位運賃を認めておりますが、その際には、やはり定期外運賃に導入する場合、ICカードのほうが現金運賃よりもコストが低く、また、データ活用などによりまして、よりきめ細やかな輸送サービスの提供が期待できることを前提にいたしまして、利用者にとって分かりやすいものとして、ICカード1円単位運賃が常に現金運賃以下となることを基本としております。この点も前回同様でございます。

一方で、バス運賃の端数処理の方法でございます。二つ目の○のところでございます。今申し上げたように、ICカード運賃が現金運賃より高くならないようにするため、前回は現金運賃を四捨五入いたしておりまして、四捨五入したときに現金がICカードよりも安くなる場合には、ICカードを切り下げて調整をしておりました。これは前回、鉄道に比べてバスについては現金利用者の割合が多いということがございましたので、現金運賃を鉄道と同様に切り上げた場合に、現金利用者のサイドの反発ですとか、現金を取り過ぎた場合に定期運賃などで調整するわけなのですけれども、定期と現金との運賃体系がゆがむことを懸念して、鉄道とは違うやり方をとったものでございます。

ただ、今回につきましては、バスの現金利用者数の割合が、前回のときの鉄道並みの割合に下がっております。現在、現金利用者は、前回は20%ほどあったのですが、10%ほどにまで下がっております。前回の鉄道で言う約8%に近いところまで下がっていること。それから、利用者にとって分かりやすいものとして、バスについても鉄道方式に統一することといたします。

すなわち、どういったやり方かと申しますと、下の表の右側なのですけれども、例えばこれは税抜きの運賃が220円のときの転嫁の仕方なのですけれども、ICカードにつきましては、1円単位で正確に転嫁をいたします。その上で、現金につきましては、もしそのまま前回同様四捨五入すると、ICカードのほうが高くなってしまうので、現金については切上げをいたします。ただ、現金を切り上げた分、取り過ぎの部分がございますので、事業全体で108分の110以内の増収に収まるように、その取り過ぎの分を定期運賃など他の券種により調整をする。そのような方法にいたします。

ちなみに、下の表で言う左側でいきますと、これは税抜き運賃が200円のときですけれども、ICカードで正確に転嫁をいたしましても、これは220円、現金についてもちょうど220円になるので、これはそのままこのような料金になるというものでございます。

以上が1円単位運賃導入事業者でありまして、それ以外の10円単位の運賃事業者につきましては、(2)ですけれども、従来どおり定期外・定期等それぞれ「四捨五入」により端数処理を行いまして、事業全体で108分の110以内の増収に収まるよう調整するという方法でございます。これは前回同様でございます。

続きまして、4ページでございますが、バスにおけます運賃改定の申請状況でございます。対象となりますのは、まず民営ですけれども、東京都特別区内に路線を有する大手民営事業者9社でございます。改定率につきましては、ここに掲げているような改定率で申請が上がってきておりまして、実施予定日は10月1日となっております。この9社全てICカードによります1円単位運賃の導入事業者でございます。

続きまして、公営ですけれども、大阪市交通局から民営化された大阪シティバスと、東京、横浜、名古屋、京都、神戸の公営事業者でございます。改定率はここに掲げているとおりの申請が上がってきております。この6社のうち、東京と横浜がICカードによります1円単位運賃の導入事業者でございまして、ほか4社については10円単位ということで、今のところ、ICカードの1円単位運賃の導入予定はございません。

私からの説明は以上でございます。

○古城座長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの国土交通省からの御説明について、御質問や御意見のある方は御発言をお願いいたします。御発言のある方は、名札を立てて発言請求をお願いいたします。

陶山さん。

○陶山委員 御説明ありがとうございました。

まず、国土交通省の今回の消費税転嫁の基本的な考え方についてお伺いします。政府方針、昨年度追加された1ページに書かれている4項目に関連して、国土交通省としては、2ページにあるように(6)の考え方、これを基本的な考え方としますという御説明だったのですが、私はこの政府方針の4.が非常に分かりにくくて、消費者としては混乱を来すような方針になるのではないかと思い、前回の郵便料金のときにも御質問したのですが、郵便料金については、明確に引上げの適用日以降にこの消費税に転嫁するということが資料にも書かれていたと思います。

今、御説明としては、前倒しで行うような案件はないと考えておられるということなのですが、それであれば「以降に行う」と明確に書いていただくのが良かったかと思いますが、ここに「基本とするが」と留保した書き方がされているのは、どういう意味合いがあるのかなと思いまして、はっきり適用日以降に消費税の転嫁を行うということが書かれていない理由が何かあれば、教えていただきたいということです。

もう一つ、今回、バスの現金利用者のほうには切り上げているということで、全体としては1.85の中に収まるということなのですが、事業全体としてはそうかもしれませんが、一人一人の利用者から見れば、切上げということになれば、非常に不利益を被るわけでして、ここに対しての情報の提供の仕方とか対処の仕方はどのように考えておられるのか教えていただきたいと思います。2点です。

○奈良安心生活政策課長 御質問ありがとうございます。

私から1点目につきまして御回答いたします。こちらは単純に物価担当官会議の申合せにあります、御指摘のあった4.ですね。こちらが政府方針となっておりますので、そちらを単純に追記したということでございます。国土交通省も政府の一員でございますので、基本的に政府方針をそのまま追記したということでございますが、先ほど御説明のときに申し上げたとおり、前倒しをするような状況は、現在のところ想定されないと考えております。

○陶山委員 現在のところとおっしゃったのですが、国土交通省管轄の案件で、具体的にこのような対処が想定される内容はないとはっきり言っていただいてよろしいですか。

○奈良安心生活政策課長 ございません。

○陶山委員 ありがとうございます。

○早船旅客課長 2点目についてお答えいたします。

1円単位運賃の中で端数処理の方法が現金とICカードで変わってくること、また、前回と異なっていること、こういったことについては利用者の方々に分かりやすいものとしてしっかり理解が得られることが非常に大事だと考えておりまして、その点の情報提供もしっかりやっていきたい、いくべきだと思っております。具体的には周知のための案内紙などを停留所、営業所、車内、そういった様々な場所で掲示するほか、ホームページへの掲載といった取組を行って、利用者の方の理解を得られるよう努めてまいるところでございます。

○陶山委員 ありがとうございます。

○古城座長 ほか、いかがでしょうか。

古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 御説明ありがとうございました。

3点お伺いしたいのですけれども、1点目は、今回、IC運賃が高くならないようにという原則のもとで、現金運賃は四捨五入ではなく切上げとなっているのですけれども、これは現金の利用者が20%から10%に減っているということで、全体的な公平感から上げてもいいという考え方なのかどうか分からないのですが、特に切上げにした理由が他にもあるのであれば教えてください。

2点目は、108分の110の値上げの形式なのですけれども、今回、それで吸収できない分は定期料金に寄せるという話なのですが、いただいた参考資料を拝見いたしますと、1ページで、東京や大阪の民営バスの増収率が書いてあるのですけれども、この中で、最初のほうの国際興業とか関東バスなどの定期のところを拝見しますと、2.8とか2.6とか、かなり大きな数字が出ていると思うのですが、それに比較して西武バスなどは0.9となっているのです。この差はどういうことで出てくるのかをお尋ねしたいと思います。

3点目なのですけれども、今日の資料にはございませんが、自動車局の旅客課長さんが各地方運輸局の交通部長さんと沖縄の運輸部長さん宛てに出した「料金改定の取扱いについて」という文書を拝見したのですけれども、この中で改定上限運賃の端数処理等に関して、一つは現行上限運賃に108分の110を乗じて改定上限運賃を算出するというやり方、これが基本になっていて、今日の全体の説明もそのように受けとめているのですけれども、消費税率5%時の上限運賃からその105分の5に相当する額を控除した税抜き上限運賃に100分の110を乗じて改定上限運賃を算出するというやり方が認められているのですけれども、この違いについて説明していただけますでしょうか。

○早船旅客課長 まず私から、1点目、2点目のところを御回答させていただきます。

1点目、今回端数処理の方法を切り替えまして、現金運賃の切上げ、いわゆる前回の鉄道方式に切り替えた理由というところでございますけれども、前回現金運賃を切り上げずに四捨五入をして、その分もしICカードのほうが高くなってしまったらICカードのほうを切り下げるというやり方をしたのですけれども、そうなると、結局ICカードのほうの運賃は正確に転嫁していないことになるわけです。一番大きい割合のICカードの部分で、まずはより正確な転嫁を可能とする。それも1円単位でしっかり転嫁できるところ、そこを正確にやるほうが望ましいのではないかと考えた次第であります。

ただ、前回は、弊害とまでは言えないですけれども、そうした場合の影響が大きいのではないかと懸念して、そのやり方をとらなかったわけなのですけれども、先ほども申しましたように、現金利用者数の割合が減ってきていることから、切り上げる現金利用者数が低くて、全体の運賃体系のゆがみの部分も小さくなってきていることを踏まえまして、今回の方式を鉄道に合わせたということでございます。

2点目の参考資料1ページの各社の増収率、特に定期運賃の増収率は、各社でかなり違いがある部分でございます。御指摘いただいたとおり、例えば左上の国際興業でありますと定期等の増収率が2.8%、西武バスのところで言うと0.959となっているところでございます。これは先ほど申し上げました処理方法によりまして、例えば国際興業におきましても、普通運賃のほうをICカードにまず正確に転嫁して、現金は必要に応じて切上げをして、そうした場合の調整を定期のほうで行うとやったところで、全体で1.85の中に収めるという方法でやっています。

西武バスも途中までは同じようにやっているのですけれども、普通運賃、ICカードのほうを正確に転嫁して、現金運賃も必要に応じて切り上げてとやったとき、定期のところで調整をする際に、定期の割引率を減らして増収を図る、それをやると他の交通手段に移行をしてしまうのではないかとか、他の鉄道ですとか競合他社に逃げてしまうのではないかとか、各社の営業判断で1.85の中で必要な転嫁をしないという判断をして、ここまでに収めているというものでございます。それでばらつきが、1.85ぎりぎりまでしっかり転嫁をするところと営業判断でそれをしていないところの差があるというところでございます。

○古城座長 今のところを伺いたいのですけれども、今度の改定だとIC運賃は完全に正確に転嫁できるわけですね。現金運賃は不正確なところは切上げだから、ちょっと取り過ぎますけれども、不足はないわけですね。だから、普通運賃のところは完全に転嫁できるはずですね。だから、定期のところに持ってくるのは、正確な転嫁に減らしてあげますよということで、優遇することになるわけでしょう。国際や関東バスはどうして普通運賃より定期運賃のほうが増収率が大きくなってしまうのでしょうか。小さくなるというのならば分かるのですけれども、大きくなる理由がよく分からないのですが。

どうぞ。

○松村委員 私も最初はそう思ったのですけれども、現金のほうは、例えば今まで220円だったものが今回の新しいやり方でも220円ということがあり得るので、現金のほうは増収でないことがあり得るのです。

○古城座長 前に取り過ぎだった分がチャラになってしまうから。分かりました。

○早船旅客課長 御指摘のとおりでございます。

○古城座長 どうもありがとうございました。

○旅客課バス産業活性化対策室担当者 3番目の新たな金額の算出方法ですけれども、認可を受けている上限運賃というのは四捨五入した結果でございますので、その108分の110をするというものと、税を抜いたものを100分の110するもの、運賃帯によっては端数処理の影響で有利、不利が出てきまして、10円が上がるか上がらないかというところが出てまいりますので、どちらの計算式を選んでいいかというところは、事業者の選択に任せるというやり方をしてございます。

○古城座長 古賀さん、いいですか。

○古賀委員 3点目今の御説明のところなのですけれども、消費税率5%時の上限運賃から105分の5に相当する額を控除した税抜き上限運賃に100分の110を乗じて改定上限運賃を算出するというやり方についてお尋ねしているのです。例えば、現行運賃に108分の110というのは、今はもともと100円のものが消費税で108円になっていて、それを108分の110にすると110円になるというので分かるのですけれども、もう一つのやり方として、消費税率5%時の上限運賃からその105分の5に相当する額を控除した税抜き上限運賃に100分の110を乗じて改定上限運賃を算出するやり方が認められているようなのですが、このやり方がどういうことなのかということです。

質問の仕方が悪いですか。両者の計算でどういう違いが出てくるのかなということです。もし質問の意図がお分かりにならないようでしたら、後者のやり方で今回申請をされている方がいらっしゃるのかどうかだけでもよろしいです。

○早船旅客課長 その点につきまして、今日、その紙自体を持ってこなかったので、もう一度しっかり確認してお答えさせていただいてもよろしいでしょうか。

○古賀委員 はい。

○古城座長 よろしくお願いします。

最後に一つだけ、一般的なバス事業の概況なのですけれども、参考資料1の2ページ目を見ますと、一般乗合バス事業の収支状況ということで、いい会社は経常収支率109と出ていますけれども、109ですと公正報酬率をカバーできているということですか。それを入れると、ここの数字はどれぐらいになりますか。要するに、総括原価との関係で収入はどれぐらいありますかということです。

○早船旅客課長 これらの会社はカバーできていると。

○古城座長 公正報酬率を。

○早船旅客課長 はい。

○古城座長 公正報酬率を入れると、本当は経常収支率に戻すとどれぐらいの数字になるのですか。

では、後日また。

○早船旅客課長 その点も。すみません。

○古城座長 それから、経常収支率が会社によって、いいところは109ぐらいあるのですけれども、悪いところは99ぐらいの数字ですけれども、前回の改定のときからこれぐらい差があったのですか。それとも、その後、これぐらい差が出てしまったのですか。悪いところは90%近くですね。名古屋市交通局などは。

時間もありますので、後日で結構です。

○早船旅客課長 申し訳ありません。

○古城座長 陶山委員、後日の回答でいいですか。

○陶山委員 結構です。

関連して、私も不思議に思っていたのは、名古屋市交通局なり大阪シティバスのところが、収支が悪いにもかかわらず、今度の全体の引上げ率が1.434、大阪については1.272ということで、上限まで引き上げられていないのですが、これは事業者の判断ということなのでしょうか。それぞれ配賦の仕方が難しくて、通常の普通運賃のほうは掛けずに両社ともそういう具合になっているのでしょうか。不思議に思っています。

○早船旅客課長 この点も結論としては事業者の判断なのですけれども、先ほど松村委員からも御指摘がありましたとおり、税抜き運賃が200円だったものが8%で216円になるのですが、名古屋は10円単位ですので、それを切り上げて220円になっていたわけです。それが今回10%になっても220円ということで、そこは正確に転嫁する観点からは変えようがないと。どうしても普通運賃のところは変わらないことになります。とすると、あとは定期のところで調整をしてどこまで上げるかということなのですけれども、バスの場合、定期はそんなに多くありませんので、それを全部定期の中で賄おうとするとかなり定期の率が上がってしまうということで、事業者の判断としてここら辺が限度だろうということで、この料金になっているというものでございます。

○古城座長 後日お答えいただく質問もございますけれども、時間の関係もありますので、バスについての説明はここまでにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

(早船旅客課長 退室)

(2)タクシー運賃の改定案について

○古城座長 続きまして、タクシー運賃について、国土交通省から御説明をお願いいたします。

○奈良安心生活政策課長 国土交通省の奈良でございます。

それでは、資料2のタクシー事業について御説明をさせていただきます。

1ページ目を御覧ください。基本的には前回8%の引上げ時と変わっておりません。図を御覧いただくとお分かりのとおり、上限運賃、下限運賃ともに、初乗運賃については自動認可運賃に108分の110を乗じ、四捨五入により10円単位に端数処理を行います。加算運賃につきましては、標準的な事業者の事業収入全体の増収率が108分の110となるよう加算距離を短縮しております。

2ページ目を御覧ください。こちらは専門調査会の対象事業者となる東京都特別区・武三地区に係るタクシー事業者の改定率及び増収率を示すものでございます。

次の3ページ目からでございますが、タクシー業界の経営状況等の説明につきましては、タクシー事業活性化調整官の齋藤より御説明させていただきます。よろしくお願いします。

○旅客課担当者 よろしくお願いします。

資料に基づきまして、私から3ページ以降の説明をさせていただきます。

3ページ、タクシーの経営状況マル1ということで、実働率と実車率の推移ということで、東京地区につきましては、平成19年に本運賃改定を行っておりますけれども、その1年前の平成18年度から直近の平成29年度までを横に並べたものでございます。実働率は上の赤いグラフになりまして、これを見ていただきますと、前回の運賃改定の実施前の80.4%が平成18年度の数字でございますけれども、直近ではそれとほぼ同じ数字である80.2%ということでございます。

下の青いグラフが実車率でございます。これにつきましても18年度の45.2%から21年度にはリーマン・ショックで落ちているということもあるのですけれども、直近では45.6%ということで、ほぼ同水準という形になってございます。

4ページ、経常収支率の推移でございます。適正利潤込みの経常収支率でございますけれども、これについては、平成20年の9月にリーマン・ショックがございまして、18年度から見ますと、この21年度のところでがくんと大幅に落ちているということでございまして、そこから回復をしておりまして、直近では97.2%でございますけれども、18年度からの推移を見ますと、100%を上回る年度はございませんで、ようやく平成18年度と同じぐらいの水準にまで戻ってきているということでございます。

最後の5ページ目でございまして、消費税転嫁の妥当性とうたってございますけれども、最初のパラグラフでございます。前回の本運賃改定実施前の18年度以降、適正利潤込みの経常収支率というものは一度も100%を上回ることはありませんで、平成18年度の水準を下回る状態がずっと続いてきている状況でございます。

それから、効率的な運行をはかる指標でございます実車率でございますけれども、リーマン・ショック以降、回復傾向にはあるものの、平成18年度の水準とほぼ同水準の状況が依然として続いているということでございます。

以上から、我々国土交通省としましては、この東京都の特別区、武蔵野市、三鷹市地区において、今回の消費税率の引上げに伴いまして、当該税分をタクシー運賃に転嫁することは妥当ではないかと判断しているところでございます。

以上でございます。

○古城座長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの国土交通省からの御説明について、御質問や御意見のある方は御発言をお願いいたします。

井手委員、どうぞ。

○井手座長代理 1ページ目の加算運賃のところですけれども、上限が237メートルで80円のところを、距離を短くして80円のまま据え置くということですけれども、一方で、時間距離併用運賃がありますけれども、それは1分30秒80円というのは変わらないのでしょうか。

○旅客課担当者 変わりません。

○井手座長代理 その根拠は何なのでしょうか。

○旅客課担当者 時間距離併用なのでございますけれども、現行が1分30秒で80円でございまして、今回の改定では1分25秒で80円というふうに変わります。すみません。私の勘違いでございました。

○古城座長 変わるのですね。

○旅客課担当者 変わります。

○古城座長 あと、いかがでしょうか。

○井手座長代理 それも明記しておいていただかないと、混乱が生じると思います。

○旅客課担当者 分かりました。

○古城座長 陶山委員。

○陶山委員 私が不勉強で教えていただきたいのですが、この初乗運賃の距離1.052、これは何らかの意味がある数字なのかということと、四捨五入をするということなのですが、この一定の期間の中の初乗運賃も加算運賃のように走行距離と合わせて調整し、四捨五入ではなく明確に上げた分だけ反映することができないのか、そこを教えていただけたらと思います。

○旅客課担当者 タクシー運賃につきましては、初乗りのところと加算のところで108分の110という2%分を転嫁させるという考え方に至っておりますので、この1.052というのは何かしらの意味があるのかということなのですけれども、査定の調整のところで初乗り距離というものは決めているところでございまして、全体としてこの2%分をきちんと転嫁できるように計算をしているところでございます。

○陶山委員 今のお答えによると、そうすると、一定の時期において初乗りの距離は変わっていっていることもあるということでしょうか。

○旅客課担当者 それは改定後に初乗り距離が変動するのかどうかということですか。

○陶山委員 そうです。

○旅客課担当者 それはございません。

○陶山委員 ない。

○旅客課担当者 はい。

○古城座長 陶山さんの質問は、これは正確にやると417円のところを420円に上げて、端数を切り上げているわけですね。切り上げているのだったら、こちらの距離を延ばしてちゃんとぴったりにできないのかと、こういう質問です。そうすると、切上げがなくなるわけですね。

○陶山委員 それもあるし、四捨五入で切り下げているときも適正に反映できるということは考えられないのでしょうか。加算運賃と同じような考え方です。

○旅客課担当者 2ページにも1.726という増収率を掲げてございますけれども、タクシーの場合ですと、初乗り距離と加算の距離のところで2%分をうまく転嫁できるように調整をする方式になっておりますので、1.726というものが今回の適正な転嫁の考え方にのっとった改正であるという考え方でございます。

○古城座長 これは端数処理の話ですから、端数処理はなるべく出ないほうがいいわけですね。だから、陶山さんの意見は、端数処理というものはそのようにやれば出なくて、今の説明だと端数をそのようにすると切上げだから、初乗りのところで過剰に転嫁しているわけですね。だから、それは技術的にやむを得ないのですかということなのです。

○松村委員 多分、今のお答えは、加算運賃のほうは加算運賃のほうで正確にこれを転嫁しているのではなく、全体としてそうしているので、加算運賃のほうの上げは抑えているということなのですか。

○旅客課担当者 そういうことです。全体の中で調整をしているということになります。

○古城座長 それは分かるのだけれども、全体の中で調整をしようという意図でこういう固定観念でやってきて、今の陶山さんみたいなやり方もあるけれども、それはあまり考えないでやったということですか。

○旅客課担当者 これまでの考え方にのっとって転嫁をさせるということでございます。

○古城座長 これはもう決めてあることだから、ここは動かさずにやりたいということでやったわけですね。端数は出ても端数処理という格好でやりたいと。端数が出ないようにここのところをいじるのはやらないということでやりましたということですね。

○旅客課担当者 そういうことです。

○古城座長 どうぞ。

○陶山委員 ということは、加算運賃のほうは切り上げている分の端数の部分も含めて割り引いていますよと理解していいということですか。先ほど、松村先生からもあったのですけれども、そのように捉えるのでしょうか。

本来であれば、108分の110を加算運賃のほうに掛けていけばもっと上がるのだけれども、こちら側の初乗運賃のほうで端数処理の部分が残ってしまっているので割り引いていますよと、そんなふうに理解していいということですか。

○旅客課担当者 初乗りと加算のところで、全体の中で調整をしているということです。

○古城座長 どうぞ。

○白山委員 関連する質問で、確認ですけれども、初乗運賃部分は端数が出ますけれども、108分の110を乗じて計算をして端数処理を行い、加算運賃については、標準的な事業者の事業収入全体の増収率が108分の110となるように加算距離を短縮するということで、当然、事業全体としては108分の110以内になるように調整しているという理解でよろしいのですね。

○旅客課担当者 そうです。

○古城座長 よろしいですか。

あとはいかがでしょうか。

基礎的なことなのですけれども、資料2の3ページの実働率というのは、タクシー会社が所有している車のうち、働いている車の率ですね。

○旅客課担当者 おっしゃるとおりです。

○古城座長 これは上下がありますけれども、あまり余計な車を抱え込むのは効率的な運営から言うとまずいわけですね。そうすると、これはターゲットをお持ちなのですか。つまり、タクシー会社は余計な車は持つなと、実働率はこれぐらい確保してもらうようにしてもらわないと困るぞというのは何%ぐらいなのですか。80%ぐらいですか。

○旅客課担当者 具体的に何%という数字があるわけではないのですけれども、この資料にもあるのですが、タクシー特措法というものが今、東京だと施行されておりまして、適正車両数を毎年はじいていますので、そこの範囲内に入るような形が一番事業の適正な経営ができるのではないかという数字になりますので、その車両数に基づいて判断するのかなと考えてございます。

○古城座長 抽象的におっしゃっても、実働率が上がったり下がったりしているときに、よくタクシー会社は運転手が集まらなくて実働率が下がっているとかと言うのですけれども、それだったら車を減らせよということになるわけですね。これが漫然と何年にもわたって実働率が下がっているというのは、タクシー会社の経営の怠慢ということになるわけでしょう。そういう判断ではないのですか。

○旅客課担当者 そこはなかなか一概には言えない部分もあるのかなと思うのですが。

○古城座長 なぜですか。需要が落ちたら設備を減らしてもらわないと困るではないですか。

○旅客課担当者 それもありまして、適正車両数なども幅で決めていますので。

○古城座長 下限は何%なのですか。

○旅客課担当者 パーセントというよりも車両数ですね。

○古城座長 ここではパーセントで出しているのだから、どれぐらいのパーセントで。

では、いいです。

あとは4ページのところで、総括原価に合わせた経常収支率という珍しいものが出ているのですけれども、これは原価を前提にすると利潤率はどれぐらいなのですか。要するに、純然たる赤字はどれぐらいなのですか。

○旅客課担当者 同じ原価計算対象事業者で考えますと、直近で言いますと101.63ぐらいです。

○古城座長 なぜですか。98%というのは、総括原価を前提にして収入がそれを稼げていないという数字でしょう。利潤込みの原価でしょう。利潤を外した場合、原価はもっと小さくなりますね。それは幾つぐらいなのですか。

○旅客課担当者 この98.1に。

○古城座長 98.1というのは、利益は出ていないけれども、出費は稼げている可能性は高いですね。

○旅客課担当者 平成18年度ですと、101%ぐらいです。

○古城座長 何が101%なのですか。

○旅客課担当者 適正利潤を入れていない場合です。

○古城座長 入れていない場合は101%、わずかに。

○旅客課担当者 そういう形になります。

○古城座長 平成18年度で。

○旅客課担当者 18年度で101.6です。

○古城座長 総括原価との関係では収入は98.1%だけれども、原価との関係では101.6%。

○旅客課担当者 そういうことです。

○古城座長 現在も原価は稼げているというわけですか。

○旅客課担当者 平成29年度で同じ101.6ぐらいですね。

○古城座長 でも、長期にわたってすごい赤字ですね。この数字から言うと原価もカバーできていないということなのですけれども、それでどうして事業者の方は増車しているのですか。

○旅客課担当者 今、東京の増車は。

○古城座長 分かっているのですけれども、増車するから押さえつけたわけでしょう。だから、押さえつけないと増車するというのは、赤字だけれども、増車するのはどうしてなのですか。

○旅客課担当者 大体タクシー事業者さんというのはそういう方向に行くところがありますから。

○古城座長 それは考えられないのです。赤字だけれども増車するというのは、ますます赤字が拡大するわけでしょう。

○旅客課担当者 そこを何とか事業拡大ということで、いろいろなサービスの多様化を図るということなのかと思うのです。

○古城座長 赤字でやっているのですか。私はこの原価というか、費用というのは、過大に御覧になっているのではないかと思っているのです。本当は黒字だから増車しているのではないでしょうか。

○旅客課担当者 それはないと思うのですけれども。

○古城座長 だけれども、こんなに長期にわたって赤字で増車が収まらないというのは、説明がつかないと思うのです。

○旅客課担当者 東京地区に関しては、今、増車がなかなかできない形になっていますので。

○古城座長 押さえつけていますからね。ちょっとよく分からないですね。

どうぞ。

○白山委員 国交省でも政策評価等でタクシーに関することをやっているはずなのですけれども、今の議論ですと、増車数は抑制されているけれども、タクシー会社は当然に、更新投資などは必要であり、それは減価償却等で内部留保されている部分で設備投資を賄っている。総括原価方式に基づく収支相償のもとで減価償却で内部留保される部分でそれを賄っているはずで、その辺は国交省さんのほうで分析されていらっしゃいますね。されていませんか。

○旅客課担当者 その辺の細かいところまでは、まだできていないということになると思います。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 どうもありがとうございました。

この調査会では特別区と武三地区だけなので、全体のことをお尋ねしてもよろしいですか。特別区・武三地区の転嫁はこういう形なのだなと納得したのですが、他地域においても、今、改定率というのはどれぐらいで値上げが申請されているのか。ここでは1.726%になっていますけれども、他地域についてはどんな状況なのかということと、福祉運賃というものがあると思うのですが、それについても今回10%値上げを転嫁する形で全体的に進めていらっしゃるのかどうか。例えば軽減税率のような考え方で福祉運賃について考えるようなことはないのかを教えてください。

○旅客課担当者 他地域の改定率ですけれども、ほぼ同じような数字になっているということでございまして、福祉については、この辺は各運輸局の御判断になるのかなと思っております。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 参考資料をいただいておりまして、8ページに書いてある公定幅運賃制度について教えていただきたいのですが、そこの一番下の行に「公定幅運賃の下限を下回る運賃での届け出は変更命令対象となる」と書いてあるのですが、これは当然、上限を上回る運賃についても変更命令対象でしょうか。それとも、ここに書いてあるのは下限を下回るものだけなのでしょうか。

○旅客課担当者 公定幅というのは改正タクシー特措法で設けられた制度でございまして、この幅内で特定地域と準特定地域については運賃を運用する形になりますので、幅の中でやっていただくということでございます。

○陶山委員 変更命令対象としてあるのは、幅を超えた、その幅から外れたものについては全て、上も下も両方とも変更命令の対象ですか。わざわざ「下限を下回る運賃での届け出は変更命令対象」と書いてあるので。

(大森参事官 退室)

○旅客課担当者 タクシーの場合、例えば下限より安い運賃ということになりますと、いわゆる運賃の安売りの競争みたいになるような形が考えられます。そうしますと、最終的には利用者利便に響いてくるということでございますので、基本的には下限を下回る安売りの競争を防止する考え方に立っているということでございます。

○陶山委員 それは私どもも理解できます。ただ、消費者の側から言ったときに、この上限を超えたときについては、消費者にとっては非常にマイナスになってくるのですが、この書き方は、それは変更命令対象にはしていらっしゃらないのかなと。そこを確認させていただきたいと思いました。

○旅客課担当者 あくまで幅の中での運用になりますので、幅を超える運賃が出てくるのかどうかは何とも言えないのですけれども、幅から外れるということは、もちろんその対象になってくるのではないかと考えてございます。この公定幅は幅の運用でございますので。

○陶山委員 それも後日、確認していただいてよろしいでしょうか。

○旅客課担当者 分かりました。

○陶山委員 よろしくお願いします。

○古城座長 小浦委員、どうぞ。

○小浦委員 御説明ありがとうございます。

先ほどの古賀委員への説明のところで、東京都の特別区と武三地区以外のところのタクシー事業者からもほぼ同じ改定率で申請が出ているとお聞きしたのですけれども、個人タクシーの場合はどうでしょうか。やはり同じような値上げの申請、改定率で出ているということなのでしょうか。現状が分かりましたら、教えてください。

○旅客課担当者 そもそもタクシー運賃のいわゆる公定幅の決め方のときには、原価計算対象事業者というものを抽出しまして算定するのですけれども、これは基本的に法人の事業者になりますので、法人の事業者の原価をもとに幅を算定するということで、個人タクシーさんはそれに乗っかってくるということでございます。

○小浦委員 ということは、今、一律にどこでも410円というのを見かけますけれども、個人タクシーの事業者は個人事業者ですね。自分の努力というか、それで現行のまま行こうという2通りの料金のタクシーが走ることもあり得るのでしょうか。

○旅客課担当者 東京は、今、タクシー特措法の施行地域でございますので、運賃が2種類生じるというのは、利用者からもなかなか分かりづらい。特に東京の場合ですと流しが基本になりますので、タクシーを選択できないというところもございますので、そういったことは望ましくないと考えてございます。

○古城座長 4ページの経常収支率の推移の収入と収支というのは、料金改定のときは調査なさっているのですけれども、その後の数字を作るときのデータはどれぐらいの精度で集められているのですか。

○旅客課担当者 輸送実績ということですか。

○古城座長 輸送実績です。運送統計か何かから出しているのですか。

○旅客課担当者 それは当然、毎年、輸送実績報告というものを求めていますので。

○古城座長 事業者から。

○旅客課担当者 はい。当然それで数字を把握できるということです。

○古城座長 実車率とか実働率。

○旅客課担当者 分かります。

○古城座長 費用は。

○旅客課担当者 費用も分かります。

○古城座長 費用も分かるのですか。それでそのまま使っているわけですか。

○旅客課担当者 そうです。

○古城座長 その精度というのは、運賃改定のときに調査しますね。それと同じぐらいの精度ですか。

○旅客課担当者 同じぐらいのものがあると思います。

○古城座長 でも、事業者から提出されたものをそのまま使ってしまうと、過大に申請してくる可能性はありますね。運賃改定のときは査定というものを入れているわけでしょう。

○旅客課担当者 はい。

○古城座長 その後のものには、査定は入っていないですね。

○旅客課担当者 その後は入っていないです。

○古城座長 入っていないから、過大になっている可能性はあるのですね。

○旅客課担当者 その辺はきちんと各運輸局のほうで毎年見ているので。

○古城座長 それでは、運賃の改定のときに申請されている費用と査定された費用というのは同じなのですか。査定で厳しく絞っているのですか。

○旅客課担当者 改定のときですか。

○古城座長 はい。

○旅客課担当者 それは当然査定をするということになります。

○古城座長 だから、査定のほうが正しいのでしょう。

○旅客課担当者 もちろんそうです。

○古城座長 だから、事業者から出してきたものだと過大になっているはずですね。

○旅客課担当者 そういったところもあるかなと思いますので、そのための査定ということなのかなと。

○古城座長 査定があるわけでしょう。だから、査定後の費用は過大になっている可能性はありますね。

○旅客課担当者 そこはきちんとフォローしていくということなのかなと思います。

○古城座長 だけれども、これは査定もフォローもしていないのでしょう。出てきたものをそのまま使われているのですね。

○旅客課担当者 改定のときではないときということですか。それはそのままの数字です。

○古城座長 そのままの数字ですね。だから、査定とは随分乖離があるわけですね。

○旅客課担当者 そこは違いますね。

○古城座長 10%とか、それぐらいあるのでしょう。

○旅客課担当者 いわゆる生データです。

○古城座長 分かりました。

松村委員、どうぞ。

○松村委員 戻していいですか。確認したいのですけれども、先ほどの公定幅運賃のところで、これは上限と下限があるわけですね。基本的に上限を超える申請を認可したことはないというか、そもそも事業者から出されたことはないという理解でいいですね。

○旅客課担当者 それはないです。

○古城座長 井手委員。

○井手座長代理 少し細かいですけれども、これ以外の運賃で先ほど福祉の料金がありましたけれども、迎車料金とか、東京都だと定額運賃というものがありますね。そういうものについてはどういう考え方かというのは、単純に消費税10%で値上げをするという理解でよろしいのですか。

○旅客課担当者 基本的にはそうです。この運賃をもとにしてはじくことになりますので。

○井手座長代理 それは2ページの改定後の運送収入見込額の中で盛り込まれているという理解でよろしいのですか。

○旅客課担当者 そうですね。特に空港定額などは基本的に安く設定されていますので、これを超えるようなところで数字が決まることはないということだと思います。

先ほどの公定幅の上限を超えたときにどうなるのかという御質問だったのですけれども、今、調べまして、上を超えたところがもし出てきた場合には、当然変更命令の対象になるということでございます。

○陶山委員 そのように書いてあれば余計な質問だったのですけれども、下限のほうだけ書いてあったのでお聞きしました。

○古城座長 あとはよろしいでしょうか。

それでは、議論は以上といたします。

国土交通省におかれましては、御説明をいただき、ありがとうございました。

(国土交通省 退席)

○古城座長 次に、今回消費税の引上げに伴う公共交通運賃の改定について、本日の議論の内容を集約した形で、専門調査会の意見として取りまとめることとしたいと思います。

取りまとめに向けて、事務局が素案を用意しておりますので、お配りしたいと思います。

事務局は資料の配付をお願いいたします。

(意見案 配付)

○古城座長 バスとタクシーがございますので、それぞれ分けて検討したいと思います。まず、バスの改定案について、事務局から意見案の内容について説明をお願いいたします。

○金子参事官 それでは、事務局より御説明をいたします。追加資料1と書いてございますのがバスのほうでございます。

まず「1.結論」でございます。いろいろ宿題はございましたけれども、それに適切な御回答があることが前提ということではあるのですけれども、消費税の円滑かつ適正な転嫁の観点から妥当という結論、加えて、消費者への分かりやすく丁寧な説明に努められたい、という意見を付けるということでございます。

2.に理由を書いてございます。最初の○にそもそもの考え方が書いてございますけれども、改定前の料金水準及び料金体系に著しく問題があるとは認められない場合においては、108分の110を乗じた料金の設定が行われているか、端数処理が合理的かつ明確な方法により行われているかについて検証することが適切と書いてございます。

まず、料金水準等に著しい問題がないかという点についてでございますけれども、国土交通省より、対象バス事業者の平成28年度、29年度の各経常収支が過大でないことが説明されたということで、その確認をしたという内容でございます。

裏面に移りまして、108分の110を乗じた料金の設定が行われていることについても、説明により確認をしたと。

端数処理についても妥当であることを確認したということでございまして、その理由として小さなポツで三つほど書いてございますけれども、事業全体で108分の110以内の増収に収まるように調整していること、ICカード運賃については1円単位の正確な転嫁となっていること、現金運賃については、10円単位とすることが必要であるため、一部について切上げ処理になっているけれども、技術上の都合で適当な代替案がないこと、それを確認したということでございます。

説明は以上でございます。

○古城座長 バスについての意見案について、御質問、御意見がございましたら、お出しください。

陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 2ページの端数処理の方法について、現金運賃の切上げの点ですね。これは10%として、全体の中では確かに少数ではあるのですが、決して無視できる数字ではないし、それが1%であっても、きちんと対応すべきであろうと思います。個別の消費者から見たときに、この切上げは決して妥当な転嫁の方法とは言えないと思いますので、技術上の都合で適当な代替案がないと言い切ってしまわないで、もう少しここが追求できないかと思います。

お知らせの仕方だとか、お伺いしましたけれども、印刷物とかホームページということをおっしゃっていました。かなりICカードに移行しているということで影響が少ないと思われているのかもしれませんが、ここをもう少し何らかの工夫をしていただきたいと思うところです。この公共料金等専門調査会としては、そのことに触れてまとめていっていただきたいと思います。

○松村委員 しかし、鉄道では前回もこの方式を認めたのですね。鉄道はよいのにバスだと特段に今言われたような問題が出てくるというのは、逆にその理屈が分かりにくいのではないのか。

更に言うと、バスならばこうできるはずだという具体的な提案、こちらのほうがいいのではないかと、将来的にもし同じことがあるのだったらこちらの方式も考えてくれというのだったら、まだ書く意義はあると思うのですけれども、こちらに別のやり方としてアイデアはないのだけれども考えてくれと言われても、鉄道のときに考えたのだけれども、考えた結果としてこうしたということだとすると、相当難しいのではではないか。

周知の点は、方式が変わるわけですから、相当丁寧に周知してほしいということは御指摘のとおりかと思うのですが、私はこのやり方が著しく不合理だとは思わないのです。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 記憶の範囲ですけれども、前回、ICカードへの誘導というか、そのような手だてが含まれていたのではないかと、そんな記憶を持っているのです。現金では確かに不利だったので、そこの部分はできるだけ多くの人がICカードへ移行するようにというような施策がとられたのではなかったかと思っています。違いましたか。

○古城座長 前回は四捨五入だから。

○陶山委員 鉄道のことですね。地下鉄だとか。

○松村委員 だから、例えば鉄道などでは、今までチャージの金額が大きかったのを、もう少し小さな金額でもできるようにしますとか対応したわけですね。でも、同じICカードがバスでも鉄道でも使えるわけですから、500円でチャージできるようになった恩恵は、バスの利用者には及んでいないということではないわけですね。

○陶山委員 なるほど。

○古城座長 意見書に入れると、一番は代替案があるのかということですよ。それがないとなかなか、何か知恵を絞れ、では、意見としては。

古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 私は陶山委員と同じ意見なのですけれども、前回のときは、そこの鉄道の場合と同じようにするということで、確かそのとき松村先生と山内先生は、できればICのような取扱いで、端数も含めて円単位で転嫁できるのがいいという御意見をおっしゃったように私は記憶しています。

今回の場合、現金のところだけが消費税の税率の値上げによって値上げ感が出てしまうので、ここは技術的にというよりも丁寧な説明、例えばIC運賃と現金運賃がどれぐらい違うということで、むしろICのほうに全体的に誘導するようなことを含めた言い方をしていただいたほうがいいのかなと思います。

○古城座長 よく趣旨が分からなかったのですが、言っていることは分かったのですが、どういうふうに。

○古賀委員 この技術上の都合で適当な代替案がないと切り捨ててしまうのではなくて、ここのところで現金運賃が10円単位の切上げになってしまうことは、実は実際にもうICカード以外を使っている人を見かけることは余りないのですが、先日、絶対に切符を現金で買うという人と食事をしたことがあって、現金で買うとこんなに高いのかというのを、IC(スマホ)でやってしまうので負担感が薄れているのですけれども、現金だとかなり値上がり感があるのです。20円だった幅が30円になるというその10円の幅の違いが、利用者が全体の10%だとしても、切り捨ててしまうのではなくて、ICカードにしたほうがこれぐらい得になるという誘導を積極的にニュアンスとして入れていただけたらと思ったのです。

○古城座長 言っている意味は分かったのだけれども、書き方が難しくて。

どうぞ。

○陶山委員 代替案がなければ、この専門調査会から意見が出せないのかということについて非常に疑問に思います。それぞれ専門の施策を進めておられるところから来られて、そこで検討した結果として方針が出される。ここではもう一度、私などは専門的な観点から代替案というところまで申し上げることはできませんが、利用する側、消費者の立場として、それは腑に落ちませんねということを申し上げたいと思っています。それを代替案がなければここの意見として取り上げられないということであれば、なかなか難しいと思います。

○古城座長 専門の担当官庁で検討して、一応、彼らとしては最善の案が出てきますね。それで、消費者委員会の意見としては、それについて、いやいやと、気が付かないでしょうけれども、消費者の観点から言うとこんな問題がありますよということを指摘すれば非常にいいと思うのですが、切上げというのは困りますと、それはそうですねと言われておしまいというのもどうかなということなのです。

どうぞ。

○松村委員 結論はともかくとして、途中、ちょっとよく分からなかったのですけれども、御発言の趣旨は、IC運賃と現金運賃を分けないほうがいいという御主張でしょうか。つまり、前回、IC運賃でより正確に転嫁できるようになったほうがいい、更にICに移行することに関してインセンティブを与えることは間違っていないというのは、分ける派と分けない派が出てきて、みんな分けないほうに統一するという具体的な案はあり得たわけです。分けるのを禁止する案はあり得たのですけれども、それと比べてどうかといったときに、分けるのにも合理性がある。より正確に転嫁できるようになるし、ICのほうに移行させるというのもあるし、だから、私も山内さんも分けるのを許容するのに賛成だという文脈だったと思うのです。それを引用されて今の発言が出てきたということは、バスに関してはもう一回元に戻して、西日本地域のようにすべきだという主張なのですか。

○古賀委員 そこまで考えているわけではないのですけれども。

○松村委員 逆に陶山さんのほうもそういうことなのですか。もしそうだとすると、賛否はともかくとして代替案ではあるとは思うのですが。

○古賀委員 将来的にはIC運賃に統一すべきというか、全般的な流れとしてタクシー運賃も含めて1円の転嫁も正確にするというのが、方向性としてはそのように行くのだろうと思いますけれども、どうしても特に高齢者の方などは現金でしか使えないわけですから、そこのところで現金をずっと使用することによってこういう不利益もあるという点は少しコメントとして残しておきながら、なおかつ、今後はIC化にという方向がいいのかなと思いますが、すみません。よく分かりません。

○古城座長 難しいな。留意事項でそれを入れればいいですか。

○古賀委員 そうですね。もし入れていただけるのであれば。

○古城座長 それでは、そういう内容を少し修正して最終案にします。

バスについてはそれでよろしいでしょうか。

白山委員。

○白山委員 非常に瑣末な論点で申し訳ございません。二つの報告を比較してみたときに表現ぶりに整合性がとれていないものが結構あったりして、今はバスしかやっていないのですけれども、例えばバスの「2.理由」の○のところで「国土交通省より」になっていたりとか、片方は「から」になっていたりとか、「説明された。この説明に照らすと」何々について問題があるとは認められないというのがバスのほうでは入っていて、タクシーはまだやっていませんけれども、タクシーでは「説明がなされた」となっていて、それに基づいて「認められなかった」と当調査会が結論を出すときに「この説明に照らすと」という言葉が入っていなかったりとか、意図的にそのような違いにしているのか、下らない話なのですけれども、そういうものが気になってしまうものですから。

○古城座長 これは意図的ではありませんね。

○金子参事官 違います。

○古城座長 表現は揃えます。

あとはいかがでしょうか。

それでは、バスについては留意点で陶山委員と古賀委員の御意見を酌み取った形で追加をして、そういう条件で最終案は私にお任せいただいてよろしいでしょうか。

○陶山委員 次回が予定されているので、そこでもう一度見ることはできませんか。

○古賀委員 次回のところで。

○古城座長 次回のときに確認します。

続きまして、タクシーについて御説明をお願いいたします。

○金子参事官 続きまして、タクシーについて、追加資料2に基づきまして御説明をいたします。

まず「1.結論」のところでございますけれども、先ほどのバスの場合と同様に、結論としては、消費税の円滑かつ適正な転嫁の観点から妥当で、加えて、消費者への分かりやすく丁寧な説明に努められたい、という条件も付けるということは一緒なのですけれども、真ん中のなお書きのところ、タクシー運賃については、今回議論の対象になったのは公定幅運賃で、実際の届出運賃の状況はまた別個にあるということなので、その運賃届出の結果について、国土交通省において把握されたい、ということもなお書きで入れるということでございます。

「2.理由」で書いてあるところは、基本的にバスの場合と同じでございまして、改定前の料金水準及び料金体系が妥当であるという説明がなされたこと、108分の110を乗じた料金の設定が行われていること、端数処理が合理的かつ明確な方法により行われていること、そういったことを確認したということでございます。

裏面に移りまして、公定幅運賃となるゾーン運賃に関するものを今回の議論に乗せたということで、先ほど結論で申し上げた実際の動向の把握が必要であるということを述べています。

「3.留意事項」でございますけれども、これは現在、消費者基本計画工程表の中にも掲げられているものでございますけれども、2017年1月に初乗運賃の引下げ等の運賃の組替えを行った際に、運賃の組替え後3年以内にフォローアップをするという条件を付けたわけでございますけれども、その事後検証については別途丁寧に行う必要がある、ということを留意事項で付けたということでございます。

以上です。

○古城座長 ただいまの意見案につきまして、御質問、御意見のある方は御自由に御発言ください。

古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 細かなところで恐縮なのですが、表側の最初の2行目の「東京都特別区に係る」というところを、できましたら武三地区、武蔵野市、三鷹市も入れていただけたらと思います。

○古城座長 「東京都特別区」だけではなくてね。

ほかにいかがでしょうか。

松村委員、どうぞ。

○松村委員 陶山委員が御指摘になった点がすごく気になってしまったのですけれども、上限運賃と下限運賃があり、もともとは上限運賃と下限運賃の間で出て、これは自動認可という格好になっている。上限を超えても下限を下回っても自動ではなく審査されることにはなるわけだけれども、したがって、変更命令が来る可能性はあるわけだけれども、新たに御指摘になった点は、下回ったものを出してきたら、ほぼ自動的に変更命令を出しますということを明記したものだと理解しているのです。

上限については、それからすると、ひょっとして認可される可能性があるということなのだろうと思うのですが、お答えからしてそのようなことをするつもりはないということだと思います。それは事業者も分かっているから、上限を超えるようなものはさすがに出してこないから、その意味で議論する意味はないような気がするのですが、しかし、建て付け上、上限を超えることがあり得ることが分かった上で、上限と下限については変更が適切であるとやったとしても、上限を超えるようなものが認可されることは、私たちは想定していない。万が一出てきてしまったとすれば、それは本当に妥当かどうかというのは、もちろん国交省が第一義的に判断すべきことなのだけれども、これは公共料金の実質的な改定になるわけなのだから、もし万が一上限を超える運賃が認可されることが起こったなら、消費者委員会も何か言わなければいけないのではないか。

そうすると、ここの文章では、実際の届出がどうなっているのかを国交省で把握せよと書いてあるのですけれども、この範囲内のことならば、私たちは上限も下限も見たわけだからいいのですけれども、範囲外の届出があり、変更命令が出されなかった場合、国交省が情報を把握するだけでいいのか。こちらに少なくとも報告をいただきたいし、更には審査が必要な気がする。

ただ、想定されないことをわざわざ書き込んで寝た子を起こす必要もないので、それは当然ということであれば書き込む必要まではないと思うのですが、それは注視しておくというか、国交省のほうで把握していただければ済む話と、範囲を超えたらさすがにそこだけでは済まないということは共通認識として持っておけば、もし万が一それが出てきたときには、すぐにこちらからも言えると思うので、この点が気になったので、余計なことですが、発言させていただきました。今言ったような理由で書かなくてもいいような気がするのですが、余計なことですが、一言申し上げました。

○古城座長 法律学者みたいですね。

陶山さん、どうぞ。

○陶山委員 先ほどの御説明だと、上限を超えた場合にも変更命令を出しますよという御説明をされたので、そういう規定の文書なり、公定幅運賃制度の中のどういう形態のルールなのか分からないのですけれども、その規定の文書がそうなっていればいいかとは思うのですが、そうでないときには、そこはしっかり文言としても押さえておくというのが必要かとも思うのです。実際にはどう書いてあるのか、実際の規定の文書がこのままここに書き写されているのか、その中の下限のところだけ念を押して書いていらっしゃるのか、どちらなのでしょうか。もしこれだけ書いてあるのだったら、私はこの幅を外れた場合には変更命令を出すというような、文章を変更することも検討していただくと。

○古城座長 正確に言うと幅運賃というのは認可制で、幅運賃だったら自動的に認可すると。上に外れたり、下に外れたりしたら個別審査をして、基本的に予定されているのは申請却下処分というのですね。変更命令は出さない。

○陶山委員 変更命令ではなくて却下処分ですか。

○古城座長 あなたの申請は認めませんと言って却下します。こういう認可制の場合は、親切に変更命令を出すことはないですね。

○陶山委員 そうなのですね。「変更命令対象となる」と書いてあるのですけれども。

○古城座長 どこですか。

○陶山委員 8ページの公定幅運賃制度のところの説明なのですが、そこは下限だから届出でいいよという考えの中でこう書いてある。

○古城座長 届出制の場合は勝手に届出をやれるから、変更命令を出します。認可制だったら認可がないとやれないはずだから、変更命令を出す必要はないですね。

○陶山委員 そうですよね。公定幅運賃の範囲の設定基準・算定方法は、自動認可運賃と同じになるということですね。

○古城座長 下限を下回る運賃での届出があったらというのは、これは申請のはずだから、認可拒否処分あるいは申請却下処分をすれば済むのだから、わざわざ変更命令を出す必要はないでしょう。

○陶山委員 私には分かりません。そう書かれているので。

○古城座長 変更命令を出す必要はないでしょう。

○旅客課担当者 自動認可ですね。

○古城座長 はい。

○旅客課担当者 変更命令は公定幅だけで認められている制度でございますので。

○古城座長 ちょっとよく分からないのですけれども、自動認可というのは、上に外れたり下に外れたりした場合は、個別審査になるわけでしょう。

○旅客課担当者 そうです。

○古城座長 それは申請を却下すればいいわけでしょう。

○旅客課担当者 そこは個別に。

○古城座長 要するに、届出制の場合は届出で勝手にやってしまうから、こちらから命令して変更させないといけないわけだけれども、認可制の場合は認可しない限りできないわけだから、変更命令を出す必要はないですね。

○旅客課担当者 そうですね。却下するという形が。

○古城座長 だから、ここは間違い。

○陶山委員 この文章が。

○古城座長 はい。届出制と変更命令はセットですけれども、認可制の場合は変更命令は要らないから。

タクシーについて、ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

それでは、タクシーについて、また御意見がありましたら事務局まで出してください。まだ時間がありますので、今度鉄道のときにもう一回検討できますので、これで基本的には承認されたということでお願いいたします。


≪3.閉会≫

○古城座長 それでは、原案が基本的には承認されましたから、本日の議題は全て終了いたしました。

事務局から連絡事項はございますか。

○金子参事官 本日も長時間にわたり御議論をいただきまして、ありがとうございました。

次回の会合についてでございますけれども、今週の金曜日、8月9日の午後1時より開催ということでございます。

以上でございます。

○古城座長 それでは、本日はこれにて閉会いたします。

お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)