冒頭発言

 明日開かれます第9回日中韓外相会議に出席するために中国にまいりました。昨年の日中韓首脳会議に引き続きこの外相会議が開催されることは非常に有益だと思います。 今年は,1999年に小渕総理の提案を受けて,初めて日中韓の首脳会議が開催されてから,ちょうど20年目という言わば節目の年にあたります。日中韓3か国は,この20年間,そうした対話をしっかり積み重ね,協力を積み重ねてまいりました。このような認識の下,明日の会議に出席をしたいというふうに思います。 今王毅国務委員と日中外相会談を先日のバンコクに続いて行いました。大阪のG20で安倍総理と習近平主席の首脳会談の成果を踏まえ,来年の春に予定をされております習近平主席の国賓としての訪日の成功のために日中両国でしっかり努力をしていくということを改めて確認したところでございます。その上で,日中両国の間で非常に大きな潜在力のある経済分野での協力関係の発展あるいは修学旅行をはじめとする青少年交流の促進といったことで,具体的な意見交換を行いました。また,人的交流・文化・スポーツの分野でも様々意見交換を行ったところでございます。同時に私の方から東シナ海の問題等日本の関心事項について,実質的な問題の解決あるいは進展というものがあることが今後の日中関係を深めていく上で非常に重要であるということを申し上げました。また,最近この香港の情勢について,大変憂慮しているということを私から申し上げ,早期に平和的に対話を通じてこの問題が沈静化することを強く期待をする旨申し上げ,一国二制度のもと自由で開かれた形で香港が繁栄していくことが非常に重要であるということを申し上げました。日中が新時代をこれから構築していくという中にあって今回の会談は非常に有意義なものだったと思います。私からは以上です。

質疑応答

【記者】先ほど東シナ海の問題について話がありましたが,これは具体的には尖閣そして共同開発,油田ガス田共同開発のことでしょうか。具体的にはどのような話がありましたか。

【河野外務大臣】 そのとおりです。内容については,対外的に申し上げるのは差し控えたいと思いますが,尖閣及び資源開発のことでございます。

【記者】香港の話題について提起されたということですけれども,このタイミングでかなり詳しく日本の立場を表明されたように今伺いました。このタイミングで王毅外相に直接伝える意義と,アメリカ含め国際社会も注視していますが,現状について改めてどのように思われますか。

【河野外務大臣】香港には2万5千人を超える日本人が常時いらっしゃってこうした方々の安全をしっかりと確保していただく必要があるということは香港当局にもこれまで累次伝えてきているところでございます。またこの情勢がしっかりと対話を通じて落ち着いていくということが,非常に重要だというふうに思っておりますし,一国二制度のもと,日本から香港への投資,これは日本だけでなく,様々の国からの香港への投資というのが国民制度の前提として行われてきているわけでありますから,そういう意味でこの問題がしっかりと解決に向かう平和的に対話を通じて解決に向かうことが必要だという私の思いをしっかりと先方へお伝えしたところでございます。

【記者】王毅外相には伝わったという手応えはありますでしょうか。

【河野外務大臣】先方のご発言については,対外的に申し上げることは控えたいと思いますけれども,この問題については,しっかりと中国側あるいは香港当局に伝わっていると思っております。

【記者】INF条約の失効にからんで中国側はアメリカの中距離ミサイルが日本に配備することを懸念を示していますけれども,今日の会談ではどういったやりとりがあったのでしょうか。

【河野外務大臣】東アジアの戦略,情勢についての意見交換をしたところでございます。これ以上差し控えたいと思います。

【記者】北朝鮮についてはどういったやりとりが。

【河野外務大臣】北朝鮮については,日中韓3カ国の中で議論していきたいというふうに思っております。基本的な認識は王毅外相とも一致しているところでございます。

【記者】北朝鮮の話にからんで瀬取りの話については何か大臣のところで。

【河野外務大臣】北朝鮮のことについては,3カ国の中で議論していきたいということであります。

【記者】食品の輸入規制についてはいかがですか。

【河野外務大臣】輸入規制の問題について提起させていただきました。それについて中国側としても国民の健康が大事だという話はこれまでも聞いておりますが,日本側としては科学的な根拠に基づいた説明をしっかりしておりますし,一部輸入が認められているものもありますので,進展がみられることと期待しております。

【記者】香港のデモに関して,中国側が深圳に武装警察部隊を集結させたというニュースがありますが,それについて大臣は言及されましたでしょうか。

【河野外務大臣】やりとりについては差し控えたいと思います。

【記者】首脳往来の継続の重要性については確認されたのでしょうか。もう一点,中国側から10月の即位の礼で王毅外相や国家主席が来日することについて言及はありましたでしょうか。

【河野外務大臣】ハイレベルの往来をテンポよく進めていくことが大事だということは一致をし,確認をしております。即位の礼についても,中国から極めてハイレベルの参加があるということは,お互い了解をしているところでございます。

【記者】具体名はあがりますか。

【河野外務大臣】対外的には差し控えたいと思います。

【記者】米中の対立について何か大臣から言及されましたでしょうか。

【河野外務大臣】今日は日中の二国間の話をみっちりやりました。

【記者】日韓の関係悪化については今日の会談で何か議題に上ったりは。

【河野外務大臣】全くありません。

【記者】説明もしないですか。

【河野外務大臣】全くありません。

【記者】質問もされないんですね。

【河野外務大臣】はい。

【記者】明日の日韓外相会談にどういうふうに望みたいと思っていらっしゃいますか。

【河野外務大臣】北朝鮮の問題について,しっかりと日韓の連携を確認をしていきたいと思っております。また,旧朝鮮半島出身労働者の問題についてしっかりと韓国側から対応をいただけるような意見交換をやってまいりたいと思います。

【記者】今回の会談で日韓関係の改善の糸口は見つかりそうでしょうか。

【河野外務大臣】この問題は,韓国側で対応していただかなくてはならない話ですので,韓国側に聞いてください。

【記者】経済分野の協力の話というのは具体的にこちら側からどのような話をされたのですか。

【河野外務大臣】経済分野は非常に潜在的に可能性の大きいものでありますので,これは様々政治的な側面を含む,止めることがない限り,非常に前向きに進んでいくものだというふうに思いますので,潜在力を最大限発揮できるように日中両国で協力をしていこうということでございます。

【記者】香港についてお聞きしますが,具体的なやり取りは結構なんですが,結果として平和的な解決にむけた期待をもてるような内容だったのでしょうか。それとも武力行使を含めた中国政府の介入について懸念が残る内容だったでしょうか。

【河野外務大臣】香港情勢がしっかりと沈静化に対話を通じて向かわなければいけないという認識は一致していると思っております。

【記者】冒頭王毅外相から4つの政府文書について言及があったかと思いますが,会談の中で新たなこういう文書の必要性であったりそういった話題があったりは。

【河野外務大臣】ありません。