1.  8月15日(現地時間同日),セントクリストファー・ネービスの首都バセテールにおいて,我が方平山達夫駐セントクリストファー・ネービス大使(トリニダード・トバゴにて兼轄)と,先方ユージン・ハミルトン農業・人間居住・協同組合・環境大臣(The Honourable Eugene Hamilton, Minister of Agriculture, Human Settlement, Cooperatives and Environment)との間で,2億円を供与額とするセントクリストファー・ネービスの水産業発展のための無償資金協力(経済社会開発計画)に関する書簡の交換が行われました。
    2.  セントクリストファー・ネービスは小島嶼開発途上国(SIDS)で,経済は観光を中心とするサービス業(GDP比約50%)に依存しており,小島嶼国であるが故の自然災害や気候変動などの外的要因に影響されやすい脆弱性への対応が大きな課題となっています。現在同国政府は,「農業開発戦略」を策定し,2021年までに長期的な食料安全保障を確保することを目標に,収益性の高い農業・水産セクターの育成に取り組んでいます。また,政府等の漁業訓練の成果により,漁獲量は増加傾向にありますが,生産拠点となる水産施設において製氷機や加工機材等が老朽化しており,その更新が必要とされています。
    3.  この協力は,我が国で製造された水産関連機材(製氷機設備,魚類裁割機等)を供与することにより,同国水産業の持続的な発展を図り,もって社会の安定化を通じた同国の経済社会開発に寄与するものです。この協力により,同国水産業従事者約4,600人(労働人口の約27%)が裨益し,同国水産業の振興が後押しされることが期待されます。
    4.  また,我が国は,2014年に安倍晋三内閣総理大臣が日・カリコム首脳会合で表明した「日本の対カリコム政策」の第一の柱として「小島嶼国特有の脆弱性克服を含む持続的な発展に向けた協力」を着実に実施しています。その一環であるこの協力により,経済社会開発を支援することのみならず,供与される日本製の機材・製品等に対する認知度の向上を図り,継続的な需要を創出し,日本企業の海外展開に貢献することも期待されます。

     [参考]
     
     セントクリストファー・ネービスは,面積約260平方キロメートル(西表島とほぼ同じ)。人口約5.5万人(2017年,世界銀行)。1人当たり国民総所得(GNI)は16,030米ドル(2017年,世界銀行)。