2019年8月9日

経済産業省は、サプライチェーン全体の見地からアニメーション制作業界の適正な取引を推進するため、「アニメーション制作業界における下請適正取引等の推進のためのガイドライン」の改訂版及び同概要版を策定しました。経済産業省としましては、アニメーション産業の更なる発展のための施策に引き続きしっかりと取り組んでまいります。

1.ガイドライン改定の概要

経済産業省では、平成25年に「アニメーション制作業界における下請適正取引等の推進のためのガイドライン」を策定して以降、アニメーション制作業界の実情に合わせて、改訂を重ねてまいりました。

今般、中小企業・小規模事業者の活力向上のための関係省庁連絡会議(議長:野上浩太郎 内閣官房副長官)において設置された、下請等中小企業の取引条件改善に関するワーキンググループでの放送コンテンツ(アニメーションを含む。)の取引条件改善に関する議論を受けて、サプライチェーン全体の見地からアニメーション制作業界の適正な取引を推進するため、「アニメーション制作業界における下請適正取引等の推進のためのガイドライン」を改訂するとともに同ガイドラインの概要版を策定しました。

これらの案については、広く御意見をお聞きするため平成31年4月27日(土曜日)から令和元年5月31日(金曜日)までパブリックコメントを実施し、2,882件もの御意見をいただきました。アニメ関係者をはじめとする国民の皆様からアニメーション制作における下請取引適正化に対して真摯な御意見をいただけましたことを厚く御礼申し上げます。

2.主な意見とその意見に対する修正点

  • アニメーション下請取引における成果物の著作権の帰属に関する意見が複数寄せられました。著作権の帰属については、作品の二次利用の際の利益分配や流通の円滑化の観点からその重要性は言うまでもありません。もっとも、著作権の帰属の論点もさることながら、作品による収益がクリエーターに分配されることが重要であり、その仕組みを考える必要があります。こうした観点から、作品への貢献度に応じた適切な利益分配を可能とするシステムの導入も考えられる旨、ガイドラインに追記しました。
  • 契約と就労実態の乖離に関する意見が複数寄せられました。契約の名称にかかわらず、実態として、就労時間・場所を拘束されるなどの使用従属性があり、労働者性が認められる場合には、労働基準関係法令上の労働者として、労働基準関係法令が適用されるため、その旨をガイドラインに追記しました。
  • 書面交付の徹底に関する意見が複数寄せられました。書面交付を徹底するだけでは不利な契約を結ばされてしまうと懸念があるところ、親事業者が禁止行為に該当する行為を行った場合には下請法違反となります。親事業者は、契約条件の協議のときからこの点に十分配慮のうえ、契約を締結する必要がある旨、ガイドラインに追記しました。
  • また、書面交付やスケジュール管理の適正化を容易に行えるシステムの制作現場への導入に関する意見も寄せられました。

詳細な意見及び対応につきましては、電子政府の総合窓口〔e-Gov〕外部リンクの「パブリックコメント」欄に掲載しておりますのでご確認ください。

今後は改訂版ガイドラインの周知に努めてまいります。アニメーション制作業界の関係者におかれては、適正なアニメーション制作取引を推進し、アニメーション業界の発展につなげる観点から、改訂版ガイドラインの遵守を徹底するよう努めてください。

3.改訂資料

4.関連資料

本日、総務省において、「放送コンテンツ製作取引適正化に関するガイドライン」の改訂版を公表しています。

【J-LOD補助金第4弾 採択結果】ブロックチェーン技術を活用したコンテンツの流通に関するシステムの開発・実証に関する補助金の採択を決定しました

経済産業省では、平成30年度、「ブロックチェーン技術を活用したコンテンツビジネスに関する検討会」を開催し、コンテンツの流通により生じる利益の分配の仕組み等について検討しました。当該議論を踏まえ、コンテンツグローバル需要創出等促進事業費補助金(通称「J-LOD」。平成30年度二次補正予算)において、ブロックチェーン技術を活用した新たなコンテンツ制作・流通システムの開発・実証を行う事業への支援を行っています。

経済産業省では、上記のJ-LOD補助金において、コンテンツ製作の生産性向上に資するシステムの開発・実証を行う事業への支援を行っています。

担当

商務情報政策局コンテンツ産業課長 高木
担当者:佐野、冨田、狩野
電話:03-3501-1511(内線 4061~5)
03-3501-9537(直通)
03-3501-1599(FAX)