2019年7月29日(月曜日)
15時45分~15時58分
於:記者会見室

冒頭発言

今日は特に私からはございません。

質疑応答

韓国向け輸出管理措置

Q: 韓国への輸出管理について、2点お伺いします。
韓国が、今週予定されているRCEPの会合の場などで自国の立場を主張してくると思うんですけれども、日本としてはどのように対応されるかということと、すみません、続けて、ホワイト国から韓国を除外する政令改正案の閣議決定が今週2日にもあるという報道がされていますけれども、事実関係を教えてください。

A: まず、RCEPについてでありますけれども、中国において現在開催中のRCEP実務レベルの交渉会合において、26日、韓国側から、韓国に対する輸出管理の運用見直しの速やかな撤回を求める旨の発言がありました。翌27日、このRCEPの枠組みの中で行われている日韓の二国間会談においても、韓国側から改めて同様の申入れがあったところであります。
これに対して日本側からは、RCEP交渉会合は、今、問題となっている輸出管理、しかも日本の措置の見直しについて議論をする適切な場ではないということを指摘した上で、安全保障のための輸出管理制度の適切な運用に必要な見直しであって、自由貿易の原則に反するものではないという日本の基本的立場を改めて表明したところであります。
RCEP交渉会合での韓国からの発言に対して、他の交渉参加国からの発言はありませんでしたし、交渉会合の議長からは、これはインドネシアの方が今、議長を、交渉官会合は議長をやっていますけれども、この議長から、RCEPの議論に集中すべきであるという発言があったところであります。
そもそも、WTOで議論するのもいかがなものかと思いますけれども、RCEPになってくると、なお、全く関係がないわけであります。こういう関係がない場の議題として発言を続けていると、韓国自身が国際的に信頼を失うんではないかなと、私自身は心配になるところであります。
また、外為法輸出貿易管理令の改正については、閣議決定の日程は、まだ何も決まっていません。この件については、24日にパブリックコメントを締め切ったところでありまして、現在コメントの内容を精査しているところであります。
今回の政令改正は、輸出管理を適切に実施する上で、必要な運用の見直しでありまして、粛々と作業を進めていきたいというふうに思っています。
今、報告を受けているところでは、パブリックコメント、大変多数の件数が来ていますが、意見の内容としては、そんなに多岐にわたっているわけではないということでありますから、そんなに時間が掛からないのではないかというふうに思っています。

キャッシュレス・消費者還元事業

Q: キャッシュレスのポイント還元についてお伺いします。
対象店舗が数百万店と言われている中で、現状、申請登録しているのが10万店舗程度だという報道がありますけれども、現在大臣が把握している店舗数と今後の対応についてお聞かせいただけますか。

A: ポイント還元事業については、今年4月から事業に参加する、まずキャッシュレス決済事業者の登録募集を行いまして、現時点までに356事業者の登録が行われているところであります。また、5月中旬以降、順次加盟店の募集も開始をしておりまして、現時点の加盟店登録申請数は、昨日時点で20万件程度となっています。直近では1日1万件を超える申請を受け付けておりまして、登録申請が伸び悩んでいるとか想定より少ないという御指摘は当たらないんではないかというふうに思います。
10月の制度開始に向けて、できるだけ多くの中小・小規模事業者の皆さんに参加を頂くべく、引き続き全国各地で説明会を実施をするとともに、決済事業者による中小・小規模事業者への個別の周知・勧誘にもしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思っています。
今月末には、対象となる店舗の公表を予定しているところでありますが、今後、対象店舗での全国統一ポスターの掲示や、消費者向けホームページや、アプリを活用した店舗の検索など、還元方法などに関する情報提供を行うことによって、利用者にとって分かりやすい広報に努めていきたいというふうに思っています。

Q: 数百万規模という中では20万件はかなり少ないんじゃないかというふうに思うんですが、その件はいかがでしょうか。

A: 我々も、もともとこの予算要求するときに、全店舗が参加するなんてことは全く思っていないわけであります。だからこそ一生懸命、勧誘活動もやってきているわけであります。そういう意味では、我々の想定のレベルに達しているというふうに思っています。

韓国向け輸出管理措置

Q: 韓国の輸出管理措置について戻るんですが、韓国の釜山市が日本との交流事業を中止するというような対応を発表しまして、実体経済への影響も懸念されるような状況になっているわけなんですが、これについての受け止めと、何らか経産省として対応するような検討がありましたら、その点について教えてください。

A: これは何度も申し上げているように、貿易管理上の、これは日本政府としての措置であるわけであります。こういったことが他の分野に影響する、あるいはさせようとする動きは、我々としては決して好ましいものではないというふうに思っています。
既に外務大臣からは、「文化・スポーツの交流はこれからもしっかり続けていきたいと思う」というコメントも出されているわけであります。
経産省としては、あくまでも今後の韓国における動向や、日本への影響を見守るとともに、輸出管理の運用・見直しについて引き続き適切に実施をしていきたいというふうに思っています。

Q: すみません、ちょっと前の話で恐縮なんですけれども、22日に韓国の産業通商資源省の報道官の会見で、日本側は、ただ一度も我が国のキャッチオール制度の問題点を公式にも、非公式にも問題提起してきたことはなかったと発言しているんですけれども、事実関係はいかがでしょうか。

A: 韓国側のいろいろなこれまでの発言は、私達も、もう何回もその誤りを指摘してきているわけであります。また今回もやらなければいけないのは大変残念だと思いますけれども、そもそも輸出管理制度の具体的な制度や運用というのは、大量破壊兵器や通常兵器の不拡散などに責任を持っている各国が自らの責任の下で行うものでありまして、そもそも、日本から言われたか言われていないか、他国から問題提起を受けたかどうか、他国に責任転嫁をするような主張そのものにまず、とにかく論理構成に違和感を覚えるわけであります。
その上で申し上げますと、特に通常兵器キャッチオール制度については、今から16年前、2003年にワッセナー・アレンジメントで導入が合意をされました。その上で日本としては、韓国も参加する国際会議や、あるいは二国間の政策対話において日本のキャッチオール制度を繰り返し紹介をするなど、韓国のキャッチオール制度の改善に向けた努力を促すとともに、意見交換を通じて韓国側の法制度や運用の確認に努めてきているところであります。
いずれにせよ、韓国側の通常兵器キャッチオール制度の法的根拠が不明確である点については、いまだに詳細な説明は得られていないわけであります。また、そもそも明確に法的根拠を欠いた状態で貿易管理を厳格に実施をしていると言われても、それは何のことをおっしゃっているのか、全く意味不明だというふうに思っています。

ヤフーとアスクルの関係

Q: ちょっとヤフーとアスクルの対立についてお伺いしたいんですけれども、両社はちょっと親子上場の関係ですけれども、子会社のアスクルが親会社のヤフーから社長の退陣とかいろいろ要求を受けていて、自分達の少数株主の利益が毀損されるとか、ヤフーがアスクルのガバナンスを無視しているんじゃないかといった問題点も訴えています。
一方で、経産省は6月にグループ・ガバナンス・システムに関する実務指針を定めていて、上場子会社の少数株主への配慮とか、ガバナンスの実効性確保の必要性を指摘しています。
個社の話なんで難しいかもしれませんけれども、ガイドラインから見て、今回のヤフーの対応等、適切なのか、外れた部分があるとお考えか、いかがでしょうか。

A: 個別の事案についてコメントをすることは差し控えたいというふうに思います。
一般論として申し上げますけれども、当然、執行陣と株主との間でいろいろな対立とかがあることは十分あるわけでありますけれども、いずれにしろ、企業価値が最大化されるように議論が進むことが何よりも重要だというふうに思っています。
あくまでも、この会社法という法律においては、社外取締役も含めて、取締役の選任の権限というのは、これは株主総会の決定事項ということになっているわけであります。これがまずは大前提になるんだろうと思います。
その際に、実務指針においては、親会社は上場子会社の独立社外取締役の選任・解任権限を行使する場合にあっては、上場子会社のガバナンス確保に十分配慮すべきということも申し上げているわけであります。
こうした枠組みの中で適切に議論が行われて、特に企業価値が最大化される結論が出ることを期待したいというふうに思っています。

RCEP閣僚会合

Q: 今週の土曜日に、RCEPの閣僚会合が北京でございますが、現時点で大臣の方としては、年内の妥結の実現性等々、手応えといいますか、どのようにお考えかお聞かせください。

A: まだなかなか日が高い、年内に向けては、まだ時期だというふうに思っていますけれども、今年3月、カンボジアの閣僚会合で、昨年の共同首脳声明に基づいて、年内妥結への決意を確認したところでありますし、また残された論点の解決策を見いだすべく、今後取り組むべき作業を確認してきたところであります。
その後、事務レベルでの議論を6月にオーストラリアで行って、現在、先程もちょっと話題になりましたが、中国で交渉会合を開催しているところであります。
その結果、市場アクセス分野及びルール分野の双方で、交渉は着実に進展をしてきておりまして、残された論点は、いよいよ政治判断によって決着ができる状況に近づきつつあるんではないかというふうに思っています。
8月3日に北京で開催される閣僚会合での進展について予断をすることは差し控えたいと思いますけれども、私自身が参加をして、残された論点について各国の政治判断を導き出せるように議論をリードして、年内妥結に向けて精力的に取り組んでいきたいというふうに思います。
なかなか16カ国の閣僚が集まるというのは本当に貴重な場でありますので、議題以外のことはなるべく話さずに、RCEPの年内妥結に向けて各閣僚と連携をして、集中的議論をしっかりと行っていきたいというふうに思っています。

Q: RCEPの妥結に向けて、韓国との前の交渉も必要だと思うんですけれども、これについて日本としてはRCEPはRCEPで、輸出管理とは別の話であって、しっかりとバイ交渉を進めて年内の妥結を目指すという、そういう姿勢は変わらないということでよろしいでしょうか。

A: 全くRCEPとこの輸出管理の問題というのは関係ありませんので、ですから、交渉会合でも我々は粛々と日韓の二国間の会談も行っているところであります。

以上

最終更新日:2019年7月30日