冒頭発言

天野IAEA事務局長逝去

【河野外務大臣】昨日,IAEAが天野事務局長のご逝去を発表しました。天野事務局長の多大なる業績につきましては,外務大臣談話の中でも申し上げておりますが,改めて天野事務局長のリーダーシップ及び業績を評価し,生前の様々なご努力,ご献身に深い謝意を表したいと思います。ご遺族に哀悼の意を申し上げるとともに,天野事務局長のご冥福をお祈り申し上げたいと思います。

日韓関係

【読売新聞 梁田記者】日韓関係について伺います。先週,大臣,韓国の南(ナム)大使とお会いになった際に,かなり激しいというか,「無礼でございます」といった表現も含めての厳しいやりとりをなさったというふうに承知しております。
 大臣,昨年いわゆる徴用工問題の訴訟の判決が出た当初は厳しい発言をされていましたが,その後は一貫して,日韓の交流ですとか外交当局としてできることということに重点を置かれて発言をされていました。このタイミングでまた厳しい発言をなさった真意をお聞かせください。
 それとこれから先,例えば来月はASEANプラス日中,ASEANプラス3のような日本と韓国の外相が参加するような場面も予定されていると思います。そういった場で康京和(カン・ギョンファ)外相ともお会いになるかと思いますが,そういうところで外交当局の長として,どのように対応なさりたいかお考えをお聞かせください。

【河野外務大臣】日韓両国政府は厳しい状況にありますが,国民の交流はそうしたことにかかわらず,しっかり続けていただきたいということはかねてから申し上げているとおりです。自治体間の交流ですとか,文化交流,スポーツ交流といったものは,しっかり続けていただきたいと思っております。依然として,韓国側が国際法に違反している状況に変わりはございませんので,韓国側には速やかにこうした状況を是正する措置をとっていただきたいと思っております。韓国側のご提案につきましては,国際法違反の状況を是正するものになっていないので,日本側として議論の対象たり得ないということは最初から申し上げておりますので,それを繰り返すのではなく,国際法違反の状況を是正する措置をしっかりととっていただきたいと思います。

竹島付近におけるロシア軍機の領空侵犯

【NHK 小泉記者】韓国とロシアの件について伺います。先ほど,今日午前に,島根県の竹島付近の空域でロシア軍機1機が領空侵犯したとして,警告射撃を実施したという発表がありました。韓国政府の方も厳重に抗議をしたということですけれども,日本としてこの一連の件に関して,韓国,竹島の件については日本の領土だと主張されていると思いますが,それについて大臣の受け止めと政府としての対応をお聞きしたいと思います,お願いします。

【河野外務大臣】ロシアによる我が国の領空侵犯については,抗議をしたところでございます。こうしたことが繰り返されないように,ロシア側にはしっかり対応していただきたいと思います。また,韓国側のとった措置につきましては,我が国として到底受け入れられるものではありませんので,韓国側にもその旨抗議をしたところでございます。

【共同通信 福田記者】最後の語尾のところ,「韓国側にも抗議した」。「厳重抗議」ではなく「抗議」ということでしょうか。

【河野外務大臣】言葉はどうか分かりませんが,詳細は担当課に聞いてください。

【時事通信 越後記者】日本が韓国側に抗議する理由を,改めてですけれども,ご説明いただけますか。

【河野外務大臣】日本側の,日本政府の立場と相容れないことが行われたことです。

在釜山総領事館への学生侵入・デモ事案

【産経新聞 原川記者】韓国ではこのところ,ソウルの日本大使館前で男性が焼身自殺したり,昨日は釜山の総領事館に学生6人が侵入するといった穏やかでない動きが相次いでいますけれども,これらに対する受け止めをお伺いしたいのと,外務省のホームぺージを見ますと,それぞれの件についてスポット情報ということで,注意喚起がなされていると思うんですが,海外渡航情報そのものを,危険レベルを引き上げるとかそういったことは検討されていないのでしょうか。

【河野外務大臣】大使館あるいは総領事館等の警備につきましては,韓国側にしっかりと警備するように依頼をしているところでございます。こうしたことに邦人の旅行者が巻き込まれないようにスポット情報を発出しておりますが,渡航情報を引き上げる,そういうつもりは今のところございません。

有志連合構想

【朝日新聞 清宮記者】2点お伺いしたんですが,まず1点目で,アメリカが19日にホルムズ海峡などでの航行の安全について説明会を開いていますが,日本政府として,どういった要請を受けているのか,また,日本政府にも対応が求められると思いますが,今後,どう検討,対応されるのでしょうか。

【河野外務大臣】ホルムズ海峡は,日本のエネルギー安全保障にも重要なところでございますので,日本政府として関係諸国と今,情報交換をしているところです。

【朝日新聞 清宮記者】25日にもまた説明会があるとされていますが,それにも派遣される予定でしょうか。

【河野外務大臣】25日はタンパの中央軍で会合が行われると聞いております。おそらく,日本政府として出席をするのであれば,防衛省から出席するのではないかと思っております。

「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」第5回会合の開催

【朝日新聞 清宮記者】今日,賢人会議の第5回目の2日目が終わりましたけれども,その中で,9月頃に議長サマリーとして提言されると,賢人会議は終わるけれども,1.5トラックを続けることを提言されましたが,大臣としては今後,政府として有識者と一緒に1.5トラックを2020年,2025年のNPT会議に向けてやるつもりはあるかということと,あと,賢人会議の意義と難しさ,困難な問題についてコンセンサスは難しいというお話もあったんですけれども,限界と意義ということを改めてお伺いできますか。

【河野外務大臣】今後,白石座長を中心にして,取りまとめが行われると思いますが,これまでの賢人会議はここで一区切りということにしたいと思っておりますが,もちろん,ここで活動がすべて終わるわけではなく,できれば1.5トラックを立ち上げて,さらに議論を深めていきたいと思っております。
 今回の賢人会議は,様々な立場のメンバーにご出席をいただきましたが,立場は異なりますけれども,非常に有意義な,建設的な議論が行われたという,多くの委員からのご意見がございました。そういう意味で,立場の違いを全て埋めることができたとは言い難い部分がありますが,非常にこうした対話を続けていくことに意味があると思います。
 また,先般の京都アピール,非常に世界で好意的に受け止めていただいたということもありますので,唯一の戦争被爆国として,日本が不拡散だけでなく,核軍縮についてもしっかりと発言をしていくことが,2020年,あるいはその先を見据えて大事なことだと思っておりますので,できれば1.5トラックという形でしっかりと議論を続けさせていただきたいと思っております。

WTO一般理事会

【東亜日報 キム記者】今日,WTO一般理事会が開かれます。日本では,外務省,山上経済局長が参加しています。韓国側に対する日本側の戦略とか立場はなんですか,ちょっと伺いたいです。

【河野外務大臣】特に日韓で何か話題になるとは思っていません。山上経済局長にはG20の報告をお願いしているところでございます。

日韓交流

【西日本新聞 塩入記者】日韓交流の関係についてですが,韓国・釜山の呉巨敦(オ・ゴドン)市長が本日,日本の対韓輸出規制の強化を不当な経済制裁として批判し,釜山市が主管する日韓交流の行事の開催について,全面的に見直すとの声明を発表しました。釜山市は日本に近くて,福岡市,山口県下関市などと姉妹都市協定を結んでおりまして,今後,日韓交流行事が中止されれば,大きな影響が予想されますが,こうした自治体や民間の交流に既に影響が出ている状況について,大臣の受け止めと,外務省として,今後,対応することがあれば教えてください。

【河野外務大臣】政府間では難しい問題に直面しておりますが,だからこそ,こういう時期に国民の交流がしっかり続けられることが,両国関係において非常に重要だと思っております。多くの自治体が姉妹都市関係をはじめ,様々な交流事業をこれまでも長年にわたり,日韓両国でやってきたわけですので,是非,こうした交流事業を続けていっていただきたいと思います。

竹島付近におけるロシア軍機の領空侵犯に対する抗議

【朝日新聞 鬼原記者】先ほどの竹島の件で確認をさせてください。ちょっと聞き漏らしただけかもしれませんけれども,韓国に対して抗議をされたということですけれども,韓国のどの対応について抗議をされたんでしょうか。

【河野外務大臣】日本政府の立場と相容れない措置がとられたということでございます。

【朝日新聞 鬼原記者】威嚇射撃のことですか。

【河野外務大臣】日本政府の立場と相容れない措置が行われたということでございます。

【朝日新聞 鬼原記者】その日本政府の立場というのが,ちょっとわからない。それをご説明されないのはなんでなんでしょうか。

【河野外務大臣】竹島は我が国の領土でございますので,領空侵犯をしたロシアに対しては,我が国が対応するものであって,韓国がそれに対して何か措置を行うというのは,我が国の政府の立場と相容れないということでございます。