議案審議経過情報

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項目 内容
議案提出者 文部科学委員長
衆議院審議時会派態度 全会一致
衆議院審議時賛成会派 自由民主党; 立憲民主党・無所属フォーラム; 国民民主党・無所属クラブ; 公明党; 日本共産党; 日本維新の会; 社会保障を立て直す国民会議; 社会民主党・市民連合; 希望の党; 未来日本
衆議院審議時反対会派
議案受理年月日 2019-05-22
公布年月日 2019-06-28

要項または提出時法律案

第一 総則
一 目的
   この法律は、日本語教育の推進が、我が国に居住する外国人が日常生活及び社会生活を国民と共に円滑に営むことができる環境の整備に資するとともに、我が国に対する諸外国の理解と関心を深める上で重要であることに鑑み、日本語教育の推進に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体及び事業主の責務を明らかにするとともに、基本方針の策定その他日本語教育の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進し、もって多様な文化を尊重した活力ある共生社会の実現に資するとともに、諸外国との交流の促進並びに友好関係の維持及び発展に寄与することを目的とすること。                  (第一条関係)
二 定義
 1 この法律において「外国人等」とは、日本語に通じない外国人及び日本の国籍を有する者をいうこと。                                 (第二条第一項関係)
2 この法律において「日本語教育」とは、外国人等が日本語を習得するために行われる教育その他の活動(外国人等に対して行われる日本語の普及を図るための活動を含む。)をいうこと。
                                     (第二条第二項関係)
三 基本理念
 1 日本語教育の推進は、日本語教育を受けることを希望する外国人等に対し、その希望、置かれている状況及び能力に応じた日本語教育を受ける機会が最大限に確保されるよう行われなければならないこと。                                 (第三条第一項関係)
2 日本語教育の推進は、日本語教育の水準の維持向上が図られるよう行われなければならないこと。
                                     (第三条第二項関係)
3 日本語教育の推進は、外国人等に係る教育及び労働、出入国管理その他の関連施策並びに外交政策との有機的な連携が図られ、総合的に行われなければならないこと。    (第三条第三項関係)
4 日本語教育の推進は、国内における日本語教育が地域の活力の向上に寄与するものであるとの認識の下に行われなければならないこと。                  (第三条第四項関係)
5 日本語教育の推進は、海外における日本語教育を通じて我が国に対する諸外国の理解と関心を深め、諸外国との交流を促進するとともに、諸外国との友好関係の維持及び発展に寄与することとなるよう行われなければならないこと。                     (第三条第五項関係)
6 日本語教育の推進は、日本語を学習する意義についての外国人等の理解と関心が深められるように配慮して行われなければならないこと。                 (第三条第六項関係)
7 日本語教育の推進は、我が国に居住する幼児期及び学齢期にある外国人等の家庭における教育等において使用される言語の重要性に配慮して行われなければならないこと。   (第三条第七項関係)
四 国の責務
国は、第一の三の基本理念(以下単に「基本理念」という。)にのっとり、日本語教育の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有すること。            (第四条関係)
五 地方公共団体の責務
地方公共団体は、基本理念にのっとり、日本語教育の推進に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有すること。
(第五条関係)                                  
六 事業主の責務
外国人等を雇用する事業主は、基本理念にのっとり、国又は地方公共団体が実施する日本語教育の推進に関する施策に協力するとともに、その雇用する外国人等及びその家族に対する日本語学習の機会の提供その他の日本語学習に関する支援に努めるものとすること。          (第六条関係)
七 連携の強化
1 国及び地方公共団体は、国内における日本語教育が適切に行われるよう、関係省庁相互間その他関係機関、日本語教育を行う機関(日本語教育を行う学校(学校教育法第一条に規定する学校、同法第百二十四条に規定する専修学校及び同法第百三十四条第一項に規定する各種学校をいう。)を含む。以下同じ。)、外国人等を雇用する事業主、外国人等の生活支援を行う団体等の関係者相互間の連携の強化その他必要な体制の整備に努めるものとすること。         (第七条第一項関係)
2 国は、海外における日本語教育が持続的かつ適切に行われるよう、独立行政法人国際交流基金、日本語教育を行う機関、諸外国の行政機関及び教育機関等との連携の強化その他必要な体制の整備に努めるものとすること。                         (第七条第二項関係)
八 法制上の措置等
政府は、日本語教育の推進に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならないこと。                         (第八条関係)
 九 資料の作成及び公表
   政府は、日本語教育の状況及び政府が日本語教育の推進に関して講じた施策に関する資料を作成し、適切な方法により随時公表しなければならないこと。               (第九条関係)
第二 基本方針等
一 基本方針
1 政府は、日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならないこと。          (第十条第一項関係)
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとすること。     (第十条第二項関係)
  日本語教育の推進の基本的な方向に関する事項
  日本語教育の推進の内容に関する事項
  その他日本語教育の推進に関する重要事項
3 文部科学大臣及び外務大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないこと。                              
(第十条第三項関係)
4 文部科学大臣及び外務大臣は、基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならないこと。                 (第十条第四項関係)
5 文部科学大臣及び外務大臣は、3の閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならないこと。                          (第十条第五項関係)
6 政府は、日本語教育を取り巻く環境の変化を勘案し、並びに日本語教育に関する施策の実施の状況についての調査、分析及び評価を踏まえ、おおむね五年ごとに基本方針に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更するものとすること。             (第十条第六項関係)
7 3から5までは、基本方針の変更について準用すること。        (第十条第七項関係)
二 地方公共団体の基本的な方針
  地方公共団体は、基本方針を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針を定めるよう努めるものとすること。                                   (第十一条関係)
第三 基本的施策
 一 国内における日本語教育の機会の拡充
1 外国人等である幼児、児童、生徒等に対する日本語教育
 国は、外国人等である幼児、児童、生徒等に対する生活に必要な日本語及び教科の指導等の充実その他の日本語教育の充実を図るため、これらの指導等の充実を可能とする教員等の配置に係る制度の整備、教員等の養成及び研修の充実、就学の支援その他の必要な施策を講ずるものとすること。
(第十二条第一項関係)
 国は、外国人等である幼児、児童、生徒等が生活に必要な日本語を習得することの重要性についてのその保護者の理解と関心を深めるため、必要な啓発活動を行うよう努めるものとすること。                                                 
(第十二条第二項関係)
2 外国人留学生等に対する日本語教育
 国は、大学及び大学院に在学する外国人留学生等であって日本語を理解し、使用する能力(以下「日本語能力」という。)を必要とする職業に就くこと、我が国において教育研究を行うこと等を希望するものに対して就業、教育研究等に必要な日本語を習得させるための日本語教育の充実を図るために必要な施策を講ずるものとすること。             (第十三条第一項関係)
 国は、外国人留学生等(大学及び大学院に在学する者を除く。)であって日本語能力を必要とする職業に就くこと又は我が国において進学することを希望するものに対して就業又は進学に必要な日本語を習得させるための日本語教育の充実を図るために必要な施策を講ずるものとすること。                
(第十三条第二項関係)
3 外国人等である被用者等に対する日本語教育
   国は、事業主がその雇用する外国人等(の技能実習生を除く。)に対して、日本語学習の機会を提供するとともに、研修等により専門分野に関する日本語教育の充実を図ることができるよう、必要な支援を行うものとすること。                 (第十四条第一項関係)
 国は、事業主等が技能実習生に対して日本語能力の更なる向上の機会を提供することができるよう、教材の開発その他の日本語学習に関する必要な支援を行うものとすること。
(第十四条第二項関係)
 国は、定住者等が就労に必要な水準の日本語を習得することができるよう、必要な施策を講ずるものとすること。                         (第十四条第三項関係)
4 難民に対する日本語教育
   国は、難民の認定を受けている外国人及びその家族並びに外国において一時的に庇(ひ)護されていた外国人であって政府の方針により国際的動向を踏まえ我が国に受け入れたものが国内における定住のために必要とされる基礎的な日本語を習得することができるよう、学習の機会の提供その他の必要な施策を講ずるものとすること。                        (第十五条関係)
5 地域における日本語教育
国は、地域における日本語教育の機会の拡充を図るため、日本語教室の開始及び運営の支援、日本語教室における日本語教育に従事する者の養成及び使用される教材の開発等の支援、日本語教室を利用することが困難な者の日本語学習に係る環境の整備その他の必要な施策を講ずるものとすること。              
(第十六条関係)
  6 国民の理解と関心の増進
    国は、国内における日本語教育が外国人等の日本語能力を向上させるとともに、共生社会の実現に資することを踏まえ、外国人等に対する日本語教育についての国民の理解と関心を深めるよう、日本語教育に関する広報活動の充実その他の必要な施策を講ずるものとすること。   (第十七条関係)
 二 海外における日本語教育の機会の拡充
  1 海外における外国人等に対する日本語教育
    国は、海外における日本語教育が外国人等の我が国に対する理解と関心の増進、我が国の企業への就職の円滑化等に寄与するものであることに鑑み、各国における日本語教育の状況に応じて、持続的かつ適切に日本語教育が行われるよう、現地における日本語教育に関する体制及び基盤の整備の支援、海外における日本語教育に従事する者の養成並びに使用される教材(インターネットを通じて提供することができるものを含む。)の開発及び提供並びにその支援、海外において日本語教育を行う教育機関の活動及び日本語を学習する者の支援その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとすること。                           (第十八条第一項関係)
 国は、外国人等であって我が国への留学を希望するものが我が国の大学等で教育を受けるために必要な水準の日本語を習得することができるよう、必要な施策を講ずるものとすること。
(第十八条第二項関係)
  2 海外に在留する邦人の子等に対する日本語教育
    国は、海外に在留する邦人の子、海外に移住した邦人の子孫等に対する日本語教育の充実を図るため、これらの者に対する日本語教育を支援する体制の整備その他の必要な施策を講ずるものとすること。                                   (第十九条関係)
 三 日本語教育の水準の維持向上等
  1 日本語教育を行う機関における日本語教育の水準の維持向上
国は、日本語教育を行う機関における日本語教育の水準の維持向上を図るため、日本語教育を行う機関によるその日本語教育に従事する者に対する研修の機会の確保の促進その他の必要な施策を講ずるものとすること。                            (第二十条関係)
  2 日本語教育に従事する者の能力及び資質の向上等
 国は、日本語教育に従事する者の能力及び資質の向上並びに処遇の改善が図られるよう、日本語教育に従事する者の養成及び研修体制の整備、国内における日本語教師の資格に関する仕組みの整備、日本語教師の養成に必要な高度かつ専門的な知識及び技能を有する者の養成その他の必要な施策を講ずるものとすること。                   (第二十一条第一項関係)
 国は、海外における日本語教育の水準の維持向上を図るため、外国人である日本語教師の海外における養成を支援するために必要な施策を講ずるよう努めるものとすること。
(第二十一条第二項関係)
  3 教育課程の編成に係る指針の策定等
国は、日本語教育を受ける者の日本語能力に応じた効果的かつ適切な教育が行われるよう、教育課程の編成に係る指針の策定、指導方法及び教材の開発及び普及並びにその支援その他の必要な施策を講ずるものとすること。                         (第二十二条関係)
  4 日本語能力の評価
国は、日本語教育を受ける者の日本語能力を適切に評価することができるよう、日本語能力の評価方法の開発その他の必要な施策を講ずるものとすること。          (第二十三条関係)
 四 日本語教育に関する調査研究等
1 日本語教育に関する調査研究等
国は、日本語教育の推進に関する施策を適正に策定し、及び実施するため、日本語教育の実態(海外におけるものを含む。)、効果的な日本語教育の方法、試験その他の日本語能力の適切な評価方法等について、調査研究、情報の収集及び提供その他の必要な施策を講ずるものとすること。                                  
(第二十四条関係)
  2 日本語教育に関する情報の提供等
国は、外国人等が日本語教育に関して必要な情報を得られるよう、外国人等のために日本語教育に関する情報を集約し、当該集約した情報についてインターネットを通じて閲覧することを可能とするための措置、相談体制の整備に関する助言その他の必要な施策を講ずるものとすること。                                
(第二十五条関係)
 五 地方公共団体の施策
地方公共団体は、第三(二を除く。)の国の施策を勘案し、その地方公共団体の地域の状況に応じた日本語教育の推進のために必要な施策を実施するよう努めるものとすること。   (第二十六条関係)
第四 日本語教育推進会議等
一 日本語教育推進会議
1 政府は、文部科学省、外務省その他の関係行政機関(2において「関係行政機関」という。)相互の調整を行うことにより、日本語教育の総合的、一体的かつ効果的な推進を図るため、日本語教育推進会議を設けるものとすること。                  (第二十七条第一項関係)
2 関係行政機関は、日本語教育に関し専門的知識を有する者、日本語教育に従事する者及び日本語教育を受ける立場にある者によって構成する日本語教育推進関係者会議を設け、1の調整を行うに際しては、その意見を聴くものとすること。              (第二十七条第二項関係)
二 地方公共団体に置く日本語教育の推進に関する審議会等
地方公共団体に、第二の二の基本的な方針その他の日本語教育の推進に関する重要事項を調査審議させるため、条例で定めるところにより、審議会その他の合議制の機関を置くことができること。
(第二十八条関係)
第五 施行期日等
一 施行期日
この法律は、公布の日から施行すること。                 (附則第一条関係)
二 検討
国は、次に掲げる事項その他日本語教育を行う機関であって日本語教育の水準の維持向上を図るために必要な適格性を有するもの(以下「日本語教育機関」という。)に関する制度の整備について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。  (附則第二条関係)
1 日本語教育を行う機関のうち当該制度の対象となる機関の類型及びその範囲
2 外国人留学生の在留資格に基づく活動状況の把握に対する協力に係る日本語教育機関の責務の在り方
3 日本語教育機関における日本語教育の水準の維持向上のための評価制度等の在り方
4 日本語教育機関における日本語教育に対する支援の適否及びその在り方