議案審議経過情報

(注)下記の表で内容がない箇所は、現時点で情報が未定のもの、もしくは情報がないことが確定したものです。

項目 内容
議案提出者 国土交通委員長
衆議院審議時会派態度 全会一致
衆議院審議時賛成会派 自由民主党; 立憲民主党・無所属フォーラム; 国民民主党・無所属クラブ; 公明党; 日本共産党; 日本維新の会; 社会保障を立て直す国民会議; 社会民主党・市民連合; 希望の党; 未来日本
衆議院審議時反対会派
議案受理年月日 2019-05-24
公布年月日 2019-06-14

要項または提出時法律案

第一 公共工事に関する調査等
 一 公共工事に関し、国、特殊法人等又は地方公共団体が発注する測量、地質調査その他の調査(点検及び診断を含む。)及び設計(以下「調査等」という。)を、「公共工事に関する調査等」として定義に追加するものとすること。(第二条関係)
 二 公共工事に関する調査等について、この法律における位置付けを改めるものとすること。(第三条、第七条、第八条、第十二条から第十六条まで、第十八条及び第二十条から第二十二条まで関係)
第二 基本理念の改正
 一 公共工事の品質は、地盤の状況に関する情報その他の工事等(工事及び調査等をいう。以下同じ。)に必要な情報が的確に把握され、より適切な技術又は工夫が活用されることにより、確保されなければならないものとすること。
 二 公共工事の品質は、地域の実情を踏まえ地域における公共工事の品質確保の担い手が育成され、及び確保されるとともに、災害応急対策又は災害復旧に関する工事等が迅速かつ円滑に実施される体制が整備されることにより、将来にわたり確保されなければならないものとすること。
 三 公共工事の品質は、公共工事等(公共工事及び公共工事に関する調査等をいう。以下同じ。)における請負契約(下請契約を含む。)の当事者が、各々の対等な立場における合意に基づいて、市場における労務の取引価格、健康保険法等の定めるところにより事業主が納付義務を負う保険料(第四の一において単に「保険料」という。)等を的確に反映した適正な額の請負代金及び適正な工期又は調査等の履行期(以下「工期等」という。)を定める公正な契約を締結し、その請負代金をできる限り速やかに支払う等信義に従って誠実にこれを履行するとともに、公共工事等に従事する者の賃金、労働時間その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境の適正な整備について配慮がなされることにより、確保されなければならないものとすること。
 四 公共工事の品質確保に当たっては、調査等、施工及び維持管理の各段階における情報通信技術の活用等を通じて、その生産性の向上が図られるように配慮されなければならないものとすること。
(第三条関係)
第三 発注者の責務の改正
 一 公共工事等の発注者(以下単に「発注者」という。)は、公共工事等の仕様書及び設計書の作成、予定価格の作成、入札及び契約の方法の選択、契約の相手方の決定、工事等の監督及び検査並びに工事等の実施中及び完了時の施工状況又は調査等の状況(以下「施工状況等」という。)の確認及び評価その他の事務(以下「発注関係事務」という。)を、次に定めるところによる等適切に実施しなければならないものとすること。
  1 公共工事等を実施する者が、健康保険法等の定めるところにより事業主が納付義務を負う保険料、公共工事等に従事する者の業務上の負傷等に対する補償に必要な金額を担保するための保険契約の保険料、工期等、公共工事等の実施の実態等を的確に反映した積算を行うことにより、予定価格を適正に定めること。
  2 災害により通常の積算の方法によっては適正な予定価格の算定が困難と認めるときその他必要があると認めるときは、入札に参加する者から当該入札に係る工事等の全部又は一部の見積書を徴することその他の方法により積算を行うことにより、適正な予定価格を定め、できる限り速やかに契約を締結するよう努めること。
  3 災害時においては、手続の透明性及び公正性の確保に留意しつつ、災害応急対策又は緊急性が高い災害復旧に関する工事等にあっては随意契約を、その他の災害復旧に関する工事等にあっては指名競争入札を活用する等緊急性に応じた適切な入札及び契約の方法を選択するよう努めること。
  4 地域における公共工事等の実施の時期の平準化を図るため、工期等が一年に満たない公共工事等についての繰越明許費又は国庫債務負担行為若しくは債務負担行為の活用による翌年度にわたる工期等の設定、他の発注者との連携による中長期的な公共工事等の発注の見通しの作成及び公表その他の必要な措置を講ずること。
  5 公共工事等に従事する者の労働時間その他の労働条件が適正に確保されるよう、公共工事等に従事する者の休日、工事等の実施に必要な準備期間、天候その他のやむを得ない事由により工事等の実施が困難であると見込まれる日数等を考慮し、適正な工期等を設定すること。
  6 設計図書(仕様書、設計書及び図面をいう。)の変更に伴う工期等の変更により、工期等が翌年度にわたることとなったときは、繰越明許費の活用その他の必要な措置を適切に講ずること。
  7 公共工事等の監督及び検査並びに施工状況等の確認及び評価に当たっては、情報通信技術の活用を図るとともに、必要に応じて、発注者及び受注者(公共工事等の受注者をいう。以下同じ。)以外の者であって専門的な知識又は技術を有するものによる、工事等が適正に実施されているかどうかの確認の結果の活用を図るよう努めること。
 二 発注者は、発注関係事務を適切に実施するため、その実施に必要な知識又は技術を有する職員の育成及び確保に努めなければならないものとすること。
 三 発注者は、災害応急対策又は災害復旧に関する工事等が迅速かつ円滑に実施されるよう、あらかじめ、建設業者団体その他の者との災害応急対策又は災害復旧に関する工事等の実施に関する協定の締結その他必要な措置を講ずるよう努めるとともに、他の発注者と連携を図るよう努めなければならないものとすること。
 四 国、特殊法人等及び地方公共団体は、公共工事の目的物の維持管理を行う場合は、その品質が将来にわたり確保されるよう、維持管理の担い手の中長期的な育成及び確保に配慮しつつ、当該目的物について、適切に点検、診断、維持、修繕等を実施するよう努めなければならないものとすること。
(第七条関係)
第四 受注者の責務の改正 
 一 公共工事等を実施する者は、下請契約を締結するときは、下請負人に使用される技術者、技能労働者等の賃金、労働時間その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境が適正に整備されるよう、市場における労務の取引価格、保険料等を的確に反映した適正な額の請負代金及び適正な工期等を定める下請契約を締結しなければならないものとすること。
 二 受注者(受注者となろうとする者を含む。)は、情報通信技術を活用した公共工事等の実施の効率化等による生産性の向上並びに技術者、技能労働者等の育成及び確保並びにこれらの者に係る賃金、労働時間その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境の改善に努めなければならないものとすること。
(第八条関係)
第五 発注関係事務に関し援助を適切に行う能力を有する者の活用
   国及び都道府県は、発注関係事務に関し助言その他の援助を適切に行う能力を有する者の活用の促進その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。(第二十一条関係)
第六 その他
 一 この法律は、公布の日から施行するものとすること。(附則第一項関係)
 二 政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後の公共工事の品質確保の促進に関する法律の施行の状況等について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。(附則第二項関係)
 三 その他所要の規定を整備するものとすること。