議案審議経過情報

(注)下記の表で内容がない箇所は、現時点で情報が未定のもの、もしくは情報がないことが確定したものです。

項目 内容
議案提出者 初鹿明博 君外六名
衆議院審議時会派態度 少数
衆議院審議時賛成会派 民進党・無所属クラブ; 日本共産党; 社会民主党・市民連合
衆議院審議時反対会派 自由民主党・無所属の会; 公明党; 日本維新の会; 自由党
議案受理年月日 2017-03-22
公布年月日

要項または提出時法律案

第一 総則
 一 目的(第1条関係)
   この法律は、要介護者等並びに障害者及び障害児が可能な限り自立した生活を営むことができるようにし、その生活の質を維持向上させること並びにこれらの者の家族が介護のために離職を余儀なくされる等の事態が生じないようこれらの者の家族の負担を軽減することについて介護・障害福祉従事者が重要な役割を担っているにもかかわらず、その賃金が他の業種に属する事業に従事する者と比較して低い水準にあり、その職業生活の安定及び離職の防止を図ることが課題となっていること等に鑑み、介護・障害福祉従事者の賃金の改善のための特別の措置等を定めることにより、優れた人材を確保し、もって要介護者等並びに障害者及び障害児に対するサービスの水準の向上に資することを目的とすること。
 二 定義(第2条関係)
  1 この法律において「介護・障害福祉事業者等」とは、次に掲げる者をいうこと。
   (1) 介護保険法の指定居宅サービス事業者、指定地域密着型サービス事業者、指定介護老人福祉施設の開設者、介護老人保健施設の開設者、指定介護予防サービス事業者及び指定地域密着型介護予防サービス事業者並びに基準該当居宅サービスを行う事業所の設置者及び基準該当介護予防サービスを行う事業所の設置者
   (2) 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の指定障害福祉サービス事業者及び指定障害者支援施設の設置者並びに基準該当事業所の設置者及び基準該当施設の設置者
   (3) 児童福祉法の指定障害児通所支援事業者及び指定障害児入所施設の設置者並びに基準該当通所支援を行う事業所の設置者
   (4) (1)から(3)までのほか、これらの者に類する者として政令で定めるもの
  2 この法律において「介護・障害福祉従事者」とは、介護・障害福祉事業者等の従業者であって専ら当該介護・障害福祉事業者等が行う介護保険法の保険給付に係る保健医療サービス又は福祉サービス、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の障害福祉サービス、児童福祉法の障害児通所支援又は障害児入所支援その他の保健医療サービス又は福祉サービスのうち政令で定めるものに従事するものとして政令で定めるものをいうこと。
第二 介護・障害福祉従事者処遇改善助成金等の支給
 一 介護・障害福祉従事者処遇改善助成金の支給(第3条関係)
  1 都道府県知事は、介護・障害福祉従事者の賃金を改善するための措置を講ずる介護・障害福祉事業者等に対し、その申請に基づき、当該措置に要する費用に充てるための助成金(以下一及び三において「介護・障害福祉従事者処遇改善助成金」という。)を支給すること。
  2 介護・障害福祉従事者処遇改善助成金の支給の要件、額、申請の方法その他介護・障害福祉従事者処遇改善助成金の支給に関し必要な事項は、政令で定めること。
  3 2の政令を定めるに当たっては、要介護者等並びに障害者及び障害児が可能な限り自立した生活を営むことができるようにし、その生活の質を維持向上させること並びにこれらの者の家族が介護のために離職を余儀なくされる等の事態が生じないようこれらの者の家族の負担を軽減することについて介護・障害福祉従事者が重要な役割を担っていること並びに介護・障害福祉従事者が従事する業務が身体的及び精神的負担の大きいものであることを踏まえるとともに、介護・障害福祉従事者が従事する業務の種類、介護・障害福祉事業者等における介護・障害福祉従事者の職責等に応じた処遇の体系、他の業種に属する事業に従事する者の平均的な賃金水準等を勘案し、かつ、1の申請に係る介護・障害福祉事業者等の負担に配慮するものとすること。
 二 介護・障害福祉従事者等処遇改善特別助成金の支給(第4条関係)
  1 都道府県知事は、介護・障害福祉従事者及びその他の介護・障害福祉事業者等の従業者の賃金を改善するための措置を講ずる介護・障害福祉事業者等(介護・障害福祉従事者処遇改善助成金の支給を受けている者を除く。3において同じ。)に対し、その申請に基づき、当該措置に要する費用に充てるための助成金(以下二及び三において「介護・障害福祉従事者等処遇改善特別助成金」という。)を支給すること。
  2 介護・障害福祉従事者等処遇改善特別助成金の支給の要件、額、申請の方法その他介護・障害福祉従事者等処遇改善特別助成金の支給に関し必要な事項は、政令で定めること。
  3 2の政令を定めるに当たっては、要介護者等並びに障害者及び障害児が可能な限り自立した生活を営むことができるようにし、その生活の質を維持向上させること並びにこれらの者の家族が介護のために離職を余儀なくされる等の事態が生じないようこれらの者の家族の負担を軽減することについて介護・障害福祉従事者が重要な役割を担っていること並びに介護・障害福祉従事者が従事する業務が身体的及び精神的負担の大きいものであることを踏まえるとともに、介護・障害福祉事業者等の実情を勘案し、かつ、1の申請に係る介護・障害福祉事業者等の負担に配慮するものとすること。
 三 介護・障害福祉従事者処遇改善助成金等の支払に関する事務の委託(第5条関係)
   都道府県知事は、介護・障害福祉従事者処遇改善助成金及び介護・障害福祉従事者等処遇改善特別助成金(四及び五において「介護・障害福祉従事者処遇改善助成金等」という。)の支払に関する事務を国民健康保険団体連合会に委託することができること。
 四 不正利得の徴収(第6条関係)
   偽りその他不正の手段により介護・障害福祉従事者処遇改善助成金等の支給を受けた者があるときは、都道府県知事は、国税徴収の例により、その者から、その支給を受けた介護・障害福祉従事者処遇改善助成金等の額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができること。
 五 交付金(第7条関係)
  1 国は、介護・障害福祉従事者処遇改善助成金等の支給に要する費用の全額に相当する金額を都道府県に交付すること。
  2 国は、毎年度、予算の範囲内で、介護・障害福祉従事者処遇改善助成金等に関する事務の執行に要する費用に相当する金額を都道府県に交付すること。
第三 介護報酬の基準及び障害福祉サービス等報酬の基準を定めるに当たっての配慮(第8条関係)
   厚生労働大臣は、介護・障害福祉従事者の人材を確保して、要介護者等並びに障害者及び障害児に対する質の高いサービスの提供を確保するためには、介護・障害福祉従事者が、将来にわたり介護・障害福祉従事者としての職業生活を設計できるようにすることが必要であることに鑑み、介護報酬の基準及び障害福祉サービス等報酬の基準を定めるに当たっては、小規模の介護・障害福祉事業者を含む全ての介護・障害福祉事業者等のサービスの提供の安定的な継続並びに介護・障害福祉従事者の賃金の改善による将来にわたる職業生活の安定及び離職の防止に資するよう配慮しなければならないこと。
   ※第六の2により、平成30年度の介護報酬基準の改正の際に、平成27年度の介護報酬基準の改正で介護報酬が引下げられた影響を勘案することになる。
第四 雑則
 一 報告等(第9条関係)
  1 都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、介護・障害福祉事業者等若しくは介護・障害福祉事業者等であった者若しくは当該介護・障害福祉事業者等の従業者であった者(以下1において「介護・障害福祉事業者等であった者等」という。)に対し、報告若しくは帳簿書類その他の物件の提出若しくは提示を命じ、介護・障害福祉事業者等若しくは当該介護・障害福祉事業者等の従業者若しくは介護・障害福祉事業者等であった者等に対し出頭を求め、又は当該職員に関係者に対して質問させ、若しくは当該介護・障害福祉事業者等の事業所若しくは施設、事務所その他その業務に関係のある場所に立ち入り、その帳簿書類その他の物件を検査させることができること。
  2 1による質問又は立入検査を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならないこと。
  3 1による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならないこと。
 二 事務の区分(第10条関係)
   第二の一の1、第二の二の1、第二の四及び第四の一の1により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法の第一号法定受託事務とすること。
 三 厚生労働省令への委任(第11条関係)
   この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、厚生労働省令で定めること。
第五 罰則(第12条関係)
  第四の一の1の報告をしなかったこと等に対して所要の罰則を設けること。
第六 施行期日等(附則関係)
  1 この法律は、平成30年4月1日から施行すること。ただし、第三及び2は、公布の日から施行すること。
  2 平成30年度に介護報酬の基準の改正が行われる場合には、第三の配慮の際に、平成27年度の介護報酬の基準の改正による介護報酬の引下げの影響を勘案すること。
  3 この法律は、介護保険制度並びに障害者及び障害児に対するサービスに係る制度について見直しが行われ、介護・障害福祉従事者に関し、優れた人材の確保に支障がなくなったときは、廃止するものとすること。
  4 関係法律について所要の改正を行うこと。