議案審議経過情報

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項目 内容
議案提出者 法務委員長
衆議院審議時会派態度 全会一致
衆議院審議時賛成会派 自由民主党・無所属の会; 民進党・無所属クラブ; 公明党; 日本共産党; 日本維新の会; 自由党; 社会民主党・市民連合
衆議院審議時反対会派
議案受理年月日 2016-11-16
公布年月日 2016-12-14

要項または提出時法律案

第一 総則
 一 目的
   この法律は、国民の理解と協力を得つつ、犯罪をした者等の円滑な社会復帰を促進すること等による再犯の防止等が犯罪対策において重要であることに鑑み、再犯の防止等に関する施策に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、再犯の防止等に関する施策の基本となる事項を定めることにより、再犯の防止等に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民が犯罪による被害を受けることを防止し、安全で安心して暮らせる社会の実現に寄与することを目的とすること。 (第一条関係)
 二 定義
  1 この法律において「犯罪をした者等」とは、犯罪をした者又は非行少年(非行のある少年をいう。以下同じ。)若しくは非行少年であった者をいうこと。
  2 この法律において「再犯の防止等」とは、犯罪をした者等が犯罪をすることを防ぐこと(非行少年の非行をなくすこと及び非行少年であった者が再び非行少年となることを防ぐことを含む。)をいうこと。
          (第二条関係)
 三 基本理念
  1 再犯の防止等に関する施策は、犯罪をした者等の多くが安定した職業に就くこと及び住居を確保することができないこと等のために円滑な社会復帰をすることが困難な状況にあることを踏まえ、犯罪をした者等が、社会において孤立することなく、国民の理解と協力を得て再び社会を構成する一員となることを支援することにより、犯罪をした者等が円滑に社会に復帰することができるようにすることを旨として、講ぜられるものとすること。
  2 再犯の防止等に関する施策は、犯罪をした者等が、その特性に応じ、矯正施設(刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院をいう。以下同じ。)に収容されている間のみならず、社会に復帰した後も途切れることなく、必要な指導及び支援を受けられるよう、矯正施設における適切な収容及び処遇のための施策と職業及び住居の確保に係る支援をはじめとする円滑な社会復帰のための施策との有機的な連携を図りつつ、関係行政機関の相互の密接な連携の下に、総合的に講ぜられるものとすること。
  3 再犯の防止等に関する施策は、犯罪をした者等が、犯罪の責任等を自覚すること及び被害者等の心情を理解すること並びに自ら社会復帰のために努力することが、再犯の防止等に重要であるとの認識の下に、講ぜられるものとすること。
  4 再犯の防止等に関する施策は、犯罪及び非行の実態、再犯の防止等に関する各般の施策の有効性等に関する調査研究の成果等を踏まえ、効果的に講ぜられるものとすること。
             (第三条関係)
 四 再犯防止推進計画
  1 政府は、再犯の防止等に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、再犯の防止等に関する施策の推進に関する計画(以下「再犯防止推進計画」という。)を定めなければならないこと。
  2 再犯防止推進計画は、次に掲げる事項について定めるものとすること。
   イ 再犯の防止等に関する施策の推進に関する基本的な事項
   ロ 再犯の防止等に向けた教育及び職業訓練の充実に関する事項
   ハ 犯罪をした者等の社会における職業及び住居の確保並びに保健医療サービス及び福祉サービスの利用に係る支援に関する事項
   ニ 矯正施設における収容及び処遇並びに保護観察に関する体制その他の関係機関における体制の整備に関する事項
   ホ その他再犯の防止等に関する施策の推進に関する重要事項
                       (第七条関係)
 五 地方再犯防止推進計画
   都道府県及び市町村は、再犯防止推進計画を勘案して、当該都道府県又は市町村における再犯の防止等に関する施策の推進に関する計画を定めるよう努めなければならないこと。     (第八条関係)
 六 その他
   国等の責務、連携、民間団体等に対する情報の提供、民間団体等による個人情報の取扱い、再犯防止啓発月間、法制上の措置等及び年次報告について所要の規定を設けること。
     (第四条から第六条まで、第九条及び第十条関係)
第二 基本的施策
 一 国の施策
  1 再犯の防止等に向けた教育及び職業訓練の充実
   イ 特性に応じた指導及び支援等
    (1) 国は、犯罪をした者等に対する指導及び支援については、矯正施設内及び社会内を通じ、犯罪をした者等の特性を踏まえて行うものとすること。
    (2) 国は、犯罪をした者等に対する指導については、犯罪の責任等の自覚及び被害者等の心情の理解を促すとともに、円滑な社会復帰に資するものとなるように留意しなければならないこと。
    (第十一条関係)
   ロ 就労の支援
     国は、犯罪をした者等の就労を支援するため、犯罪をした者等に対し、その勤労意欲を高め、これに職業上有用な知識及び技能を習得させる作業の矯正施設における実施、矯正施設内及び社会内を通じた効果的な職業訓練等の実施、就職のあっせん等必要な施策を講ずるものとすること。 (第十二条関係)
   ハ 非行少年等に対する支援
     国は、非行少年及び非行少年であった者が、早期に立ち直り、善良な社会の一員として自立し、改善更生することを助けるため、少年院等の関係機関と学校等が連携した指導及び支援、教育上必要な支援等必要な施策を講ずるものとすること。                (第十三条関係)
  2 職業及び住居の確保並びに保健医療サービス及び福祉サービスの利用に係る支援
   イ 就業の機会の確保等
     国は、協力雇用主(犯罪をした者等の自立及び社会復帰に協力することを目的として、犯罪をした者等を雇用し、又は雇用しようとする事業主をいう。4のニにおいて同じ。)の受注の機会の増大への配慮、犯罪をした者等の国による雇用の推進その他犯罪をした者等の就業の機会の確保及び就業の継続を図るために必要な施策を講ずるものとすること。
(第十四条関係)
   ロ 住居の確保等
     国は、犯罪をした者等のうち適切な住居、食事その他の健全な社会生活を営むために必要な手段を確保することができないことによりその改善更生が妨げられるおそれのある者の自立を支援するため、宿泊場所の供与、食事の提供等必要な施策を講ずるとともに、犯罪をした者等が地域において生活を営むための住居を確保することを支援するため、公営住宅への入居における特別の配慮等必要な施策を講ずるものとすること。                    (第十五条関係)
   ハ 更生保護施設に対する援助
     国は、更生保護施設の整備及び運営に関し、財政上の措置等必要な施策を講ずるものとすること。 (第十六条関係)
   ニ 保健医療サービス及び福祉サービスの提供
     国は、犯罪をした者等のうち高齢者、障害者等であって自立した生活を営む上での困難を有するもの及び薬物等に対する依存がある者等について、その心身の状況に応じた適切な保健医療サービス及び福祉サービスが提供されるよう、必要な施策を講ずるものとすること。  (第十七条関係)
  3 関係機関における体制の整備
   イ 関係機関における体制の整備等
     国は、犯罪をした者等に対し充実した指導及び支援を行うため、関係機関における体制を整備するとともに、人材の確保等のために必要な施策を講ずるものとすること。
(第十八条関係)
   ロ 再犯防止関係施設の整備
     国は、再犯防止関係施設(矯正施設その他再犯の防止等に関する施策を実施する施設をいう。)の整備を推進するために必要な施策を講ずるものとすること。     (第十九条関係)
  4 その他
   イ 情報の共有、検証、調査研究の推進等
     国は、再犯の防止等に関する施策の効果的な実施に資するよう、関係機関が保有する情報を共有し、施策の実施状況及びその効果を検証し、効果的な処遇の在り方等に関する調査及び研究を推進する等必要な施策を講ずるものとすること。     (第二十条関係)
   ロ 社会内における適切な指導及び支援
     国は、犯罪をした者等のうち社会内において適切な指導及び支援を受けることが再犯の防止等に有効であると認められる者について、社会内において指導及び支援を早期かつ効果的に受けることができるよう、必要な施策を講ずるものとすること。     (第二十一条関係)
   ハ 国民の理解の増進及び表彰
    (1) 国は、再犯の防止等に関する施策の重要性について、国民の理解を深め、その協力を得られるよう必要な施策を講ずるものとすること。
    (2) 国は、再犯の防止等の推進に寄与した民間の団体及び個人の表彰に努めるものとすること。
(第二十二条関係)
   ニ 民間の団体等に対する援助
     国は、保護司会及び協力雇用主その他民間の団体又は個人の再犯の防止等に関する活動の促進を図るため、財政上又は税制上の措置等必要な施策を講ずるものとすること。
(第二十三条関係)
 二 地方公共団体の施策
   地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況に応じ、一の施策を講ずるように努めなければならないこと。           (第二十四条関係)
第三 施行期日等
 一 施行期日
   この法律は、公布の日から施行すること。                  (附則第一項関係)
 二 検討
   国は、この法律の施行後五年を目途として、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。            (附則第二項関係)