議案審議経過情報

(注)下記の表で内容がない箇所は、現時点で情報が未定のもの、もしくは情報がないことが確定したものです。

項目 内容
議案提出者 国土交通委員長
衆議院審議時会派態度 全会一致
衆議院審議時賛成会派 自由民主党・無所属の会; 民進党・無所属クラブ; 公明党; 日本共産党; 日本維新の会; 自由党; 社会民主党・市民連合
衆議院審議時反対会派
議案受理年月日 2016-12-02
公布年月日 2016-12-16

要項または提出時法律案

第一 総則
 一 目的                                    (第一条関係)
   この法律は、極めて身近な交通手段である自転車の活用による環境への負荷の低減、災害時における交通の機能の維持、国民の健康の増進等を図ることが重要な課題であることに鑑み、自転車の活用の推進に関し、基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、及び自転車の活用の推進に関する施策の基本となる事項を定めるとともに、自転車活用推進本部を設置することにより、自転車の活用を総合的かつ計画的に推進することを目的とすること。
 二 基本理念                                  (第二条関係)
  1 自転車の活用の推進は、自転車による交通が、二酸化炭素、粒子状物質等の環境に深刻な影響を及ぼすおそれのある物質を排出しないものであること、騒音及び振動を発生しないものであること、災害時において機動的であること等の特性を有し、公共の利益の増進に資するものであるという基本的認識の下に行われなければならないこと。
  2 自転車の活用の推進は、自転車の利用を増進し、交通における自動車への依存の程度を低減することが、国民の健康の増進及び交通の混雑の緩和による経済的社会的効果を及ぼす等公共の利益の増進に資するものであるという基本的認識の下に行われなければならないこと。
  3 自転車の活用の推進は、交通体系における自転車による交通の役割を拡大することを旨として、行われなければならないこと。
  4 自転車の活用の推進は、交通の安全の確保を図りつつ、行われなければならないこと。
 三 国の責務                                  (第三条関係)
  1 国は、二に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、自転車の活用の推進に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施する責務を有すること。
  2 国は、情報の提供その他の活動を通じて、基本理念に関する国民の理解を深め、かつ、その協力を得るよう努めなければならないこと。
 四 地方公共団体の責務                             (第四条関係)
  1 地方公共団体は、基本理念にのっとり、自転車の活用の推進に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の実情に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有すること。
  2 地方公共団体は、情報の提供その他の活動を通じて、基本理念に関する住民の理解を深め、かつ、その協力を得るよう努めなければならないこと。
 五 事業者の責務                                (第五条関係)
   公共交通に関する事業その他の事業を行う者は、自転車と公共交通機関との連携の促進等に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する自転車の活用の推進に関する施策に協力するよう努めるものとすること。
 六 国民の責務                                 (第六条関係)
   国民は、基本理念についての理解を深め、国又は地方公共団体が実施する自転車の活用の推進に関する施策に協力するよう努めるものとすること。
 七 関係者の連携及び協力                            (第七条関係)
   国、地方公共団体、公共交通に関する事業その他の事業を行う者、住民その他の関係者は、基本理念の実現に向けて、相互に連携を図りながら協力するよう努めるものとすること。
第二 自転車の活用の推進に関する基本方針                     (第八条関係)
  自転車の活用の推進に関して、重点的に検討され、及び実施されるべき施策は、次に掲げるとおりとすること。
 (1) 良好な自転車交通網を形成するため必要な自転車専用道路、自転車専用車両通行帯等の整備
 (2) 路外駐車場の整備及び時間制限駐車区間の指定の見直し
 (3) 自転車を賃貸する事業の利用者の利便の増進に資する施設の整備
 (4) 自転車競技のための施設の整備
 (5) 高い安全性を備えた良質な自転車の供給体制の整備
 (6) 自転車の安全な利用に寄与する人材の育成及び資質の向上
 (7) 情報通信技術等の活用による自転車の管理の適正化
 (8) 自転車の利用者に対する交通安全に係る教育及び啓発
 (9) 自転車の活用による国民の健康の保持増進
 (10) 学校教育等における自転車の活用による青少年の体力の向上
 (11) 自転車と公共交通機関との連携の促進
 (12) 災害時における自転車の有効活用に資する体制の整備
 (13) 自転車を活用した国際交流の促進
 (14) 自転車を活用した取組であって、国内外からの観光旅客の来訪の促進、観光地の魅力の増進その他の地域の活性化に資するものに対する支援
 (15) (1)から(14)までに掲げるもののほか、自転車の活用の推進に関し特に必要と認められる施策
第三 自転車活用推進計画等
 一 自転車活用推進計画                             (第九条関係)
  1 政府は、自転車の活用の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、第二に定める自転車の活用の推進に関する基本方針に即し、自転車の活用の推進に関する目標及び自転車の活用の推進に関し講ずべき必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を定めた計画(以下「自転車活用推進計画」という。)を定めなければならないこと。
  2 国土交通大臣は、自転車活用推進計画の案につき閣議の決定を求めなければならないこと。
  3 政府は、自転車活用推進計画を定めたときは、遅滞なく、これを国会に報告するとともに、公表しなければならないこと。
 二 都道府県自転車活用推進計画                         (第十条関係)
  1 都道府県は、自転車活用推進計画を勘案して、当該都道府県の区域の実情に応じた自転車の活用の推進に関する施策を定めた計画(2及び三1において「都道府県自転車活用推進計画」という。)を定めるよう努めなければならないこと。
  2 都道府県は、都道府県自転車活用推進計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めるものとすること。
 三 市町村自転車活用推進計画                         (第十一条関係)
  1 市町村(特別区を含む。2において同じ。)は、自転車活用推進計画(都道府県自転車活用推進計画が定められているときは、自転車活用推進計画及び都道府県自転車活用推進計画)を勘案して、当該市町村の区域の実情に応じた自転車の活用の推進に関する施策を定めた計画(2において「市町村自転車活用推進計画」という。)を定めるよう努めなければならないこと。
  2 市町村は、市町村自転車活用推進計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めるものとすること。
第四 自転車活用推進本部
 一 設置及び所掌事務                             (第十二条関係)
  1 国土交通省に、特別の機関として、自転車活用推進本部(2及び二において「本部」という。)を置くこと。
  2 本部は、次に掲げる事務をつかさどること。
   (1) 自転車活用推進計画の案の作成及び実施の推進に関すること。
   (2) 自転車の活用の推進について必要な関係行政機関相互の調整に関すること。
   (3) (1)及び(2)に掲げるもののほか、自転車の活用の推進に関する重要事項に関する審議及び自転車の活用の推進に関する施策の実施の推進に関すること。
 二 組織等                                  (第十三条関係)
  1 本部は、自転車活用推進本部長及び自転車活用推進本部員をもって組織すること。
  2 本部の長は、自転車活用推進本部長とし、国土交通大臣をもって充てること。
  3 自転車活用推進本部員は、次に掲げる者をもって充てること。
   (1) 総務大臣
   (2) 文部科学大臣
   (3) 厚生労働大臣
   (4) 経済産業大臣
   (5) 環境大臣
   (6) 内閣官房長官
   (7) 国家公安委員会委員長
   (8) (1)から(7)までに掲げる者のほか、国土交通大臣以外の国務大臣のうちから、国土交通大臣の申出により、内閣総理大臣が指定する者
  4 1から3までに定めるもののほか、本部の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定めること。
第五 雑則
 一 自転車の日及び自転車月間                         (第十四条関係)
  1 国民の間に広く自転車の活用の推進についての関心と理解を深めるため、自転車の日及び自転車月間を設けること。
  2 自転車の日は五月五日とし、自転車月間は同月一日から同月三十一日までとすること。
  3 国は、自転車の日においてその趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めるものとし、国及び地方公共団体は、自転車月間においてその趣旨にふさわしい行事が実施されるよう奨励しなければならないこと。
 二 表彰                                   (第十五条関係)
   国土交通大臣は、自転車の活用の推進に関し特に顕著な功績があると認められる者に対し、表彰を行うことができること。
第六 その他
 一 施行期日                                (附則第一条関係)
   この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。
 二 法制上の措置                              (附則第二条関係)
   政府は、自転車の活用の推進を担う行政組織の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置を講ずるものとすること。
 三 検討                                  (附則第三条関係)
  1 政府は、自転車の運転に関し道路交通法に違反する行為への対応の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
  2 政府は、自転車の運行によって人の生命又は身体が害された場合における損害賠償を保障する制度について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
 四 自転車道の整備等に関する法律の一部改正                 (附則第四条関係)
  1 道路管理者は、自転車の通行の安全を確保し、あわせて自転車の利用による国民の心身の健全な発達に資するため、自転車専用道路又は自転車歩行者専用道路を設置するよう努めなければならないこと。
  2 道路管理者が、河川区域内の土地又は国有林野である土地を利用して1の道路を設置しようとする場合においては、河川又は国有林野の管理者は、河川又は国有林野の管理上支障のない範囲内において、その設置に協力するものとすること。
 五 その他
   その他所要の規定を整備すること。