議案審議経過情報

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項目 内容
議案提出者 内閣委員長
衆議院審議時会派態度 全会一致
衆議院審議時賛成会派 自由民主党; 民進党・無所属クラブ; 公明党; 日本共産党; おおさか維新の会; 生活の党と山本太郎となかまたち; 社会民主党・市民連合
衆議院審議時反対会派
議案受理年月日 2016-05-18
公布年月日 2016-06-07

要項または提出時法律案

第一 趣旨(第一条関係)
  この法律は、国外犯罪行為により不慮の死を遂げた日本国民の遺族又は障害が残った日本国民に対する国外犯罪被害弔慰金等の支給について必要な事項を定めるものとすること。
第二 定義(第二条関係)
 一 この法律において「国外犯罪行為」とは、日本国外において行われた人の生命又は身体を害する行為(日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において行われたものを除く。)のうち、当該行為が日本国内において行われたとした場合において、その行為が日本国の法令によれば罪に当たるもの(刑法第三十七条第一項本文、第三十九条第一項又は第四十一条の規定により罰せられない行為を含むものとし、同法第三十五条又は第三十六条第一項の規定により罰せられない行為及び過失による行為を除く。)をいうこと。
 二 この法律において「国外犯罪被害」とは、国外犯罪行為による死亡又は障害をいうこと。
 三 この法律において「国外犯罪被害者」とは、国外犯罪被害を受けた者であって、当該国外犯罪被害の原因となった国外犯罪行為が行われた時において日本国籍を有する者(日本国外に生活の本拠を有し、かつ、その地に永住すると認められる者を除く。)をいうこと。
 四 この法律において「障害」とは、負傷又は疾病が治ったとき(その症状が固定したときを含む。)における精神又は身体の障害で別表に掲げる程度のものをいうこと。
 五 この法律において「国外犯罪被害弔慰金等」とは、第四の国外犯罪被害弔慰金又は国外犯罪被害障害見舞金をいうこと。
第三 国外犯罪被害弔慰金等の支給(第三条関係)
  国は、国外犯罪被害者があるときは、この法律の定めるところにより、国外犯罪被害者又はその遺族(当該国外犯罪被害の原因となった国外犯罪行為が行われた時において、日本国籍を有せず、かつ、日本国内に住所を有しない者を除く。)に対し、国外犯罪被害弔慰金等を支給すること。
第四 国外犯罪被害弔慰金等の種類等(第四条関係)
  国外犯罪被害弔慰金等は、次の1及び2に掲げるとおりとし、それぞれ当該1及び2に定める者に対して、一時金として支給すること。
  1 国外犯罪被害弔慰金 国外犯罪行為により死亡した者の第一順位遺族(第五の三及び四による第一順位の遺族をいう。)
  2 国外犯罪被害障害見舞金 国外犯罪行為により障害が残った者
第五 遺族の範囲及び順位(第五条関係)
 一 国外犯罪被害弔慰金の支給を受けることができる遺族は、国外犯罪被害者の死亡の時において、次のいずれかに該当する者とすること。
  1 国外犯罪被害者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)
  2 国外犯罪被害者の収入によって生計を維持していた国外犯罪被害者の子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹
  3 2に該当しない国外犯罪被害者の子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹
 二 国外犯罪被害者の死亡の当時胎児であった子が出生した場合においては、一の適用については、その子は、その母が国外犯罪被害者の死亡の当時国外犯罪被害者の収入によって生計を維持していたときにあっては一の2の子と、その他のときにあっては一の3の子とみなすこと。
 三 国外犯罪被害弔慰金の支給を受けるべき遺族の順位は、一の1から3までの順序とし、一の2及び3に掲げる者のうちにあっては、それぞれ当該一の2及び3に掲げる順序とし、父母については、養父母を先にし、実父母を後にすること。
 四 国外犯罪被害者を故意に死亡させ、又は国外犯罪被害者の死亡前に、その者の死亡によって国外犯罪被害弔慰金の支給を受けることができる先順位若しくは同順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者は、国外犯罪被害弔慰金の支給を受けることができる遺族としないこと。国外犯罪被害弔慰金の支給を受けることができる先順位又は同順位の遺族を故意に死亡させた者も、同様とすること。
第六 国外犯罪被害弔慰金等を支給しないことができる場合(第六条関係)
  次に掲げる場合には、国家公安委員会規則で定めるところにより、国外犯罪被害弔慰金等を支給しないことができること。
  1 国外犯罪被害者と加害者との間に親族関係(事実上の婚姻関係を含む。)があるとき。
  2 国外犯罪被害者が、当該国外犯罪被害の原因となった国外犯罪行為が行われた時において、正当な理由がなくて、治安の状況に照らして生命又は身体に対する高度の危険が予測される地域に所在していたとき。
  3 国外犯罪被害者が国外犯罪行為を誘発したときその他当該国外犯罪被害につき国外犯罪被害者にもその責めに帰すべき行為があったとき。
  4 1から3までに掲げる場合のほか、国外犯罪被害者又はその遺族と加害者との関係その他の事情から判断して、国外犯罪被害弔慰金等を支給することが社会通念上適切でないと認められるとき。
第七 支給の制限(第七条関係)
  国外犯罪被害弔慰金等は、当該国外犯罪被害に関し当該国外犯罪被害者が業務に従事していたことにより支給される給付金その他これに準ずる給付金で国家公安委員会が定めるものが支給される場合には、支給しないこと。
第八 国外犯罪被害弔慰金等の額(第八条関係)
 一 国外犯罪被害弔慰金の額は、国外犯罪被害者一人当たり二百万円とすること。
 二 国外犯罪被害弔慰金の支給を受けるべき遺族が二人以上あるときは、国外犯罪被害弔慰金の額は、一にかかわらず、一の額をその人数で除して得た額とすること。
 三 国外犯罪被害障害見舞金の額は、国外犯罪被害者一人当たり百万円とすること。
第九 裁定の申請(第九条関係)
 一 国外犯罪被害弔慰金等の支給を受けようとする者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、次の1及び2に掲げる場合の区分に応じ当該1及び2に定める都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)に申請し、その裁定を受けなければならないこと。
  1 申請の時において日本国内に住所を有する場合 その者の住所地を管轄する公安委員会
  2 申請の時において日本国内に住所を有しない場合 次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める公安委員会
   イ いずれかの市町村(特別区を含む。ロにおいて同じ。)の住民基本台帳に記録されたことがある場合 その者が日本国外へ住所を移す直前に住民票に記載されていた住所の所在地を管轄する公安委員会
   ロ いずれの市町村の住民基本台帳にも記録されたことがない場合 その者の本籍地を管轄する公安委員会
 二 一の2に掲げる場合における一の申請は、当該申請を行う者の住所を管轄する領事官その他最寄りの領事官(領事官の職務を行う大使館若しくは公使館の長又はその事務を代理する者を含み、領事官を経由して申請を行うことが著しく困難である地域として国家公安委員会規則・外務省令で定める地域にあっては、国家公安委員会規則・外務省令で定める者とする。第十において「領事官」という。)を経由して行うことができること。
 三 一の申請(以下「申請」という。)は、当該国外犯罪被害の発生を知った日から二年を経過したとき又は当該国外犯罪被害が発生した日から七年を経過したときは、することができないこと。
 四 三にかかわらず、やむを得ない理由により三の期間を経過する前に申請をすることができなかったときは、その理由のやんだ日から六月以内に限り、申請をすることができること。
第十 公安委員会等による援助(第十条関係)
  国外犯罪被害弔慰金等の支給を受けようとする者は、日本国内においては関係する公安委員会に、日本国外においては領事官に対し、申請に関し必要な援助を求めることができること。
第十一 裁定等(第十一条関係)
 一 申請があった場合には、公安委員会は、速やかに、国外犯罪被害弔慰金等を支給し、又は支給しない旨の裁定を行わなければならないこと。
 二 国外犯罪被害弔慰金等を支給する旨の裁定があったときは、当該申請をした者は、国外犯罪被害弔慰金等の支給を受ける権利を取得すること。
 三 国外犯罪被害者について国外犯罪被害障害見舞金を支給する旨の裁定があった後に当該国外犯罪被害者が当該国外犯罪行為により死亡したときは、国は、当該国外犯罪被害障害見舞金の額の限度において、当該国外犯罪被害者の死亡に係る国外犯罪被害弔慰金を支給する責めを免れること。
第十二 国家公安委員会への情報提供等(第十二条関係)
 一 外務大臣は、国外犯罪被害(国外犯罪被害に該当すると思料される死亡及び障害を含む。)又は国外犯罪被害者(国外犯罪被害者に該当すると思料される者を含む。)に関する情報であって第十一の一の裁定(以下「裁定」という。)に資するものとして国家公安委員会規則・外務省令で定めるものを取得したときは、これを国家公安委員会にできる限り速やかに提供するものとすること。
 二 国家公安委員会は、一により提供された情報を、関係する公安委員会に速やかに提供するものとすること。
第十三 裁定のための調査等(第十三条関係)
 一 公安委員会は、裁定を行うため必要があると認めるときは、申請者その他の関係人に対して、報告をさせ、文書その他の物件を提出させ、出頭を命じ、又は医師の診断を受けさせることができること。
 二 公安委員会は、裁定を行うため必要があると認めるときは、外務省その他の公務所又は公私の団体に対し、必要な事項の報告その他の協力を求めることができること。
 三 申請者が、正当な理由がなくて、一による報告をせず、文書その他の物件を提出せず、出頭をせず、又は医師の診断を拒んだときは、公安委員会は、その申請を却下することができること。
第十四 不正利得の徴収(第十五条関係)
 一 偽りその他不正の手段により国外犯罪被害弔慰金等の支給を受けた者があるときは、国家公安委員会は、国税徴収の例により、その者から、その支給を受けた国外犯罪被害弔慰金等の額に相当する金額を徴収することができること。
 二 一による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとすること。
第十五 時効(第十六条関係)
  国外犯罪被害弔慰金等の支給を受ける権利は、これを行使することができる時から二年間行使しないときは、時効により消滅すること。
第十六 国外犯罪被害弔慰金等の支給を受ける権利の保護(第十七条関係)
  国外犯罪被害弔慰金等の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができないこと。
第十七 公課の禁止(第十八条関係)
  租税その他の公課は、国外犯罪被害弔慰金等として支給を受けた金銭を標準として、課することができないこと。
第十八 施行期日等(附則関係)
 一 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行し、この法律の施行後に行われた国外犯罪行為による死亡又は障害について適用すること。
 二 政府は、この法律の施行の状況等を勘案し、この法律の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。
 三 その他所要の規定を整備すること。
別表(第二関係)
 一 両眼が失明したもの
 二 咀(そ)嚼(しやく)及び言語の機能を廃したもの
 三 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
 四 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
 五 両上肢を肘関節以上で失ったもの
 六 両上肢の用を全廃したもの
 七 両下肢を膝関節以上で失ったもの
 八 両下肢の用を全廃したもの
 九 精神又は身体の障害が重複する場合における当該重複する障害の程度が一から八までと同程度以上と認められるもの