議案審議経過情報

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項目 内容
議案提出者 原口一博 君外三名
衆議院審議時会派態度
衆議院審議時賛成会派
衆議院審議時反対会派
議案受理年月日
公布年月日

要項または提出時法律案

第一 総則
 一 目的
   この法律は、地方公務員の勤務条件について、透明性を確保しつつ、住民の理解の下に、社会経済情勢の変化及び政策課題の変化に柔軟かつ的確に対応して定めることができるよう、地方公共団体と労働組合との間の団体交渉及び団体協約等に関する制度を確立することにより、職員が住民の立場に立ち責任を自覚し誇りを持って職務を遂行することを促進するとともに、職員の能力の向上及び優秀な人材の地方公共団体への確保を図り、もって地方公共団体の行政の能率的な運営に資することを目的とするものとすること。 (第一条関係)
 二 定義
   この法律において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによるものとすること。
(第二条関係)
  1 職員 地方公務員法第四条第一項に規定する職員をいう。ただし、次に掲げるものを除く。
   (1) 地方公務員法第三十七条第一項に規定する職員
   (2) 地方自治法第百五十八条第一項に規定する普通地方公共団体の長の直近下位の内部組織の長その他の重要な行政上の決定を行う職員として都道府県労働委員会が認定して告示するもの
   (3) 地方公営企業等の労働関係に関する法律第三条第四号に規定する職員
  2 労働組合 職員が主体となって自主的にその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体(1の(2)に掲げる者が加入するもの又は管理職員等と管理職員等以外の職員とが組織するものを除く。)又はその連合体をいう。
 三 関係者の責務
  1 労働組合及び地方公共団体の当局は、地方公共団体の行政の能率的な運営を確保するため、団体交渉の円滑かつ効率的な実施に努めなければならないものとすること。 (第三条第一項関係)
  2 この法律に基づく手続に関与する関係者は、地方公共団体の事務及び事業の確実、効率的かつ適正な実施に支障を及ぼすことがないよう留意しなければならないものとすること。
(第三条第二項関係)
第二 労働組合
 一 労働組合の結成等
  1 職員は、労働組合を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができるものとすること。ただし、管理職員等と管理職員等以外の職員とは、同一の労働組合を組織することができないものとすること。 (第四条第一項関係)
  2 都道府県労働委員会は、管理職員等の範囲を認定して告示するものとすること。
(第四条第二項関係)
  3 地方公共団体の長等(地方公共団体の長その他の執行機関及び議会の議長をいう。以下同じ。)は、職を新設し、変更し、又は廃止したときは、速やかにその旨を都道府県労働委員会に通知しなければならないものとすること。 (第四条第三項関係)
 二 労働組合の認証
  1 労働組合は、中央労働委員会規則で定めるところにより、理事その他の役員の氏名及び中央労働委員会規則で定める事項を記載した申請書に規約を添えて、都道府県労働委員会に一の地方公共団体に係る認証を申請することができるものとすること。 (第五条第一項関係)
  2 労働組合の規約が満たすべき要件について定めるものとすること。    (第五条第二項関係)
   (1) 名称、目的及び業務、主たる事務所の所在地、認証に係る地方公共団体の名称、組合員の範囲及びその資格の得喪に関する規定、重要な財産の得喪その他資産に関する規定、理事その他の役員に関する規定、業務執行、会議及び投票に関する規定、経費及び会計に関する規定、他の労働組合との連合に関する規定、規約の変更に関する規定並びに解散に関する規定が記載されていること。
   (2) 会計報告は、組合員によって委嘱された公認会計士(外国公認会計士を含む。)又は監査法人の監査証明とともに少なくとも毎年一回組合員に公表されることとされていること。
  3 労働組合が認証されるためには、規約の作成又は変更、役員の選挙その他これらに準ずる重要な行為が、全ての組合員が平等に参加する機会を有する直接かつ秘密の投票による全員の過半数によって決定される旨の手続を定め、かつ、現実にその手続により決定されること及び一の地方公共団体に属する職員が全ての組合員の過半数を占めることを必要とするものとすること。
(第五条第三項及び第四項関係)
  4 都道府県労働委員会は、認証を申請した労働組合が2及び3の規定に適合するものであるときは、中央労働委員会規則で定めるところにより、当該労働組合を認証し、名称及び主たる事務所の所在地その他中央労働委員会規則で定める事項を告示しなければならないものとすること。
(第五条第五項及び第六項関係)
  5 4の規定により認証された労働組合(以下「認証された労働組合」という。)が労働組合でなくなったとき、認証された労働組合について2及び3の規定に適合しない事実があったとき、又は認証された労働組合が7の規定による届出をしなかったときは、都道府県労働委員会は、中央労働委員会規則で定めるところにより、当該認証された労働組合の認証を取り消すことができるものとし、認証の取消しに係る聴聞の期日における審理は、当該認証された労働組合から請求があったときは、公開により行わなければならないものとすること。 (第五条第七項及び第八項関係)
  6 5の規定による認証の取消しは、当該処分の取消しの訴えを提起することができる期間内及び当該処分の取消しの訴えの提起があったときは当該訴訟が裁判所に係属する間は、その効力を生じないものとすること。 (第五条第九項関係)
  7 認証された労働組合は、その規約又は1に規定する申請書の記載事項に変更があったときは、中央労働委員会規則で定めるところにより、都道府県労働委員会にその旨を届け出なければならないものとすること。 (第五条第十項関係)
  8 認証された労働組合の認証の取消しの申請及び解散の届出による認証の取消しについて定めるものとすること。 (第五条第十一項及び第十二項関係)
  9 都道府県労働委員会は、7の規定による変更の届出(4の規定により告示された事項に係るものに限る。)があったとき、又は5若しくは8の規定により認証を取り消したときは、その旨を告示しなければならないものとすること。 (第五条第十三項関係)
  10 都道府県労働委員会は、認証された労働組合に対し、当該認証された労働組合に係る二の規定による事務に関し必要な限度において、報告又は資料の提出を求めることができるものとすること。
(第五条第十四項関係)
 三 合議体による事務の処理
   都道府県労働委員会は、公益委員の全員をもって構成する合議体に、第一の二の1の(2)、一の2並びに二の4、5及び8から10までの規定による事務の処理を行わせ、当該合議体のした処分をもって都道府県労働委員会の処分とするものとすること。ただし、事件が重要と認められる場合その他当該合議体が処分をすることが適当であると認められる場合を除き、条例で定めるところにより、会長が指名する公益委員五人又は七人をもって構成する合議体に、当該事務の処理を行わせることができるものとすること。その他合議体による事務の処理に関し、所要の規定を定めるものとすること。
(第六条関係)
 四 労働組合のための職員の行為の制限
  1 職員は、労働組合の業務に専ら従事することができないものとすること。ただし、地方公共団体の規則で定めるところにより、任命権者の許可を受けて、認証された労働組合(認証されていない連合体である労働組合であって、認証された労働組合のみから構成されるものを含む。四において同じ。)の役員として専ら従事する場合は、この限りでないものとすること。 (第七条第一項関係)
  2 1のただし書の許可は、任命権者が相当と認める場合に与えることができるものとし、これを与える場合においては、任命権者は、その許可の有効期間を定めるものとすること。
(第七条第二項関係)
  3 1のただし書の規定により認証された労働組合の役員として専ら従事する期間は、職員としての在職期間を通じて五年を超えることができないものとすること。 (第七条第三項関係)
  4 1のただし書の許可は、当該許可を受けた職員が認証された労働組合の役員として当該認証された労働組合の業務に専ら従事する者でなくなったときは、取り消されるものとすること。
(第七条第四項関係)
  5 1のただし書の許可を受けた職員は、その許可が効力を有する間は、休職者とし、非常勤の職であって条例で定めるものの職務に従事する場合を除いて、職務に従事せず、何らの給与を受けてはならず、また、その期間は、退職手当の算定の基礎となる勤続期間に算入されないものとすること。
(第七条第五項関係)
  6 職員は、給与を受けながら、労働組合のためその業務を行い、又は活動してはならないものとすること。ただし、認証された労働組合の業務に専ら従事する場合以外の場合であって条例で定める場合には、この限りでないものとすること。 (第七条第六項関係)
 五 不当労働行為
   地方公共団体の当局は、次に掲げる行為をしてはならないものとすること。 (第八条関係)
  1 職員が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことを理由として、その職員を免職し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを職員の任免の条件とすること。
  2 認証された労働組合と団体交渉をすることを正当な理由がなく拒むこと。
  3 職員が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること。ただし、勤務時間中の団体交渉に参加する職員に対し給与を支給すること、及び労働組合に対し最小限の広さの事務所を供与することを除くものとする。
  4 職員が労働委員会(中央労働委員会及び都道府県労働委員会をいう。以下同じ。)に対し地方公共団体の当局が五の規定に違反した旨の申立てをしたこと又は労働委員会が当該申立てに係る調査若しくは審問をし、若しくは当事者に和解を勧め、若しくは第四の二の1に規定する者と認証された労働組合との間に発生した紛争の調整をする場合に職員が証拠を提示し、若しくは発言をしたことを理由として、その職員を免職し、その他これに対して不利益な取扱いをすること。
第三 団体交渉
 一 団体交渉の範囲
  1 地方公共団体の当局は、認証された労働組合から次に掲げる事項について適法な団体交渉の申入れがあった場合においては、その申入れに応ずべき地位に立つものとすること。(第九条第一項関係)
   (1) 職員の給料その他の給与、勤務時間、休憩、休日及び休暇に関する事項
   (2) 職員の昇任、降任、転任、休職、免職及び懲戒の基準に関する事項
   (3) 職員の保健、安全保持及び災害補償に関する事項
   (4) (1)から(3)までに掲げるもののほか、職員の勤務条件に関する事項
   (5) 団体交渉の手続その他の労働組合と地方公共団体の当局との間の労使関係に関する事項(以下「労使関係事項」という。)
  2 地方公共団体の事務の管理及び運営に関する事項は、団体交渉の対象とすることができないものとすること。 (第九条第二項関係)
 二 団体交渉を行う地方公共団体の当局
   労働組合と団体交渉を行う地方公共団体の当局を次に掲げる事項について、それぞれ次に定める者とするものとすること。 (第十条関係)
  1 勤務条件に関する事項のうち、条例の制定又は改廃を要するもの 当該事項に係る事務を所掌する地方公共団体の長等
  2 勤務条件に関する事項のうち、地方公共団体の規則又は地方公共団体の長等の定める規程の制定又は改廃を要するもの 当該事項に係る事務を所掌する地方公共団体の長等
  3 勤務条件に関する事項のうち、法令又は条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の長等の定める規程に基づき地方公共団体の長等又はその委任を受けた地方公務員若しくは当該地方公共団体の長等の管理に属する行政庁が定めるもの 当該勤務条件を定めることができる地方公共団体の長等又はその委任を受けた地方公務員若しくは当該地方公共団体の長等の管理に属する行政庁
  4 勤務条件に関する事項のうち、1から3までに掲げるもの以外のもの 当該事項について適法に管理し、又は決定することのできる者
  5 1から4までに定める者に共通する労使関係事項 当該地方公共団体の長
  6 地方公共団体の長等並びにその委任を受けた当該地方公共団体の長等の補助機関たる地方公務員、当該地方公共団体の長等の管理に属する機関の地方公務員及び当該地方公共団体の長等の管理に属する行政庁それぞれに共通する労使関係事項(5に掲げるものを除く。) 当該地方公共団体の長等
  7 1から6までに定める者のみに関する労使関係事項(5及び6に掲げるものを除く。) 当該1から6までに定める者
 三 団体交渉の手続等
  1 団体交渉は、労働組合と地方公共団体の当局があらかじめ取り決めた員数の範囲内で、労働組合がその役員の中から指名する者と地方公共団体の当局の指名する者との間において行わなければならないものとし、労働組合と地方公共団体の当局との間において、議題、時間、場所その他必要な事項をあらかじめ取り決めて行うものとすること。 (第十一条第一項関係)
  2 1の場合において、特別の事情があるときは、労働組合は、役員以外の者を指名することができるものとすること。 (第十一条第二項関係)
  3 団体交渉は、1及び2の規定に適合しないこととなったとき、又は他の職員の職務の遂行を妨げ、若しくは地方公共団体の事務の正常な運営を阻害することとなったときは、これを打ち切ることができるものとすること。 (第十一条第三項関係)
  4 三に規定する適法な団体交渉は、勤務時間中においても行うことができるものとすること。
(第十一条第四項関係)
  5 1又は2の規定により労働組合が指名した職員は、勤務時間中に適法な団体交渉に参加することについて、地方公共団体の規則で定めるところにより、任命権者の許可を受けなければならないものとし、この場合において任命権者は、地方公共団体の行政の運営に支障がないと認めるときは、これを許可するものとすること。 (第十一条第五項関係)
  6 地方公共団体の当局は、労働組合と団体交渉を行ったときは、その議事の概要を、インターネットの利用その他の適切な方法により、速やかに公表しなければならないものとすること。
(第十一条第六項関係)
  7 職員は、労働組合に属していないという理由で、一の1の(1)から(4)までに掲げる事項に関し、不満を表明し、又は意見を申し出る自由を否定されてはならないものとすること。
(第十一条第七項関係)
第四 団体協約
 一 団体協約の範囲等
  1 認証された労働組合と地方公共団体の当局は、第三の一の1の(1)から(5)までに掲げる事項に関し団体協約を締結することができるものとすること。 (第十二条第一項関係)
  2 1の規定により締結しようとする団体協約に係る事項が地方自治法第百八十条の四第二項の政令で定める事項に該当し、かつ、当該事項について、普通地方公共団体の委員会又は委員が当該委員会又は委員の規則その他の規程を定め、又は変更する必要がある場合においては、当該普通地方公共団体の委員会又は委員である地方公共団体の当局は、当該団体協約を締結する前に、同項の規定による協議をしなければならないものとすること。 (第十二条第二項関係)
 二 団体協約を締結する地方公共団体の当局等
  1 勤務条件に関する事項のうち、条例の制定又は改廃を要する事項について認証された労働組合と団体協約を締結することができる地方公共団体の当局を当該事項に係る事務を所掌する地方公共団体の長等とする等、認証された労働組合と団体協約を締結することができる地方公共団体の当局を定めるものとすること。 (第十三条第一項関係)
  2 地方公共団体の長等であって地方公共団体の長でない者が勤務条件に関する事項のうち条例の制定又は改廃を要する事項について団体協約を締結しようとするときは、あらかじめ、地方公共団体の長の同意を得なければならないものとすること。 (第十三条第二項関係)
 三 団体協約の効力の発生等
  1 認証された労働組合と地方公共団体の当局との間の団体協約は、書面をもって作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによってその効力を生ずるものとすること。 (第十四条第一項関係)
  2 地方公共団体の当局は、認証された労働組合との間で団体協約を締結したときは、当該団体協約の内容を、インターネットの利用その他の適切な方法により、速やかに公表しなければならないものとすること。 (第十四条第二項関係)
 四 団体協約の期間
  1 団体協約には、三年を超える有効期間の定めをすることができず、三年を超える有効期間の定めをした団体協約は、三年の有効期間の定めをした団体協約とみなすものとすること。
(第十五条第一項及び第二項関係)
  2 有効期間の定めのない団体協約は、当事者の一方が、署名し、又は記名押印した文書によって相手方に予告して解約することができるものとし、予告は解約しようとする日の少なくとも九十日前にしなければならないものとすること。 (第十五条第三項及び第四項関係)
 五 団体協約の効力
  1 地方公共団体の長は、勤務条件に関する事項のうち、条例の制定又は改廃を要する事項について団体協約が締結されたときは、速やかに、当該団体協約の内容を適切に反映させるために必要な条例の制定又は改廃に係る議案を地方公共団体の議会に付議して、その議決を求めなければならないものとすること。 (第十六条第一項関係)
  2 地方公共団体の当局が、勤務条件に関する事項のうち、地方公共団体の規則又は地方公共団体の長等の定める規程等の制定又は改廃を要する事項等について団体協約を締結したときに講ずる措置について定めるものとすること。 (第十六条第二項から第四項まで関係)
 六 団体協約の失効
  1 団体協約は、次に掲げる場合は、その効力を失うものとすること。 (第十七条第一項関係)
   (1) 五の1の規定により提出された条例の制定又は改廃に係る議案が、付議された議会の会期中(当該議案が地方自治法第百九条第八項の規定により閉会中審査に付された場合にあっては、後会の会期中)に、当該条例の制定又は改廃がされなかった場合(当該会期中に地方自治法第百九条第八項の規定により閉会中審査に付された場合を除く。)
   (2) 団体協約を締結した認証された労働組合の認証が取り消された場合
  2 団体協約は、議案が修正されて条例となった場合は、当該条例と抵触する範囲において、その効力を失うものとすること。 (第十七条第二項関係)
第五 不当労働行為事件
 一 審査の手続
  1 不当労働行為事件に係る申立て及び審査の開始
   (1) 地方公共団体の当局が、次に掲げる規定に違反したときは、認証された労働組合又はイからハまでに定める者は、労働委員会に対し、その旨を申し立てることができるものとすること。
(第十八条第一項関係)
    イ 第二の五の1 労働組合の組合員である職員又は労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとした職員(労働組合に加入し、若しくは加入しようとしていること又は労働組合から脱退しようとしていないことを理由として、職員として採用されなかった者を含む。)
    ロ 第二の五の2 認証された労働組合の組合員である職員
    ハ 第二の五の3又は4 労働組合の組合員である職員又は労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとした職員
   (2) 労働委員会は、(1)の申立てを受けたときは、遅滞なく調査を行い、必要があると認めたときは、当該申立てが理由があるかどうかについて審問を行わなければならないものとすること。この場合において、審問の手続においては、当該地方公共団体の当局及び申立人に対し、証拠を提出し、証人に反対尋問をする十分な機会が与えられなければならないものとすること。
(第十八条第二項関係)
   (3) 労働委員会は、(1)の申立てが、行為の日(継続する行為にあっては、その終了した日)から一年を経過した事件に係るものであるときは、これを受けることができないものとすること。
(第十八条第三項関係)
  2 合議体による審査
   (1) 中央労働委員会は、労働組合法第二十四条の二第一項に規定する合議体又は国家公務員担当公益委員をもって構成する合議体に、不当労働行為事件の審査を行わせ、当該合議体のした処分をもって中央労働委員会の処分とすることができるものとすること。ただし、事件が重要と認められる場合その他当該合議体が処分をすることが適当でないと認められる場合は、公益委員の全員をもって構成する合議体に、当該事件の審査を行わせるものとすること。 (第十九条第一項関係)
   (2) 都道府県労働委員会は、公益委員の全員をもって構成する合議体に、不当労働行為事件の審査を行わせ、当該合議体のした処分をもって都道府県労働委員会の処分とするものとすること。ただし、事件が重要と認められる場合その他当該合議体が処分をすることが適当であると認められる場合を除き、条例で定めるところにより、会長が指名する公益委員五人又は七人をもって構成する合議体に、当該事件の審査を行わせることができるものとすること。 (第十九条第二項関係)
   (3) 労働委員会の使用者委員及び労働者委員は、それぞれ1の(2)の規定により調査(公益委員の求めがあった場合に限る。)及び審問を行う手続並びに6の規定により和解を勧める手続に参与し、又は4の(2)の行為等をすることができるものとするほか、合議体による審査に関し、所要の規定を定めるものとすること。 (第十九条第三項から第五項まで関係)
  3 地方調整委員
    中央労働委員会は、地方調整委員であって公益を代表するものに、中央労働委員会が行う審査の手続のうち、1の(2)の規定により調査及び審問を行う手続並びに6の規定により和解を勧める手続の全部又は一部を行わせることができるものとすること。この場合において、使用者を代表する地方調整委員及び労働者を代表する地方調整委員は、これらの手続(調査を行う手続にあっては、公益を代表する地方調整委員の求めがあった場合に限る。)に参与することができるものとすること。
(第二十条関係)
  4 救済命令等
   (1) 労働委員会は、事件が命令を発するのに熟したときは、事実の認定をし、この認定に基づいて、申立人の請求に係る救済の全部若しくは一部を認容し、又は申立てを棄却する命令(以下「救済命令等」という。)を発しなければならないものとすること。 (第二十一条第一項関係)
   (2) 調査又は審問を行う手続に参与する使用者委員及び労働者委員は、労働委員会が救済命令等を発しようとする場合は、意見を述べることができるものとするほか、救済命令等に関し、所要の規定を定めるものとすること。 (第二十一条第二項から第四項まで関係)
  5 救済命令等の確定
    地方公共団体が救済命令等について二の1の(1)の期間内に取消しの訴えを提起しないときは、救済命令等は、確定するものとすること。 (第二十二条関係)
  6 和解
    労働委員会は、審査の途中において、いつでも、当事者に和解を勧めることができるものとするほか、和解に関し、所要の規定を定めるものとすること。 (第二十三条関係)
  7 労働組合法の準用
    この法律の不当労働行為事件の審査について労働組合法の不当労働行為事件の審査に関する必要な規定を準用するものとし、この場合における読替えについて定めるものとすること。
(第二十四条関係)
  8 民事訴訟法の準用
    この法律の不当労働行為事件の審査において労働委員会が証人又は当事者に陳述させる手続について民事訴訟法の証人尋問及び当事者尋問に関する必要な規定を準用するものとすること。
(第二十五条関係)
  9 不服申立ての制限
    地方公共団体の当局及び職員に係る処分であって不当労働行為に該当するものについては、行政不服審査法による不服申立てをすることができないものとすること。 (第二十六条関係)
  10 再審査の申立て
    地方公共団体は、都道府県労働委員会の救済命令等の交付を受けたときは、十五日以内に中央労働委員会に再審査の申立てをすることができるものとすること。 (第二十七条関係)
  11 再審査と訴訟との関係
    中央労働委員会は、二の1の(1)の訴えに基づく確定判決によって都道府県労働委員会の救済命令等の全部又は一部が支持されたときは、当該救済命令等について、再審査することができないものとすること。 (第二十八条関係)
  12 再審査手続についての準用
    中央労働委員会の再審査の手続について、この法律及び労働組合法の必要な規定を準用するものとし、この場合における読替えについて定めるものとすること。 (第二十九条関係)
 二 訴訟
  1 取消しの訴え
   (1) 地方公共団体が都道府県労働委員会の救済命令等について中央労働委員会に再審査の申立てをしないとき、又は中央労働委員会が救済命令等を発したときは、地方公共団体は、救済命令等の交付の日から三十日以内に、救済命令等の取消しの訴えを提起することができるものとし、この期間は、不変期間とするものとすること。 (第三十条第一項関係)
   (2) 地方公共団体は、一の10の規定により中央労働委員会に再審査の申立てをしたときは、その申立てに対する中央労働委員会の救済命令等に対してのみ、取消しの訴えを提起することができるものとすること。 (第三十条第二項及び第三項関係)
  2 緊急命令
    1の(1)の規定により地方公共団体が裁判所に訴えを提起した場合において、受訴裁判所は、救済命令等を発した労働委員会の申立てにより、決定をもって、地方公共団体に対し判決の確定に至るまで救済命令等の全部又は一部に従うべき旨を命じ、又は当事者の申立てにより、若しくは職権でこの決定を取り消し、若しくは変更することができるものとすること。 (第三十一条関係)
  3 証拠の申出の制限
    労働委員会が物件提出命令をしたにもかかわらず物件を提出しなかった者は、裁判所に対し、当該物件に係る証拠の申出をすることができないものとすること。 (第三十二条関係)
第六 あっせん、調停及び仲裁
 一 通則
  1 関係当事者の範囲
    第六に規定する手続における関係当事者は、地方公共団体の当局及び認証された労働組合とするものとすること。 (第三十三条関係)
  2 特別調整委員
   (1) 中央労働委員会及び都道府県労働委員会に、関係当事者の間に発生した紛争であって団体協約を締結することができる事項に係るもの(以下「団体協約の締結に係る紛争」という。)に係る調停又は仲裁に参与させるため、特別調整委員を置くことができるものとし、中央労働委員会に置かれる特別調整委員は厚生労働大臣が、都道府県労働委員会におかれる特別調整委員は都道府県知事が任命するものとすること。 (第三十四条第一項及び第二項関係)
   (2) 特別調整委員は、地方公共団体の当局を代表する者、職員を代表する者及び公益を代表する者とするほか、特別調整委員に関し、所要の規定を定めるものとすること。
(第三十四条第三項から第七項まで関係)
  3 中央労働委員会における事務の処理
    中央労働委員会の職権によるあっせん、調停及び仲裁の開始の決議、あっせん員の委嘱等に関する事務の処理については、国家公務員担当公益委員、国家公務員担当使用者委員及び国家公務員担当労働者委員のみが参与するものとすること。 (第三十五条関係)
 二 あっせん
  1 あっせん員候補者
    労働委員会は、あっせん員候補者を委嘱し、その名簿を作成しておかなければならないものとし、あっせん員候補者は、学識経験を有する者で、団体協約の締結に係る紛争の解決について援助を与えることができる者でなければならないものとすること。 (第三十六条関係)
  2 あっせんの開始
    労働委員会は、団体協約の締結に係る紛争について、関係当事者の双方若しくは一方の申請又は労働委員会の決議により、あっせんを行うことができるものとすること。 (第三十七条第一項関係)
  3 労働委員会によるあっせん
    労働委員会によるあっせんは、1に規定する名簿に記載されている者のうちから労働委員会の会長が指名するあっせん員等によって行うものとすること。また、地方において中央労働委員会が処理すべき事件については、原則として、地方調整委員のうちから中央労働委員会の会長が指名するあっせん員により行うものとするほか、労働委員会によるあっせんに関し、所要の規定を定めるものとすること。 (第三十七条第二項から第六項まで関係)
 三 調停
  1 調停の開始
    労働委員会は、団体協約の締結に係る紛争について、次に掲げる場合に調停を行うものとすること。
(第三十八条関係)
   (1) 関係当事者の双方が労働委員会に調停の申請をしたとき。
   (2) 関係当事者の一方が団体協約の定めに基づいて労働委員会に調停の申請をしたとき。
   (3) 関係当事者の一方の申請により、労働委員会が調停を行う必要があると決議したとき。
   (4) 労働委員会が職権に基づき、調停を行う必要があると決議したとき。
   (5) 地方公共団体の長(当該団体協約の締結に係る紛争の関係当事者の一方が当該地方公共団体の当局である場合に限る。)が、公益上特に必要があると認める場合において、労働委員会に調停の請求をしたとき。
  2 労働委員会による調停
    労働委員会による調停は、当該事件について設ける調停委員会によって行うものとし、調停委員会は、公益委員(中央労働委員会にあっては、国家公務員担当公益委員)又は公益を代表する特別調整委員、使用者委員(中央労働委員会にあっては、国家公務員担当使用者委員)又は地方公共団体の当局を代表する特別調整委員及び労働者委員(中央労働委員会にあっては、国家公務員担当労働者委員)又は職員を代表する特別調整委員のうちから労働委員会の会長が指名する者で組織するものとすること。また、地方において中央労働委員会が処理すべき事件については、原則として、地方調整委員のうちから中央労働委員会の会長が指名する調停委員により行うものとするほか、委員会による調停に関し、所要の規定を定めるものとすること。 (第三十九条から第四十二条まで関係)
 四 仲裁
  1 仲裁の開始
    労働委員会は、団体協約の締結に係る紛争について、次に掲げる場合に仲裁を行うものとすること。
(第四十三条関係)
   (1) 関係当事者の双方が労働委員会に仲裁の申請をしたとき。
   (2) 関係当事者の一方が団体協約の定めに基づいて労働委員会に仲裁の申請をしたとき。
   (3) 労働委員会があっせん又は調停を開始した後二月を経過して、なお紛争が解決しない場合において、関係当事者の一方が労働委員会に仲裁の申請をしたとき。
   (4) 労働委員会が、あっせん又は調停を行っている事件について、仲裁を行う必要があると決議したとき。
   (5) 地方公共団体の長(当該団体協約の締結に係る紛争の関係当事者の一方が当該地方公共団体の当局である場合に限る。)が、公益上特に必要があると認める場合において、労働委員会に仲裁の請求をしたとき。
  2 労働委員会による仲裁
    労働委員会による仲裁は、当該事件について設ける仲裁委員会によって行うものとし、仲裁委員会は、公益委員(中央労働委員会にあっては、国家公務員担当公益委員)又は公益を代表する特別調整員のうちから労働委員会の会長が指名する三人以上の奇数の仲裁委員で組織するものとすること。また、仲裁委員会は、仲裁裁定を行ったときは、当該仲裁裁定の内容を、インターネットの利用その他の適切な方法により、速やかに公表しなければならないものとするほか、労働委員会による仲裁に関し、所要の規定を定めるものとすること。 (第四十四条関係)
  3 仲裁裁定の効力
    仲裁裁定があったときは、当該仲裁裁定の定めるところにより、関係当事者間において有効期間の定めのない団体協約が締結されたものとみなして、第四の四の2、五及び六の規定を適用するものとすること。 (第四十五条関係)
第七 雑則
 一 中央労働委員会は、二以上の都道府県にわたり、又は全国的に重要な問題に係る事件の処理であって、第五の一及び第六の規定に基づくものについて、優先して管轄するものとすること。また、中央労働委員会は第二の二の4及び5並びに第五の一の4の(1)の規定による都道府県労働委員会の処分を取り消し、承認し、若しくは変更する完全な権限をもって再審査し、又はその処分に対する再審査の申立てを却下することができるものとすること。 (第四十六条第一項から第五項まで関係)
 二 中央労働委員会は、都道府県労働委員会に対し、この法律の規定により都道府県労働委員会が処理する事務について、報告を求め、又は法令の適用その他当該事務の処理に関して必要な勧告、助言若しくはその委員若しくは事務局職員の研修その他の援助を行うことができるものとすること。
(第四十六条第六項関係)
 三 労働委員会の処分に関する行政手続法の適用除外及び不服申立ての制限について定めるものとすること。 (第四十七条及び第四十八条関係)
 四 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のために必要な事項は、政令で定めるものとすること。(第四十九条関係)
第八 附則
 一 施行期日
   この法律は、地方公務員法等の一部を改正する法律(平成二十五年法律第   号)の施行の日から施行するものとすること。ただし、次に掲げる規定は、それぞれ次に定める日から施行するものとすること。 (附則第一条関係)
  1 第二の三並びに二及び五の規定 公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日
  2 第一の二の1の(2)、第二の一の2及び3並びに三の1の規定 公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日
 二 この法律の施行に関し必要な準備行為を定めるものとすること。 (附則第二条関係)
 三 労働組合の認証について、必要な経過措置を定めるものとすること。
(附則第三条から附則第五条まで関係)
  1 第二の二の4の規定による認証を受けようとする者は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前においても、第二の二の4の規定の例により認証を申請することができるものとすること。
  2 1の規定により認証を申請した登録職員団体は、施行日までに1の規定による申請に対する処分がない場合には、施行日において、認証された労働組合になるものとすること。
  3 2の規定により認証された労働組合となったものの認証は、1の規定による申請に対する処分があった日にその効力を失うものとすること。
 四 第二の四の規定の適用については、地方公務員の労働関係の実態に鑑み、労働関係の適正化を促進し、もって公務の能率的な運営に資するため、当分の間、第二の四の3中「五年」とあるのは、「七年以下の範囲内で地方公共団体の規則で定める期間」とするものとすること。その他労働組合のための職員の行為の制限について、必要な経過措置を定めるものとすること。 (附則第六条関係)
 五 二から四までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定めるものとすること。 (附則第七条関係)