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日時

2019年6月24日(月)10:00~12:43

場所

消費者委員会会議室
東京都千代田区霞が関3-1-1 (中央合同庁舎第4号館8階)

出席者

【委員】
新川座長、伊集委員、大森委員、尾嶋委員、西田委員
【オブザーバー】
消費者委員会 池本委員長代理、樋口委員
【説明者】
東洋大学国際学部国際地域学科 沼尾波子教授
【事務局】
二之宮事務局長、福島審議官、坂田参事官、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 地方消費者行政に関する問題意識と課題
  3. 今後の検討の進め方
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

  • 議事次第(PDF形式:45KB)PDFを別ウインドウで開きます
  • 【資料1】 問題意識と検討項目案(PDF形式:136KB)PDFを別ウインドウで開きます
  • 【資料2】 伊集委員提出資料(PDF形式:95KB)PDFを別ウインドウで開きます
  • 【資料3】 大森委員提出資料(PDF形式:172KB)PDFを別ウインドウで開きます
  • 【資料4】 尾嶋委員提出資料(PDF形式:101KB)PDFを別ウインドウで開きます
  • 【資料5】 首藤委員提出資料(PDF形式:165KB)PDFを別ウインドウで開きます
  • 【資料6】 西田委員提出資料(PDF形式:321KB)PDFを別ウインドウで開きます
  • 【資料7】 八木委員提出資料(PDF形式:195KB)PDFを別ウインドウで開きます
  • 【資料8】 山田委員提出資料(PDF形式:187KB)PDFを別ウインドウで開きます
  • 【資料9】 山本委員提出資料(PDF形式:118KB)PDFを別ウインドウで開きます
  • 【資料10-1】  東洋大学沼尾教授提出資料(PDF形式:78KB)PDFを別ウインドウで開きます
  • 【資料10-2】  東洋大学沼尾教授提出資料(PDF形式:1551KB)PDFを別ウインドウで開きます
  • 【資料11】 今後の検討の進め方(PDF形式:53KB)PDFを別ウインドウで開きます
  • 【参考資料1】地方消費者行政専門調査会委員名簿(PDF形式:106KB)PDFを別ウインドウで開きます
  • 【参考資料2】地方消費者行政専門調査会設置・運営規程(PDF形式:95KB)PDFを別ウインドウで開きます
  • 【参考資料3】下部組織の会議運用の在り方に関する申し合わせ(PDF形式:148KB)PDFを別ウインドウで開きます

≪1.開会≫

○友行企画官 それでは、時間になりましたので、始めたいと思います。本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

ただいまから「地方消費者行政専門調査会」を開催いたします。

「地方消費者行政専門調査会」は、これまで第1次及び第2次消費者委員会で設置がなされており、形としては再開ということになります。第5次の委員会としては、本日が初めての会合となります。

最初に、資料の確認でございます。当専門調査会はペーパーレス推進の会議としてiPadを使用して議事を進行いたします。本日の資料につきましては、全てお手元のiPadに表示されております。操作は、それぞれの皆様方でiPadの画面上で指を横にスライドさせて御覧いただきますようお願いいたします。もし、操作に関しまして御不明点等がございましたら、お近くの事務局職員までお尋ねいただければと思います。

本専門調査会の構成員でございますが、消費者委員会の高委員長から指名されており、参考資料1のとおりとなっております。

座長につきましては、高委員長から指名を受けました新川委員に務めていただくことになりましたので、御報告させていただきます。

本日は、所用により、首藤委員、八木委員、山田委員、山本委員が御欠席との御連絡をいただいております。そして、伊集委員につきましては、少し遅れて到着ということでございます。

また、参考資料2の地方消費者行政専門調査会設置・運営規程第6条により、会議は原則公開となります。本日の会議につきましても公開とし、議事録についても後日公開することといたします。

それでは、ここからは新川座長に議事進行をお願いいたします。

○新川座長 改めまして、おはようございます。ただいま御紹介いただきました新川でございます。このたび消費者委員会高委員長から御指名を受けまして、専門調査会の座長を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

一言と言われておりますので、冒頭に当たりまして御挨拶を申し上げさせていただきます。

当地方消費者行政専門調査会、これまで回を重ねて、5次ということでございました。これまでにも様々検討がされてきているところではございますけれども、御承知のとおり、我が国の人口構造あるいは社会や経済の変化、著しいものがございます。そして、それに加えて、世界の動きとの関わり方も極めて密接で、国民生活一つ一つに大きな影響を及ぼしている状況がございます。改めまして、こうした変化の時代の中で将来を見通しながら消費者行政の在り方を考えていく必要性は、極めて大きいものと考えてございます。

その一方では、この消費者行政それ自体をどういうふうに進めていくのかということについては、今日の消費者の在り方あるいは国民生活の在り方そのものを考えていったときにも、極めて難しいところが多いのではないかと思っております。消費者市民社会といった言い方にもありますように、一人一人の消費者が、そしてまた、それに関わる様々な関係者、関係機関、団体等がそれぞれの役割をしっかりと果たしながら、こうした消費者行政のよりよい在り方というものをともに作り上げていく時代になってきているのではないかとも考えております。

改めまして、地方消費者行政の在り方、そしてそれは恐らく国やそれぞれの関係団体等々も含めて、そして何よりも一人一人の消費者の在り方も含めて考えていかざるを得ない、そういうところが出てくるのではないかなとも思っております。

もちろん、私どもの大きな役割は、地方消費者行政の在り方ということを中心に考えていくということでございますし、その主要な担い手でございます地方公共団体におけるこれからの消費者行政の在り方ということについて、まずは焦点を当てることになろうかと思っておりますが、問題は恐らくそれを超えて、様々広がってくるところもあるのではないかと思っております。皆様方と御一緒に、これからの地方消費者行政の在り方ということについて、よりよい充実した議論ができればと思っております。よろしくお願いいたします。

それでは、早速でございますが、座長の役割を務めさせていただきます。座長代理について、選任しなければならないということで、当調査会の設置・運営規程第2条第4項によりまして、座長があらかじめ座長代理を指名することになってございます。本日は御欠席でございますけれども、あらかじめ代理ということで内諾をいただいてございます。私といたしましては、東京大学大学院法学政治学研究科教授の山本委員に座長代理をお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

本専門調査会につきましては、お手元参考資料2「地方消費者行政専門調査会設置・運営規程」、それから、その後ろにございます参考資料3「下部組織の会議運用の在り方に関する申し合わせ」に沿って運営していきたいと考えてございます。これらの内容につきまして、もし委員の皆様方から御質問がございましたら、お願いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。

それでは、今後、また会議を進めていくプロセスで疑義等ございましたらいただくということにして、次に進めさせていただきたいと思います。

当専門調査会委員の皆様方、今日が初回でございますので、簡単に自己紹介をお願いいたしたいと思います。

伊集委員、御到着になられましたので、早速で恐縮ですが、順番に簡単に自己紹介いただけますでしょうか。

○伊集委員 遅れて失礼いたしました。横浜国立大学の伊集と申します。この委員会では、お世話になります。

財政学を専門としておりまして、消費者行政というのは専門ではなく、ほとんど素人なのですけれども、今回の委員会のテーマの中に財政に関わる問題も多いと伺っていますので、そのような観点から勉強させていただければと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

○新川座長 続きまして、大森委員、お願いいたします。

○大森委員 NPO法人C・キッズ・ネットワークの理事長をしております。

20年ぐらい前から消費者教育をやっておりまして、センターとか県とか、いろいろなところと連携するのですけれども、その連携先の担当者によって非常に進めやすかったり、担当が変わったがゆえに全く動かなくなったりするということがありまして、高齢化してマンパワーも少なくなってくる中で、行政とNPOの連携というのは非常に重要になってくるのではないかと思って、今回、委員として加わることができましたこと、本当にうれしく思っております。消費者委員会委員もしておりまして、皆さんに日ごろからいろいろお世話になっております。

よろしくお願いします。

○新川座長 よろしくお願いいたします。

それでは、尾嶋委員、よろしくお願いします。

○尾嶋委員 全国消費生活相談員協会の尾嶋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

私は、20年ほど前から消費生活相談員をしておりまして、全国消費生活相談員協会の常務理事をしておりますが、同時に、現在も消費生活相談員をしておりまして、皆さんからの相談を受け付けているということです。

今回の専門調査会に関しては、現場の立場から皆さんがまだ御存じないようなことも多くあるかと思いますので、細かいことになるかと思いますけれども、そういう立場からお話しできたらと思っております。

どうぞよろしくお願いいたします。

○新川座長 よろしくお願いいたします。

引き続きまして、西田委員、よろしくお願いいたします。

○西田委員 東京工業大学の西田と申します。

これまで15年ほど、特に子供の事故関係の研究を行ってまいりました。工学者ということで、工学的なアプローチでビッグデータを分析する、解析するとか、それを使ってどう環境を改善できるかということにつなげるような研究を行ってまいりました。今回は、地方消費者行政ということで、ITとかAIというものについて、少し貢献できればと思っております。

よろしくお願いします。

○新川座長 よろしくお願いいたします。

それでは、今日は何人かの委員の方、お休みでございますけれども、まずはこのメンバーで進めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。


≪2.地方消費者行政に関する問題意識と課題≫

 

○新川座長 それでは、本日の主要な議題でございます「地方消費者行政に関する問題意識と課題」ということにつきまして、議事に入らせていただきたいと思います。

最初の議題は「地方消費者行政に関する問題意識と課題」ということで、事務局から資料1について、御説明をまずはよろしくお願いいたします。

○友行企画官 それでは、資料1を御覧いただけますでしょうか。「問題意識と検討項目案」という形で2つに分けております。

最初の問題意識のところでございますけれども、消費者にとって身近な地方自治体は、消費者行政の基盤をなすもの。地方自治体による積極的な取組を実現することは消費者行政における最重点課題というものがまず1つ目でございます。

2つ目でございますが、我が国は、人口減少、高齢化、情報化といった社会情勢の大きな変化に直面しております。地方消費者行政の在り方についても、こうした状況を踏まえた方策を検討することが必要ではないかというところでございます。

3つ目でございますが、10年後、20年後を見据えまして、消費者被害の防止、迅速な被害回復、消費者行政の底上げを図るため、限られた人員と財源で効率的・効果的な取組に向けた方策を検討することが必要ではないかといった、主に3つの大きな柱を問題意識として立てております。

そのための検討項目案でございますが、まず1つ目でございます。20年後の我が国の姿がどうなっているかということを確認するということでございます。人口減少や高齢化・高齢単身世帯の増加でございます。情報化・コミュニケーションの取り方の変化といったこともあるかと思います。

また、地方自治体における職員や予算の状況がどうなっていくかということも念頭に置くべきではないかというところでございます。

2つ目でございます。地方自治体により異なる課題の把握とそれらに対応した地方消費者行政の在り方を考えていくべきではないかというところでございます。

自治体ごとの課題や必要な支援等に関する実態を把握すること。

地方消費者行政に係る各種のサービスが、それぞれの自治体において実際にどのような体制で実施されているのかといったことを把握すること。

それと、三大都市圏、連携中枢都市圏、中山間地、中核市、小規模都市等地方自治体の特色や特性により異なる課題の把握を行うことが必要ではないかといった視点でございます。

また、情報公開による地方消費者行政に対する取組、資源配分の透明化といった観点もあるかと思います。

また、消費者庁において検討中でございます、新しい地方消費者行政強化作戦の動向なども見ながら検討していってはどうかと考えております。

3つ目でございます。ネットワークを活用した消費者問題への対応の在り方でございます。

情報の取扱を含めまして、柔軟な連絡・相談体制等の構築に向けまして、関連する業務、福祉分野とか教育分野と連携した体制をどうやって構築していくか。

広域ネットワーク、弁護士会との連携や警察との連携をどうやって進めていくか。

公・共・私の取組、それぞれをどうやって進めていくか、どうやってネットワークしていくかということでございます。地域住民による主体的な取組を促す方策には、どういったものがあるか。地方自治体が消費者行政を自分事と捉え、積極的な取組を促進し、それを支援する仕組みが必要ではないかといった観点でございます。

4つ目でございますが、専門人材の育成、活用の在り方でございます。

人口減少、高齢化を踏まえた専門人材の育成や活用をどうやっていくか。

それから、様々な業務を兼務しつつ、多様化、複雑化する消費者問題への対応策。

その次は、ITツールの活用でございます。

消費者行政にふさわしいITツールの活用の在り方を考えていったらどうかということでございます。活用例といたしましては、相談業務であれば、AIの活用による相談業務をどのように効率化することができるのか。

相談窓口に行かずとも、仲間内で情報交換するような、コミュニケーションのとり方が変化している時代に対応する消費者相談の在り方はどういったことが考えられるかというところでございます。

また、PI0-NETにつきましても、情報化の進展を踏まえたPI0-NETの在り方ということも、論点としては重要かと思われます。

また、高齢者の見守りや消費者教育、研修などにどうやってITを活用していくかといった観点でございます。

6つ目でございます。都道府県、政令市や市町村の役割の在り方をどうしていくか、どう考えていくかというところでございます。

市町村の人口減少が進行していく中で、都道府県が果たすべき役割はどういったものが考えられるか。市町村が都道府県に期待することは何かといったところで、もう一度、都道府県と市町村の関係を見直してはどうか、整理してはどうかといったところでございます。

また、住んでいるだけではなくて、交流人口や関係人口を踏まえた都道府県、市町村の連携の在り方も考えられるのではないかといった視点でございます。

7番目でございます。地方自治体と国との関係でございます。

人口減少、高齢化が進展していく中で、自治体が担うべきサービス、従来地方が担っていたサービスの維持も成り立たなくなっているといった御指摘もございます。特に小さな市町村の消費者行政施策を支えることを国の施策として考えるべきではないかといった御指摘もございます。

また、国の施策と地方の施策は連携している。国としての重要施策を地方自治体において実施するのであれば、国が責任をもって支援すべきではないかといった御指摘もございます。

国としての重要施策を地方において実施するためには、地方自治体の基本的な消費者行政の組織体制の構築が重要である。単発、短期間の支援ではなくて、継続的な消費者行政の強化に結びつく支援などがあり得るのか、どういった方策があるのかといったことも重要ではないかといった御指摘でございます。

以上でございます。

○新川座長 どうもありがとうございました。

ただいま「問題意識と検討項目案」につきまして、御説明いただきました。これらにつきましては、事前に委員の皆様方にコメントペーパーの提出をいただいてございます。これにつきまして、最初に、御出席の各委員から御説明をいただき、その後、項目ごとに少し時間をとりまして意見交換ができればと思ってございます。

まずは、御出席の委員の方々から、コメントペーパーをいただいておりますものの御説明を順次お願いいたしたいと思います。その後、今日、御欠席の委員のペーパーにつきましても、事務局から御紹介いただければと思っております。各委員から御説明いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。どういう順番でいきましょう。あいうえお順でいきますか。

それでは、すみません、伊集委員からお願いいたします。

○伊集委員 では、私からコメントを紹介させていただきます。私の名前で「問題意識と検討項目案に対するコメント」というタイトルになっております。

私は、今、御報告があった「問題意識と検討項目案」を読んだ上で、特に先ほど申し上げましたが、専門である財政に関わってくるようなところに絞りながらコメントさせていただきました。

まず最初に、問題意識、もともとの資料ですと3点目に関わるようなところになってくるのですけれども、特に今後、比較的長期間を見据えて、消費者の被害の防止、迅速な被害回復、消費者行政の底上げという目的のために、人材や財源は限られているけれども、効率的あるいは効果的な取組に向けた方策を検討することが必要という視点が出されています。

それに関して、そのとおりだなと思うところはあるのですけれども、特に財政の観点から言うと、今、国あるいは地方自治体もそうですが、非常に財政状況が厳しい中で厳しい財源の制約があり、同時に、それによって人員の制約もかかってくるということがあるわけです。ですので、その中でどうやって効果的な仕事をしていけるかというのが重要な観点ですが、ただし、消費者行政の分野に限った話でもないのですが、どうしても財源が限られているということで、その中でいかに人を使っていくか、お金を使っていくかという議論がされがちですが、政策の目標を達成するということに鑑みると、場合によってはしっかり財源を増やしながら政策を行っていくという視点もないといけない場合もあるわけです。

ですので、必要な政策は何か、そのためには何が必要か、そのためには財源がどのぐらい必要になっていくか。そうすると、今の財源では足りないのではないかということも当然あり得るので、限られたものの中でうまくやるだけじゃなくて、必要な場合にはどうやって確保していくかという視点の議論も必要になってくるのではないかという視点で、問題意識のところでコメントさせていただいております。

その後、検討項目案の具体的なところに入りまして、20年後の我が国あるいは地方自治体の姿ということで、その中の地方自治体における職員や予算の状況というのも財政と関わってくるのですが、本日、この後、東洋大学の沼尾先生にも御報告いただいて、恐らく関連の内容が出てくるので、私もぜひお伺いしたいなと思っているのですが、人が足りない、予算が足りないという話が出てくるときに、例えば日本の自治体では人が足りていないのか、あるいは多いのかという議論がたまになされます。そのときに、地方自治体の住民1万人当たりとか1000人当たりという公務員の数というのは、日本は比較的少ないというデータがあったり、あるいは逆に一般的な理解では公務員が多過ぎて、減らしたほうがいいのではないかという議論もあるかと思います。

ただ、公務員と言うときも、行政部局のほうで仕事をされている方と、教育とか福祉とか、そういう現場で仕事をされている方では、また少し区別が違っているので、先ほど申し上げた消費者行政を進めていくための人材確保とか人材育成と言ったときに、どれぐらいの人材が現時点で地方自治体にいるのか、あるいは今後確保できていくのかということを考えるときに、今、公務員、その中でも特に行政職員に当たるような方たちが、どういう配置になっているのか、あるいは数として変化しているのかというところをちゃんと検証していく必要があるのかなと感じております。

それで、特に予算といいますか、財政状況全体に関することですけれども、特に日本の場合は、国の財政赤字、財政債務の問題が大きくなってくるのに従いまして、2000年代以降、地方分権改革という動きも大きくある中で、国庫補助負担金の一般財源化、地方への税源移譲という形で、地方に財源が移されることもありながら、一方で国からの補助金が総額で見るとかなり減っていくということが起きたわけです。そうすると、地方のほうでは非常に厳しい財政状況に直面することになるのですが、そういうふうに国からの財政移転という言い方をしますけれども、それが縮小していく中で、国から自治体への財源保障機能が下がっていくという状況があると思います。

一方で、日本の地方自治体というのは企業に対する課税権を持っているので、そこで割と東京とそれ以外で大きな差が出たりするのですが、そこの調整をいろいろしようという工夫も今、なされているところです。先ほど申し上げたことにもつながるのですが、こういう取組の中で、今後、自治体はどういうように消費者行政のための財源を確保していくか、あるいは、より広い文脈で財源を確保していくかというときに、自治体が独自に財源を確保する。それは、物によっては税金だったり、あるいは利用者の利用料負担みたいなものが場合によってはあるかもしれないですが、独自に自治体がやっていったり、あるいは国のほうから財源を保障してもらう。それにも、交付税であったり、国庫支出金のような特定財源であったりという、幅広い観点から財源確保を考えていく必要があると思います。

それで、特に消費者行政でのこれまでの議論を少し勉強させていただいたところもありますが、これまでの議論の中では、国のほうが目的を持って、地方自治体にぜひやってもらいたいという観点で政策を進めていくのであれば、国のほうでしっかりと財源の手当てをしてほしいという意見も強く出されていたのかなと感じているところがありますが、そのときに、国のほうで特定財源として地方に財源を保障するという形がいいのか、あるいは地方が一般財源として自分たちの財源を確保していくという形がいいのか、そのあたりは検討すべき論点になってくるかなと考えております。

すみません、長くなってしまいまして。最後に、地方自治体と国の関係で、今、申し上げたところにも関わってくるのですけれども、施策の連携を前提とした国の責任による継続的な支援という内容の論点が出ていたと思いますが、書きぶりがこれでよかったのか、ちょっと気になっていますが。どうやってお金を消費者行政のために確保するのかというときに、先ほど申し上げたように、自治体で集めるのか、国に責任を持って保障してもらうのかというのがあるのですが、1つ大きな問題は、日本の地方自治体は、戦後あるいはそれ以前から、自分たちで課税権、様々な地方税を持っているのですが、それを自分たちで動かして、必要に応じて税収を変化させていくということがほとんどできてこなかったということです。これは、先進国の中ではかなり珍しい地方税の使い方だと思います。そうすると、これまでは地方税法に決められた税率のもとで税を集めて、その後、足りない分を交付税だったり、国庫支出金で保障してもらうというのがあったのだけれども、それが国の財政も厳しい中で補助金が減らされている。そうすると、予算が厳しい。そうすると、一つの方策として、自分たちで税を高めてでも必要な財源を集めましょうかという議論も出てきてもしかるべきですが、なかなかそうやって自分たちで税を動かすという議論がされてこなかったので、政治的にもなかなか論点にしづらい。そうすると、支出を削減するしかないという話になってしまって、自治体のほうでなかなか税に踏み込めないという現状が一般的にあるかと思います。

その場合、先ほどの話と関わりますが、国に保障してほしいという議論が出てくる。それは、国が進めているのだからという理屈は立つのですけれども、それは一方で、自分たちでやるべきというか、やってしかるべき税の問題、あるいはその点に関して住民と向き合うという問題を避けてしまっていないかという懸念もあって、そういうところもぜひ議論させていただきたいなと思っています。それと関連して、補助金のこともその次の回に報告させていただきたいと思います。

すみません、長くなってしまいましたが、以上になります。

○新川座長 ありがとうございました。

問題点は、また後ほど改めて議論させていただければと思いますので、まずはコメントペーパーをそれぞれ御紹介いただければと思います。もう順番でよろしいでしょうか。

では、大森委員からお願いします。

○大森委員 コメントペーパーの青い色の部分が私の意見です。

20年後の姿ですけれども、有効的な施策が実施されなければ、生産性のある若者が減少し、少ない若者の税収で高齢者を支える社会となり、地方自治体における職員、予算は減少し、各種サービスのために外国人を雇用する場面が増加する。これまで単一民族であった社会に新たなコミュニケーション能力やルール作りが必要となるだろう。家庭、地域で個々の家庭を支えることが困難となり、サポートできるようなシステム作りが必要かと思います。

地方行政の在り方ですけれども、地方自治体により課題は異なるので、これまでアンケート調査とかで実態を把握しているのですけれども、それではタイムリーな実態把握は難しいのではないか。国の施策の普及・実施状況などの実態調査は、現地に張りつく人間が必要だと思います。施策の実行に向けた課題など、タイムリーに意見交換、実行ができるようなシステム作りが必要だと思います。

消費者問題への対応の在り方ですけれども、既存のいろいろな地域協議会があるのですけれども、見守りネットワークに一本化して活性化し、地域を支える全てを盛り込み、月1回程度の定期開催を行って、必要があれば臨時的にも行うということで、地域の問題を地域で把握し、行政につなげるシステムをきちんと作り上げてしまう。国の計画を伝えるとともに、地域での課題をフィードバックし、地方消費者行政の実施主体となるような形に高めたいと思います。

専門人材の育成についてですけれども、地域で元気な高齢者のボランティアに頼るような実態があるわけですけれども、これだけでは限界がありまして、学生、企業などからも支援者を派遣できるようなシステム作りが必要だと思います。専門人材の育成に関しても、若い世代の育成が急務で、大学で専門的な知識を得た人物も、普通に企業に入って、そのまま何の活動もしないということがとても多くて、もったいないので、いろいろな委員会に登用するとか、行政とか企業に専門知識で就職できるようなシステム作りが必要かと思います。

あと、ITツールの活用ですけれども、マンパワーや予算の減少を受けて、ITツールの活用というのは不可欠だと思います。ただ、行政が作ったものは使いにくいので、市場で実績のあるツールやノウハウを活用していくことが大事だと思います。情報は、社会全体で活用できるビッグデータ化する必要があると思います。

高齢者対応は、ITと言ってもいろいろ難しいので、テレビ電話が一番いいと思います。少なくとも大型画面のタッチパネル方式で、マウスは使いにくいと思います。

一方、若者は、相談せずに、ネットで検索して自己解決する傾向が強いので、若者が検索するアクセス先に行政の情報が目にとまるようにする必要があると思います。検索データが行政のものなのか、広告なのか、一目で分かるような色とかマークというものが必要だと思います。

悪質商法の手口などはタイムリーにタブレットで紹介できるようなシステムを作って、地域の担い手の方とか特別支援学校の先生が、それを啓発に使えるということを考えるといいと思います。

都道府県とかの役割分担ですけれども、国から都道府県、都道府県から市町村というお金の流れは、必要な施策に対して効果的に使用されているとは私には思えないのです。経由するうちに拡大解釈で目的外使用も見受けられると思います。目的の活動を既に先行実施しているNPOなどがありますので、そういう団体にダイレクトに支給されるようなシステムが必要かと思います。

また、予算・職員に限りがあるので、都道府県、市町村という行政サービスの実施場所とか仕事の範囲ではなくて、実施目的とか内容で地域横断的な、アクティブで効果的なサービスの展開が必要だと思います。市町村は、身近な問題を把握することがとても大切で、都道府県はどういう連携が考えられるかという検討をしていただきたいと思います。

あと、地方自治体と国との関係ですけれども、国は施策として支えないといけないということがあると思うのですけれども、国としての重要な施策については継続的な消費者行政の強化に結びつくような、一過性なものにならないような方策が必要だと思います。

地方自治体によって抱える問題は異なるので、一律な支援では対応できないと思います。今回の強化交付金に見られるような、テーマが限定的なものは使えないと思います。一方、成年年齢引き下げのような国の決定事項に対しては、地域の財政事情にかかわらず、全ての国民に対して実施できるようなやり方が必要だと思います。交付金を得るために、総額の50%は負担しないといけないということになりますと、税制が落ち込んでいる小さなところでは全くエントリーできないし、またエントリーするための書類作りなどに充てるマンパワーすらないということで、このやり方ではどんどん弱いところは弱体化していくと思います。

人を派遣するということからの支援が必要なところもあると思います。中央での決定事項を全国に波及することを目的に、人材の配置ということを考えていかないといけないのではないかと思います。

以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

それでは、恐縮ですが、尾嶋委員、よろしくお願いいたします。

○尾嶋委員 先ほども紹介のときにお話ししましたが、私は、消費生活相談員として現場で相談員をやっているのですけれども、最初に市民の安全・安心な暮らしを守るために、消費者行政の体制強化が必要。これは、全体的なこととして思っていることなのですけれども、子供から高齢者まで全て消費者です。その消費者の安全・安心な暮らしを守るということが消費者行政の役目だろうと思っています。

身近な例からお話ししたいと思いますが、2年ほど前から架空請求のはがきが届くという相談が大変急増していまして、多くの人が1枚のはがきが来たことによって非常に大きな不安を抱えて、電話とか来所によって消費生活センターに相談。それによって、解決する。そういうことを見ておりますと、身近なところの相談の大切さということを、私はひしひしと感じるところです。

もう一方で、消費者庁が発行しています平成30年度版の「消費者白書」によりますと、消費者被害、トラブルの額を推定しているのですけれども、4.9兆円という金額が出ていまして、消費者の安全・安心を守るということで、消費生活センターは、その一部被害を救済したりという仕事をしているわけで、そういったことで、消費者センターの消費者に対しての安心・安全に関して、かなり寄与しているのではないかと思っています。金銭的なことばかりではなく、商品の安全性という問題に対しても、その解決に向けて消費生活センターの果たす役割は大きいと思っています。

非常にたくさんの相談が寄せられていますので、今後は、検討項目にもありますように、ITツールの活用というのも必要なのですけれども、その辺については、人口が減少し、高齢者が多くなるということから、どういうITツールを使うのかということは、専門家の方にいろいろとお聞きして、効率的な相談体制というものを作っていかなければいけないと思っています。

2番目に、広域連携を進めるに当たって、現在及びこれまでの広域連携の実態を把握する必要があるという点です。フル装備の行政機能というのは難しくなるということは分かりますし広域連携は必要と思います。現在でも、広域連携をしているところというのは、全国に幾つかあります。ただし、その中で本当に広域連携で十分機能が果たされているのかどうかというところが非常に心配になるところです。

例えば、一つの大きな自治体が周辺の小さな市町村と連携している場合、相談業務はやってくれているけれども、それ以外の消費者啓発とか教育というのはどうなっているのかというところが非常に問題です。消費者教育推進法が施行され消費生活センターは消費者教育の拠点として位置付けられています。

昔から言われていることでもありますが、相談と啓発というのは両輪で、寄せられた相談をいかにして皆さんにフィードバックしていくかというところが消費生活センターの大きな役目だと思っていますので、その辺の問題点を解消するような広域連携の仕方というのが必要になってくるのかと思います。

その中で、県の役割、それから委託しているところ、されているところで、それぞれがどういうふうな関係を持っているのか。そして、そこの行政職員はどういう役目、働きをしているのかというところの細かい部分の調査というのが必要になってくると思います。広域連携のメリットは非常にたくさんあると思いますけれども、デメリットをいかに解決していくか。それをしないと、広域を進めても、最初に言いました市民の安心・安全にはつながらないのではと思いますので、その辺を十分に検討すべきと思っています。

それから、3番目に都道府県、市町村の役割です。188の周知によって、身近な市町村への相談というのはかなり多くなっています。一方で市町村の中でも規模の小さいところの県の支援というのが、先ほどの広域連携の関係もありますけれども、非常に大切になってくるのではないかと思っていますので、その辺も先ほどの広域連携の関係とともに、しっかりと検討すべきではないかと思います。

それから、消費者行政を考えるに当たっては、相談員と職員の関係についてですが、特に小さな自治体ですけれども、相談員に全て任せてしまって、職員の役割というのがはっきりとしないところがありますので、消費生活センターあるいは消費者行政において、職員と相談員、特に職員の役割というものを検討していくべきかと思っています。

それから、4番目に消費生活センターの消費生活相談員の資格について、消費者安全法により消費生活相談員が国家資格となりました。ただ、国家資格となっても、特に待遇が改善されているわけではありません。そして、地方では資格保有者が少なくなっていて、資格を保有していない相談員も多くおります。

それから、消費生活相談員も高齢化していまして、次代を担う相談員が多く必要ですが、資格を取得する人たちも少なくなっているようです。相談員の仕事というのは非常にハードな仕事で、一度資格を取れば、それでいいというものではなく、日々の自己研さんが必要。さらにクレーマーの対応もあり、相談員も疲弊していることや、それに見合った待遇でもなく、なり手も少ないという状況があります。消費者行政を進めていくに当たっては、相談員の確保というのは、今後深刻な問題ではないかと思っています。

最後に、消費者庁で地方消費者行政強化作戦の取組が行われていますけれども、どこに住んでいても質の高い相談、救済を受けられる、安心・安全を確保される地域体制。この路線というのを今後も進めていただきたいし、それから、前回の消費者委員会の建議の中でも、国の財政の負担ということをどのように考えていくかということも以前から引き続き問題になっていることですので、今回についても十分に検討していただきたいと思っています。

以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

それでは、西田委員、よろしくお願いいたします。

○西田委員 よろしくお願いします。東工大の西田です。

全体的な部分から書いているのですけれども、人生100年時代ということで、いろいろな人が一緒に暮らしていく時代。世界でもなかなか難しい課題を、日本は先に対応しなければならないところがあるので、グローバルな観点でも注目されるトピックじゃないかと思っています。

全体的なコメントですけれども、1つは、私はどっちかというとICTの活用をいろいろ研究テーマにしているのですけれども、それで人間の作業を全部置き換えるのはなかなか難しいなと思っていまして、きめ細かい取組というものは、人も介在しないとなかなか難しいところがあるのではないか。そういう意味で、ITとかAIでやれる部分と、現場の方がやる部分というものの役割分担というか、連携というのは必要だと思っています。

もう一つ、結局、政府のお金というか、税金だけで回すというのは、どこか限界があると思っていまして、そういう意味で、民間とかNPOとの連携というのは非常に大事になってくると思います。よく海外の議論でも、税金で難しくて、警察、病院、学校などが閉鎖もしくは削減されていくような中で、潤沢な財源を確保するのは難しいということが言われています。そういう意味で、行政ドミナントモデルが難しくなってきていると指摘されている研究者もいますが、これからも行政がいろいろな役割を担っていくことは変わらないと思うのですけれども、それでも民間の活力を使っていくというのは大事だと思います。これは、後でまた説明したいと思います。

もう一つは、これは最後の報告書の話かもしれないですけれども、結局、困っている人は、どういうおじいちゃん、おばあちゃんかということが分かると分かりやすい。ここにペルソナ法とかデザイン思考と書いていますけれども、現在、その高齢者がばらばら行政でどういうふうに困っていて、例えばこういう未来像にすると、こういうサービスが受けられるのですよという具体的なイメージが分かるような議論というか、まとめ方ができるといいのかなと思っています。余裕があったら、典型的な高齢者、ペルソナと書いてありますけれども、85歳、鈴木太郎さん、孫は、何歳など。波平さんでもいいです。そういう具体的なもので議論してみるのもいいかと思いました。今回、時間もないでしょうから、最後のまとめのところかなと思います。

もう一つの視点が、認知症です。これが2040年ぐらいに日本で1000万人になるということで、非常に大きな問題になる。これこそ地域で取り組まなければいけない課題になってくるので、そのあたり、どう考えていくのかというのが大事なのかなと思っています。

あと、個別のトピックですけれども、今の話と少しかぶるところがあるのですが、地方自治体により異なる課題の把握と、それに対応した行政の在り方ということで、私が見ていても、例えば東京都のいろいろな行政施策の開発力と地方の開発力というのは、相当大きな差があるような感じがしているので、自治体相互のある種役割分担というか、協力みたいなものは必要なのかなと思います。先ほど啓発という話があったのですけれども、消費者の啓発をする予算というものが出ているのですけれども、これはある県の予算だから、ほかの県の人は参加してはだめですよという話が結構あるのです。そういう、ちょっと残念なこともあったりする。そのあたりもフレキシブルにやれる方法を考えていく必要があるのかなと思います。

それから、ITツールに関しては、2年ほど前ですか、ビッグデータの、特にPI0-NET関連のデータに関してAI技術を適用することで、課題発見とか、いろいろな分析に相当役に立つ可能性があると見えてきたのですけれども、分析業務に関して、人を全部AIに置き換えるのは難しいと思っているのですが、何か徴候を見つけるとか、新しい課題を発見するという部分に関しては、十分役に立つと思います。その部分に関して利用していくのはいいことじゃないかなと思っています。

ここに「AIと人とのハイブリッド行政」と書いてありますけれども、データを使って何かを見つけることは、どんどんAIを活用すべきだと考えます。ただし、いろいろなソリューションを見つけるとか、きめ細かく高齢者にフェイス・ツー・フェイスで対応していくみたいなところは、人の役割が必要なので、ハイブリッドというか、そういうやり方がいいのかな。

ちょっと話が飛びますけれども、車の自動ブレーキも、人が運転者で頑張って、前方不注意だったら運転者が悪いと、今もそうですけれども、そういうことを言っているだけじゃなくて、語弊があるかもしれませんが、あえて申し上げると、そもそも人は前方不注意なので、AIの目も入れて、人の目とAIの目の2つの目で頑張っていくようにしましょうというのは、一歩進んだソリューションに見えるので、そういう方向でのAI、IoTの活用というのは十分あるのかなと思います。

それから、ネットワークを活用した消費者問題への対応の在り方。これは、行政でやっているいろいろな政策が、必ずしも同じことをやっているわけではないですけれども、複雑に関連し合っていて、また、縦割りになっていて非常に見えづらいということもあるので、そういう政策相互の関係の整理とか可視化に関してはICTの役割はあるのかなと感じています。審議会などで結構分厚い資料が出て、こんなことをたくさんやっていますというのが出てくるけれども、とても読み切れないし、把握できないし、多分やられている方も分かっていないのではないかと思ったりするので、あのあたりの整理、可視化などは情報技術の役割としてあると思います。要するに、一つの自治体だってやっていること全部は見えていない。それで、ほかの自治体と連携するというのは、更にハードルが上がるので、そのあたりはICTの活用は可能性があるかなと思います。

次は、冒頭でお話ししたのと同じなのですけれども、公助・共助・私助ということが言われるのですけれども、その「私」という文字の中に民間が入っているのかもしれないですけれども、公共のものと私個人みたいな話になりがちなので、民間の行政支援サービスみたいなものの活用というのも考えていく必要があるのかなと思っています。民間の活用しようという観点からは、例えば高齢者で認知症の予防でも何でもするときに、ただ単に、外出機会を増やしましょうということをすると、ともすると売りつけるサービスにもなってくるので、そこは非常に難しいと思います。民間のサービスを活用して、自立した生活を送ってもらおうという場合にも、どれが優良か優良じゃないかというのはなかなか見分けがつかない時代だと思います。

そういう意味で、例えば認知症フレンドリーなサービスはこれですよとか、安心して利用できるようなサービスはこれですよという認証制度を作って、この認証制度自体を国がやるべきかどうかは分からないですけれども、そうした制度に対して国が支援していく。そうすると、優良なサービスが社会に広がっていく仕組み作りになるので、そういう政策も必要じゃないかなと思っています。そういう意味での行政イノベーションみたいなものの加速は必要なのかなと思います。

最後、専門人材の育成・活用ですけれども、私は工学系の大学にいるのですけれども、行政の問題を見る機会は全くないと思いますので、純粋に知らない。先生も学生も知らないということで、今からスマートシティとか、いろいろな行政に技術が入っていく機会も多いかと思いますので、こういう工学系・技術系のところにも行政の問題を教えるとか、そういうものに貢献できる人材を育てていくというのは必要なのかなと思っております。例えば、工学分野には、虐待診断ツールとか、そういうことを考えたりする人がいますが、課題があれば、課題を知っていればソリューションをいろいろ考えてみようという気になる人はいるのではないかと思います。そもそも知らないということがあるので、知らせていく必要はあるのかなと思います。

ということで、ちょっと雑駁になりましたけれども、ありがとうございました。

○新川座長 どうもありがとうございました。

それでは、本日御欠席の委員の皆様方からも御提出いただきましたコメントペーパーがございます。これにつきまして、事務局のほうから御披露をお願いできればと思います。

よろしくお願いいたします。

○友行企画官 それでは、ただいまの西田委員の資料から1つ前の資料に戻りまして、最初に首藤委員から御提出いただきました資料を御紹介させていただきます。

検討項目案のところでございますけれども、20年後の我が国の姿につきましてのコメントでございます。

エリアによっては行政サービスのフルサポートが困難になることから、自治体の連携によるサービス維持の検討が必要ではないかといった御指摘でございます。

また、消費者問題に継続的に取り組み、橋渡し役をしてくれるサポーターのような人材を各地域に育成・配置してはどうかといったところでございます。

また、地方自治体職員・予算減少に反し対応すべき課題は多様化している。深刻な事案の増加や職員の業務量の増大が見込まれ、自治体間の広域連携や共通業務の分担等を検討、推進させる必要があるといった問題意識を持たれているということでございます。

また、地域ネットワークを継続的に機能させるため、人材の育成・活動支援・組織化を早い時期から行っていく必要があるといったところでございます。

次の自治体により異なる課題の把握とそれらに対応した地方消費者行政の在り方のところでございますけれども、消費者庁は、地方自治体ごとの現状と課題の把握を行い、解決策を国と都道府県、市町村が共同して考える枠組みが必要ではないかといった御指摘でございます。その際、実態の把握に各地域の消費者団体・NPO等を巻き込むことがいいのではないかといった御指摘でございます。

次のネットワークを活用した消費者問題への対応の在り方のところでございます。

消費生活センターをネットワーク機能の拠点と位置付けるといった御指摘でございます。

また、自治体においては、福祉分野と消費者行政分野の連携が必要である。現在の地域包括システムに寄せられる課題は福祉分野が中心となっているけれども、今後は消費者課題の対応についても、消費生活センターとして独自の専門性を高めながら、ともに連携、活動していくことが必要ではないかといった御指摘でございます。

専門人材の育成、活用の在り方のところでございます。

こちらにつきましては、現状のままでは消費生活相談員の確保が困難といった御指摘でございます。地位の向上を推進する必要があるといったところもございます。

また、安定的な雇用の確保と継続的な配置による専門性を必要とする消費者行政担当職員、消費生活相談員の経験の積み上げが重要ではないかといった御指摘でございます。

こうした自治体の専門人材の育成については、国が中心となって都道府県を支援しといった御指摘もございます。

その次のITツールの活用のところでございます。

こちらにつきましては、民間の知恵を活用して、簡単で分かりやすいツールを活用してはどうかというところでございます。

「GPSを活用した見守り」「チャットを活用した、比較的簡単な相談の振り分け」「消費者教育や研修でのEラーニングの活用」等、ITツールを有効に活用していくべきだという御指摘でございます。

次の都道府県、政令市、市町村の役割の在り方のところでございます。

こちらにつきましては、都道府県は市町村と連携を図りつつ、市町村では解決の難しい課題に対して支援していく必要があるのではないかといったところでございます。

市町村の枠を越えた取組を都道府県が支援し、複数年度、複数市町村で活用できる予算など柔軟な仕組みも必要ではないかといった御指摘もございます。

最後の地方自治体と国との関係のところでございます。

消費者行政の推進は、国と自治体がともに取り組むべき施策であり、どこに住んでいても質の高い相談が受けられ、安全・安心が確保されるよう、消費者行政を社会インフラと考え、地方自治体の現状に沿った施策の再検討を、国と自治体が共同で行うべき。

国は経済社会の発展に即した消費者施策を推進する責務を有しているといった御指摘でございます。

首藤委員につきましては、以上でございます。

続きまして、八木委員のコメントペーパーにつきまして、御紹介いたします。資料のほうは、先に進んでいただきまして、資料番号7番のところでございます。

まず最初に、ステレオタイプな考え方、全国一律的アプローチからの脱却が必要ではないかという大きな視点でございます。どのような社会を構築したいかという意図を持って、その実現を図るような取組にする。実現したい未来を描いて、その実現のための施策を考える。例えば、大都市から人を移動させること、高齢者を単に消費者と考えず、高齢になっても稼ぎながら消費するセグメントと考えるなどといった御指摘でございます。

●のところでございますが、大都市圏から「故郷に戻ろう」「田舎で暮らしたい」という意識を持っている人材を積極活用することも検討してはどうか。大都市から地方へという人の動きを作るといった御指摘でございます。

その次の●でございますが、高齢者をいわゆる「手間のかかる人材」と見るのではなく、「活力あるシニア」と捉え、単なる「生産せずに消費する高齢者」ではなく、「稼ぎながら消費するアクティブシニア」として育成する。こうした地方における高齢者起業を支援するなどといった御指摘もございます。

このような様々なアイデアを持った自治体を支援するということも考えてはどうかというところでございます。

その次でございますが、採用、育成、評価、報償、活性化という観点から御指摘いただいております。

まず最初の採用のところでございますが、自治体、関与する人の意志を大切にした連携、人選を進めてはどうかというところでございます。

最初の●でございますが、全自治体一律という考え方を排しまして、協力体制を築く意思のある自治体間の協力推進を図る。本課題に自ら参画したいと思う人材によって行政チームを作る。難しい課題の解決には、その課題解決に強い意志を持った人材で対応すべき。そのために、自治体内外で公募人材を募るようなことも考えてみてはどうかといった御指摘でございます。

それから、次の育成の視点のところでございます。

最も大切なのは、目的と意義の徹底である。本件を実践する地方組織のリーダーの強い「思い」「情熱」とその日常的コミュニケーションが鍵ではないかといったところでございます。

また、本件に関する様々な知識、関連する幅広い教養を学び続ける機会と、意志の醸成といった観点も重要であるといったことや、組織を超えた情報交換といったことも重要であるという御指摘でございます。

その次の評価、報償のところにつきましては、積極的に関与した人とそうでない人の評価をしっかり行うことも大事ではないかという御指摘でございます。

次の活性化のところでございますが、首長を初めとする行政トップが常に関心を示し、検討メンバーを鼓舞するようなリーダーシップを発揮することが重要であるといった御指摘でございます。

その次の民間企業や団体の活用というところも御指摘いただいております。

民間企業や団体の支援を得ることが必要である。SDGsやESG投資の一環として考えてくれる企業は必ず存在している。そこからの人の派遣も考えられるのではないかといったところでございます。

最後、自治体間連携の御指摘もいただいております。

自治体サミット的なものを開催して、自治体間の協力の必要性やその在り方を議論し、アクションプランを作ることも考えられるのではないかという御指摘でございます。

次に、山田委員から御提出のペーパーの資料でございますが、検討項目案のところでございます。

20年後の我が国の姿といったところでございますが、たくさんの御指摘をいただいております。

短期的には、孤立化、空き家の増加など地域コミュニティにおけるソーシャルキャピタルの低下が安心・安全の面において地域対応力の低下を招いているという御指摘でございます。

長期的には、過疎高齢化により、地域コミュニティの消滅・崩壊も念頭に置くべきではないかといった御指摘もございます。

情報化社会の進展によって、消費者にとっては極めて危険な社会が出現しているといったことも前提にすべきではないかといった御指摘もございます。

また、地方自治体における職員、予算のところでございますけれども、2040年には、現在の試算では900を超える市町村が限界市町村状況に陥るといった御指摘でございます。都市部においても、急速に進む高齢化への対応に追われ、消費者行政に対し、職員を養成し十分な予算を割くことがかなり難しい状況に陥ることを念頭に置かなければならないといった、非常に厳しい御指摘がございます。

次の地方自治体により異なる課題の把握とそれらに対応した消費者行政の在り方といったところでございます。

この部分につきましては、自治体に対する調査が必要ではないかという大きな御指摘が1つございます。

次のところに参りますが、上から7行目でございますが、情報公開の前に、的確な情報の蓄積の在り方を検討すべきではないか。情報化社会は無秩序な情報の氾濫を招く反面、情報の蓄積については今まで考えられなかったような大量かつ多様で即時性のある情報の集積を可能にしている。多くの人が専門家の助言より、口コミのほうを信用しているといったことを重要視すべきではないかといった御指摘もいただいております。

次のネットワークを活用した消費者問題への対応の在り方でございます。

ここにつきましては、地域力が極めて低下しているといったことを前提に考えるといった中で、消費者行政を単なる単独の行政として捉え、対応する時代ではなく、まさに住民の皆さんの生活を守る総合行政の一部として捉えるべきではないかといった御指摘をいただいております。今、高齢者の一番身近な存在として、その生活を支えているのは、介護福祉のヘルパーさんやデイサービス、ケアマネであるといった御指摘がございます。さらには、民生委員・児童委員の方々であるといったところでございます。

予防面や実際の問題が起きたときの解決対応力は、日ごろの生活で接している人たちと作っていくことが一番効果的と考えるといった御指摘でございます。

また、繰り返しになりますが、「上記のように」というところでございますけれども、消費者行政を住民の生活を守る総合行政の一部として捉えない限り、主体的な取組の機運はなかなか出てこない。縦割り行政の中でみんなが欲求不満に陥る状況になるといったことを御指摘いただいてございます。警察・消費者相談員・弁護士などのエキスパートへの受け渡し連携システムの構築が必要ではないかという御指摘でございます。

次のところでございますが、専門人材の育成、活用に関しましては、専門人材の育成は必要であるが、網羅的で十分な数の確保は現状において望めないと考えるのが現実的だという御指摘でございます。

「このため」というところでございますけれども、高度専門人材はあくまで広域的なネットワークの中核として考えるべき。そして、その補助としては、定年を経た、社会経験もあり、時間の余裕もある高齢者層を準専門人材として育成してはどうかといった御指摘でございます。

その次のところでございますが、消費者問題が多様なのではなく、社会全体が多様化しているという視点が重要ではないかといった御指摘でございます。

次のITツールの活用のところでございます。

「口コミ社会は」というところでございますが、特に評価面においては、かなり信頼の置ける状況を作り出しつつあるというのが、山田委員の御認識でございます。その上で、こうした情報をAIに読み込ませることによって、最新の問題に素早くアクセスできるシステムを作ってはどうかという御指摘でございます。

高齢者の見守りのところにつきましては、将来的にはAIが高齢者等の電話を聞いて、内容によって警告を出せるような仕組みができると安心できるのではないかといった具体的な御指摘もいただいております。

また、その次の都道府県、市町村の役割の在り方のところでございますが、市町村は、住民の安全を守る総合行政の中で消費者問題を考え、その中で、解決には専門的支援が必要な事象について、都道府県への対応を求めるべきという御指摘でございます。

次の国との関係のところでございます。

国が個別事案について乗り出すことは、人員的にも予算的にも難しいのが現状ではないかという御指摘でございます。それだけに、地方団体の財政的な裏付け支援や全国的なデータベースの構築とAIによるリモート支援を考えるべきではないかといった御指摘もございます。

山田委員につきましては、以上でございます。

最後に、山本委員の御指摘のペーパーでございます。

こちらにつきましては、最初の「2018年7月に発足した第32次地方制度調査会は」というところで、こちらの地方制度調査会の議論につきまして御紹介いただいております。ここでは「人口減少が深刻化し高齢者人口がピークを迎える2040年ごろから逆算し顕在化する諸課題に対応する観点から、圏域における地方公共団体の協力関係、公・共・私のベストミックスその他の必要な地方行政体制のあり方について、調査審議を求める」といったことにつきまして検討されているといったところでございます。そして、この中間的な取りまとめに向けた論点整理について、現在、検討されているところでございます。山本委員は、この検討にも御参画されております。

この論点整理(案)のところについて御紹介いただいておりまして、マル1といたしまして、2040年ころにかけて顕在化することが予想される諸課題と、マル2こうした諸課題に対して求められる視点・方策とをまとめているというところでございます。マル1の諸課題につきましては「人口構造の変化」と「技術・社会等の変化」について着目されているところでございます。

それから、少し飛びまして「マル2の方策は」というところにつきましては、「ひとに着目した方策」「インフラ・空間に関する方策」「技術を生かした方策」に分けて整理されているというところでございます。そして、その方策に関する横断的な視点として「地域の枠を越えた連携」や「組織の枠を越えた連携」が示されているといったところでございます。

「以上のような」というところで、地方制度調査会では、地方制度の理念に照らした地方制度の在り方に集中して議論が進められてきたというところでございますが、今回の調査会では、できる限りいろいろなタイプの地方公共団体について現地調査を行って、地方制度に限定せず、他制度を含めて検討されているというところも御紹介いただいております。

その中で、地方制度調査会について、いろいろと意見をここで御紹介したのはという御説明をいただきまして、地方公共団体の中で消費者行政のための組織・予算を区切って、それを拡大することを全ての地方公共団体に求めることは、一定水準で必要となるけれども、今後、ますます難しくなろうというのが先生の御指摘でございます。

例えば、教育、援助(見守り)、相談、執行の各分野では、連携先及び連携の在り方が異なる、それぞれの分野について、これまでの連携の取組の事例を収集・分析するとともに、連携先ないし連携先の候補を含む様々な関係者・関係団体の視点から、連携を難しくしている制度上・実態上の要因を分析することが有益であろうという御指摘でございます。

その中で、「しかし」というところでございますが、地方消費者行政の場合、問題の発生を予防し、あるいは問題を発見する場面では、地域に密着した行政活動が必要である一方で、問題を調査し問題に対応する場面では、地域を越えた連携が必要になる場合が多く、地方消費者行政の成果も、地域を越えて及ぶといった特徴を確認すべきであるといったところで、地域性と越境性というところも御指摘いただいております。

最後の「以上では」というところでございますが、情報技術の活用と専門人材の育成も御指摘いただいておりまして、専門人材の育成については、問題があらわれたときに短期間で解決することが困難であり、継続的な取組が重要な課題であるといった御指摘もいただいております。

御説明につきましては以上でございます。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、意見交換に進めさせていただきたいと思います。お手元資料1の「1.問題意識」「2.検討項目案」、(1)20年後の我が国(地方自治体)の姿、(2)地方自治体により異なる課題の把握とそれらに対応した地方消費者行政の在り方につきまして、先ほど来、各委員から様々な御意見をいただいてまいりました。また、今日御欠席の皆様方からのコメントでも、関連して幾つかいただいてまいりましたが、この問題意識、それから検討項目案の(1)、(2)につきまして、御出席の委員から付け加えて、また、他の委員の御意見に触発された部分等ございましたら、少し意見交換をさせていただければと思います。

どうぞ、ここからは御自由に御発言いただければと思います。よろしくお願いいたします。

どうぞ、大森委員、お願いします。

○大森委員 伊集先生のお話で、検討項目の地方自治体の職員・予算の現状のところで、行政職員という区分で見た場合には必ずしも少なくないという、そのあたりをもうちょっと詳しく教えていただきたいです。

○新川座長 では、伊集先生、お願いします。

○伊集委員 ありがとうございます。

ここはちょっと誤解を招くような表現だったかと思うのですが、諸外国と比べたときに、住民当たりの公務員の数を見ると、日本は結構少ないというのが出てくるのが一般的なのですが、先ほど申しましたように、例えばヨーロッパの国だと、教育とか医療というところが公的に供給されているので、そこの職員は公務員ということで、そういうところで非常に多い。全体で見ると日本は少ないけれども、日本の場合、教育、病院、福祉施設というものにかなり民間事業者が参入してきて、公務員の方じゃなかったりするので、その分下がっている。それでいくと、実はいわゆる市役所で働いている職員という部分で見ると、もしかしたら多くなるかもしれない。

例えば、私はスウェーデンの研究をしていて、スウェーデンで生活していると、あそこは市役所の窓口はないのです。なぜかというと、例えば児童手当をもらったり、子供の保育園を申請したりというのは、別に所得制限も何もない、みんな一緒なので、特に自分の所得証明を出したりする必要はないので、そういう手続が一切ないのです。子供は、ある一定年齢になれば、そのままみんな同じように行く。そうすると、窓口はほとんど必要ない。そうすると、日本の市役所の窓口にいるような人は、全く中のほうで別の仕事をしている。そういう行政職の仕事の人材がどういうふうになっているかという点も検討してみるべきじゃないかという意味で書かせていただきました。

今の答えでよろしいですか。

○新川座長 どうぞ、大森委員。

○大森委員 ありがとうございました。

非常に示唆に富む発言だったと思いまして、全て行政の人が担当しているというところで、いろいろなジャンルで行政の方が異動するものですから、余り専門家でもないのに行政を通じて全部やらないといけないというところで、効率が非常に低下している部分もある。また、民間とコラボできることでもう少し効率的に進むことがあるということが分かりましたので、この辺、どんどん進めていけたらいいなと思いました。

○新川座長 ありがとうございました。

そのほか、いかがでしょうか。

どうぞ、尾嶋委員。

○尾嶋委員 職員の数ということですけれども、特にその中で消費者行政に関する職員というふうに範囲を狭めますと、非常に少ないのではないかと思います。これも消費者庁の強化作戦ということで、相談員は多くなりましたけれども、職員は一向に多くならない。そして、消費者安全法とか消費者教育推進法とか、いろいろな法律ができて、職員の事務量は非常に多くなっているにもかかわらず、数が多くならない。逆に減っているのかもしれません。そういうことで、消費者行政の職員は他の部署とはちょっと違うのかなというところがあります。そして、職員は二、三年ぐらいで異動してしまうので、消費者行政の特殊性をどうしたらいいのか。

小さな自治体ですと、消費者行政部門と言ってもたくさんの仕事を抱えていまして、消費者行政をやっている暇はないようなところもあります。ですから、職員が研修に参加したくても行けない。消費者行政に関する専門性をどういうところで磨いていくのか、その時間の確保ができないのではないかというところが、消費者行政の大きな問題・課題かなと思っております。

○新川座長 どうぞ、大森委員。

○大森委員 今のところは非常に共感できるところで、私たちNPOもいろいろなセンターと連携しておりますけれども、センター長というのは、場所によれば定年までの1年ぐらい、電話を受け渡しだけが仕事という現場もあります。

一方、相談員が国家資格になりながら余り活用されていないという実情があるので、できましたら、その国家資格を取った相談員の方がセンター長になっていただけると、非常に専門性があるし、消費者行政が進むのではないかと思います。

○新川座長 ありがとうございました。

そのほかいかがでしょうか。

どうぞ、大森委員。

○大森委員 西田先生のAIと人とのハイブリッド行政とか、あとアクティブシニア認証制度とか、非常に共感するところです。私たち、いろいろなところで出前講座とかをしたときに、地域の高齢者につなぐ民生委員とかヘルパーさんに情報を伝えたときに、最新の情報をどんどん更新していただくためには、IT化してタブレットにどんどん情報を入れて、それを高齢者に、こういうことが載っていますよと伝えるマンパワーが必要だと思います。

特別支援学校の先生も、生徒たちに伝えるときに最新の情報をデータで欲しいとおっしゃいます。そういう先生方もタブレットに最新の情報を取り入れて、188というのができたから、ここに相談したらいいよとか、分かりやすく説明ができるので、ハイブリッド行政というのはどんどん進めていくべきだと思います。そうすると、タイムリーに必要とする人のところに伝わっていくと思います。

あと、アクティブシニア認証制度みたいな話ですけれども、今、サ高住などもお金が保管されていなくて、破綻して消費者が非常に被害を受けたという現状があって、行政ではなくて、自助努力的に自分で解決しようという人たちが安心できるところはどこなのかという、非常に不安な状態にあります。

また、私、個人的に骨折したのですけれども、非常に親切に、リハビリの講習の人を派遣しましょうかとか、この辺、手すりをつけましょうかと、一過的なことで、私もリハビリも教えていただけたら、自分で勝手にしますからとお断りしたのですけれども、そういういろいろなサポートの、親切からか、押し売りになっているのか、その辺、過剰にお金を使われると、もともと財源が少ないのが非常に困ってしまうところもあり、そういう認証制度みたいなものは早急に必要だと思います。

○新川座長 ありがとうございました。

IT活用のところにも少し入ってしまいましたが、西田先生からもし何かコメントがあれば。

○西田委員 今、大森委員がおっしゃられたことに僕も大賛成です。1つは、タイムリーに知らせていくというのが必要で、詐欺とかの犯罪者側もすごく切磋琢磨するので、日々変わってきますね。

○新川座長 あちらのほうが頭がいいですね。

○西田委員 ええ。それで、東京都の資料だったと思いますけれども、そういう金融詐欺に遭わなかった最大の理由は何かといったら、事前に知っていたというのが大きな理由だったと思います。ということは、いろいろなチャネルを使って知らせていくということは大事だと思っています。そのときに支援者支援で、高齢者がICTを使いこなすかは分からないですけれども、そのつなぎをやってくれる人を支援するツールとしては役に立つのではないかと思います。

それから、アクティブシニア認証制度という名前が良いかどうかは別としても、そういう目安になるものがないと、親切か押し売りかは本当に紙一重に見えます。そういうものを、PDCAでまわし、まずいものは排除しながらいいものにしていくということをする。

それから、いろいろな事故データバンクというか、PI0-NETで出てくるものを分析すると、だますテクニックというものも整理されて、少なくともこういうチェックリストに合格したサービスじゃないとまずいですよというのも作れると思います。そういうものを作ると、よい方向に動いていくかなと思いますので、そういう動きは作っていく必要があるかなと思います。

そういう意味で、もう一つ、認知症フレンドリーというのも似たようなところがあるかと思うのですけれども、認知症に限らず、僕でもよく分からない契約形態はすごくたくさんあって、これは本当にどうなっているのかと思うことがあります。実名を挙げると語弊があるので言えないですけれども、普通に普及しているサービスでもたくさんありますね。なので、認知症の人のためという基準は、本当は一般の人のためにもなるのではないかと思うところがあって、アクティブシニアと認知症フレンドリーの方向性は同じだと思いますが、そういう方向が大事なのかなと思います。

○新川座長 ありがとうございました。

すみません、議論がちょっと先に行ってしまいましたが、20年後の我が国(自治体)の姿、あるいはこれからの地方自治体の変化に対応した地方消費者行政の在り方ということにつきましては、財政や人員、様々な制約の中で、もう一方で消費者行政というものをきちんとやっていくためには、本来充実すべきところをしっかり考えていかないといけないのではないかということで御議論いただいたかと思います。

具体的な方策として、今の日本における行政そのものの職員数を単純に増やすという話では恐らくなくて、様々な専門制度あるいは民間の力、そうしたものを大いに活用しながらという方向性は御示唆いただいたのではないかと思っております。その中で具体的にどうするかというのは、これからということで考えていきたいと思っております。

それから、ネットワークを活用した消費者問題への対応の在り方、専門人材、ITツールの活用等につきましても、今、いろいろ御意見をいただいてまいりました。こちらにつきましても、これからの先端技術というものを大いに活用して、しかし、もう一方では、認知症フレンドリーという話がありましたが、消費者フレンドリーにしないといけないですね。そういう観点も強調されたのではないかと思います。様々な施策をどういうふうにしてその方向に向けていくか、ここが大きなポイントかもしれません。

もう大分時間が押しておりまして、本日お話をいただく予定にしておりました沼尾先生においでいただいておりますので、本日の資料1の問題意識のところにつきましては、そろそろ閉じたいと思いますが、各委員からこれだけはということがもしございましたら、御発言いただいて終わりたいと思いますが、よろしいでしょうか。

では、また改めてということで、次回以降、まだまだ審議させていただく時間があろうかと思いますので、まず、質疑応答、意見交換につきましては、以上にさせていただきます。府県の役割、センターの役割、その中での市町村の役割等々、また国の責務等々につきまして、大いに御意見をいただいたかと思います。このあたりにつきましては、また改めて当調査会としても議論を深めてまいりたいと思っております。

それでは、大変お待たせをして恐縮ですが、東洋大学の沼尾教授においでいただいてございます。「地方消費者行政を取り巻く状況」ということでお話をいただければと思います。沼尾先生から20分程度と聞いておりますが、よろしくお願いいたします。

○沼尾教授 東洋大学の沼尾でございます。本日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。少し前にこちらに入ってきたのですけれども、そこで皆様の御意見を伺っていますと、今日、私がこれからお話ししようとすることと相当重複があるようですので、どういう現状なのかということについて再確認していただいて、議論を深めるための素材にしていただければと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

また私は、消費者行政が専門ではなくて、自治体財政が専門ですので、そういった観点から、必ずしも地方消費者行政そのものの在り方ということに関して、現場のことを深く存じ上げている訳ではないので、その点も御了解いただければと思います。

それでは、お手元にレジュメとパワーポイントの資料があるかと思いますけれども、すみません、タブレット使用という認識がなくて、別々の資料を用意してしまったのですが、もし資料データの転換が手間ということでしたらパワーポイントのスライドの資料を中心に見ていただくほうがいいかもしれません。

さて、今、既に話が出ておりましたが、補足資料にありますとおり、地方公務員数は、行政改革の中で年々削減が進められてきております。特に2000年代前半の集中改革プランにおける計画目標の設定があって、職員減が相当進んでいる。最近の数年では、定年退職者が増えていることなどから、微増傾向にはあるのですけれども、先ほどからお話にも出ておりましたとおり、地方消費者行政の分野もそうだと思うのですが、それ以外の政策分野においても、国から様々な計画とか政策、事業の策定が要請される中で、自治体の現場では限られた職員で、地域住民や民間事業所と連携しながら多様な行政課題に対応しなければいけないという状況に置かれております。

また、財政の状況につきましても、次のスライドにございますとおり、国のほうも非常に厳しい状況に置かれております。

そちらに地方財政計画額の推移について、ちょっと図が見づらいかもしれないですが、載せております。投資的経費だけを棒グラフにしており、それ以外の費目を折れ線にしておりますが、どういう状況かと申しますと、2000年代以降、投資的経費については、国からの財源保障の額という意味で地方財政計画額、すなわち補助金や地方交付税、地方税などを通じた歳出見込み額は大きく減ってきています。けれども、その一方で、右肩上がりに増えておりますのが、グラフの一般行政経費(補助)と書かれているものです。これは、最近ですと、例えば児童手当を含めた子ども・子育て関係の補助金を通じた歳出などでして、今度の幼保の無償化により、今後も、どんどん右肩上がりになっていくところです。

それに対して、上のほうで若干の微減になっているのが給与関係経費のところでして、職員減や給与削減といったことで対応しているところです。行政サービスの多様化や複雑化を考えると、人件費部分についてマクロ的に見たときに、自治体の財源保障という点では、かなり下がりぎみというところがあります。

自治体が独自に地方消費者行政分野も含めて何かやろうとすると、一般行政経費(単独)事業のところで何ができるかということになるのですが、それがこのグラフのブルーの線にありますとおり、ほぼ全国ベースで15兆円、横ばいということになっております。この15兆円の中には、実は地方創生の経費も含まれておりまして、自治体が個別に手を挙げて、それが採択されれば、そこに財源が配分されることになっております。

いずれにしても、このような厳しい状況の中で、今、生活困窮者支援や子ども・子育て支援といったところ、あるいは高齢者のケアといったところに対する財政需要がどんどん増える中で、限られた職員と、限られた財源の中で、いかに資源を配分しながら課題に応えていくかというところに自治体は直面していると言えると思います。

右側に高齢者保健福祉費と介護に関する、地方交付税の算定根拠というものが載っておりまして、右上の表が高齢者保健福祉費の職員配置で、地方交付税の財政措置の対象となっている人員数ですけれども、2011年から2017年まで、合計数としてはほぼ変わらないということになっております。ただ、給与の高い職員Aの数が若干減っていて、給与の低い算定となっている職員Bの数を少し増やすことで、何とか全体としての給与関係経費の需要額を減らしているといったことが起こっております。

これは、高齢者保健福祉費だけではなくて、生活保護費や子ども・子育てなど、様々な分野で、こういう形で何とか一定人員の人件費を保障するような対応がとられているということを知っておいていただければと思います。

実際に、地方交付税の総額がどうなっているかというのが次のスライドですけれども、かつて2000年当初、20兆円を超えていたものが15兆円ぐらいまで下がって、その後、政権が民主党に変わって、一旦、17兆円台に回復するのですけれども、その後、再び少しずつ縮減の方向に来ているという状況で、今、16兆円前後で推移しております。ただ、いずれにしても、国のほうでも財源が非常に厳しい状況の中で何とかやり繰りをしているというのが実情でございまして、その中で、この地方消費者行政というものをどう考えていくのかというところになるかと思います。

次のスライドが地方消費者行政に関する普通交付税の算定です。これは、よく消費者団体の方などが、これだけの交付税算定がされているわけだから、その分の施策や事業というものに自治体が歳出をちゃんと使うべきじゃないかという議論をされるときに出されるのですけれども、2012年度から2018年度まで見ていただきますと、金額としてはほぼ横ばいという状況になっております。消費生活相談員の報酬ということで算定された、標準団体の場合ですけれども、金額についても、年間627万円ということで横ばいになっているということがございます。

これも、今、消費生活相談も含めて消費者を取り巻く状況は非常に多様化、複雑化しておりますし、被害の件数も相当増えているということを考えると、相談員の報酬がずっと横ばいでいいのかという議論もあると思うのですけれども、これは消費者行政だけの領域ではなくて、ほかの分野でも同じようなことが起こっているということですので、そこだけを何とかくれと言って、それがつくかどうかというと、なかなか厳しいだろうということです。

それから、充当項目としては、2018年度からちょっと増えてきておりまして、例えば消費者教育推進地域協議会の運営費とか、様々な協議会の運営費についても書き込みが行われるようになっております。以上のことから、このような人員・財源が不足している中で、どういうふうに対応していくかというところが問われるだろうということです。

先ほどの議論の中でも民間との連携という話があったと思うのですけれども、もう一方で、広域連携ということが当然視野に上がると思います。次のスライドに、日常生活圏における構造変化ということで、これは国交省の審議会資料ですけれども、モータリゼーションの進展や道路網の整備などから、人々が買い物に出る場合、農村部から近くの小都市ではなくて、人口20万人以上の中心都市に買い物に出る人たちが増えている。消費の形態として、非常に距離が離れたところに買い物に行くとか、あるいはここには書いてありませんが、インターネット通販で買い物をするとか、そういう形で多様化してきている。

そのように考えたときに、ローカルな単位で支援体制を考えるということももちろん大事なのですけれども、広域的な対応というものを、消費動向の変化に伴ってどのように考えていけばいいのかということが、もう一方で出てくることになります。

次に、財政需要の話で言うと、これも釈迦に説法で恐縮ですが、社会保障給付費が非常に増大している中で、その人員と財源の確保は待ったなしだと。まして、最近では、次世代育成支援とか子ども・子育てというところでの歳出増が見込まれる中で、消費生活相談とか地方消費者行政へ資源配分をどう考えるかというところがポイントになってくると思っております。

消費者庁の調査を見ると、消費生活相談なども含めて、人口規模の大きい都市のほうが様々な施策や事業というものをしっかりやっているということが出ているわけですけれども、こうしたサービス分野において単独事業の実施状況がどうなのかということを、例えば教育のケースで見てみたいと思います。教育の場合も、文部科学省の制度のもとに、例えば小中学校の教員給与に関しては、国の規定で国庫負担金と一般財源で保障されていますので、そういったところの対応はしっかりしている。ところが、それを上回る、例えば副担任をつけるとか、ALTをつけるとか、オプションで個々の実情にきめ細かく対応したサービスをしようとすると、その部分の財源はなかなか確保されないという実情がございます。

これを見ていただいても、特別支援学級の教員とかALTの雇用については、もう既に9割近い自治体が導入しているのですけれども、やはり十分ではなく、さらに少人数学級とか独自教材みたいなところについては、財政力の高いところほど手厚い対応が行われている傾向が顕著でして、財政力が弱いところはなかなか厳しいといったところがございます。そのあたりも含めて、限られた財源と人員をそれぞれの自治体の規模とか財政力に応じて対応しつつ、マクロで見たときに、全体として国民の安全・安心を確保するような消費者行政をどういうふうに考えるかというところが問われるかなと思っています。

そう考えたときに、1つは、消費生活相談員の方も含めた消費者行政の専門的な領域、専門職の方が専門的な知見とか経験、ノウハウを持って、専門的なまなざしで対応しなければいけない領域もあるのですけれども、片方で、地域の中に入ると地域の暮らしがあって、そこにケア、介護とか見守りとか買い物支援とか、いろいろなサービスの支援が必要だとする。

そういう多様なニーズがあって、そこに縦割りでそれぞれの専門職が入って何か支援していくということで、うまく回ればいいのだけれども、これだけ人とお金が限られているとすると、そこはうまく横串を刺しながら、1人の方が複数の対応ができるような形で、その専門性というものを、他の地域の専門性とリンクしながら地域に溶け込ませていくような人員の配置ですとか連携の仕組みというものをこれから考えていくことが問われていくのではないかなと私は考えております。

次に、これは愛媛県の松前町で地域包括ケアのワークショップをやったときに、介護事業所職員の方に高齢者を取り巻く地域課題の例を聞いたのですけれども、1つ、高齢者の暮らしというのをとったところで、道路が狭いということであれば道路課に聞かなければいけないですし、買い物ができないとか、公営住宅にエレベーターがないとか、ごみ屋敷で困るとか、認知症の対応とか、医療の問題とか、自分の生きがいとか、高齢者を取り巻く状況は非常に多様で、役所に行くとそれぞれが縦割りに認識して状況を把握するのだけれども、トータルにそれをどういうふうにサポートすればいいのかということになると、結局、それが民間の介護事業所の職員の方が、自分たちでできる範囲のことをやって対応しておられる。

役所に行くと、それが全部縦割りのセクションになっていて、個別のことには答えてもらえるのだけれども、全体としてトータルにどうしていけばいいのかというところがなかなか弱い。そのあたりの仕組みをどういうふうに考えていけばいいのかということが問われていくのではないかなと思っているところです。このときには、自治体の各課でも高齢者を取り巻く地域課題について出していただいたのですけれども、このときにいろいろな課の係長さんとか課長補佐さんが話していて、高齢者1人をとっても、それぞれの課でこんなに困りごとがあるのに、それが全体として庁内で共有されていなかったねと。これをもうちょっと共有しながら、ワンストップでうまくやれるようなことをどういうふうに考えればいいのかということが問われました。

さはさりながら、それぞれの専門性がある中で、そこをどういうふうに組み合わせていけばいいのかというところは、行政体制としては非常に難しい問題もあって、よく言われる縦割りと横串をどういうふうに組み合わせつつ、行政が対応するのか、あるいはその窓口というものを役所が担うのか、もう少し民間に入ってもらうのかというところも含めて考えていくことが大事ではないか。この中に、消費者行政の話というのも当然入ってくるだろうと思っています。

実際に今、地域包括ケアシステムをどういうふうに地域で作るかというところでは、それぞれの地域で様々な工夫とか取り組みが行われているのですけれども、そういった中で、民間の社協さんですとか社会福祉法人さんなどが、単に介護が必要になったから介護サービスを提供するという、サービスの需要と供給という話ではなくて、もう少し暮らし全体の中で、日々の見守りとか声かけも含めて介護というものにつなげていこうというプラットフォームを作ろうと。

そうすると、そのスライドにありますとおり、地域の中で、まず地域にどういう人たちが、どういう場所に住んでいて、どういう家族構成で、何が起こっているかということを把握しつつ、今どうなっていて、どういうニーズがあるのかということを知り、それぞれの課題に対して、それぞれ専門家がうまく入って連携しながら、その解決策について地域住民も参加することで取組を行っていく。こういう場を作っていかなければいけないのではないかということで、そういう取組が行われている地域もぽつぽつとは出てきています。

こういうところには、例えば消費生活相談員の方が上手に入られたり、あとは、これは印象的だったのですけれども、人はだまされてしまうと、消費生活相談窓口には行かない。恥ずかしくて言えません。だけれども、何気ない日常会話の中でおばあちゃん、どうしたのと言われて、この人、聞いてもらえるかもというと、実はねと、そこでぼろぼろと課題が出てきて、すごく大変なことになっているということが出る。

だから、消費生活相談窓口を作ることが、そこに人を配置して、場所を置くということが効率的なのかどうか分からない。むしろ、話を聞きながら、出てきたところに専門家が素早く対応できるシステムを、もう少し他の施策や事業と一体的にやりつつ、いざとなったときに専門家の出番だよという体制を作るところが効率的な人事配置につながるのではないかという話がありまして、私も全く共感したところです。

ですので、それぞれの自治体で消費生活相談窓口を置いているのですけれども、行政のほうは作れと言われたので作って置いてある。だけれども、それが本当に機能しているかということも含めて、本当に困っている人が声を発しようかなと思うような場をどう作って、出たところで専門家とつなぐという仕組みが大切なのではないかと思っています。

そのあたりも含めて、レジュメのほうに少し書いているのですけれども、改めて3番目、「棚卸し」による地方消費者行政の事務の見直しと書いたのですけれども、つまり、それぞれの自治体、地方消費者行政に関して、これをやりなさいと言われたことは、一応、形式的にはやっている、あるいはやろうとしているのですけれども、それは実効性があって効果が発揮されているのかというところも含めて、あるいは効果を発揮するためには何が必要なのかということも含めて、改めて棚卸しをしてはどうか。つまり、実態を把握しながら、課題をもう少し整理してはどうかと思っています。

そこに○印で4つ書いているのですけれども、例えば消費者「教育」であれば、学校の授業の中でやっていくのか、コミュニティで対応するのか。これも本当に3先駆的な自治体さんですと、すごく分かりやすいテキストを作って、その教材でみんなで学ぼうということをやっているところもあれば、もう少しコミュニティレベルでやっているケースもある。

あるいは、消費生活相談に関しても、本当に困ったら「繋ぐ」という支援が果たして機能しているのかどうかということも含めて、さっき申し上げたようなことも含めて、改めて確認していく必要があるだろう。

あるいは、アウトリーチや掘り起こしについても、地域包括ケアシステムとか、最近ですと子ども・子育てのネウボラといったところに、うまく消費生活相談の仕組みも入れていくとか、生活困窮者支援も、そもそも生活困窮者支援の窓口に入れるのがいいかどうかも分からないのですけれども、これも変な話が、移住相談の窓口で生活困窮者とか消費者被害の例が出る。つまり、移住したいんです。何で?と話を聞いていると、この人、多重債務ですごく大変だという話が出てくる。だから、生活困窮者として窓口には行かないし、だまされたといって窓口には行かない人であっても、移住相談だと窓口に行く、というあたりも含めて、そこをどうしていくかということかなと思っています。

あと、商品テストについても、機能と役割を改めて再評価していく必要があるのかなと思っているところです。

窓口を作らなければいけないので作った、ということではなく、実を取れるような仕組みを改めて確認していく。その実態を、ぜひこの専門調査会で把握するような調査を自治体に対して行ったり、どこかサンプルをとってもいいと思うのですけれども、丹念に調べて課題を整理してみるということをやられると、非常に効果的な人の配置と財源についての提案ができるのではないかと思います。

あわせて、先ほど申しました庁内連携とか情報伝達、広域連携、こうしたところについても、ぜひ実態を把握していただければと思います。

パワーポイントの資料にはいろいろ挙げているのですけれども、既に自治体間の連携の例としては、中心となる、例えば人口30万人以上の都市が、消費生活相談業務を周辺の町村も入れて広域でやっているケースとか、あるいは県がそれをサポートするような事例もある。いわゆる「奈良モデル」などのイメージでいいと思います。そういったところも含めて、連携しながら、専門職のまなざしは必要だし、専門家というのは大事だと思うのですけれども、必要な時に必要なところに入っていくような体制を、自治体の市町村の庁内でも、あるいは自治体間の連携という意味でも考えていくことが大事です。

最後、パワーポイントの一番最後のスライドに論点を書きました。大体、今、申し上げたとおりですが、最後に1点だけ、情報の取扱いのところについて、先ほどもITというお話がございました。これは、すごく悩ましいのは、今、Society5.0ということもあって、ICTを自治体でも入れろということでシステムを導入するのですけれども、あれはあれで非常に莫大なコストがかかって、専門職の方がそれぞれの自治体にいらっしゃらないと、入れたはいいけれども、どう使っていいか分からないということも起こっている。

消費者相談も含めて、消費者行政に関するデータベースをもって、どのような相談が来ているのかを把握するというのは大事なのですけれども、そのデータを誰がどのように加工して、分かりやすく提示するのかという、そこですね。それを誰がやるのかという問題があって、個別の市町村でそれをやるのは難しいところもあるのかなと思っています。

あと、逆にICTを入れると効率化するところもあるのですけれども、高額なコストがかかってしまうという側面もあるし、どう使うかという使い方に関する方向性が見えていないと、業者の言いなりになってしまうところもあるので、そのあたりも含めて、ICTを入れていくということであるとすれば、そこのICTの専門職の方とどういうふうに連携するのか、あるいは情報をどういうふうに加工して使っていくのかという戦略を考える必要があると思います。それを個別の市町村にやれというのはかなりしんどいと思うので、そのあたりも含めて、今、何が課題で、どこの部分にITを入れれば、本当の意味で効率化が図れるのかというところを、ここで検討していかれるといいのではないかと思います。

私からは以上でございます。ありがとうございました。

○新川座長 どうもありがとうございました。限られた時間で本当にいろいろと重要な論点をいただきました。

それでは、ただいまのお話に関わりまして、各委員から御質問や御意見いただければと思います。よろしくお願いいたします。

では、私のほうからちょっとだけよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。いつも教えていただくことが多いのですが、特に消費者行政、地方消費者行政が私は中心なのですが、棚卸しというお話をいただきました。その中で、ある意味ではそれぞれの自治体の事情が全く違ってきているところもあって、一律に棚卸しと言われてもなかなか難しいかなというところもあるのですが、もう一方では、先ほど教育・啓発とか相談業務とかの御指摘もありました。少なくとも最低限度、これぐらいは棚卸しをしてねという、先生のほうで目のつけどころがあればちょっと教えていただくと、これからの調査とかがやりやすいのですが、何かヒントがないでしょうかという質問です。

○沼尾教授 ありがとうございます。

まず、消費生活相談窓口と相談員の配置については、消費者庁で人数について把握しておられると思いますが、その方たちが実際にどういうふうに相談に乗っておられるのかですとか、あるいは実際の相談というものが、つまりどのように上がってきているのか、実際に消費生活相談窓口に行かずに法テラスなどに直接行っているケースもあるのではないかと思うのですけれども、困ったときにそれを情報として上げて対応するルートが、実態としてどうなっているのかということを、消費生活相談の方だけではなくて、もう少し、例えば高齢者介護とか福祉とか生活困窮の方というところで、どういうふうに現場が対応できているのか、できていないのかというところを把握していくことが大事ではないかと思っています。

コミュニティ、例えば地域運営組織が非常に強いところでは、そういうところがむしろ勉強会で専門家の方をお呼びして、自分たちで自主的にプロテクトしていこうという取組を行っているケースもあったりしますし、そういう事例というものをまず当たってみるということですね。そこで、恐らくここは専門家がいないといけないというときの、その専門家にも弁護士さんが対応されている場合もあれば、いろいろなケースがあると思うのですけれども、その実態というものが案外把握されていないのではないかと思っています。だから、全国に一斉に網をかけるというよりは、どこか事例をとって、割とうまくいっているとか、課題があるというところで調べてみられるといいのではないかと思っています。

○新川座長 ありがとうございました。

どうぞ、大森委員、お願いします。

○大森委員 どうしても行政のほうは、消費生活センターがどれだけ配置されたとか、こういう見守りの組織が何件できたという数字ばかりになっていて、名前の違う同じようなものが幾つもあって、機能していないのではないかとか、私もとても問題意識を持っていましたので、地域でいろいろなところが参画して見守っていって、それで困ったときに専門家につなぐというシステム作りは、本当に大切だと思います。そうなってくると、いろいろな協議会も一本化されるので、名前は変わるけれども、同じ人たちが度重なって出ていたのも、回数を減らせられるし、非常に効率的に大事な人がいろいろ入って進むのではないかと期待するところですけれども、具体的にそういう成功しているところとか、事例とか、あるのでしょうか。

○沼尾教授 以前、事務局にはお伝えしたのですけれども、例えば島根県の雲南市さんなどは、いわゆる地域運営組織、地域自主組織が積極的な役割を果たしています。合併後、限られた職員での対応に加えて財政も厳しいので、行政としてできることは限られていると住民に伝えています。市役所には消費生活相談窓口を置いていますが、それぞれの地区で見守りあいながら、買い物や健康医療、認知症の予防など、本当にいろいろなことを、それぞれの地区においてやれる範囲のことをやっておられる。その中で、例えばみんなで消費生活に関する勉強会をやりたいという場合には専門家の方もお呼びするといった取り組みも行っておられると聞いています。

ただ、悩ましいのは、地域の自主性に委ねているところがあるので、地域の側がそういう意識が弱かった場合に、行政のほうからうまく啓発していかないとユニバーサルになりにくいところもある。そのあたりの関係性の取り結び方というのが、必ずしも全体にまだ網がかかっているわけではないので、恐らく意識の高いところとそうじゃないところで若干の差はあるのかなと思っています。

○大森委員 ありがとうございます。

○新川座長 ありがとうございました。

そのほか、いかがでしょうか。

どうぞ、尾嶋委員。

○尾嶋委員 いろいろとありがとうございます。

先生のおっしゃっている縦軸と横串には非常に興味というか、そうあるべきだと思っていまして、今日出席されていない山田先生の中に、住民の生活を守る総合行政という言葉がありましたけれども、それと同じような形なのかなと。1人の方がいろいろな問題を抱えている中で、一つ一つの部署に行っても全体の解決にはなかなかつながらない。なので、総合的な窓口があって、そこで問題を解決していくということが必要なのかなと思います。私は専門外ですけれども、行政は横串が非常に苦手なのではないかと思いまして、現実的に横串をというのはなかなか進んでいかないのではないかと思うのですがいかがでしょうか。

○沼尾教授 ありがとうございます。

これは、恐らく行政と民間あるいは地域がどういうふうに連携、役割分担していくのかということにも関わってくるのではないかと思っています。私は、数年前にオランダで地域ケアのプラットフォームを行政が作っている事例を見ていて、それがすごく印象にあるので、そのイメージが強いのですけれども、建物を行政が用意して、総合相談窓口の仕組みを用意して、いろいろな相談の場を作るのですけれどもね。

そこに、それこそ虐待とか消費生活相談も含めて、高齢者介護、子育て、DVなど、それぞれの専門性を持った民間のNPO団体や法人の事務所が入って、ある世帯が相談に来ると、総合相談窓口で一旦どういう話なのかを一通り聞いた上で、それに対応できるそれぞれの専門家の人たちを集めてチームを作る。そして、総合的に解決に向けて支援していこうというシステムを持っているようなところもある。そのプラットフォーム自体は、行政が用意して、その運営経費は行政が持つのですけれども、実際に現場で直接対応してやりとりをするのは、それぞれの専門性を持った個々の組織で、かつ、はじめに総合的話を聞く窓口がある。傾聴のプロの方が上手に話を聞き出すという仕組み作りみたいなものがある。このような工夫ができるといいと思っています。

日本でも、事実上、例えば高齢者の介護で言うと、地域包括ケアシステムの中でケアマネさんが実際によろず相談を受けて、対応できるところは対応されているのですけれども、相当荷が重いところもあるようです。それをサポートできるような仕組みというのは、これからますます求められてくるだろうと思います。

先ほどは時間がなかったので飛ばしてしまいましたけれども、国のほうでも、今「我が事・丸ごと」地域共生社会ということで、むしろ福祉というよりも、これからは地域作りということでケアを考えていくべきだというふうに対応を考えつつあると思いますので、そういうところについて、これから少しずつ流れが変わっていくとすると、その中に消費者行政、消費生活相談のようなものもうまく入れ込んでいくということを考えていくことが大事だと思います。

私がよく分からないのは、そのときに消費者行政分野における専門職の役割とか専門性というのは何なのかというところです。私はそこの専門ではないので、よく分かっていないのですが、そこをきちんと整理した上で、どういう専門家の方がどういうふうにつながることが必要なのかというところが見えてくるとよいと思います。

○新川座長 ありがとうございました。

どうぞ、伊集委員。

○伊集委員 ありがとうございました。

それこそ効率的に、先ほど出てきたように横串という枠組みを使ってやっていくと、かなり実情に応じた効果的な組織体制だったり、政策が必要になると思いますけれども、それを進めていくためにも、財政とか財源のところでいくと、そういう仕組みを促進していくようなやり方が必要だと思います。そうなると、例えば地方消費者行政という名目で国のほうで補助金のメニュー立てをして、自治体はそれを取るために施策を計画するというのは、ちょっと無駄が出てくる可能性があるかなと思います。

そうした場合に、財源の話というのもこれからやっていくことになると思うのですけれども、そういう効果的な施策を地域の中で一体的にやるときの必要な財源の確保の在り方というと、1つは、一般財源による国からの保障というのがあるかもしれないし、今日も御紹介いただいたように、交付税の財源もかなり厳しいよというのが続いている中で。私も先ほどコメントで出したのですけれども、自治体自身が地方税を動かしていく。これは、ほとんど日本の自治体はやってこなかったところですけれども、そこに切り込んでいって議論を盛り上げていくということも必要なのかなという気もしています。

そのときに、国の責任による保障というものと、また財源としてどう手当てするかというところは、どういう方向性があるか、お考えがあればちょっと伺いたいなと思いました。

○新川座長 難しそうですね。

○沼尾教授 大変難しい御質問をいただきました。

私自身は、この間の推進交付金あるいは強化交付金というのが、地方自治体全体にとって、地方消費者行政というものを意識させて、そういう役割があるということを広めたという意味では、一定の役割はあったのだろうと思っています。ただ、大切なのは、実効性を持った形でそれが機能しているのかどうか。つまり、アリバイ作りになっているのではないかというところが心配で、それがないとは言えないわけです。

消費生活相談員の配置を充実させるだけの財源もなかなか厳しいとすると、先ほど申し上げた消費生活相談における専門性、あるいは消費生活という視座を持っていることの公共的な意味は何なのかということをはっきり認識した上で、その役割をしっかり果たすために、専門職というものを、例えば広域的な自治体とか、いわゆる中核市以上の都市に配置していけばいいという話なのか、もう少し細かい単位で配置したほうがいいのかという議論も含めて整理した上で、それに要する財源というものは国の責任できちんと確保しておく必要があるということが説明できるのであれば、補助金論を展開することはあるのかなと思っています。

本来からすれば、そのあたりをよろず相談も含めて、自治体で独自に全て一般財源としてやれればという考え方も1つは当然あって、そういう意味で伊集先生の御質問もすごくよく分かるのですけれども、片方で、そういう専門的な補助金というものがあることによって、そういう視座を持てる、そういう施策や事業があるということが片方で自治体の側に認識されているという実態もあるだろう。だけれども、それが逆に硬直化してしまって形だけになっているとすると、そこは問題だと思うので、そのあたりについてはしっかり考えていく必要があると思っています。

直球の答えに全然なっていなくて恐縮ですけれども、今のところ、そのようなお答えしかできなくて申しわけありません。

○新川座長 ありがとうございました。

むしろ、それぞれの地域、自治体の判断、あるいは地域の実情というものを踏まえて、いろいろなオプションが自由に選択できる、そのための財源をきちんと用意できるというあたりが理想ということでしょうかね。

どうぞ。

○沼尾教授 そういう意味で申しますと、これは消費者行政に限った話ではなくて、トータルな意味での暮らしの安心・安全を確保するための人員の配置ですとか、組織運営のための財源が根本的に足りないので、そこをトータルとして確保していくということは、私は国の責務ではないかと思っています。

○新川座長 ありがとうございました。

どうぞ、伊集委員、お願いします。

○伊集委員 今日の会議の前半のほうでも、私が公務員の点で少しコメントしたので、先ほどの沼尾先生の報告でも公務員数の変化というもので、まさに2000年以降、ずっと政策目標どおりというか、進んでいます。

ただ、一方で、これを進めるのに、かなりの部分、事業の民間委託をしたり、指定管理者制度を入れて施設を維持するというのをやっていくと、公務員としては減っているのだけれども、自治体が予算をつけて、公共サービスの範囲で民間事業者を生産者として使いながらサービスを提供しているというものは増えているわけですね。そこも入れていくと、どういう変化をしているのか。総務省は公務員の数を出しますけれども、自治体の供給責任の中で行われている人材というものがどう変化しているのかというのも、議論の前提として必要かと思います。別に、公務員が実質減っていないと言いたいわけではないですけれども、動きの実態として、そういうものを調べられるものがあるのかなと、ちょっと関心があります。

○新川座長 もしよろしければ。

○沼尾教授 保育所の民営化のときに、従来の公務員の場合と民営化した場合の人件費部分がどれぐらいなのかというのは、それは個別に委託費の中の人件費部分を割り出して算定するみたいなことになってしまうので、それをマクロ的にやるというのはかなり難しい部分はあるだろうと思います。なので、何とも言えないのですが、消費者行政という領域で言うとすると、つまり、民間に委託していくことで、本当に人員配置も含めて効率化していくためには、まず委託先の民間事業者そのものがちゃんと消費者フレンドリーなサービスを提供するかどうかというところが、まず事業者の責任として問われるだろうと思います。

そう考えていくと、逆に行政の側はそういうふうに委託したり、指定管理に出している民間事業者をハンドリングするという、また追加的なコストもかかるだろうと。それも含めて、どう考えるかというところは問われるだろうなと思っています。

○新川座長 どうぞ、池本委員長代理。

○消費者委員会池本委員長代理 オブザーバーの立場ですが、感想と質問がございます。

パワーポイントのレジュメの1ページ目ですが、地方公務員数が2000年以降減っていると。厳しい中で消費者行政の職員をどう確保するかという非常に悩ましい問題なのですが、以前に消費者庁が2009年にできる前に議論したときのデータで、90年代後半から消費者庁ができる前、2008年までの10年間で、消費者行政職員が35~36%でしたか、大幅に減っている。ほかの分野ももちろんじわじわ減っているのだけれども、激減している。

これは、消費者行政にもっと力を注がなければいけない。国のレベルでは、それこそ明治以来の産業育成の反射的な、間接的な消費者保護ではなくて、暮らしの安心・安全にかじを切るのだという非常に高い理想のもとで消費者庁ができたけれども、地方消費者行政では、自治体がそういう政策転換ができていないのではないかという問題があるのではないかと思います。

それで、これはむしろ事務局にお願いしたほうがいいのかもしれませんが、まさにこの資料に、消費者行政の職員数の推移のようなものを取り込んでいただければ、全体との関係が出てくるのではないか。1975年までさかのぼれるかどうか分かりませんが、そういうものがあるといいかなという感想が1つです。

次に財政の面ですが、パワポの資料の3ページ目で、ここ数年ではじりじりと地方交付税が減っているというものと、その次に、消費生活相談員とか消費者行政に関する市の10万人規模ですか、標準団体の数字が出してあるのですが、実はこの2012年の前、ちょうど消費者庁ができる前後のところに私、非常に関心があるのですが、2008年に比べて2009年には、地方交付税の総額ベースで言うと2倍、90億円を180億円に増やしているはずです。そして、2011年から12年に年度替わりしたときにも、さらに5割増し。つまり、最初から言えば3倍増にして、その後がこの数字だと思うのです。

これもむしろ事務局にお願いしたほうがいいのかもしれませんが、地方交付税の基準財政需要額は2倍増、3倍増にしたけれども、自主財源というものがほとんど増えていないという、非常に悩ましい。これもまた地方公共団体そのものが消費者行政を重視するという政策転換ができていない現れではないかと思うので、その辺が何か見えるようなグラフなりというものを事務局で考えていただけるとありがたいかなと思います。

そして、3点目、地域のネットワーク。これは、8ページ目、9ページあたりの高齢者を取り巻く地域課題、職員の声。これは非常に参考になる資料です。それに関連しても、私なりの感想とあわせて御意見をお伺いしたいのですが、消費者行政で言うと、1970年前後に我が国全体で消費生活センターを作ろうということと、あと消費者団体の育成・支援という、この2つのことで国から補助金が出て、全国的に広がった。消費生活センターは、さすがに減らされることはなくて、少しずつ増えていった。その間、消費者トラブル、相談がどんどん増えていったので、相談窓口は徐々に増えていったのですが、消費者団体の育成・支援のほうは予算がほとんど削られて、全国的にも消費者団体が衰退し、高齢化して活動が見えなくなっている。

最近、消費者庁が地域の見守りネットワークを作りましょうと言っていますけれども、消費者問題のネットワークと言いながら、結局、高齢者福祉の人たちにお願いしようとしか言えない。地域で消費者問題に関心を持って、それを周りに広げようという主体が、今いなくなっているのではないか。狭い意味の消費者問題だけやるという意味ではなくて、まさに先生がおっしゃっている、その後のプラットフォーム構築という問題関心につながるのですが、福祉の関係の人は、まさに高齢者の命や健康を守ることで忙殺されている。

そういう中へ、環境とか消費者問題も含めて、幅広く暮らしに関心を持って、学びながら、しかも発信する人を作って、地域コミュニティの主体を作っていくという広い意味での消費者団体をもう一回作り直す、育成する、地域でグループとして活動する人を増やしていくということが1つ課題ではないかと感じているのです。そういう地域のコミュニティ作りをどういうふうに考えていったらいいのかというあたりについては、ぜひ御意見をお伺いしたいと思います。

○新川座長 では、沼尾先生、お願いします。

○沼尾教授 2点申し上げます。

私、初めて消費者行政のことを勉強させていただいたときに、これは結局、事業者をきちんと管理して取り締まりすればいいのではないかと思ったことがあって、つまり、消費者行政として、もちろん消費者サイドをどういうふうに保護するかとか、消費者が学ぶかということも大事だと思うのだけれども、もともと、つまり消費者に対して契約違反のようなことをやってしまう事業者を取り締まるというところがもう一方でパラレルにあるわけで、そこをしっかりチェックしていくという、事業者のほうを監督する責任というものが、例えば経産省も含めてあるのではないかと思っていたのですね。そこと、これも別の意味での棚卸しなのですけれども、どういう整理をするかということが大事かなと思っていたのです。

ところが、最近のオレオレ詐欺とかというのは、事業者云々の話ではなくなってきていて、さらにインターネットとかで高額な請求が来たりという話になってくると、最近の消費者を取り巻く複雑な状況というのは、単に事業者という話ではなくなってきている。そういう環境の変化の中で、消費者行政の役割というものが多様化しているところをどういうふうに考えるのかというところの財政需要とか役割ということは、10年前、20年前とは変わってきているだろうなと思っています。そこをどう見るかというところも含めた財政需要の話というのは、あるのかなと思っているところです。

2番目の消費者団体の話ですけれども、これも私、大変申しわけないのですが、消費者団体と聞くと、専業主婦の方たちが集まって、自分たちの消費のことを考えようという活動が展開されてきたという印象をもっていたのですが、今、これだけ共働き世帯が一般的となって、仕事もしながら生活も担っているという中で、つまり、地域の中でそれだけの時間を持って、消費者、大事だよという意識を持って活動できるという担い手自体が、そもそも減ってきているのではないかと思うわけです。そうだとすると、消費者団体が組織として何かやるというよりは、日々の暮らしの中で起こっている困りごとに対して、何かあったときにどう対応すればいいのか。

困ったときに、消費生活相談というところにしっかりつなげていけるような情報、経験をきちんと蓄積しておくことと、そのときに対応できる専門職の人たちをしっかり配置しておいて、何かあったらここに駆け込めばいい、ここに相談すればいいというところにつないでいく仕組みを作るということが大事なのだと思っています。これだけ人が減ってきている中で、それぞれの専門職の方たちが、むしろ消費者相談ができる。例えば、福祉職の人たちがちゃんと消費生活相談員の資格も持っているとか、資格なり、何かそういうことを学ぶ機会というものを、ふだんケアに関わっている専門職の方たちが学べるような場を用意していくことがすごく大事なのではないかと思っています。

○消費者委員会池本委員長代理 一番最後におっしゃったところですが、いわゆる消費者問題を中心に取り組む団体を一から作るという意味ではなくて、まさにおっしゃったような、地域のいろいろなコミュニティがあるところに、消費者問題を1つ視野に置いてもらう。それだけ社会の中で重要な課題になっているので、置いてもらうという意味で申し上げたところです。

○沼尾教授 失礼しました。

○新川座長 ありがとうございました。

伊集委員、よろしいですか。

○伊集委員 大丈夫です。

○新川座長 大分予定の時間を過ぎてしまいましたが、各委員から何か追加して。

どうぞ、尾嶋委員。

○尾嶋委員 お聞きしたいのは、PI0-NETがありますけれども、消費生活相談員が受けた相談を相談カードとして入力していく。それは、毎年100万件ぐらいですか、非常に貴重なデータだと思うのです。それをいかに分析し、利用していくかということも1つあるかと思うのですけれども、相談を受け、処理しているその貴重なデータを入力している相談員の人件費を国に支援してもらえないかというところが、随分前から検討課題になっているのですけれども、その辺はいかがですか。

○沼尾教授 ありがとうございます。

PI0-NETのデータは、まさに個人情報を含むものなので、その取扱いも含めて非常に悩ましいところだと思うのです。他方で、そこのデータをどういうふうに解析したり、活用していくかということでは、ものすごく可能性があるものなのではないかと思っています。これは、恐らくPI0-NETだけではなくて、政府がそうやって集めた行政データをどのように加工したり、あるいは開示したり、民間も含めて利活用するのかというところでは、まさに今、検討が進んでいるところだと思うのです。

これだけの手間暇かけて相談員さんが入力しておられるというものを、何かうまく活用していけるような仕組みというものは、当然考えていく必要があるだろうと思っているのですが、それをどう利活用するのかという方向性がちょっと見えない中で、とにかく入力が大変なのよと現場の相談員さんが入力されているあたりも含めて、そこの見通しがもう少し見えてくると、人員とか財源の配置のことも含めて可能性があるのかもしれませんが、こういう活用方法があるのではないかというところが申し上げられない。ぜひそこは検討されるといいのではないかと思います。

○新川座長 ありがとうございます。

そのあたりは西田先生ですね。

○西田委員 ありがとうございます。

僕もPI0-NETは相当可能性があるなと思って、実際に見させていただいたこともあるのですけれどもね。先ほど申し上げたのですけれども、消費者フレンドリーとか、そういうものをチェックする上でも、今、何が問題、どういうだまされ方、どういうものがはやっているというものを出す力があるので、そういうものをまとめて発信するのには非常に役に立つのではないか。

それから、入力の質を担保するようなところは、ある程度ITでもサポートできるのではないかと思います。

それに関連してですけれども、先ほど先生がいろいろな予算が組まれて、ITが導入されるような補助金がつくのだけれども、結局使われないというか、使いにくいという問題があるという話があって、それはそのとおりじゃないかと思っています。1つには、ああいうシステムは、仕様書を書いて発注して、そのとおりできたというのをやらなければいけないところがある。だけれども、その仕様書がすごく難しいのです。仕様書というのは、まだ使ってもいないのに書かなければいけないので、使いやすい開発に向かない発注形態になっているなと思います。

もっと改良・改善のほうに予算を使ったり、仕様書を作るところに金を使ったほうがいい。じゃないと、ごみの山みたいになってしまうところがどうしてもあるので、それは開発のやり方をちょっと変えなければいけないかなと思います。相談員さんフレンドリーなシステムに変えていくのは必要じゃないかと思います。

○沼尾教授 実際、PI0-NETも改良はされているものの、相当使いづらいというお話は現場からは出ているみたいで、随分改善されているようですけれども、もっと全然違う、これからはタブレットなどの利用も含め、いろいろ可能性はあるのではないかと思います。今おっしゃることは本当にそのとおりだと、共感します。

○新川座長 ありがとうございました。

まだまだ議論は尽きないのですが、大分時間が押してまいりましたので、もし特にということがなければ、このあたりにしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

沼尾先生から、本当にこれからの地方消費者行政、そもそもの日本の地方自治の問題点も踏まえて、消費者行政の中でどうやって横串を刺していくのか、あるいは国・地方、そして官民それぞれの関わり方というものをどういうふうに組み立て直していくのか、貴重な御意見をいただきました。それにつけましても、私どもでやらなければならないのは、きちんと消費者行政の棚卸しをやって、実態を把握した上で、もう一度組み立て直しということを考えていく必要があるのではないか。

そのときに、1つは、地域とかコミュニティとか、そうしたレベルでもう一度組み立て直し方を考えていく。その中での国・地方の行政の役割というものをもう一度構築していく。その上で、消費者行政として最も効果的な在り方というものを考えていくということが改めて求められているかなと、お伺いさせていただきました。

さて、どこまでやり切れるかは、これからの私どもの議論にかかっているということでございますが、まず、沼尾先生には、本日、貴重なお話をいただき、また御丁寧に質疑応答いただけましたこと、改めて感謝を申し上げまして、このセッションは以上にさせていただきます。

どうもありがとうございました。

≪3.今後の検討の進め方≫

 

○新川座長 それでは、もう一点だけ「今後の検討の進め方」というものが残っております。これにつきまして、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。

○友行企画官 資料で申しますと、後ろのほう、議事次第には資料11と記載しております。「今後の検討の進め方」ということで、表の形にして日程と議題を載せております。

6月に開会いたしまして、7月には専門委員からのヒアリング等を行っていきたいと思っております。

そして、委員の先生方の任期が8月いっぱいまでということになっておりますので、8月には中間整理をいたしまして、消費者委員会のほうへ報告して、一区切りという形を目指していきたいと思っております。

以上でございます。

○新川座長 どうもありがとうございました。

私どもの任期が現在の消費者委員会の任期ということで、8月と伺っております。それまでに何とか中間報告ということで、ちょっと忙しいのですけれども、来月、再来月、7月、8月と少し頑張って中間整理まではいきたいということで、今、事務局から御提案いただきました。

これにつきまして、何か御意見あるいは御質問ございましたら。

どうぞ、伊集委員。

○伊集委員 進め方についてというか、今後の議論に関して、今日、初めてなので、ぜひ聞いておきたいことがあったのですけれども、いいですか。

私も今回、参加するに当たって、自分なりにこれまでの委員会の資料など拝読させていただいたりしたのですが、消費者行政は何を扱っているのか。特に、地方消費者行政と言ったときに、施策の対象であったり、広がりというものがどういうものなのかというのがつかみ切れていないところがあるので、今日でもないと聞けないなと思ったので、専門の方にぜひお伺いしたいのです。これまでの議論とか、今日の議論でも、施策の内容、特に消費者の権利保護であったり、例えば高齢者が詐欺被害に遭ったときに、どう迅速に救済するかという部分があって、そういう消費者を守っていくというのが強いと思います。

一方で、そのもとにある消費者基本法とか消費者教育推進法を見たときに、消費者市民社会の形成という概念があって、そうするともう少し広がりがあると思います。消費者が購買活動などを通じて市場をどうコントロールしていくか、あるいは企業の生産活動を。そうすると、消費者教育みたいなところのウエートが高くなってくると思います。今日の議論でも、相談と教育が連携していないといけないという話がありましたが、そこでは、消費者の権利保護というものが強いのかなと思いました。一方で、強化補助金、交付金などのメニューを見ると、SDGsへの対応というのが出てきて、倫理的消費、若者に対する教育とかあって、メニューは結構いろいろあると思います。

そのときに、我々がここから当面議論していくとき、これだけ施策が広がっていくということを想定しながら議論するのか、ある種、今、起きている権利保護のようなものをしっかりどうやっていくかみたいな、施策の対象がどのぐらいあるかというので議論していく方向性も少し変わってくるのかなというのが少し疑問としてあったので、そのあたりを御教示いただきたいなと思います。

○新川座長 事務局からいきますか、それとも私のほうからお話ししましょうか。

○友行企画官 先生のほうでもしあれば。

○新川座長 では、後で補足してください。

○友行企画官 かしこりましました。

○新川座長 この地方消費者行政の議論というのは、確かに地方公共団体、都道府県・市町村が従来やってきた消費者行政、主には相談と啓発が中心になるのですけれども、それをどういうふうにこれから消費者問題が多様化し、しかも単に消費にかかわらず、生産から消費、廃棄に至るまでのプロセスの中で、よりよい消費者市民を作っていくかというところにも関わって議論していかないといけない状況には来ているだろうということです。その中では、逆にこの地方消費者行政という焦点の中で、まさに消費者の在り方そのものを含めた全体像というものを見通しながら、改めて地方消費者行政というものを再構築していかないといけないという視点が基本になっているだろうと思います。

私たち自身のターゲットは当然限られているわけですが、どうもそれを考えていくときの範囲というのは、実は今、伊集先生からお話がありましたように、SDGsのような問題も含めて、そういう見通しを持って、しかしそれを地方消費者行政の中で何がどこまでできるのかという議論もしないといけないのではないかと考えています。そのためにも、逆に今、地方がどういう資源を具体的に持っていて、そして、それは権限もお金も人も技術もそうなのですけれども、それをどういうふうにこれから組み立て直していくことができるのか。特に、将来の日本社会の姿を想定していったときに、逆にそれを理想に近づけるためにどういう地方消費者行政を組み立てていったらよいのかという議論もしていくことになるだろうと思っています。

ですから、範囲としては、地方消費者行政という、ある意味では極めて限定された領域ですが、その中で、実は考慮しなければならない要素というのは、むしろ消費者行政全包囲で、そのためには、他の政策領域、施策領域にも関わっていかざるを得ないと考えています。ただ、このあたりは消費者委員会でお考えのことと違っているといけないので、少し友行さんから補足していただけるとありがたいのですが。

○友行企画官 先生と考えが大きく違っているわけでは、もちろんございません。少し補足して御説明いたしますと、そういう意味で、消費者行政のターゲットといいますか、領域というのは、縁は少しじんわりしているところがあるかと思いますけれども、余り狭めることなく、今、先生がおっしゃったようなところまで、少し広い範囲で見方としては見ていったほうがいいなと思っております。

でも、それを具体的な話に落としたときに、どういうことを検討していくかと申しますと、相談体制の充実はどうしていくかという個別の話や、消費者教育や啓発はどうやっていくのかといったことや、消費者安全確保地域協議会といった高齢者の見守りはどうやっていくのかといったこと。それから、地域力の強化という点では、ネットワーク化をそれぞれのエリアなどでどうやって作っていくかといったことや、法執行などの強化ということも含まれてくると思いますし、そうすると、消費者行政担当職員の研修や数はどうするかということも関係してくると思います。

あとは、消費者団体の育成とか支援ですとか、それとの連携ということももちろん射程に入ってくると思いますし、今、余り地方ではやっていないのかもしれないですけれども、商品テストみたいなものはどうやっていくのかという、個別の消費者行政の分野というものを強調して、具体的に言うとすると、今、申し上げたようなことが中心的なところかなと思いますが、今はもう少し考え方が広がっておりますので、SDGsの話ですとか、そういった少し広い視野でも見ていく必要があるというのは常に忘れずに、ただ、問題を検討していくときには少し個別に考えていかざるを得ないというところ、両面を見ながらやっていくのかなと考えております。

○新川座長 どうぞ、池本委員長代理。

○消費者委員会池本委員長代理 池本でございます。

今、質疑があったように、この専門調査会は、消費者行政に取り組んでいる人だけではなく、むしろ一回り外側のいろいろな角度から御意見をいただいて、これからの中長期のあるべき姿を描いていく必要があるのですが、そのためにも、この10年、20年で消費者行政というものが何に取り組み、どこは進展したけれども、どこがネックであるという取り組みの経緯のところは、むしろしっかりとまとめて紹介を早い段階でしておいていただいたほうが、議論がポイントとかみ合うのではないかと思います。

それこそ通信販売とか訪問販売の事業者の規制部門もあれば、インターネットの表示の部門の規制行政もやっているし、相談や啓発という支援の行政もやっているし、それから消費者教育のように、ほかの部署とネットワーク化していくということも課題としてはあるのだけれども、なかなかできていないところと、ここはある程度できているというところがありますので、そのあたりはむしろ共通認識のために、早い段階でそういうコマを入れておかれたらよろしいかと思います。

○友行企画官 今のお話でございますが、池本委員からいただきました今の御指摘につきましては、事務局のほうで十分検討させていただきたいと思います。

それと同時に、この専門調査会はこれまでどういうふうにやってきたかということも非常に重要でありまして、今どこが足りていないということも非常に重要でございます。ただ、そこにとどまらず、10年後、20年後、どうなっていくかということも同じぐらい大事という形で、その10年後、20年先に地方消費者行政が取り残されないために、そういったことにならないために、今やるべきことをきちんとやっていく。どういった方策で対応していくと、10年後、20年後には消費者行政が取り残されずに、今よりずっと充実していくという視点で検討していただければと思っております。

○新川座長 ありがとうございました。

当専門調査会としては、将来を見据えたこれからの地方消費者行政をしっかりと議論していく。ただし、それをやっていくためにも、これまでの成果やこれまでの問題点を踏まえて議論していく必要がある。

もう一つは、単に地方消費者行政という守備範囲だけではなくて、その周辺にある、まさに消費者問題を取り巻く世界的な動きというものにしっかり目を開いて、その問題にも関わらせながら、これからの地方消費者行政の在り方を考えていくというスタンスになろうかと思っております。

なかなか大変で、どのくらい中間整理がうまくいくのか、私も余り自信はないのですけれども、各委員からのいろいろなインプットを積極的にいただいて、むしろ豊かな手がかりをたくさん出せるような8月までの中間整理ができればと思っています。結論を出す必要は、まだないですね。ということのようであります。

伊集先生、よろしいですか。

○伊集委員 ありがとうございます。

○新川座長 そんな方針で進めてまいりたいと思います。

そのほか、いかがでしょうか。

樋口先生、いいですか。

○消費者委員会樋口委員 はい。

○新川座長 それでは、今後の進め方につきましても貴重な御意見をいただきました。ぜひ次回以降、また事務局のほうでもしっかり御検討いただいて、いろいろなデータを出していただきながら議論を進めていければと思っておりますので、よろしくお願いします。


≪4.閉会≫

 

○新川座長 予定の時間、大分オーバーしてしまいましたが、本日は以上をもちまして閉会とさせていただきます。お忙しいところ、熱心に御議論いただきまして、どうもありがとうございました。以上で閉じさせていただきます。

どうもありがとうございました。

(以上)