冒頭発言

(1)夏休み海外安全対策キャンペーン

【河野外務大臣】夏休みの期間中,海外へ渡航される方が増えることが見込まれておりますので,7月20日から9月1日までを「夏休み海外安全対策キャンペーン」期間と定めて,安全意識を高めていただくための啓発活動を強化していきたいと思います。
 具体的にはこのキャンペーン期間中,日本航空及び全日空の日本発国際線全路線において,安全対策についてのアナウンスを実施していただくほか,外務省のホームページ上の海外安全クイズの拡充,デジタル広告,政府広報BSテレビ番組での「たびレジ」広報を行う予定です。また,SNSでの企画を新たに行って,海外安全対策の必要性を理解していただける取組を行いたいと思います。
 キャンペーンの期間中,「たびレジ」の新規登録を,前年同期間の3割増となる20万人とすることを目指していきたいと思います。
 安全な海外旅行のために,「自分の身は自分で守る」という心構えの下,外務省の海外安全ホームページでの渡航先の安全情報の収集,「たびレジ」への登録,海外旅行保険の加入,こうした安全対策に万全を期していただくようお願いしたいと思います。

(2)「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」第5回会合の開催

【河野外務大臣】7月22日から23日,東京において「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」第5回会合を開催します。私も参加し,委員の方々と意見交換をしたいと思っています。
 今回は長崎・京都の会合に続いて,いよいよ核兵器の廃絶に向けて真に乗り越えなければならない,軍縮と安全保障の関係に関する困難な問題に焦点を当てた議論を行っていただきたいと思っております。
 政府としては,この「賢人会議」における議論も踏まえながら,引き続き核兵器のない世界に向けて国際社会が一致して取り組むことができる,共通の基盤の形成に貢献していきたいと思っているところです。

(3)カンボジア若手政治関係者の訪日

【河野外務大臣】外務省の招へいにより,カンボジアの若手政治関係者10名が,7月17日から約1週間,訪日されます。
 カンボジアが民主国家として発展するよう,日本としてもしっかり後押しをしていきたいと思っております。日本の複数政党制民主主義について学んでいただくべく実施してきましたが,今回が3回目で,一行の中には,与党人民党,旧救国党,その他野党からの参加者が含まれる予定です。
 民主主義についての認識を深めていただくと同時に,国の発展のためにこの若いカンボジアの政治関係者がそれぞれ意見交換をし,団結する機会になればと思っております。

旧朝鮮半島出身労働者問題

【NHK 小泉記者】韓国の徴用をめぐる問題について伺います。原告側はあらたに三菱重工の資産を売却し,現金化する裁判所の手続きを近く始めると先ほど明らかにしました。これについての受け止めをお願いします。また,仲裁委員会の開催に向けた最終期限があさってに迫っていますが,未だに韓国は回答がないようですが,このまま反応がなかった場合に,日本政府として期限後にどのような対応をされるのか,お願いします。

【河野外務大臣】この国際法違反の状況の是正を,韓国側には強く求めてきているところです。日本企業に実害が及ばないようなことを,韓国側にもこれまで申入れをしているところです。万が一,日本企業に実害が及ぶようなことがあれば,必要な措置を講じなければならなくなると思っておりますが,そうしたことにならないように,韓国政府には対応を強く求めたいと思っております。仲裁に関しては,日韓請求権協定に基づく義務ですので,当然に韓国側は対応してくれるものと考えています。

韓国向け輸出管理の運用の見直し(文在寅大統領の発言)

【朝日新聞 鬼原記者】関連して日韓関係について伺います。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が昨日発言をされまして,今回の日本政府による輸出規制措置について,日本政府が北朝鮮への韓国による制裁違反があったということを理由にしているという趣旨の発言をされました。これは当初の日本政府の発言を翻したというような表現も使っているのですけれども,そうなんでしょうかということが1点と,あと,文在寅大統領は同時に韓国に対する重大な挑戦であると,かなり強い表現も使っています。この発言についての受け止めもお願いします。

【河野外務大臣】最初のご質問に関して日本政府がそんな発言をしたかどうか,日本政府の発言ではないのではないかと思います。それは確認をしていただきたいと思います。
 安全保障上の輸出管理はそれぞれの国がしっかりとやらなければいけない国内措置ですので,日本としても必要な国内措置をきちんとやるということですので,これは安全保障に関する必要な措置を適切に行っているということ以外の何物でもないと思っています。

【朝日新聞 鬼原記者】重大な挑戦という表現についてはいかがでしょうか。

【河野外務大臣】これは国内措置ですので,全くそうしたことに当たらないと思います。

【朝日新聞 鬼原記者】今回の日本政府の輸出規制措置を機に,韓国国内では日本製品の不買運動というか,日本の衣料品を買わないとか,そういう動きも出ているやにも聞きます。大臣は常々,国民の交流というのが大事だと強調されてきましたが,こういう民間レベルに影響が及んでいる状況をどう捉えられて,今後どういうふうに解決されていくのか,お考えはいかがでしょうか。

【河野外務大臣】それは韓国政府が韓国国民に,これは安全保障上の輸出管理を日本が適正に行っているということであるという説明をしていただかなければならないと思います。日本としてもきちんと,日本が行っている措置がいかなるものなのか,それは説明に努めていきたいと思っています。

旧朝鮮半島出身労働者問題

【東亜日報 金記者】関連なんですけれども,2点ですけれども,昨日,文大統領の発言の中で,徴用工関連で韓国政府が示した案は唯一の対策じゃない,日本は外交的解決の場に戻ってくださいという発言がありました。これに対して,日本政府はどう受け止めていますか。そして,韓国政府が仲裁委員会に応じない場合,どんな対抗措置があるんですか,伺いたいです。

【河野外務大臣】現在,韓国側の状況が国際法違反になっているわけで,これを是正していただきたいということを常々,韓国政府にお願いしているところです。しっかりと韓国側に対応していただきたいと思っています。また,今,その仲裁プロセスがありますが,韓国側が国際法違反の状況を是正していただければ,仲裁の必要はないわけですし,そうでない場合には,これは国際法上の義務ですから,当然に韓国政府はこのプロセスに乗って動いて下さるものと思っております。

河野大臣のタイ,ミャンマー,バングラデシュ訪問

【共同通信 福田記者】一部報道で,今月末から来月頭にタイ,ミャンマー,バングラデシュ3か国を歴訪されて,タイでは日朝外相会談を模索するという報道がありますけれども,事実関係を教えてください。

【河野外務大臣】何も決まっておりません。

イラン情勢(有志連合の結成に係る計画)

【朝日新聞 清宮記者】アメリカのダンフォード統合参謀本部議長が,9日ですが,ホルムズ海峡などで,タンカー護衛のための有志連合を結成する考えを示しています。日本政府として,外務省として,そういう話を聞いているのか,また,参加を検討しているのか,また,日本は伝統的にイランと友好関係がある中で,タンカー事件についても主体は特定していないわけですけれども,日本政府として派遣や検討することはふさわしいと思われますでしょうか。

【河野外務大臣】日米安全保障に関係するやり取りは常々行っておりますが,そのいちいちについて,公の場で申し上げるのは差し控えたいと思います。

【朝日新聞 清宮記者】今までも,ホルムズ海峡,重要な航路だとされてきたと思うんですが,今,そうした,派遣が必要な状況だと思われますか。

【河野外務大臣】日米でやり取りをしておりますが,そのいちいちについて,申し上げるのは差し控えたいと思います。

【時事通信 越後記者】関連で伺います。現状の,最新のホルムズ海峡付近の緊張状態をどのように分析されているかということと,今朝の閣議後会見で岩屋防衛大臣はただちに自衛隊を派遣する必要はないという考えを示されているんですが,これは,政府として統一された見解でしょうか。

【河野外務大臣】中東の緊張が様々な地域で高まっているという現実はあります。これはホルムズ海峡周辺の問題,イエメンの問題,シリアの問題,あるいはリビアの問題,様々な地域での緊張が高まっていて,中東全体での緊張緩和が必要だ,そういう考えに変わリはございません。防衛省のことについては,防衛省にお尋ねをいただきたいと思います。

カンボジア若手政治関係者の訪日

【読売新聞 梁田記者】冒頭ご説明があったカンボジアの件で伺いたいんですけれども,かなり回数を重ねて,毎回与野党両方を呼んでいらっしゃると思います。これに関して,積み重ねてきた成果と課題をどのように考えていらっしゃるかということと,やはり東南アジアの国に関しては,日本の立場と欧米の国との,どうしても見解の違いがまだ依然としてあると思いますが,そこについては大臣としてどのように働きかけていきたいでしょうか。

【河野外務大臣】このプログラム,何回かやらせていただいて,参加者からは非常にポジティブな反応をいただいているところです。ただ,一つの国が民主化をするプロセスというのは大勢の人が関与する,しかも時間のかかることですから,このプロセスによって,今,何かがそう急速に変わりうる状況ではないと思いますが,将来的にカンボジアが民主化する上で,一つの,振り返ってみて大きな要素だったと言われるような支援を,しっかりとやり続けていきたいと思っております。
 カンボジアに限らず,アジアでの民主化,確かに欧米のプロセスから見れば,時間がかかっていると言われることがありますけれども,例えばイギリスだって,ローマが撤退したのは紀元410年で,それからイギリスに民主制が根付いたのは相当長い,何世紀にもわたるプロセスがあったわけで,そこまで時間をかけていいと言うつもりはありませんけれども,少なくとも民主主義がアジアで後退しないように,ゆっくりでも確実に前に進むように,日本としてはアジアに寄り添っていきたいと思います。