(令和元年7月9日(火)9:34 ~ 9:51 省内会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
私から冒頭何点か申し上げます。まず、ハンセン病家族訴訟の熊本地方裁判所判決に関する対応について申し上げます。ハンセン病対策については、平成8年のらい予防法の廃止、平成13年の熊本地方裁判所における国家賠償請求訴訟判決を歴史的な契機として、厚生労働省としては、一貫して、患者・元患者に対し、寄り添った施策を展開してきました。患者・元患者の方々の社会復帰の支援に努めるとともに、平成21年度以降は、毎年6月に「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」式典を開催、平成23年には、厚生労働省前に「名誉回復及び追悼の碑」を設置するほか、名誉の回復や偏見・差別の根絶に向けて、全国の中学生等へのパンフレットの配布など様々な普及啓発活動に取り組んできました。先日の「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」の式典においても、ご家族の代表の方々が、悲痛な体験をお話しされ、胸に迫るものがありました。ご家族の方々におかれても、大変つらい思いを経験された方も少なくないわけであり、今回の判決にあたっても、ご家族の方々の苦しみに思いをいたし、寄り添った支援をしていくこと、これを基本的なスタンスとして、対応を検討してきました。ただ、今般の判決については、法律上の重大な問題が含まれ、国民の権利義務関係に与える影響が大きいことから、通常の訴訟対応の観点からは控訴せざるを得ない側面があるのも事実であります。その中で、先ほど官邸で法務大臣同席のもと協議を行いました。その結果、総理より、「今回の判決内容には、一部に受け入れがたい点もあるが、筆舌に尽くしがたいご経験をされた家族の皆さんのご労苦をこれ以上長引かせるわけにはいかない。こうした思いのもとに、異例の措置ではあるが、控訴断念の方向で至急準備に入る」よう、指示がありました。これから、早急に具体的な対応を検討したいと思います。次に、「平成30年版厚生労働白書」についてであります。本日の閣議で、「平成30 年版厚生労働白書」を報告しました。今回の白書は、「障害や病気などと向き合い、全ての人が活躍できる社会に」をテーマに、障害や病気を有する方などに焦点を当て、障害の特性や病状などの事情に応じ、就労や社会参加を通じて自分らしく生きることができる社会の実現に向け、現状や国民の意識、事例の分析を整理しています。その上で、全ての人が活躍できる社会の実現に向けた方向性を示しております。次に、厚生労働省食品輸出促進プロジェクトチームの設置についてであります。農林水産物・食品の輸出促進については、6月4日に開催された関係閣僚会議において、今後、政府一体となってスピード感をもって取り組む体制を構築することとなりました。そのため、本日の幹部人事異動に合わせ、厚生労働省に「食品輸出促進プロジェクトチーム」を設置し、省をあげて、食品の輸出促進に取り組む体制を整備いたします。プロジェクトチームの主査には、浅沼生活衛生・食品安全審議官を充て、主査代理には、新たに農林水産省の審議官となる道野大臣官房審議官と、厚生労働省の奈尾大臣官房審議官を充てることといたします。これにより、農水省とも十分に連携して、しっかりと取組みを進めてまいります。私からは、以上です。

質疑

記者:
元ハンセン病患者の家族訴訟に関して熊本地裁判決を控訴しないとのことですが、ハンセン病家族の訴訟をめぐっては、他にも係争中の案件があります。こうした案件の対応についても、お聞かせください。
大臣:
先ほど私が冒頭で申し上げましたように、今回の判決については、判決においては消滅時効の起算点の判断が極めて特異なものであることなど法律上の重大な問題が含まれ、国民の権利義務関係に与える影響が大きいことから、通常の訴訟対応の観点からは控訴せざるを得ない問題があるのは事実であります。他方、総理から、「今回の判決内容には、一部に受け入れがたい点もあるが、筆舌に尽くしがたいご経験をされた家族の皆さんのご労苦をこれ以上長引かせるわけにはいかない。こうした思いのもとに、異例の措置ではあるが、控訴断念の方向で至急準備に入る」よう、指示を受けたところであります。今、ご質問のあった法律上の問題点の取り扱い、これは関係省庁と協議していきたいと思います。
記者:
総理からは具体的な対応を指示されたとのことですが、今後の具体的な対応としてはどのようなことが想定されますか。
大臣:
関係省庁と協議をして早急に具体的な対応を検討していきたいと思います。
記者:
平成13年の時は、控訴断念をした後、救済法案の策定の動きもありましたが、そういったことも含めた検討でしょうか。
大臣:
今日総理から指示がありましたので、関係省庁と協議をして早急に具体的な対応を検討したいと思います。
記者:
先ほどの質問に関連してなのですが、総理からの指示の内容としては具体的にどういったものだったのかということと、控訴を断念することでハンセン病の訴訟に限らず、優生保護法の関係など他への影響はどのようなものが考えられるかを教えてください。
大臣:
総理のご指示、これについては先ほど申し上げた通りです。それは、よろしいですね。
記者:
関係省庁と協議して早急に対応を決めてくださいという。
大臣:
改めて申し上げますが、総理の指示は、「今回の判決内容には、一部に受け入れがたい点もあるが、筆舌に尽くしがたいご経験をされた家族の皆さんのご労苦をこれ以上長引かせるわけにはいかない。こうした思いのもとに、異例の措置ではあるが、控訴断念の方向で至急準備に入る」ように指示があった。これが、総理の指示であります。これを受けて、我々は早急に具体的な対応を検討していきたいということであります。それから、他の訴訟への後段のご質問ですが、ハンセン病による隔離政策は、誤った立法措置により、強制的に人権制約を行い、患者本人、その家族への偏見差別を助長した、という特殊性を有することから、他の事案に単純に波及するとは考えておりません。
記者:
判決では沖縄の部分については日本復帰前の隔離政策については国が責任を負わないというふうになっていたと思いますが、少なくても復帰前の沖縄でも隔離政策が行われた背景には日本の政策が反映されていたと思いますが、米統治下で隔離された沖縄の部分について政府として対応を考えていらっしゃいますでしょうか。
大臣:
それは今、判決を述べられたわけですが、それについては今の段階で、これから今後総理の指示によって我々具体的な対応を検討していくという段階ですからそれについてのコメントは控えたいと思います。
記者:
判決では賠償額というのは人それぞれ異なるわけですけれども、補償法の考え方についての考え方は基本的には判決を基に救済法、補償法を作っていくようになるのかどうか、それと補償法の作成される目途についてあれば教えて下さい。
大臣:
ただ今の2点についても 早急に具体的な対応を検討していきたいということであります。その中でそういうことを念頭に、そういうことは留意しながら、いずれにしてもこれから具体的な対応を検討するという段階であります。
記者:
念頭というのは判決を念頭に。
大臣:
念頭とか留意はね、それは削除。それは元に戻します。要は、今の段階は具体的な対応を検討していきたいという段階だということであります。
記者:
先ほどの発言の中で今回の判決において法律上の重大な問題が含まれていると、そちらへの対応を今後検討するということだったのですが、これも今後の具体的な対応の中に含まれているのでしょうか。
大臣:
私が冒頭申し上げたところに尽きるわけであります。総理から先ほど申し上げた指示がありましたので、これから早急に具体的な対応を検討していきたいと思います。今日の段階はそれに尽きると思います。
記者:
重ねてになるのですが、原告団への控訴をしないという今回の判断だと思うのですけれども、今後の具体的な対応というのは原告以外のご家族、ハンセン病の家族へも含めた対応ということでしょうか。
大臣:
繰り返しになりますが今日の段階は早急に具体的な対応を検討をしたいということに尽きます。
記者:
先週、訴訟の原告の方々が厚労省に来られて大臣への面会を希望されておりました。改めて原告側が面会を希望された際はご対応どのようにお考えでしょうか。
大臣:
早急に、私先ほど来申し上げてますように今の段階では早急に具体的な対応を検討していきたいということに尽きるということであります。
記者:
先ほど判決には法律上の重大な問題があるとおっしゃっていますけれども、起算点のことも先ほど触れていらっしゃいましたが、重大な問題というのは具体的にどのようなものでしょうか。
大臣:
もう一度。
記者:
判決で法律上の重大な問題があるとおっしゃっていると思うのですけれども、具体的にはどういった問題があるというふうに認識されていますでしょうか。
大臣:
いくつかね、時効の問題などいくつか法律の重大な問題が含まれて、国民の権利義務関係に与える影響が大きいというそういう問題があるのは事実で、だから控訴せざるを得ない側面があるというのも事実だということも先ほど申し上げました。厚労省としてはご家族の方々におかれても大変つらい思いを経験された方も少なくないわけであり、今回の判決に当たってもご家族の方々の苦しみに思いをいたし寄り添った支援をして、これを基本的なスタンスとして対応を検討してまいりました。だからそれは法律上そういう問題があるそれは事実であります。
記者:
判決で棄却された原告約20人が控訴する方針を示していますが、そこについて政府としてどのように対応していく考えか教えてください。
大臣:
それはもう原告団のご判断ではないでしょうか。私の立場からコメントすることを控えたいと思います。

(了)