2019年7月2日(火曜日)
11時06分~11時26分
於:記者会見室

冒頭発言

おはようございます。私から3点申し上げたいと思います。

多様なモビリティの普及促進のための展示・試乗会

まず1点目ですが、明日、経産省内で「多様なモビリティの普及促進のための展示・試乗会」を開催をして、一般の皆様に小型モビリティや電動アシスト自転車などを御体験いただく予定であります。
最近は、いろいろ痛ましい事故などもあって、高齢者の運転、あるいは事故というのが大きな社会問題になっているわけであります。しかし一方で、当然、高齢者といえども移動手段の確保というのは、特に地方、過疎の地域において極めて重要なわけであります。
シニア層の移動を伴う日常生活を支えていくためには、いわゆる一般の自動車だけではなくて、小型モビリティなど移動に関する多様な選択肢を用意することが重要だというふうに思っておりますし、日本には、もう既に多様な選択肢が芽生え始めております。もう既に市販されているものもあれば、今、市販に向けて取組が続いているものがたくさんありますので、このイベントを機会に普及促進のきっかけにしていきたいというふうに考えています。
イベントの詳細については、別途、事務方から説明をさせます。

山形県沖を震源とする地震及び6月30日からの大雨に関する関係閣僚会議

2点目でありますが、本日、閣議後に開催された、山形沖を震源とする地震及び6月30日からの大雨に関する関係閣僚会議を踏まえた経産省の対応を説明いたします。
まず、山形県沖地震への対応についてですが、地震発生後、直ちに被災地の商店街や観光地などに経産省の局長級2名を派遣して、状況把握に努めました。
その結果を踏まえて、経産省では、まず中小企業・小規模事業者の事業継続のため、被災事業者の資金繰り支援に万全を期してまいります。
日本公庫が、通常とは別枠の融資を実施します。また、信用保証協会も県の要請に応じて、別枠で最大2.8億円の100%保証を実施をいたします。
また、県が小規模事業者向けに、冷蔵庫などの設備購入や店舗改装の支援を拡充する場合には、国の補助を拡充させていただきます。
次に、風評被害の払拭や観光需要の回復に向けて、被災地の商店街が地元産品や食材を活用した観光イベントなどを開催する際、最大2億円を補助いたします。
さらに、8月には、山形県内でJETROが県庁とともに、地元産品の海外販路拡大セミナーを開催いたします。
こうした被災地のニーズに寄り添った対策を講じることで、地域経済の回復に全力で取り組みたいと思います。
また、6月30日からの大雨への対応については、特に降雨量の多い九州地域を含め、電気、ガスなどライフラインに大きな支障は今のところ出ていないという状況であります。
今後については、地方経済産業局ほか省内関係部局に対して、被害状況の迅速な情報収集に努めるとともに、停電解消や避難所への生活関連物資の提供などに迅速に対応していくように指示を出したところであります。

幹部人事異動

3点目ですが、本日、経済産業省幹部の人事異動について、閣議で承認をされました。発令は7月5日、経済産業審議官は12日となります。
嶋田隆事務次官の後任に、商務情報政策局長や関東経済産業局長など、経済産業行政の幅広い経験を積んだ安藤久佳中小企業庁長官を、また、寺澤達也経済産業審議官の後任に、田中繁広通商政策局長を登用いたします。
嶋田事務次官、そして寺澤経済産業審議官には、これまでの公務、経済産業行政への貢献に心より感謝をしたいというふうに思っております。
今回の人事の基本テーマは、攻守両面のメリハリ最大化であります。
攻めの人事としては、従来の発想を超えた政策実行へのチャレンジが求められる分野への適材適所の人事を実施をいたしました。例えば成長戦略では、新原浩朗経済産業政策局長・内閣官房日本経済再生本部事務局長代理を留任させました。また、米中緊迫化の中で、貿易管理制度改革を担当する貿易経済協力局長には、セキュリティ分野に詳しい保坂伸資源エネルギー庁次長を登用いたします。攻めの中小企業政策への変革のために、中小企業庁長官にIT、ベンチャー分野に精通した前田泰宏中小企業庁次長を抜擢いたします。
一方で、守りの人事として、厳しい局面にある政策分野には、経験や継続性を重視して人事配置を行いました。例えばアメリカ、中国、インド、欧州、ASEANとの立体的な交渉、連携を加速化すべく、この分野で経験豊富な田中繁広通商政策局長を経済産業審議官に、そして、広瀬直製造産業局審議官を通商政策局長に登用をいたしました。また、電力、再エネ分野など踏み込んだ制度改革が焦眉の急となる資源エネルギー庁は、髙橋泰三長官と3人の部長を全て留任をさせました。また、キャッシュレス推進や万博準備などの分野は、3年目となる藤木俊充商務・サービス審議官を留任させることといたしました。
その他、配布資料のとおりであります。
なお、審議官級、課室長級においても、昨年に続いて専門性のある若手の抜擢、任期の長期化、外部人材の登用など、上下や内外や過去の慣習といった壁を崩していく人事を実施するところであります。
私からは以上です。

質疑応答

①韓国向け輸出管理の運用の見直し、②G20

Q: 2点お願いします。1点目なんですが、昨日、韓国向けの輸出管理の見直しを発表されましたが、この狙い、背景、理由をお教えください。
もう一点が、G20が閉幕しまして、この振り返り、総括及びここで見えてきた課題について、経産省としてどういうふうに取り組む方針なのかを教えてください。

A: まず半導体関連について申し上げたいと思いますが、今回の見直しは、安全保障を目的に輸出管理を適切に実施するという観点から、運用を見直すというものであります。一部報道、あるいは韓国側の反応にあるような、いわゆる対抗措置といったものでは全くありません。
韓国との間では、これまで両国間で積み重ねてきた友好協力関係に反する韓国側の否定的な動きが相次いで、その上で、旧朝鮮半島出身労働者問題については、残念ながら、G20までに満足する解決策が全く示されなかった、関係省庁でいろいろと相談をした結果、韓国との間では、信頼関係が著しく損なわれたと言わざるを得ない状況になっているわけであります。
輸出管理制度というのは、国際的な信頼関係を土台として構築されているものであります。韓国との信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっていることに加えて、韓国に関連する輸出管理をめぐって不適切な事案が発生したこともありまして、厳格な制度の運用を行って、万全を期することにいたしました。
見直し内容の詳細については、昨日のプレスリリース及び事務方から御説明をさせていただいたとおりであります。引き続き、適切な輸出管理制度の運用を行うため、必要な見直しを行ってまいりたいというふうに思います。
G20についてでありますが、首脳会合に先立って、経産省では2つの閣僚会合を主催をいたしました。
まず1つ目、貿易・デジタル経済大臣会合では、閣僚声明において、自由で公平かつ無差別な貿易・投資環境を実現して、市場を開かれたものとするために努力をすることを明記をいたしました。加えて、紛争解決を含むWTO改革の推進や「Data Free Flow with Trust」のコンセプトについて確認ができた、閣僚レベルでも大きな成果が上がったと思っています。
また、軽井沢大臣会合でも、気候変動など各国の利害が対立することの多い分野で、「環境と成長の好循環」というコンセプトに合意をして、「軽井沢イノベーション・アクションプラン」に合意をいたしました。全ての国がアクションにコミットしていく点で一致できたことは、画期的だったというふうに思います。
こういった閣僚の合意、特に貿易と気候変動というのは、G20加盟国の中で対立点や考えの違うところも多い分野であったわけですが、ここをしっかり閣僚レベルで一定のまとめをした上でサミットに臨めたというのは、サミットを、更に充実したサミットにする上で、非常に貢献できたのではないかというふうに思っていますし、大阪で発出された首脳宣言にも、この2つの閣僚会合の成果はしっかりと引用をされております。まさに、この閣僚会合を通じて、首脳宣言の礎作りに大きく貢献することができたと思っています。
今後はイノベーション・アクションプランやWTO改革の具体的取組、サミットのマージンで立ち上げられました大阪トラックの推進、そして鉄鋼グローバル・フォーラムを前進せる方策の検討などをしっかりと進めてまいりたいと思います。
 

韓国向け輸出管理の運用の見直し

Q: 引き続き、昨日発表されました韓国への輸出管理の件なんですが、今回の措置が自由貿易に逆行するですとか、あるいはWTOルールに整合的ではないとする見方も一部であるようなんですが、この辺り大臣のお考えをお聞かせください。

A: 今回のG20でも明らかになりましたし、また、TPP11を成立された日EU・EPAを成立させた、まさに今、世界の中で保護主義的な動きが強まる中で、日本は、まさに自由貿易の旗手なわけであります。日本のやることは、貿易に関して採る行為は、全てWTOに整合的なものであるということは、明確に申し上げておきたいというふうに思います。
今回の措置についてですが、そもそも国際合意に基づいて安全保障のために軍用品への転用が可能な機微技術などの輸出については、実効性のある管理が求められているところであります。そのために必要な見直しを不断に行うということは、これは国際社会の一員として当然の責務だというふうに思っています。
WTOを中心とする自由貿易体制の下においても、各国はその義務を着実に履行することが求められ、各国とも現に実施をしているところであります。GATTの21条でも、そういったことは明確に規定をされているわけであります。
今回の見直しは、こうした不断の見直しの一環でありまして、一部報道にあるような自由貿易体制に逆行するというようなことは全くありません。WTO違反との指摘も全く当たらないと考えています。

Q: 関連なんですけれども、輸出管理の件で、韓国側はWTOへの提訴も含めて必要な措置を採るとしています。この点に関してはいかがでしょうか。

A: 今申し上げたように、WTO協定に違反するとの指摘は全く当たらないわけであります。あくまでも今回の措置は、安全保障のために輸出管理を適切に実施する上で必要なものであります。G20サミット首脳宣言の趣旨にも沿ったものだというふうに思っています。
これはもう各種条約や国際レジームにおいて、しっかりと規定をされている、そういった枠の中で我々は行っておりますし、先程も申し上げたWTOの前提となっているGATTの21条でも認められている措置だということは、明確に申し上げておきたいというふうに思います。

Q: 関連なんですが、今回の措置による日本企業、日本経済への影響と、あとホワイト国への除外云々は、今月24日までにパブコメを求めて精査するということですが、その後の政府の対応について教えてください。

A: まず、今回の措置は、あくまでも輸出管理上の運用でありますので、これは輸出管理上、問題が起こらないように我々はきちっと対応をしていくということであります。そこで、どういう影響が結果として日本企業に出るかということについては、把握には、これは一定の時間もかかると思いますが、政府としては日本企業の影響は、しっかりと注視をしていきたいというふうに思っております。

Q:関連した質問で恐縮なんですが、今回のいわゆる輸出管理上の運用を韓国は反発をするわけで、報復措置の応酬のような事態になった場合、日本にとって韓国というのは第3位の貿易国でありますし、貿易摩擦が激化した場合、どのような影響が起こり得るのか、そのあたりはどう御覧になっていますか。

A: そもそも、これが何かの対抗措置で我々はあるとは全く思っていません。輸出管理を適切に実施するという観点から、運用上の対応として行わせていただいておりますので、これに対する報復などということは、基本的にあるべきではないというふうに思っています。

「KIMONO」商標登録

Q: アメリカのタレントのキム・カーダシアンさんが、自身の下着ブランドの「KIMONO」の件で名称変更をする考えを発表したんですけれども、大臣もツイッターで書かれていると思うんですけれども、受け止めがありましたら。

A: SNS上で相当大きな話題になっておりました。商標ということで私の所管分野でもありますので、経産省としての考え方をツイッター上で述べさせていただきました。
そして、7月1日には、キム氏がSNS上でブランド名を変更するという旨の発表を行ったということは承知をしています。
着物というのは、我が国が世界に誇る文化でありまして、アメリカでも、これはもう着物といえば日本のものということで高い知名度を有しているわけであります。商標制度の趣旨を踏まえて適切な審査が行われることを望みたいというふうに思います。
来週ですが、7月9日に特許庁幹部を米国に派遣をして、米国特許商標庁幹部としっかり意見交換をさせたいと考えています。引き続きどういった状況になるか、注視をしてまいりたいと思っています。

長谷川補佐官の発言

Q: 2つあります。全然別の話なんですけれども、中小企業庁が東北で行った会合で、官邸の長谷川補佐官が再任候補予定者の実積をPRするような話をしたと報じられました。この点について、会合の目的及び会合になぜ長谷川さんが出席したのかという事実関係、それから公選法の136条の2、特別職を含む公務員の地位利用による選挙運動の禁止違反の可能性もあるのではないかというふうに指摘されますが、経産省としての御見解があれば。

A: まず、これは中小企業庁主催というよりは、東北経済産業局主催だというふうに認識をしていますが、6月14日に中小企業支援施策に関する意見交換会というのが行われた、そこに長谷川補佐官が出席をしていたというのは、事実であります。
なんで長谷川補佐官を呼んだかというのは、これはちょっと東北経済局によく御確認をいただきたいと思いますけれども、普通に考えれば、長谷川補佐官は中小企業庁長官経験者であります。また、下請取引の是正など、これは今、経産省が行っている中小企業関係の施策についても、官邸の立場、首相補佐官という立場でいろいろと関与をしている。下請関係の会議は、皆さんも御覧のように、長谷川補佐官は毎回出席をしているわけであります。そういう立場、そういった、また知見を述べてほしいということで呼ばれていたのではないかというふうに思います。
公選法上との関連でありますけれども、長谷川補佐官は、公職選挙法が禁止をしている地位を利用した選挙運動ということはしていないというふうに承知をしております。これは昨日、官邸でも西村官房副長官が会見をしているとおりであります。
また、首相補佐官というのは、ポリティカルアポインティー、特別職でありまして、国家公務員法の政治的行為の制限などは適用されないというふうに認識をしています。
いずれにしても、こうした会合の開催に当たっては、今後も公正な運営に努めてまいりたいというふうに思います。

幹部人事

Q: 次官人事の関係なんですけれども、安藤さんが昇格されるということなんですが、安藤さんは6年前にエネ庁の資燃部長時代に、業界からの飲食接待で懲戒処分を受けていると思うんですが、当時の事情も承知しているつもりなんですけれども、一般的に国家公務員法上に基づく懲戒処分は、これも一般論ですけれども、人事考課の対象になるとは思うんですが、この点は大臣はどういうふうに判断されますか。

A: 安藤氏が処分されてから既に5年以上経過をしているわけであります。その間にも、関東経済産業局長、商務情報政策局長、中小企業庁長官として、事業承継税制を始め、地域、中小企業政策、IT政策などで様々な成果を上げているわけであります。
私自身も、商情局長と中小企業庁長官として一緒に仕事をいたしましたが、その手腕は極めて高いものであると評価をして、次官として適材であると判断をしたところであります。

 

以上

最終更新日:2019年7月2日