冒頭発言

【河野外務大臣】G20も無事に終わって,ほっとしているところでございます。今日は冒頭は,特に私(大臣)の方からはございません。

韓国向け輸出管理の運用の見直し

【NHK 奥住記者】韓国について伺います。韓国への輸出規制について日本政府は対抗措置ではないというふうに説明していますけれども,韓国側はそういうふうに受け止めていないと思います。対抗措置ではないという理屈について教えていただきたいのと,また,韓国はWTOへの提訴の構えも見せていますけれども,どのように対応するか,そしてこの問題が外交関係に影響が出ていることについての受け止めと併せて教えてください。

【河野外務大臣】対抗措置ではないということは,きちんとご説明をしなければならないと思っておりますが,長嶺大使,あるいは本省でも,それぞれ外交当局間でそういう説明をしてきているところでございます。
 この輸出管理に関しては,規制当局間での意見交換・情報交換がしばらくできていないという中で,この輸出管理制度の現在の運用を維持していくのがなかなか難しいということが,規制当局であったということなんだろうと思いますが,この輸出管理について様々,通常のスタンダードから優遇的にしていたものを,この意見交換ができないというようなこと,あるいは不適切事案があったということから,通常モードに戻そうということですから,何か劣悪な環境にしようということではありませんし,我が国のこうした貿易に関する規制当局は,WTOルールに基づいたこと,WTOのルール内で認められていることしかやりませんので,そもそもWTOの提訴の対象になるとは思っておりません。

【時事通信 越後記者】関連して伺いますけれども,いま規制当局間で意見交換ができないというふうに説明されたのですが,それはいつからいつまでの間の話であるのかということと,こちらから何か対話を求めて,それに韓国側が応じなかったという理解でよろしいのかということが1点。もう1点は,不適切事案というのはどういった事案だったのかご説明いただけますでしょうか。

【河野外務大臣】それは経産省にお問い合わせいただきたいと思います。個別の企業の案件は,おそらく経産省でも対外的には申し上げられないかと思いますが,それは経産省の当局にお尋ねいただきたいと思います。

【時事通信 越後記者】これは基本的に経産省の話だとは思うんですけれども,当然外交関係に影響を与える話でもあるので,事前に相談説明等々はあったと思うんですが,その際に外交当局としてはどのように意見を述べられたのでしょうか。

【河野外務大臣】経産省から当局間で様々情報交換が行われていて,その結果,こういう措置をとらざるを得ないということになったと承知をしておりますが,今,日韓様々な問題がある中で,きちんと切り離すものは切り離して,それぞれしっかり対応できるようにしてまいりたいと思っております。

【読売新聞 梁田記者】関連なんですけれども,日本政府はそもそも,韓国のいわゆる徴用工問題に関する判決が出た時点で,これが国際法違反の状態であるというように説明してきました。その国際法違反の状態に対するカウンターメジャーという訳ではないというご認識なのかというのが1点。

【河野外務大臣】そのとおりです。

【読売新聞 梁田記者】もう1点,切り離すものは切り離してということで,恐らく,今,仲裁プロセスの方も進んでいるので,そちらの方を念頭に置かれてのご発言かと思いますが,そちらについてはどのように対応するお考えでしょうか。

【河野外務大臣】「切り離して」と申し上げたのは,この輸出管理規制とかあるいは保健・衛生の問題とか,全く別の問題と旧朝鮮半島出身労働者の一番,今,日韓両国政府が頭を悩ましている問題と混同されないよう,気をつけてやらなければならないというふうに思っております。旧朝鮮半島出身労働者の問題は,これは先般も康京和(カン・ギョンファ)外交部長官と意見交換をG20の夕食会の後,行いましたけれども,これはこれで外交当局間でしっかり意思疎通をしていこうということにしておりますので,この問題についてはしっかりと外交当局間,難しい問題ではありますが,解決に向けてしっかり前進をさせていきたいと思います。

G20における日中首脳会談の評価

【中国青年報 張記者】ありがとうございます。まず,大阪G20サミット,成功裏に実現できまして,祝意を申し上げます。私から質問2点,ございます。1点目は,大阪での日中首脳会談についての成果ですね,及び今後,両国関係をさらなる発展するために,しかるべき歩みとしては,どうお考えでしょうか。
 2点目はですね,6月28日,G20サミットの会議で,習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席による発言の中から,多数の観点と提案が言及されました。例えば,世界の多角的貿易体制を強化させること,各国の相互尊重と相互信頼すること,そして中国市場,さらなる開放,輸入の拡大,ビジネス環境のさらなる円滑化,そして,デジタル経済の国際協力に積極的に参与すること,以上2点,お差し支えないところを教えていただきたいと思います。

【河野外務大臣】習近平主席にG20大阪サミットにご出席をいただき,御礼を申し上げたいと思います。また,日中首脳会談も非常に和やかな雰囲気の中で行われ,G20大阪サミットの成功に向けた連携を確認すると同時に,幅広い分野で率直な意見交換を両首脳間で行うことができました。
 また,会談の中で,来年の桜の咲く頃ですから,春ですね,国賓として習近平主席をお迎えしたいという招請をし,主席の方からは原則として受け入れていただきました。
 様々,経済,国民交流,その他非常に幅広い分野で,意見交換ができ,具体的な協力も確認することができたというのは,非常に大きな成果だと思っておりますし,また,習近平主席にG20本体のみならず,デジタル経済に関するサイドイベントにご出席をいただき,ご発言もいただき,大阪トラックの開始を一緒に祝っていただいたということは非常にありがたいと思っております。

イラン情勢

【朝日新聞 鬼原記者】イラン情勢について伺います。イランが核合意に定められた,ウランの貯蔵量を超えたということを表明しました。端的に,これは核合意に違反しているというご認識かどうかということと,近く,ウランの濃縮純度を上げるということも表明していますが,こうした場合に日本政府としてどういう対応を採られるのか,まず教えてください。

【河野外務大臣】イランが核合意が定めている濃縮ウランの量について,合意された量を上回ったということがイラン側から発表され,またIAEAがそれを確認したということなんだろうと思います。日本としてはJCPOAが非常に大事だと思っておりまして,これまでもイラン側に対して,様々な情勢,イラン側の事情,そういったことは日本としてはよく理解はしているけども,このJCPOAをやはり維持するということが大事だし,特に日本としては,この濃縮ウランに関して合意された範囲を踏み超えないでほしいということは,イラン側にも,累次,お願いをしてきたわけでございますので,この量が一時的なものかどうかは分かりませんけれども,合意された量を超えてしまったということについては非常に残念に思っております。日本側として,これ以上,量が増えないように,また,濃縮の濃度が高まるということがないように,引き続きイラン側には働きかけをしてまいりたいというふうに思っております。

【朝日新聞 鬼原記者】情勢が今後また一層,緊迫することが予想される中で,イランの在留邦人の保護について政府の取組,今後,どうされるご予定か,あれば教えてください。

【河野外務大臣】在イラン大使館並びに領事局で,邦人保護については様々,情勢分析などをやっているところでございます。詳細は領事局にお尋ねをいただきたいと思っておりますが,現時点で,まだ何か特定のアクションが必要になっている状況にはなっていないというふうに,私(大臣)は理解しております。