2019年6月28日

経済産業省は、「コーポレート・ガバナンス・システム研究会(CGS研究会)(第2期)」における議論に基づき、今般、「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」(グループガイドライン)を策定しましたので、公表します。

1.背景・趣旨

「日本再興戦略改訂2014」において成長戦略の最重要課題の一つに位置づけられた「コーポレートガバナンス改革」は、上場会社における社外取締役の導入等を中心に着実に進展しつつあり、我が国のコーポレートガバナンス改革は「形式から実質へ」の深化が求められるフェーズに入っています。

従来のガバナンスの議論は、法人単位が基本であったのに対し、実際の経営はグループ単位で行われているため、グループ経営における実効的なガバナンスの在り方が日本企業の課題となっています。また、昨今の子会社不祥事問題を契機に、従来の「攻め」のガバナンスのみならず、グループ経営における「守り」のガバナンスとして、子会社管理の実効性確保等の点も新たな課題となっております。

こうした中、「未来投資戦略2018─『Society 5.0』『データ駆動型社会』への変革─」、「成長戦略実行計画」および「成長戦略フォローアップ」にグループガバナンスの在り方に関する実務指針を策定することが盛り込まれていること等を受け、経済産業省では、2017年12月にCGS研究会(第2期)(座長:神田秀樹学習院大学大学院法務研究科教授)を立ち上げ、同研究会において約1年半にわたりグループガバナンスの在り方について議論を重ねて参りました。

経済産業省は、同研究会における議論等に基づき、今般、「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」(グループガイドライン)を策定しました。

2.グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針について

「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」(以下「本ガイドライン」といいます。)は、主として単体としての企業経営を念頭に作成されたコーポレートガバナンス・コード(以下「コード」といいます。)の趣旨を敷衍し、グループガバナンスの在り方をコードと整合性を保ちつつ示すことで、コードを補完するものです。

本ガイドラインは、実効的なグループガバナンスの在り方に関し、経済産業省が実施した国内外のグループ経営を行う企業等に対するヒアリングやアンケート結果に基づき、グループガバナンスの実効性を確保するために一般的に有意義と考えらえられるベストプラクティスを示しています。

なお、グループ経営の在り方は極めて多様であるため、本ガイドラインに記載の取組を一律に要請するものではありませんが、各企業において、最適なグループガバナンスの在り方を検討する際、本ガイドラインが実務に即した指針として、その検討に資することが期待されます。

(本ガイドラインの構成は以下のとおりです。)

  • はじめに(本ガイドラインの目的、位置付け、対象等)(第1章)
  • グループ設計の在り方(第2章)
  • 事業ポートフォリオマネジメントの在り方(第3章)
  • 内部統制システムの在り方(第4章)
  • 子会社経営陣の指名・報酬の在り方(第5章)
  • 上場子会社に関するガバナンスの在り方(第6章)

3.今後の取組について

我が国企業のグループ全体の企業価値向上を図るため、本ガイドラインの普及と浸透に努めてまいります。

4.参考

①未来投資戦略2018─『Society 5.0』『データ駆動型社会』への変革─(2018年6月15日閣議決定):
「企業グループ全体の価値向上を図る観点から、グループ経営において『守り』と『攻め』両面でいかにガバナンスを働かせるか、事業ポートフォリオをどのように最適化するかなど、グループガバナンスの在り方に関する実務指針を来年春頃を目途に策定する」
②成長戦略実行計画(2019年6月21日閣議決定):
「上場子会社のガバナンスの在り方を示し、企業に遵守を促す「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」を新たに策定する」
③成長戦略フォローアップ(2019年6月21日閣議決定):
「企業グループ全体の企業価値向上を図るため、グループ経営における事業ポートフォリオの最適化や実効的な子会社管理、子会社経営陣の指名・報酬決定などの在り方を示した「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」を新たに策定し、その周知を進め、同指針に沿った実務の普及・浸透を図る」

関連資料

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担当

経済産業政策局産業組織課長 坂本
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電 話:03-3501-1511(内線 2621)
03-3501-6521(直通)
03-3501-6046(FAX)