(令和元年6月25日(火)10:09 ~ 10:25 省内会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
では、私の方から申し上げます。旧優生保護法一時金認定審査会についてであります。旧優生保護法一時金支給法のうち、認定審査会に関する部分が昨日施行されました。これを受け、厚生労働省においては、本日付けで、お手元にお配りしているとおり、8名の認定審査会委員を任命しました。6月16日現在で、都道府県における一時金の請求受付件数は246件、相談件数は1,278件となっています。請求された方のうち、対象者に該当することが明らかな方については、随時、認定を行っていますが、それ以外の方については、認定審査会に対して審査を求め、その審査結果に基づいて認定を行う必要があります。今後、厚生労働省としては、優生手術等に関する当時の記録等が残されていない方についても、認定審査会において円滑な審査が行われるよう、事務局としてサポートするとともに、審査結果に基づく速やかな一時金の支給に向けて、全力で取り組んでまいります。私からは以上です。

質疑

記者:
一点お伺いします。新型出生前診断の指針について日本産科婦人科学会が改訂はするものの運用は凍結するという判断をしたようですが、大臣の受け止めを教えてください。加えて、厚労省として検討会を設置するということですが、その経緯と理由について教えてください。
大臣:
母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT検査)については、平成25年3月に日本産科婦人科学会が指針を公表し、以後、関連5団体の連携のもと、この指針に基づき日本医学会の認定施設において検査が実施されてきました。他方で、ここ数年、認定施設以外の医療機関での検査が急増するなどの問題が指摘されていることもあり、日本産科婦人科学会において、新指針の策定に向けた検討が行われてきたと聞いております。この新指針では、実施施設の要件緩和が提案されており、他の関係学会からは、NIPT検査の実施拡大等への懸念が表明されてきました。厚生労働省としては、これまで関係学会等の議論を注視してきましたが、関係学会の意見が分かれることになれば、妊婦等への不安が広がりかねないことから、厚生労働省として本年秋頃に検討の場を設け、NIPT検査について必要な議論をしていくこととしました。日本産科婦人科学会に対しては、6月21日に厚生労働省の議論を踏まえた対応をお願いし、その結果、6月22日に、産科婦人科学会はひとまず指針の運用開始を保留にすると発表したと聞いております。
記者:
NIPTについて関連の質問ですが、NIPTは2013年に始まってその当時国は支援づくりなどを学会に任せて静観していましたが、この検査は検査自体の技術が不要で、指針を守らない施設が出る懸念は当時からありました。今になって国が対応するというのは遅いという指摘もありますが、大臣のお考えを教えてください。
大臣:
先ほど私が申し上げたとおりでありますが、これまで関係学会等の議論を注視してきましたが、関係学会の意見が分かれることになれば、妊婦等への不安が広がりかねないことから、厚生労働省として本年秋頃に検討の場を設け、NIPT検査について必要な議論をしていくこととしたものであります。
記者:
続いて別件ですが、本日朝刊で患者がかかりつけ医を任意で登録する制度の検討を厚労省が始めたという報道がありましたが、事実関係を確認させてください。
大臣:
まず、記事にあるようなかかりつけ医の定額制について厚生労働省が検討を開始したとの事実はありません。外来受診時等の定額化の導入については、経済財政再生計画改革行程表2018において、諸外国の例やかかりつけ機能のあり方を踏まえつつ、病院、診療所の機能分化、機能連携等を推進する観点から大病院受診時の定額負担に係る対象範囲の拡大をはじめとした外来受診時等の定額化の導入・活用について早期に改革が具体化されるよう関係審議会等において検討とされており、骨太2020に向けて検討していきたいと思います。
記者:
優生保護法の認定審査会についてなのですが、個別事案によって違うとは思うのですが、審査にどのくらいの時間がかかるというふうに今見られていて、この明らかではない方たちへの支給が早くていつ頃から開始するような形になっているのでしょうか。
大臣:
個々の請求については、手術を受けた当時の記録の有無に関する医療機関等への調査等に要する時間が異なるほか、記載事項を確認し、添付書類の追加提出が必要な場合もあるなど、審査会に審査を求めるまでの状況が事案ごとに様々であります。また、認定審査会での審査についても、一度の審査で支給認定できる事案もあれば、審査会として、追加の状況確認依頼、書類提出の求めなどを行った上で、再度審査が必要な事案もあることが想定されます。したがって、審査結果が出るまでの期間を一概にお答えすることは困難ですが、厚生労働省としては、必要な書類等が整った事案については、厚生労働省に請求書が進達されてから約3か月後までを目途に、審査会に初回の審査を求めることができるように処理を進めていきたいと考えています。
記者:
NIPTの検討会について秋ごろから検討会を開始するということでしたが、結論はいつごろを目指されるのか教えてください。
大臣:
秋ごろから検討を開始します。
記者:
年度内とかそういった目途もありませんでしょうか。
大臣:
秋ごろから検討を開始してその検討の状況次第だと思います。
記者:
千葉県内などで複数の保育園を運営する社会福祉法人が2017年分から決算書を出していないということがわかりました。にもかかわらず、2年間で10億円もの助成金が交付されております。千葉県が是正勧告などをしているのですが、状況は改善されておりません。また、助成金の使途も不明な点が多々あり、保育の質が低下して保護者の方にも不安が広がっているという指摘もあります。社会福祉法人を所管する厚生労働省としてこの事案が耳に入っているかどうか、また今後県がどのように対応していくべきかどうか教えていただけますでしょうか。
大臣:
ご指摘の事案について、法人の所轄庁である千葉県に確認したところ、平成27年度決算書等が未提出だったことなどから、平成28年12月に特別監査を実施したこと、平成29年度決算書等についても期限までに提出がなかったことから、平成30年11月に特別監査を実施し、現在も指導中であることなどが確認されました。千葉県においては、今後も引き続き法人の指導監査を継続していく予定としており、厚生労働省としても社会福祉法人の経営組織のガバナンス強化の観点から、千葉県に助言するなど丁寧に支援していきたいと思います。また当該法人の保育所に対しては、保育所運営に指導監査権限を持つ千葉県や、保育所の運営費の給付を行う流山市が、児童福祉法や子ども・子育て支援法に基づいて、監査等により適切な保育所運営のための指導を行っています。現在、千葉県が事実関係等の詳細を確認中であり、厚労省としても、保育所運営費を所管する内閣府とも連携しながら、適正な運営が確保されるよう、取り組んでいきたいと思います。
記者:
旧優生保護法に戻ってしまうのですけれども、審査会の第一回目なのですけれどもいつ頃開催するという目途があれば教えてもらいたいです。もう一点委員の方が8名選ばれていると思うのですけれども、厚労省としてはどういう見地で選ばれて、どういったことを期待してこの方々を選ばれたのかということを大臣からお願いします。
大臣:
まず時期の目途、初回の認定審査会は7月中に開催する予定で現在調整中であります。それから委員の任命をどういう考え方で行ったかということについては、旧優生保護法一時金支給法において認定審査会の委員は医療・法律・障害者福祉等に関して優れた識見を有する者のうちから任命するとされています。今回一時金支給の認定のための審査にあたり柔軟かつ公正な判断を行っていただけるよう、各分野、今申し上げたとおり法律に書いてありますが、この各分野から十分な知識経験を有する方を選任しました。
記者:
先週末のジュネーブのILO総会で職場のハラスメントの禁止の条約が採択され、日本政府もこれに賛成票を投じているわけなのですけれども。この条約の批准する意思は日本政府としてはあるか、それから批准するタイミングはいつかお考えをよろしくお願いします。
大臣:
仕事の世界における暴力とハラスメントは、働く方の尊厳や人格を傷つける、あってはならないことであり、これに対応するための新たな国際労働基準の必要性、意義は大きいと考えられたため、今回この条約・勧告の採択に賛成し、条約・勧告が採択されました。我が国においては、先般、ハラスメント防止対策を強化する 改正法が成立し、ハラスメントのない職場づくりに向けた前進が図られることとなりましたが、条約批准との関係では、国内法制との整合性を今後更に検討する必要があると考えております。いずれにしても、まずは、ILO条約の趣旨も踏まえながら、改正法の円滑な施行に向けて、指針の策定・普及啓発等にしっかりと取り組み、ハラスメントのない職場づくりに尽力していきたいと思います。
 

(了)