令和元年6月21日(金)

  今朝は,閣議前後に「知的財産戦略本部会合」や「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部会合(第7回)」に出席しました。
  また,本日の閣議においては,法務省関連の,法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律等2件について公布決定がなされました。
  続いて,私から3件御報告があります。
  まず何よりも,本年6月19日,検察庁の職員等が,神奈川県内において,保釈により釈放され,その後に実刑が確定した人物を収容するために自宅を訪ねたところ,同人が逃走し,そして現時点においてもその身柄を確保できていないことについてです。
  このような事案が発生したことは誠に遺憾であり,愛川町,あるいは厚木市の地域住民の皆様,また,学校関係者を始め,全国の皆様に多大な御心配と御迷惑をお掛けしていることに関して心からお詫び申し上げます。
  検察当局においては,身柄の確保に向けて,警察と緊密に連携,協力しながら全力を挙げているところですが,私としても早期の身柄確保に向けて全力を挙げてもらいたいと考えています。
  今回の事態については,まずは身柄の確保が最優先事項であると認識していますが,同時に,今回のような逃走事案が発生しないよう,再発防止に向けた検証・検討を行うことも重要であると考えています。
  この点に関しては,最高検察庁から,全国の検察庁に対し,適切な体制による収容を徹底することについて通知を発出したということ,そして,適切な収容の在り方について検証・検討を行うこととしたとの報告を受けていますが,私からも徹底的な検証・検討を行うよう指示したところです。
  改めて,本件について国民の皆様に多大な御心配と御迷惑をお掛けしていることについて深くお詫び申し上げるとともに,再発防止に努めてまいりたいと考えています。
  2件目は京都コングレス関係です。一昨日,京都コングレス2020を成功させる議員連盟の設立総会が開催され,そこには,上川陽子会長,北側一雄会長代行も出席され,さらには,谷垣禎一(元法務大臣)特別顧問からは素晴らしい基調講演を頂きました。
  この議連には,UNODCのブランドリーノ条約局長を始め,各国大使,経済団体,京都市長など,多くの方々にお集まりいただきました。
  京都コングレスの成功に関しては,私自身,直接,国連事務総長から「成功を期待する」とのお言葉を頂いているところでもありまして,法務省を挙げて開催の成功に向けてしっかりと準備を進めてまいりたいと考えています。
  3件目は,スリランカとのMOC署名式についてです。法務省では,外務省等の関係省庁と共に,特定技能外国人材の送出しが想定される国との間で,悪質な仲介事業者の排除等を目的とする協力覚書を結ぶための協議を進めてまいりました。
  そして,6月19日,スリランカとの間で,6か国目の署名国として,協力覚書の署名・交換を行いました。
  引き続き,外国人材の送出しが想定される国について,できるだけ早く協力覚書を作成することができるよう関係省庁と共に取り組んでまいりたいと考えています。

実刑判決が確定した者が逃走したことに関する質疑について

【記者】
 横浜地検が男の逃走を公表したのが事案の発生から約3時間後でした。一連の横浜地検の対応については大臣はどのようにお考えでしょうか。

【大臣】
 御指摘の点は,広く指摘されているところです。御指摘を重く受け止めて,改めて,地域住民の皆様,愛川町,厚木市,神奈川県の皆様,学校関係者を始め,全国の皆様に多大な御心配と御迷惑をお掛けしていることを心からお詫び申し上げる次第です。
 検察当局においては,最高検察庁の主導で適切な収容の在り方について検証・検討を行うものとしたと報告を受けています。その報告体制等についてもその一環として検討されるところであると考えていますし,私も徹底した検証・検討を行うよう指示したところです。そうしたことで,私もその状況について報告を受けた上で,適切に対処してまいりたいと考えています。

【記者】
 事件の発生から公表まで3時間以上経過したという点について,主観としてで結構なのですが,これは早いとお考えですか,それとも遅いとお考えですか。

【大臣】
 これについては,私自身としては,遅きに失したという批判,御指摘については重く受け止めているところです。

【記者】
 そもそも保釈が義務的なものではなくて裁判官の裁量で決まって保釈されたものですが,最近,保釈の傾向も緩和されている傾向ですが,今回のことについて保釈についてはどのように思われますか。

【大臣】
 今回の事案は,再度の保釈,実刑判決を受けた後,保釈を受けているというものです。そうした事案について,これが増えているのか,増えているのであれば,これはやはり我々としては,そういった対応を執っていかなければならないことです。そうした対応が十分であったかどうかも含めて,先程申し上げた最高検察庁における検証の中で検討されるものであろうと考えています。

【記者】
 今回の件について,保釈が事案の原因の一環であると考えられませんか。

【大臣】
 今回の件そのものについて,コメントは差し控えさせていただきたいと思います。そう申しますのは,やはりこれは我々の体制がどうであったかということ,あるいはその準備がどうであったかということを,まずもって我々は真摯に受け止めなければならないと考えているためです。

【記者】
 懲役や禁錮が確定して収容されていない,いわゆるとん刑者と言われる人が,昨年度末であれば26人いるということを聞いています。そういったとん刑者に対して,公開なり収容に向けた努力をされるお考えがあるのかをお聞きします。

【大臣】
 とん刑者あるいはまだ収容に至ってない者について,これは裁判所の判断をしっかり実現するという観点から取り組まなければならないことと考えています。そして,それに向けた体制や装備,あるいはその取組方について,十分であったかについてやはり今後検証していかなければならないと考えています。

【記者】
 最高検察庁の検証に関してですが,チームを作るのかや,報告の目処など決まっていることがあればお聞かせ願います。

【大臣】
 これはまず昨日の段階で,次長検事名で各地検に対してその体制についての通知がなされたところです。そして,検証については,最高検察庁総務部長が総括する検証チームが横浜地検における本件逃走事案についての検証も踏まえつつ,全国の保釈により釈放された刑確定者等の収容の実態について調査等を行い必要な措置を講じることとしたという報告を受けています。この検証結果については,まずはしっかりと検証していただきたいと思っていますし,身柄の確保等に全力を挙げなくてはならないということですので,現段階でいつまでというところは申し上げる段階ではありません。

(以上)