(令和元年6月21日(金)10:40 ~ 10:54 省内会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
それでは、私から冒頭申し上げたいと思います。まず、国家公務員を目指す皆さんに向けたメッセージについてであります。来週26日から、国家公務員総合職試験合格者を対象とした官庁訪問が開始されます。私は、常々、厚生労働省の職員に対して、厚生労働省に求められる役割と期待は非常に大きいこと、行政のプロとしての誇りと国民の目線を忘れてはならないこと、これを申し上げてまいりました。若手職員の皆さんの考え方も聞きながら、新しい厚生労働省を作っていきたい。このように考えています。こうしたことの一環として、官庁訪問の開始にあたり、国家公務員を目指す皆さんに向けた私からのメッセージをお伝えしたいと思っております。「挑戦者よ、来たれ!」と題しました。メッセージは、お手元にお配りしております。ホームページやツイッターなどに掲載し、発信していきたいと思います。次に、認知症等による行方不明者への対応についてであります。昨日、警察庁より「平成30年における行方不明者の状況」の中で、認知症またはその疑いにより行方不明になった旨の申出があった人数は、約1万7000人、また、所在確認された方のうち508人が亡くなられていたとの発表がありました。厚生労働省では、行方のわからない認知症高齢者等をお探しの方へ向けて、厚生労働省ホームページに都道府県で公開されている情報を一覧にして確認できる特設サイトを設けています。「行方不明」「認知症」「厚生労働省」のキーワードで検索いただければ、当該サイトにつながると思います。是非ご参照いただければと思います。また、昨年度、自治体において、警察との協力体制等見守り体制を構築するための具体的な手順をガイド、これは「見守り・SOS体制づくり基本パッケージ・ガイド」としてまとめ、自治体に周知しています。さらに今後、認知症を正しく理解し、地域で認知症の方を見守る認知症サポーターを、さらに具体的な支援活動につなげる仕組みとして「チームオレンジ」を積極的に推進することとしております。地域における見守りに対する活動が広がることも期待しています。現在の行方不明者の状況を重く受け止め、今後とも警察庁等とも連携し、認知症の方を地域で見守り、コミュニティで支える枠組みづくりなどに取り組んでまいります。私からは、以上です。

質疑

記者:
もうすぐ会期末が迫る中で、先日、野党の国対委員長が財政検証の結果を選挙前に速やかに公表を求める申し入れをするなどして、国会で議論するべきではないかという声が挙がっていますが、その受け止め、お考えをお願いします。また、改めて公表の時期の見通しをお願いします。
大臣:
これまでも国会では答弁してきていますが、財政検証は現在作業中であり、必要な検証作業が終わり次第、公表することを予定しているということに尽きます。公的年金制度は、平成16年改正において、若い世代の負担が重くなりすぎないように、将来の保険料の上限を固定し、その限られた財源の範囲内で現在と将来の年金受給世代の間で分かち合うため、年金の給付水準を調整するマクロ経済スライドを導入しております。このマクロ経済スライドを着実に実施することなどによって、将来にわたって給付水準を確保する仕組みとし、このマクロ経済スライドというのが制度を持続可能なものとするために導入したものであります。この仕組みの中で基本的に安定している制度ですが、この仕組みの中で、財政検証は、公的年金制度の持続可能性を確保するために、5年に一度、人口あるいは経済の長期の前提を設定して、概ね100年間という長期的な給付と負担の収支の見通しを確認するものであります。いわば年金制度の「定期健康診断」という性格になります。厚生労働省としては、これからの制度改正の議論に資する財政検証をしっかり行うことが重要だと考えています。現在、年金部会の議論や未来投資会議での議論等を踏まえて、財政検証本体の試算作業に加えて、新たなオプション試算などの内容の充実を図って、鋭意作業を行っているところであります。
記者:
関連してお伺いしたいのですが、先日の野党の申し入れ後に立憲民主党の辻󠄀元議員がぶら下がりに応じまして、大臣は今精査中だというようなご発言で、何回も何回も言いますと、いや間もなくというような趣旨の一言があったというご回答をされていたのですが、この事実関係について教えてください。
大臣:
私が今お話をしたように、申し入れの場でも、必要な検証作業が終わり次第、公表することを予定している旨の説明をいたしましたというのが私の認識であります。それは変わっておりません。いずれにしても、現在作業中であり、必要な検証作業が終わり次第、公表するということに尽きます。
記者:
間もなくという趣旨の発言はされていないと。
大臣:
間もなくという趣旨の発言、私が申し上げたのは、一貫して財政検証は現在作業中であり、必要な検証作業が終わり次第、公表することでありますから、そういう発言しか私はしておりません。
記者:
国際労働機関でハラスメントを全面的に禁止する国際条約を採択されました。日本でもパワハラ対策を盛り込んだ関連法が先日成立しましたが、採択されたことの意義など大臣の受け止めがあれば教えてください。また、条約においては採決が行われる見通しですが賛否について現時点で決まっていれば教えてください。
大臣:
仕事の世界における暴力とハラスメントは働く方の尊厳や人格を傷つけるあってはならないことであります。これをなくしていくための新たな国際労働基準の必要性、意義は大きいと認識しております。我が国においても、先般、ハラスメント防止対策を強化する改正法が成立したところであります。ハラスメントのない職場づくりに向けて、積極的に取組みを進めております。仕事の世界における暴力とハラスメントをなくすという共通の目標に向けて、こうした取組みを進める我が国も含め、世界各国が効果的にハラスメントの防止対策を進めていくことができるよう、ILO総会の議論に積極的に参加してきたところであり、昨日までの議論で、条約・勧告案の内容が固まったと聞いております。本日のILO総会の本会議において、この条約・勧告案の採択に関する投票が行われ、採択するかどうかが決定する予定であります。日本政府としては、条約・勧告案全体の内容、これまでのILO総会における議論、国会から附帯決議を頂いていることなどを踏まえ、本日の採択に関する投票に臨んでいきたいと思います。
記者:
財政検証なのですけれども、今回の国会の会期内に間に合う可能性はまだ残っているのかということを確認させていただきたいです。
大臣:
財政検証は私も何度も申し上げておりますが、財政検証は現在作業中であり、必要な検証作業が終わり次第公表することを予定しております。
記者:
引き続き財政検証について伺えればと思うのですが、先ほどから大臣がおしゃっています必要な検証作業というのは具体的にどういった作業なのでしょうか。また私、先週ぐらいに院内で聞かせていただいた時に具体的なご回答がなかったので、また改めて聞かせていただきますが、いわゆる参院選の前に財政検証を公表することによって国民のそういった投票行為にどういった影響があるのか、大臣個人としてお考えがあれば伺えればと思います。
大臣:
この財政検証というのは、私はきちんとした財政検証をする、我々はそれに尽きる。そして未来投資会議で年金の制度改正のいくつか提案がされていますが、それをオプションと我々は言っています。ですから、年金の制度改正の議論に資するようなオプション試算をしなければいけない、そしてその前回よりもその意味ではオプション試算は多いですから、そういう制度改正の議論に資するオプション試算を含めた新たな財政検証を作業中であって、私はそれに尽きると申し上げております。
記者:
少し話が変わるのですけれども、先日の野党ヒアリングで年金局課長が大臣から非正規労働者という用語を使わないようにと言われていると発言されました。この大臣の指示というのは事実でしょうか。もし事実であればその意図は何でしょうか。ちなみに野党からは非正規労働者の問題を隠そうとしているのではないかと今批判する声も出ておりますが、いかがでしょうか。
大臣:
報道にあるように私から「非正規労働者」との文言を使わないよう指示した事実はありません。同一労働同一賃金を実現し、不合理な待遇差を解消する、この取組みを通じて、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようにしていく。これが私の基本的な考え方であります。そのような中で正社員に就けずにパートなどの働き方を余儀なくされている方や、自分に都合の良い時間に働きたいからと積極的にパートなどの働き方を選択して活躍している方など多様な働き方が進んでおります。多様な働き方が進んでいる中で単に正規、非正規という切り分け方だけで良いのか、あるいは多様な働き方、それぞれの課題に応じた施策を講ずるべきではないかという政策論の議論をした記憶はあります。非正規雇用で働く方、パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者に寄り添った政策を展開し、同一労働同一賃金の実現に向けて全力で取り組んでいく、これが私の姿勢であります。
 

(了)