令和元年6月19日
農林水産省


ユネスコが実施する生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)に関し、フランス(パリ)で開催された「ユネスコ第31回人間と生物圏(MAB)計画国際調整理事会」において令和元年6月19日(水曜日)に審議が行われ、我が国から推薦していた「甲武信(こぶし)」(構成地域:山梨県、埼玉県、長野県、東京都)について、ユネスコエコパークへ登録することが決定されました。

1.概要

生物圏保存地域(国内呼称:ユネスコエコパーク、英名:Biosphere Reserves(BR))は、生物多様性の保全、持続可能な開発、学術研究支援を目的として、昭和51年(1976年)に、ユネスコが開始した制度です(別添1)。ユネスコエコパークの登録は、各国からの推薦を基に、「人間と生物圏(以下、「MAB」とする)計画国際諮問委員会」が登録の承認について勧告を行い、最終的に「ユネスコMAB計画国際調整理事会」において審議、決定されます。
この度、令和元年6月17日(月曜日)~6月20日(木曜日)の日程でフランス(パリ)において「ユネスコ第31回MAB計画国際調整理事会」が開催され、我が国から推薦していた「甲武信(こぶし)」(構成地域:山梨県、埼玉県、長野県、東京都)について、令和元年6月19日(水曜日)に行われた審議の結果、ユネスコエコパークへ登録することが決定されました。

【参考:ユネスコエコパークについて】
「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約」に基づく世界遺産が、手つかずの自然を守ることを原則とする一方、ユネスコエコパークは、生態系の保全と持続可能な利活用の調和(自然と人間社会の共生)が目的です。我が国では、「保全機能」、「経済と社会の発展」、「学術的支援」の三つの機能を持つ地域を登録することとしており、そのため、ユネスコエコパークでは、「核心地域」、「緩衝地域」と共に、「移行地域」を設置しています。登録総数は、世界122か国、686地域(平成30年(2018年)7月現在)で、日本国内では「甲武信」が10か所目の登録です。

核心地域:厳格に保護され、長期的に保全されている地域
緩衝地域:核心地域を保護するための緩衝的な地域
移行地域:人が生活し、自然と調和した持続可能な発展を実現する地域

2.今回の登録地域について

「甲武信(こぶし)」(詳細は別添2)
核心地域及び緩衝地域は、首都圏や周辺地域の水源域として、山岳や森に加えて御岳昇仙峡(みたけしょうせんきょう)等の渓谷が、四季折々に彩りを変える日本的な美しい自然に恵まれており、首都圏近郊にありながら、連続性があり、生物多様性に富む貴重な生態系が広く保存されていることが、本地域の大きな特徴です。林野庁では、「秩父山地生物群集保護林」、「金峰山(きんぽうさん)生物群集保護林」や「秩父山地緑の回廊」を設定し、適切な保全・管理を行っています。また、移行地域においては、山梨県の峡東地域は、江戸時代以前よりブドウやナシ、モモ等の果樹栽培で知られ、自然の地質・気候を活かした産業として、固有の品種である「甲州ぶどう」を守るなど、持続可能な形で農業が進められています。また、秩父市を中心に地域固有のソバの品種が守られており、荒川上流部の澄んだ源流を利用して栽培されたソバは「秩父蕎麦」として、祭事やお正月等に出す御馳走として振る舞われています。地域固有の野菜としては、「大滝いんげん」、「中津川いも」、「しゃくし菜」等があり、地質や気象等に適した品種が守られています。

3.評価のポイント

水源地としてのエコシステムを保全し、林産物をはじめ天然資源を持続的に活用する努力をしている点が評価されています。また、人口減少や農業、林業といった地場産業の後継者育成等の課題がある中、エコパークが同地域の活性化を担うことが期待されています。

4.その他

本件は、文部科学省及び環境省においても同時に発表しています。

<添付資料>
【別添1】生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)について(PDF : 412KB)
【別添2】「甲武信(こぶし)」の概要(PDF : 384KB)

お問合せ先

大臣官房政策課環境政策室

担当者:利用推進班 永田、南
代表:03-3502-8111(内線3297)
ダイヤルイン:03-6744-2017
FAX番号:03-3591-6640

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