冒頭発言

(1)中国四川省で発生した地震災害を受けたお見舞いメッセージの発出

【河野外務大臣】昨晩の,中国四川省宜賓市で発生した地震を受けまして,今日,王毅(おう・き)外交部長兼国務委員にお見舞いのメッセージを発出したところです。犠牲になられた方,そのご家族に対して哀悼の意を表するとともに,被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げたいと思います。我が国としても,必要な支援を行う用意がございます。一人でも多くの方が救出され,被災地が一日も早く復興を成し遂げることをお祈り申し上げたいと思います。

(2)外交史料館特別展示「日本外交150年」

【河野外務大臣】今年は外務省創設150年の節目の年でございまして,このことを踏まえて,7月2日(火)から,外交史料館で特別展示「日本外交の150年」を開催いたします。日本が諸外国と結んだ条約等を中心に,150年間の日本の外交の歩みを伝える史料を展示しますので,是非多くの方にご覧いただきたいと思います。1894年の日英通商航海条約ですとか,あるいは1941年の「ハル・ノート」,こうしたものの原本を展示いたしますので,是非ふるって見に来ていただきたいと思います。

質疑応答

旧朝鮮半島出身労働者問題(仲裁付託から30日間の期限到来)

【NHK 奥住記者】韓国の関連でお伺いします。仲裁委員会の要請から1か月たちますけれども,韓国側はいまだに委員の任命をしていません。今日が協定上の期限となると思うんですけれども,韓国側から何らかの反応があるのか,また,韓国側がきちんと対応すると思っていると,大臣は以前からおっしゃっていると思うんですけれども,もし期限までになんの回答もなかった場合に,どのような対応をとられるのか教えてください。

【河野外務大臣】期限までまだ時間がありますので,韓国側は条約に沿って誠実に対応するものと考えております。

【共同通信 福田記者】請求権協定では,日韓双方が第三国に仲裁に3人の人選を委ねて仲裁委員会を設置する方法が規定されています。日本としては韓国から回答がない場合は,この協定に沿って手続きを進めていくというお考えでしょうか。

【河野外務大臣】まだ仲裁の期限になっておりませんので,韓国側が協定に基づいて誠実に対応されると思っています。

【朝日新聞 鬼原記者】大臣,これまで折に触れて康京和(カン・ギョンファ)外相とも意見交換をされて,日韓のチャンネルを大切にされてきたと思うんですけれども,明日以降この徴用工の問題について,韓国との間でどういうふうなやり取りが必要で,問題解決にどう取り組むおつもりでいらっしゃいますでしょうか。

【河野外務大臣】韓国側がこの仲裁に応ずれば,当然に仲裁のプロセスに入ることになると思います。

【読売新聞 梁田記者】今の韓国との間で仲裁委員会を設置するということのプロセスに入っているわけですけれども,一方で李洛淵(イ・ナギョン)総理のご発言がありました韓国の中でのなんらかの対応策の検討であるとか,あるいはまた逆に対抗措置を日本がなんらかの契機があれば取るといったオプションも考えられます。その仲裁委員会とは別のプロセスに関しては,いまどういう位置づけ,どういう判断されているのでしょうか。

【河野外務大臣】仲裁プロセスの中にあっても,その他の方法を排除するわけではございません。先般のパリのOECDの会合で,康京和長官ともお話をしましたけれども,長官と私(大臣)の間の対話というのは,ずっと続いてきているわけですから,韓国側から何か解決策が示されれば,この仲裁のプロセスと並行して,あるいは外側で話し合いをする,協議をするということは十分にあり得ることでありまして,仲裁のプロセスに入ったから他の方法を排除するということではまったくございません。

習近平中国国家主席の訪朝

【朝日新聞 清宮記者】北朝鮮の関係で中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席が20日と21日に北朝鮮を訪れますが,受け止めをお願いいたします。北朝鮮の非核化につながると思われますでしょうか。

【河野外務大臣】中朝外交関係樹立70周年という節目の年だったと思いますが,これまで金正恩(キム・ジョンウン)委員長が中国を4回でしたか,訪問されておりますので,中国側から北朝鮮の訪問があるというのは,そういうこともあるんだろうというふうに思います。我々としては,この中朝の対話の中で朝鮮半島の非核化に向けて北朝鮮が一歩を踏み出す,そんな背中を後押しするようなことを期待したいと思います。

イラン核合意(イラン政府による対抗措置)

【朝日新聞 清宮記者】イランの関係で,昨日,イランの原子力庁が,JCPOAの上限を超えて,低濃縮ウランを保有する27日に,その上限を超えるというふうに言っていますが,先週,総理と大臣がイランを訪問されて,かねてからJCPOAの遵守を求めてきたと思うんですが,こうした動きについて,またイランとのアメリカの対立が深まっていることについて,どう受け止められていますか。

【河野外務大臣】イランがこのJCPOAの枠組みの中にしっかりと留まることは非常に大事だと思っております。イランの最高指導者,あるいは大統領が核兵器を保有する意思はないということをかなり明解にしているわけですから,このJCPOAからイランが外れるということは,イランにとってもいいことではありませんし,不拡散体制を揺るがしかねないことになることを危惧しております。日本としてはイランがしっかりとこのJCPOAの枠組みに留まるということを願っておりますし,またそうしたことを求めていきたいと思います。

北朝鮮関連

【SKY TG24 デミリア記者】
(以下は英語にて発言)
習近平中国国家主席の北朝鮮訪問についてお伺いします。日本は,日本と北朝鮮との間の膠着状態から抜け出すために,何か行動を起こすべきだと考えておいででしょうか。トランプ大統領は金正恩国務委員長と2回の会談を行い,他にも様々な往来がなされていますが,現在の日本政府の動きについて,詳細をお聞かせいただけますでしょうか。

【河野外務大臣】
(以下は英語にて発言)
安倍総理は金正恩国務委員長に対し,拉致問題を解決するために会談する準備ができている旨繰り返し伝えてきております。また,平壌宣言には,核・ミサイルの問題と拉致問題が解決された際には,日本は北朝鮮と国交正常化を行う用意があると記載されており,日本の姿勢に変更はありません。

G20における日韓首脳会談

【東亜日報 金記者】G20についてちょっと伺いたいんですが,G20で日韓首脳会談が行われるか行われないか伺いたいんですが,日本側からはどう思っていますか。

【河野外務大臣】G20には27か国の首脳と10近い国際機関が参加をすることになりますので,まだG20におけるバイ会談というのは,日程を含め調整中でございます。

【中央日報 ユン記者】仲裁委員の構成の対応,韓国側の対応とこれからのやりとりというのが,今後,G20での日韓サミットの開催にも影響を与えるんですか。

【河野外務大臣】G20におけるバイの会談は,今申し上げましたように27か国の首脳がいらっしゃり,また10近い国際機関も参加をされますので,今,バイの会談については日程などを含め調整中でございます。