2019年6月18日

6月15日(土曜日)及び16日(日曜日)、経済産業省は、環境省との共催により、G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合を開催しました。会合では、世耕経済産業大臣が原田環境大臣とともに共同議長を務め、閣僚声明を採択しました。

1. G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合

(1)概要

日 時:令和元年6月15日(土曜日)~16日(日曜日)
場 所:長野県・軽井沢町
参加国等:25ヶ国・地域
(サウジアラビア、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中華人民共和国、EU、
フィンランド、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、メキシコ、、オランダ、韓国、ロシア、
シンガポール、南アフリカ、スペイン、タイ、トルコ、イギリス、アメリカ合衆国、ベトナム)
招待国際機関等:16機関
(ADB(アジア開発銀行)、B20(経済団体連合会)、ERIA(東アジア・ASEAN経済研究センター)、
GECF(ガス輸出国フォーラム)、GEF(地球環境ファシリティ)、IEA(国際エネルギー機関)、IEF
(国際エネルギーフォーラム)、IPEEC(国際省エネ協力パートナーシップ)、IRENA
(国際再生可能エネルギー機関)、NEA(原子力機関)、OECD(経済協力開発機構)、SEforALL
(万人のための持続可能なエネルギー)、UNEP(国連環境計画)、WB(世界銀行)、WBCSD
(持続可能な発展のための世界経済人会議)、WEF(世界経済フォーラム))

(2)議論の内容

エネルギーや環境を巡る世界情勢は大きく変化しています。地球温暖化問題や、世界の経済成長を支えるための安価で安定的なエネルギーの確保といった課題に対処するため、今回、G20として初めて、エネルギー大臣と環境大臣が一堂に会する会合を開催しました。

①エネルギー大臣・環境大臣合同会合

  • 我が国が「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」に盛り込んだ「環境と成長の好循環」というコンセプトと、それを支える(1)イノベーション(2)資金循環(3)市場環境整備という3本柱の重要性にG20全体で合意しました。また、本コンセプトを実現していくための具体的なアクションを明記した軽井沢イノベーションアクションプランに合意しました。
  • 気候変動に関して、G20全体でこれまでより一層踏み込んだメッセージをG20一体となって発出しました。具体的には、気候変動を含む地球規模の取り組みの緊急性、長期戦略の重要性、具体的なアクションの取り組みにG20全体で初めて合意しました。
  • G20各国の主要な研究開発機関の国際連携を促進するための国際会議として「RD20 (Research and Development 20 for clean energy technologies (RD20)」を設立することに賛同を得ました。
  • また、資金循環のための産業界と金融界のグローバルな対話の促進、革新的な技術の普及等のためのビジネス環境の改善の重要性にも合意しました。

②エネルギー大臣会合

  • エネルギー分野では、エネルギー転換の推進力としてのイノベーションの重要性について共通認識を得るとともに、水素やCCUS、特に日本が提案しているカーボンリサイクルなど、様々な分野でのイノベーション推進の重要性を共有しました。
  • また、最近生じた懸念にも言及しつつ、エネルギー安全保障の確保について世界のエネルギー需要の8割以上を占めるG20が取り組むことの重要性を共有しました。エネルギーアクセスの課題にも共に取り組むことで一致しました。
  • さらに、省エネの推進のため、産業や製品のエネルギー消費効率の見える化や、自動車分野でのWell to Wheel(※)の分析を進めることや、再生可能エネルギーの普及拡大と系統安定化技術の推進、原子力イノベーションや最終処分分野に関する国際ラウンドテーブルの立ち上げ、低炭素電源への投資促進、火力発電の高効率化、天然ガス市場の発展の重要性について共有しました。
    ※走行時だけではなく、ガソリンや電気の製造過程まで含めて評価すること。
  • また、前日には国際エネルギー機関(IEA)及び水素協議会との連携の下、「G20 IEA 水素レポートローンチイベント」を軽井沢で開催しました。世耕大臣、ビロルIEA事務局長、ポチエ水素協議会会長が参加しました。本レポートは、日本政府からの依頼を受けて作成されたIEA初の包括水素レポートであり、水素の供給・輸送に関するコスト比較や、製鉄・石油精製等での産業利用、政策提言を含みます。

(2)成果文書

コミュニケ(原文)
コミュニケ(仮訳)※後日掲載予定

軽井沢イノベーションアクションプラン(原文)
軽井沢イノベーションアクションプラン(仮訳)※後日掲載予定

2. 各国とのバイ会談(世耕大臣)

世耕大臣は、EUアリアス=カニェーテ・EU・気候変動・エネルギー担当委員、米国・ブルイエット・エネルギー副長官、サウジアラビア・アル=ファーレフ・エネルギー・産業・鉱物資源大臣、IRENA・ラ・カメラ事務局長、インド・シン・電力・新・再エネ大臣、フランス・ポワルソン・連帯・エコロジー転換省国務大臣、インドネシア・ジョナン・エネルギー・鉱物資源大臣、オーストラリア・テイラー・エネルギー・排出削減大臣、トルコ・ドンメズ・エネルギー天然資源大臣とそれぞれ会談を行いました。また、EU、インドネシア、オーストラリアとは二国間協力に関する覚書や共同声明への署名等を行い、二国間エネルギー協力や世界のエネルギー情勢について意見交換しました。日米EU間では水素協力強化に関する共同宣言に合意し、インドネシア、オーストラリアとはエネルギー協力の拡大のための覚書に署名しました。

(1)EU・アリアス=カニェ候変動・エネルギー担当委員との会談

アリアス=カニェーテ・気候変動・エネルギー担当委員とは、水素、LNG、カーボンリサイクル等の分野での日EU間の協力について議論しました。また、日EU間でのイノベーション協力に関する共同ステートメントに合意するとともに、日米EU間での水素分野での協力に関する共同宣言に合意しました。

(2)日米欧で水素・燃料電池に関する共同宣言を発表

経済産業省(METI)、欧州委員会エネルギー総局(EC, ENER)及び米国エネルギー省(DOE)は、水素・燃料電池技術に関する三国・地域間の協力を強化することを確認し、共同宣言(Joint Statement)を発表しました。

(3)米・ブルイエット・エネルギー副長官との会談

ブルイエット・エネルギー副長官とは、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた日米協力の一つとしてLNG分野の協力を継続していくことを確認しました。また、原子力分野では、米国が建設を検討するVTR(多目的試験炉)計画への研究協力に関する覚書への署名を歓迎し、最終処分、廃炉等の協力を含め、日米の原子力協力の更なる強化について議論しました。

(4)サウジアラビア・アル=ファーレフ・エネルギー・産業・鉱物資源大臣との会談

アル=ファーレフ・エネルギー・産業・鉱物資源大臣とは、石油の安定供給、市場の安定の重要性について確認しました。また、石油に加えて、省エネルギー、再生可能エネルギー等のエネルギー分野の協力、更に「日・サウジ・ビジョン2030」を通じたサウジアラビアの改革への支援についても議論しました。

(5)IRENA・ラ・カメラ・事務局長との会談。

ラ・カメラ・事務局長とは、世界の再生可能エネルギーの導入を拡大していくこと、また、水素分野の協力についても議論しました。

(6)インド・シン電力・新・再エネ大臣との会談

シン電力・新・再エネ大臣とは、「日印エネルギー転換協力プラン」の進捗状況を報告し、協力を強化することを確認されました。

(7)仏・ポワルソン・連帯・エコロジー転換省国務大臣との会談

ポワルソン・連帯・エコロジー転換省国務大臣とは、水素や原子力分野での日仏間の協力について議論しました。また、両国間でエネルギーイノベーション分野における連携を更に強化することで一致しました。

(8)インドネシア・ジョナン・エネルギー・鉱物資源大臣との会談

ジョナン・エネルギー・鉱物資源大臣とは、天然ガスや電力分野等での二国間の協力について議論しました。また、二国間のエネルギー分野での協力に関する覚書に署名するとともに、インドネシア政府と国際石油開発帝石(株)による、マセラ鉱区での天然ガス開発プロジェクトに関する基本合意書の署名に立ち会いました。(★覚書へのリンク


  • ジョナン大臣との会談

  • マセラ鉱区に関する覚書への立ち合い

(9)豪・テイラー・エネルギー・排出削減大臣との会談

テイラー・エネルギー・排出削減大臣とは、水素やカーボンリサイクル等の協力について議論しました。また、これまで進めてきたエネルギー分野の二国間協力を更に強化するために、同分野の協力に関する覚書に署名しました。(★覚書<英語原文・仮訳>へのリンク★

(10)トルコ・ドンメズ・エネルギー天然資源大臣との会談

ドンメズ・エネルギー天然資源大臣とは、再生可能エネルギーや原子力等、幅広いエネルギー分野での協力のあり方について議論しました。

3. その他のバイ会談(関副大臣、石川政務官、資源エネルギー庁長)

また、関副大臣は、シンガポール・コー・ポークン貿易産業国務大臣と、石川経済産業大臣政務官はブラジル・アルブケーケ鉱山エネルギー大臣、IEA ビロル事務局長、イタリア・クリッパ経済振興省政務次官、NEAマグウッド事務局長、カナダ・ルフェーブル天然資源省政務官とそれぞれ意見交換を行いました。また、髙橋資源エネルギー庁長官は、ドイツ・ファイヒト経済エネルギー省次官と意見交換を行いました。

(1)関副大臣とシンガポール・コー・ポークン・貿易産業国務大臣との会談

シンガポール・コー・ポークン・貿易産業国務大臣とは、電力分野等における今後の二国間協力について議論しました。

(2)石川政務官とブラジル・アルブケーケ鉱山エネルギー大臣との会談

アルブケーケ大臣とは、二国間で進んでいる省エネ人材育成インフラに関する二国間協力の更なる進展について議論しました。

(3)石川政務官とIEA ビロル事務局長との会談

ビロル事務局長とはIEAの水素レポートの発表を歓迎するとともに、IEAと後の協力を強化していくことに合意しました。

(4)石川政務官とイタリア・クリッパ経済振興省政務次官との会談

ジェラーチ政務次官とは、水素の利活用等、二国間の協力進展について議論しました。

(5)石川政務官とNEA・マグウッド事務局長との会談

マグウッド事務局長とは、最終処分ラウンドテーブルでの協力を含め、原子力分野における共通課題について議論を行いました。

(6)石川政務官とカナダ・ルフェーブル天然資源省政務官との会談

ルフェーブル政務次官とは、今回世耕大臣とソヒ天然資源大臣との間で署名された、エネルギー分野における協力覚書を歓迎するとともに、石油・天然ガス分野をはじめとした、二国間協力について議論しました。(★共同宣言へのリンク★

(7)髙橋資源エネルギー庁長官とドイツ・ファイヒト経済エネルギー省次官との会談

ファイヒト次官とは、水素を含むイノベーション、電力部門等における両国の協力について議論しました。また、日独間でエネルギー転換における協力宣言に合意しました。(★共同宣言へのリンク★

関連資料

担当

資源エネルギー庁長官官房国際課長 田中
担当:石井、久田、内田
電話:03-3501-1511(内線4491~6)
03-3501-0598(直通)
03-3595-3056(FAX)