2019年6月4日(火曜日)
10時00分~10時11分
於:記者会見室

冒頭発言

私からまず2点申し上げます。

G20貿易・デジタル経済大臣会合

まず1点目ですが、明日8日土曜日及び明後日9日日曜日、茨城県つくば市において、G20貿易・デジタル経済大臣会合を開催いたします。経済のデジタル化の進展に伴って、貿易とデジタル経済は不可分な課題となっていることを受けまして、今回、G20としては初めて、貿易大臣とデジタル経済大臣が一堂に会する会合を開催することにいたしました。
会合では、自由貿易の旗手として、WTO改革、電子商取引のルール作りの推進、そして市場主導の健全なビジネス環境、持続可能で包摂的な成長に貢献する貿易投資の重要性を各国と共有したいと考えています。
また、Society5.0の実現に向けて、信頼を確保することで自由なデータ流通を促進する「Data Free Flow with Trust」というコンセプトの重要性について確認を行いたいと思います。

カーボンリサイクル技術ロードマップ

2点目でありますが、本日、カーボンリサイクルについて、技術ロードマップを発表いたします。
ロードマップでは、広く技術開発のマイルストーンを共有することによって、イノベーションを加速化すべく、CO2を利用可能な個別のエネルギー、製品毎にコスト低減に向けた課題と目標を明確化をしています。
ロードマップは、軽井沢でのG20エネルギー大臣会合でも各国と共有をしたいと思っています。
詳細については、この後、事務方によるプレスブリーフにおいて説明をさせていただきます。
私からは以上です。
 

質疑応答

FCA・ルノーの経営統合提案撤回

Q:フィアット、クライスラーがルノーとの経営統合提案を撤回しましたけれども、フランス政府からの過度の介入ですとか、あるいは日産から支持が得られなかったというようなことも影響していると見られますけれども、大臣の受け止めと今後の日産・ルノーのアライアンスへの影響についてお伺いします。

A:これは民間企業における個別具体的な経営に関する交渉ということになりますので、政府としてはコメントは控えたいというふうに思います。
いずれにせよ、これはずっと従来から申し上げているとおり、日産、ルノーのアライアンスの競争力の維持、強化に向けた具体的な進め方については、関係者が十分納得する形で議論が進むことが重要であるという考えに何ら変わりはありません。

キャッシュレス・消費者還元事業

Q:キャッシュレスについてなのですけれども、ポイント還元制度の適用対象になるために、資本金を減らして中小企業化するというような会社が出ているのですけれども、それについての大臣の受け止めと、これは制度ゆえの現象かと思うのですけれども、政府として今後対応策などを講じることがあるのかということをお聞かせ願えますか。

A:ポイント還元制度は、あくまでも原則として、加盟店として登録していただく時点での資本金等に基づいて、そのときの数字で淡々と対象として決定をさせていただく、これがまず大原則だというふうに思っています。
何かこの対応のために、期間中だけ資本金を増減させる人が出るのではないかという議論、これは国会審議等でもありましたが、そもそも、かなり手数料とか、司法書士等のコストもかかるわけでありますから、そんなことが起こるとは思っておりませんけれども、仮に事業期間に限って、資本金を意図的に減資を行って、期間終了後、再度増資をするというような、まさにこの事業の対象事業者になることだけを目的として資本金などを増減させている、そういったケースが見られた場合には、これは申請時点にさかのぼって、対象外とさせていただきたいというふうに思っています。

G20貿易・デジタル経済大臣会合

Q:G20のことに関してなのですけれども、日本はかねてから多国間貿易というのをサポートしてきたと思うのですけれども、保護主義的な流れとか、WTOに対する不信感、そして貿易摩擦とか、いろいろな逆風が吹いている中で、明日、明後日のサミット、そして月末のG20のサミットで、日本は多国間貿易についてどのような役割を果たしていきたいというふうにお考えでしょうか。

A:今回、我々がアジェンダとして重視をしていること、先ほど申し上げましたように、WTO改革、電子商取引のルール、そして健全なビジネス環境とか、そういったことを粘り強く各国にお話をしていくということだというふうに思っております。
いずれにしても、なかなか取りまとめは大変な作業になるだろうというふうに思っていますが、まだ始まっていませんので、これからしっかり努力をしていきたいと思います。

三菱重工のMRJ事業

Q:三菱重工がボンバルディアの一部事業買収というふうに報道されていますけれども、その受け止めをお伺いしたいのが1点、2点目関連して、三菱重工のMRJ事業は、経済産業省も長年補助金などで支援してきたと思うのですけれども、事業としては、なかなかうまくいっていないのが現状かなと思います。この点についても所感をお伺いいたします。

A:そもそも三菱重工が製造しているMRJというのは、まさにYS11以来、約半世紀ぶりの旅客機開発ということになりますので、当然厳しい安全基準のクリアなど、いろいろな困難も多くて苦労されているということだというふうに思っていますけれども、日本が旅客機開発国になるというステップアップのためには、今、産みの苦しみなのだろうというふうに思っています。関係者の引き続きの努力に期待をしたいというふうに思っています。
カナダのボンバルディア社の事業買収については、MRJ運行開始後のサービス向上などの事業基盤強化に向けたものというふうに理解をしています。2020年半ばのMRJ初号機納入に向けて、開発がスケジュールどおりに進捗をし、運行開始後のビジネス面でも成功するように、特に最近は、いろいろ体制の立て直しなど、具体的な対処も行われているというふうに聞いておりますので、関係者の引き続きの御尽力に期待をしたいというふうに思います。

FCA・ルノーの経営統合提案撤回

Q:フィアット、ルノー、日産の関係でお伺いします。
フランスのルメール経済財政相が来日のタイミングで大臣はお会いになる予定はありますでしょうか。そういう求めがあったかどうかも含めてお伺いします。

A:今回は、たくさん各国の私のカウンターパートの大臣が来日をされますので、どの方とバイ会談を行うか、会談の相手、会談の日程については、現在各国と調整中であります。どの国からお申し出があったか等も含めて、これは外交上のやりとりになりますので、控えさせていただきたいと思います。

レジ袋の有料化

Q:原田環境大臣がプラスチックのレジ袋の無料配布を禁じる方針を表明されていまして、日本経済新聞の今日のインタビューでも、レジ袋の有料化については、業界ごとに価格を設定すべきだと認識されています。
流通業界を所管する経済産業大臣として、こういう取組をどのように御覧になっていますか。

A:当然、このレジ袋の問題というのは、地球環境への負荷という観点から、しっかり踏み込んだ政策を採っていかなければいけないテーマだというふうに思っています。
ただ、法改正とか新法制定という議論が行われているわけでありますが、経済産業省としては、これは今の容器包装リサイクル法というものに基づいた、これは経済産業省と農林水産省と財務省と厚生労働省が共管をしている省令があるわけであります。この省令の中で、レジ袋の有料化に加えて、例えばレジ袋を使わない場合のポイント還元とか、あるいはマイバッグの提供とか、声かけの推進といった、ほかのオプションが示されているというのが現状なわけですが、法改正で時間をかけるよりは、この4省共管の省令をしっかり改正をして、レジ袋の有料化を行っていくということの方が、迅速で、かつ実効性のある対応策になるのではないかというふうに思っています。
いずれにしろ、今、プラスチック循環戦略というのが定められているわけであります。今後この戦略に基づいて、一方で、極めて零細な小売店等、どうするかという問題もあります。そういった中小企業の実情などにも配慮しながら、法改正ではなく、省令の改正に向けて、スピーディに検討を行ってまいりたいというふうに思っています。

Q:環境省とは、そういった事務的なすり合わせはされているのでしょうか。

A:十分、行っていると思います。先ほど申し上げた経済産業省、農林水産省、財務省、厚生労働省の4省共管の省令の協議先として環境省が定められておりますので、環境省とはこれまでも十分、事務的に打ち合わせもしてきておりますし、今後、省令改正に向けて、環境省とも、よく話し合っていきたいというふうに思います。いずれにしても、迅速に対応することこそが重要だというふうに思っています。


再生可能エネルギーの導入拡大

Q:今日公表のエネルギー白書で、日本は電力の需要規模が高く、再エネを高めることは難しいという指摘がありますけれども、エネルギーミックスの実現に向けて、再エネを改めてどういうところに注力にしていかれるのでしょうか。

A:確かに再生可能エネルギーの発電量トータルで見ると、日本は結構、世界ランキングの上位にいるわけでありますが、一方で需要規模も非常に大きいということがありまして、計算上、なかなか再エネの比率が上がらないという構造になっているという事実があるわけであります。
こうした状況の下において、引き続き再エネ導入を拡大していくためには、コスト低減取組を強化しながら、長期安定的な事業運営を確保して、系統制約や調整力の確保などに取り組んでいく必要があるわけであります。
再エネについては、国民負担を抑制しながら、最大限の導入を図っていくという政府の基本方針には全く揺るぎはないわけでありまして、担当大臣として、再エネの主力電源化に向けて、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

災害への対応とエネルギーインフラのレジリエンス強化

Q:今のエネルギー白書に関連して、今回、去年起きた災害を受けて、レジリエンスの強化などについても盛り込まれていますけれども、今後また梅雨に入って災害が多くなる時期に差しかかりますけれども、改めて経済産業省として災害への取組をお伺いします。

A:改めて去年の地震等によって、エネルギーのレジリエンスの重要性というのが認識されているわけでありますから、今後とも、しっかり取り組んでまいりたいというふうに思っています。

以上

最終更新日:2019年6月10日