令和元年6月4日(火)

 今日は閣僚の申合せで閣議をかりゆしで臨むということでこの姿で記者会見をさせていただきます。今朝,閣議前にデジタルガバメント閣僚会議に,閣議後に第19回宇宙開発戦略本部に出席いたしました。また,本日の閣議において,法務省案件はありませんでした。
  続いて私から1件報告があります。不法就労外国人対策キャンペーンについてです。政府の「外国人労働者問題啓発月間」に合わせ,法務省では,6月を「不法就労外国人対策キャンペーン月間」と定め,外国人を雇用する事業主の皆様に,不法就労防止に関する啓発活動を行っています。
  4月から「特定技能」による外国人材受入れが開始され,外国人労働者の更なる増加が見込まれる一方で,昨年退去強制手続を執った外国人のうち,不法就労者は約1万人と,年々増加しています。
  このような状況を受け,全国の入管職員が街頭で不法就労防止の呼びかけをしたり,事業主の方々に対する外国人雇用に係る研修会等を行います。
  不法就労を防止し,外国人と日本人が安心・安全に暮らせる共生社会の実現に向け,努めてまいる所存です。

改正刑事訴訟法の施行に関する質疑について

【記者】
 改正刑事訴訟法が1日,施行されました。裁判員裁判の対象事件と,検察の独自捜査事件の可視化が義務づけられ,昨年始まった司法取引(協議・合意制度)などと併せて一連の刑事司法改革関連法の全制度が導入されたことになりました。
 2010年の大阪地検特捜部の証拠改ざん事件をきっかけとした刑事司法改革ですが,9年前と比べて捜査・公判の面でどのように変化したと感じられているのか,また,評価されているのかをお伺いしたいと思います。

【大臣】
 御指摘の刑事訴訟法等の一部を改正する法律は,捜査・公判が取調べ及び供述調書に過度に依存している状況を改め,刑事司法制度を時代に即したより適正で機能的なものとするため,刑事手続における証拠収集の適正化・多様化及び公判審理の充実化を図るものであり,非常に大きな意義を有するものと認識しています。
 これまでこの刑事訴訟法等の改正に至るまでの一連の過程では,検察当局においても,証拠収集の適正化・多様化及び公判審理の充実化の観点から,適切な対応に努めてきたものと承知しています。
 例えば,取調べ状況の録音・録画については,改正刑事訴訟法で義務付けられた事件以外にも,現在,多くの身柄事件で実施するようになっているところ,これにより,公判において,捜査段階供述の任意性が争点となることが減少したものと承知しています。
 また,科学技術の進歩に伴い,収集・分析を要する客観証拠も増加しているところ,時代に即応し,新たに利用可能となった客観証拠についても十分に収集・分析した上で,適切な捜査・公判の遂行に役立てているものと承知しています。
 さらに,平成21年に始まった裁判員裁判においては,より一層証拠の厳選に配慮するとともに,例えば,ビジュアル化した資料を活用するなど,裁判員にとって分かりやすい主張・立証となるよう努めているものと承知しています。
 検察当局における,これらを始めとする様々な取組については,先に申し上げた御指摘の改正法の意義に沿うものであると考えており,今回の改正法を機に,一層適切な刑事手続の実現に努めてまいりたいと考えています。

公証人への再就職あっせん報道に関する質疑について

【記者】
 公証人の話について,先日,大臣は,確認された上で適切に対応するとおっしゃったと思うのですが,どのような対応をされるか決まっていれば教えてください。また,決まっていなければ,いつ頃をめどに御確認の上で対応されることになるでしょうか。

【大臣】
 公証人については,公証人法第13条において,裁判官,検事,弁護士の法曹資格を有していることが任命資格であり,公募を通じ,適任者を任命しているところです。
 このほか,法務局・地方法務局の本局又はその支局の管轄区域内に公証人が1人もいない場合に限り,多年法務に携わり法曹有資格者に準ずる学識経験を有する者で,公募を通じ,検察官・公証人特別任用等審査会の選考を経た者についても,公証人に任命しているところです。
 しかし,現状,公証人の公募を行っても,多数の応募があるという状況にはなく,例えば,直近の平成26年から平成30年では,法曹有資格者の公証人486人の公募数に対し,207人の応募しかなかったというところで,また,弁護士の応募はほとんど得られていないという状況です。
 このような状況を踏まえ,様々な工夫を行っているようですが,いずれにしても,確認した結果に基づいて,適切な対応をしてまいりたいと考えています。

(以上)