冒頭発言

(1)慶応義塾大学におけるODAに関する特別講義

【河野外務大臣】6月3日,夕方6時20分から,慶応義塾大学の三田キャンパスにおいて,ODAに関する特別講義を行う予定です。これからの日本のODAをどうするのか,どういうことを考えて方針を決めるのかといったことについて,外務大臣としての考え方を分かりやすく御説明する機会としたいと思っております。
 国際協力局のODAマンの取組などもありますが,ODAに関する理解と支持が広がるよう,様々な形で情報発信をしていきたいと思います。

(2)日露外務・防衛閣僚協議「2+2」,日露外相会談

【河野外務大臣】今月10日に行われた日露外相会談の結果を踏まえて,まずラヴロフ外務大臣とショイグ国防大臣を日本にお迎えして,5月30日に「2+2」を行います。また,31日に日露外相会談を行う予定です。
 「2+2」では,安全保障分野での両国間の信頼醸成を一層進めるべく,また北朝鮮問題をはじめとする喫緊の国際情勢や二国間の防衛交流をはじめ,幅広い議題について議論をしたいと思います。
 日露外相会談では,6月の日露首脳会談等も念頭において,平和条約締結問題,それから二国間の様々な関係,喫緊の国際情勢等について,率直に議論していきたいと考えております。

川崎市における殺傷事件

【NHK 奥住記者】未確認情報で恐縮なんですけれども,今朝,川崎市で起きた事件について,亡くなった男性が外務省の職員ではないかという情報があります。外務省として把握していることを教えてください。

【河野外務大臣】川崎で,刺されてお二人亡くなられ,まだ重傷の方が数人いらっしゃると聞いております。たいへん痛ましい事件でございますし,強い憤りを覚えるものであります。亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げるとともに,ご遺族にお悔やみを申し上げたいと思います。また被害に遭われた,怪我をされた,怪我というか重傷を負われた方の早いご快復をお祈り申し上げたいと思います。これ以上,私(大臣)から今のところ申し上げられるものはございません。

日朝関係(ストックホルム合意から5年)

【朝日新聞 清宮記者】北朝鮮の関連でお伺いしたいのですが,明日でストックホルム合意が発表されてから5年になると思うんですけれども,これまでもストックホルム合意の履行を求めて,拉致問題の解決を目指す方針だったと思うんですが,今後の日朝交渉でストックホルム合意を前提として交渉する方針に変わりはないか,お伺いできますでしょうか。

【河野外務大臣】日本としては,ストックホルム合意は有効だと考えておりますので,北朝鮮に対してこの合意の履行を引き続き求めてまいりたいと考えております。

【朝日新聞 清宮記者】以前に大臣が,「北朝鮮が解決する意思を示したということで大きな意味がある」と合意についておっしゃっていたと思うんですが,北朝鮮が一方的に特別調査委員会を解体して,いま止まっている状態ですが,現状をどうご覧になっているかお伺いできますか。

【河野外務大臣】委員会の解体というのは日本としては受け入れられません。日本として,合意は有効であると考えており,しっかりとした履行を求めてまいりたいと思っております。

トランプ米国大統領の訪日

【読売新聞 梁田記者】米国のトランプ大統領が来日されて,総理とゴルフとか相撲を楽しまれるといった場面もありました。そういった場面がかなり多く報道もされましたけれども,今回のトランプ大統領が令和初の国賓として来日されたことが,日米の草の根レベルも含めた友好・親善にはどのように寄与したと,大臣,お感じになっているでしょうか。

【河野外務大臣】令和初めての国賓としてトランプ大統領が訪日されて,かなり多い行事を行われました。日米の強固な同盟関係と,それを体現する首脳の緊密な関係というものを,世界に示すことができたと思いますし,また,トランプ大統領の大相撲観戦,あるいは拉致被害者のご家族との面会といったことは,トランプ大統領の人柄を日本の国民に伝えるという意味では,報道も随分カバーしていただいたこともあり,国民の皆様にトランプ大統領の人柄といったものが伝わったのではないかと思います。

【読売新聞 梁田記者】補足で伺いたんですけれども,そういったトランプ大統領の人柄が伝わることで,日本の中でのアメリカに対する印象,イメージというのがよりよくなるような方向に働いたとお感じになるでしょうか。

【河野外務大臣】日米関係というのは,もちろん,首脳の緊密な人間関係というものもありますけれども,様々なレベルでの人間関係というものが基礎となって,今の日米関係が作られていると考えております。そういう中で,アメリカの大統領というのがどういう方なのか,かなり大勢の皆様に報道を通じて,いろいろ知っていただけたというのはよかったのではないかと思います。

EU議会選挙

【読売新聞 梁田記者】欧州の議会選の関係なんですけれども,一定程度,いわゆる親EU派,EUの統合を推進する方が勢力を確保しつつも,かなり懐疑的な見方をする勢力が3割ほど占めたというふうに報じられています。今後,G20ですとかG7の場面でも,欧州,特に主要国との連携は日本としても課題だと思うんですが,そういった現状がヨーロッパと日本との協力,あるいは,G7での協力にどういった影響を与えると,大臣,今の時点でお考えでしょうか。

【河野外務大臣】日本は,強いヨーロッパ,団結するヨーロッパを支持したいと考えております。そういう意味で今回の議会選挙は,少し微妙な結果であったかなと思っております。ヨーロッパ議会,様々な閾値がありますので,今回の結果をもう少し詳細に見ていく必要はあるんだろうと考えております。
 今のEUへの懐疑的な見方をする政党がこれだけ支持を得たということについて,我々もしっかりその理由を分析しなければならないと思っておりますし,強いヨーロッパ,団結するヨーロッパを支持するという観点からも,今後の首脳会談,あるいは外相会談を始め,様々なヨーロッパとの対話の中で日本として何ができるのか,あるいは日本としてどういうメッセージを発信していったらいいのかということを,少しきちんと練り上げていく必要があると思っております。
 また,イギリスのブレグジットの問題がやや佳境に入ってきた感もあります。日本としては,「合意なき離脱」を避けていただきたいという考え方に変わりはありません。これから,メイ首相の後の党首選ということになるかと思いますけれども,今回の議会選の結果と合わせて注視してまいりたいと思います。

ハシナ・バングラデシュ首相の訪日

【プロトム・アロ ハック記者】
(以下は英語にて発言)
 私からは2点質問があります。1つ目は,ロヒンギャ難民に関する日本の立場についてです。明日,安倍総理と来日するハシナ・バングラデシュ首相との間で首脳会談が開かれます。これまで日本は難民の定着に向けて,バングラデシュとミャンマーに資金を提供してきたものの,2年近くが経過した今でも,難民の帰還に関して進展は見られません。明日の会談において,日本は,今後ミャンマーに圧力をかけるまではいかなくとも,ミャンマーが難民の帰還を受け入れるための方策を講じるよう,ミャンマーを強く説得していくという姿勢を示すのでしょうか。
 2つ目は,バングラデシュへの渡航に関する危険情報についてです。バングラデシュの経済は発展を遂げており,日本の投資家を引きつけていますが,一部の投資家は,危険情報が理由で投資を再考している状況にあります。日本はいつ,危険度を引き下げるのでしょうか。明日の会談において,バングラデシュ側に何か提示なさるのでしょうか。有難うございます。

【河野外務大臣】
(以下は英語にて発言)
 有難うございます。まずは2点目のご質問について,危険情報は現地の実情を反映しており,状況が改善したと考えられればいつでも,情報を変更いたします。1点目のご質問について,日本は,バングラデシュ政府が100万人近くのミャンマー・ラカイン州出身の避難民を支援していただいていることに感謝しております。日本は引き続き,避難民受け入れに係る負担について,バングラデシュ政府と受け入れ側コミュニティを支援してまいります。日本は,状況に改善が見られれば,避難民の方々が,安全かつ自発的に出身地に帰還することが必要であると強く信じております。この目的のため,バングラデシュ政府とミャンマー政府の間の対話を推進し,両国政府とコミュニティに必要な支援を行っていきたいと考えています。