2019年5月27日

ドライバーの監視のもと、車両の操舵、加速、制動及びトランスミッションを制御することで、駐車操作に必要な車両制御動作を自動化するシステムに関する、日本発の国際標準が発行されました。これにより、車両制御システムを搭載した自動車が普及することで、駐車場内における交通事故の減少につながることが期待されます。

1.背景

自動車による接触事故は駐車場内でも多く発生しています(図1)。特に運転席からの死角となる場所に隠れた小さい子供などが駐車場などで犠牲になるといった、極めて悲惨な事故があとを絶ちません。わが国では、毎年約300人の死傷者が報告されています(*1)。

また、一般的に駐車操作を苦手とするドライバーは多く(図2)、特に狭い場所へ周辺物体との接触を回避しながら後退するという一連の駐車操作は、ドライバーの大きな負担となっています。さらに駐車操作に時間がかかることは、車両の円滑な通行を妨げ、渋滞を引き起こす要因にもなります。

このような背景を受け、駐車操作の一部を自動で行い、ドライバーの負担を軽減するシステムを搭載した車両が市販されています。今般、システムの要求性能を明確化することで、一定の性能を有したシステムがより広く普及することを目指し、日本から国際標準の提案をしました。


図1 自動車事故(保険事故)の発生場所


図2 苦手な運転操作

2.規格の概要

今回発行された国際標準ISO20900(*2)(部分的自動駐車システム)では、ドライバーが運転席に座った状態で作動させるタイプと、遠隔操作端末を用いて作動させるタイプの2種類のシステムについて、それぞれ機能要件及び性能確認試験の方法が規定されています。

本規格は、日本が国際議長を務めるISO(国際標準化機構)/TC204(ITS高度道路交通システム)/WG14(走行制御)に、日本から2016年7月に提案し、2019年5月13日に国際規格として発行されました(*3)。


図3:部分的自動駐車システムの動作イメージ

3.期待される効果

ドライバーが苦手とする駐車操作の大部分をシステムが行うことで、ドライバーは周辺の安全確認に集中することができます。本規格の発行により、一定の性能を有したシステムを搭載した車両が世界に普及し、駐車場内における自動車による交通事故の減少につながることが期待されます。また、国連SDGs目標の一つである2020年までの世界道路交通事故死傷者半減にも寄与することが期待されます。

*1 公益財団法人交通事故総合分析センター イタルダ・インフォメーション No.115 駐車場等における歩行者対四輪車の事故外部リンク

*2 ISO20900 : 2019 Intelligent transport systems–Partially automated parking systems(PAPS)–Performance requirements and testprocedures

*3 今回発行された国際規格は、経済産業省の委託事業であるエネルギー使用合理化国際標準化推進事業委託費(自動走行システムの基礎的要素技術に関する国際標準化・普及基盤構築)の成果の一部によるものです。

参考

国際連合広報センター(持続可能な開発のための2030アジェンダに関連する統計委員会活動)外部リンク

International Organization for Standardization外部リンク

公益社団法人自動車技術会「ITSの標準化2018」外部リンク

担当

産業技術環境局 国際標準課長 黒田
担当者:山田
電話:03-3501-1511(内線3423)
03-3501-9283(直通)
03-3580-8625(FAX)