2019年5月21日(火曜日)
9時11分~9時20分
於:記者会見室

冒頭発言

おはようございます。私から2点申し上げます。

フランス出張

まず1点目ですが、今日から24日金曜日まで、OECD閣僚理事会、WTO非公式閣僚会合、カナダ主催朝食会及び日米EU三極貿易大臣会合に出席をするため、フランスのパリに出張をいたします。
OECD閣僚理事会では、貿易及びデジタル関連の2セッションに出席をして、WTO改革や電子商取引のルール形成、データの自由な流通の重要性について、メッセージを発信する予定です。
WTO非公式閣僚会合及びカナダ主催の朝食会では、今年のG20や来年のWTO閣僚会議も見据えた、WTO改革の進め方などについて議論が行われる予定であるため、WTO改革を主導する日本として、議論に貢献していきたいと思っています。
また、第6回目となります日米EU三極貿易大臣会合では、WTO改革の具体的な取組を進めて、G20に向けた協力を確認をするため、ライトハイザーアメリカ通商代表とマルムストローム欧州委員との間で議論を行う予定となっております。

省内ナッジユニットの設置

2点目でありますが、本日、経産省における一層のナッジの活用推進を目指しまして、「METIナッジユニット」を立ち上げましたので、御報告を申し上げます。
この「ナッジ」というのは、ちょっとした工夫で個人に気付きを与えて、よりよい選択ができるよう支援する手法であります。
2017年にリチャード・セイラー教授がノーベル経済学賞を受賞されて以降、新たな政策手法として注目を集め、世界的に広がりを見せているわけであります。
今回、社会保障や環境・エネルギー、また世界的に取組例の少ない中小企業施策においてナッジの活用を進めるべく、「METIナッジユニット」を立ち上げます。
関係課室横断的なプロジェクトチームを組織するとともに、行動経済学の専門家や民間シンクタンク、RIETIのサポートを受けながら、ナッジプロジェクトの組成・推進を図っていきたいと思います。
詳細については、この後、事務方からブリーフィングをさせます。
私からは以上です。
 

質疑応答

①1-3月期GDP速報、②米国の自動車追加関税措置

Q: 2点お伺いいたします。
GDPが2四半期連続でプラスになりましたが、一方で消費などは低迷して、内需が弱いとの指摘もあります。その受け止めをいただきたいのと。
もう一点目が、アメリカが232条の自動車関税を180日延期しました。ただ、自動車の輸入増は安全保障上の脅威とは認めて、今後の日米交渉の推移によっては関税発動の可能性が残っているんですけれども、このことについての受け止めと。
あと、先ほど発表があったように、ライトハイザー代表と大臣自身お会いする機会があるので、どういったことを訴えていきたいか、お願いいたします。

A: まず、1─3月期の個人消費や設備投資は、海外経済の先行き不透明感などもある中、昨年の10─12月期の増加からの反動もありまして、極めて若干ではありますけれども、減少をいたしました。
しかしながら、雇用環境が良好であること、所得環境も良好であること、また高水準にある企業収益といった、個人消費や設備投資を支えるファンダメンタルズは極めてしっかりしているというふうに認識をしています。
日銀短観の3月調査でも、大企業・製造業の今年度の設備投資計画は前年度に比べて6%の増ということになっています。今後も人手不足に伴う省力化投資など、設備投資は底堅く推移するのではないかというふうに見ております。
日本経済は、基調として、緩やかな景気回復が続いていくというふうに考えています。経産省としては、海外経済の動向を注視しながら、経済の好循環を回していくために、第2次補正予算や今年度予算を着実に実施をしていくということが重要だというふうに思っております。
また、アメリカの自動車にまつわる話でありますけれども、同盟国である日本からの自動車と自動車部品の輸入は、いかなる意味においても米国の安全保障上の脅威となったことはないわけでありまして、これまでも、これからも脅威にはならないというのが我が国の一貫した考え方であります。
また、日米交渉との関係においては、昨年9月の日米首脳会談において、安倍総理とトランプ大統領とのやりとりを含め、貿易交渉の協議が行われている間は共同声明の精神に反する行動を採らず、自動車及び部品については、第232条に基づく措置が執られることはないということが直接確認されているわけでありまして、もうそのことに尽きるんだろうというふうに思っております。
日米の交渉に関しては、これはあくまでも茂木大臣が担当でありますので、今回パリでライトハイザー通商代表と私の間で、日米の交渉に関して何か議論するということはございません。

米国の自動車追加関税措置

Q: 今の後段の部分に関連して。
ただ、ライトハイザー通商代表には、今、御指摘あったような自動車が安全保障に脅威を与えないということを改めて伝えるとか、そういったことはいかがでしょうか。

A: 基本的には三極での話ということになりますので、WTO改革とか、そういった議論が中心になると思います。ただ、話は、どういう内容になるかというのは、これはまだアジェンダも含めてこれからですし、まだバイ会談も調整中でありますから、そういった中で、こちらとして指摘をする必要が出れば、それはしっかり指摘はしていきたいと思っています。

Q: 232に関連するんですけれども、先週金曜日、17日、ホワイトハウスの報告書で、アメリカは自動車分野における研究開発はアメリカの防衛力の優位性を保つためにも必要であると言っていて、だから日本にたくさん輸出されると、アメリカの企業の収益が落ちて、R&Dに予算が回せなくなるということを言っているんですけれども、それに対して大臣の御見解をお聞かせください。

A: まず前提として、先ほど申し上げたことと同じことになりますけれども、同盟国である日本からの自動車の輸入が、アメリカの安全保障上の脅威になったことは全くありませんし、これからも、なる可能性すらないというふうに思っています。
日本からアメリカへの自動車輸出は174万6千台ですけれども、日系自動車メーカーはその2倍以上となる368万台を米国内で現地生産をして、150万人以上の雇用を生み出すなど、アメリカの経済や雇用に貢献をしてきたわけであります。
研究開発についても、日系自動車メーカーはアメリカの自動車産業の中心地であるミシガン州において、あるいはIT産業のメッカであるカリフォルニア州において、それぞれ研究開発拠点を立地をして、従来型の自動車の研究開発はもちろんのこと、自動運転を含む次世代の研究開発も、アメリカでもしっかりと行っているわけでありまして、日米の自動車産業は研究・生産、そして部品の製造も含めて、いろいろなレイヤーで一体化をしているわけでありまして、アメリカの産業基盤の成長を支える一翼を担っているというふうに考えています。そういう意味で、日本の自動車産業の研究開発がアメリカの防衛力に何か影響を及ぼすというようなことは、全く当たらないというふうに思っています。

以上

最終更新日:2019年5月21日