2019年5月20日

同時発表:国立研究開発法人 産業技術総合研究所

少子高齢化による労働力不足の解決のために、空港や介護施設など一般の方がいる場所で、案内ロボットや介護ロボット、アシストロボットなどを用いるロボットサービスが実用化しつつあります。その際、このような場所で人とロボットが安全に共存するには、ロボットの安全性の確保が重要になります。

今般、ロボットサービスの運用者(ロボットサービスプロバイダ)がロボットを安全に運用するための要求事項をとりまとめ、産業標準化法(新JIS法)*1におけるサービス分野規格第一号であるJISY1001として制定しました。

本規格を活用することで、ロボットサービスの普及に貢献するとともに今後本規格を国際提案することで、諸外国における日本発のロボット市場の創出・拡大が期待されます。

1.JIS制定の背景

少子高齢化による労働力不足は、あらゆる産業において大きな課題になっています。その解決策のひとつとして期待されるのがサービスロボットの導入です。例えば案内ロボットや搬送ロボット、介護ロボット、アシストロボットなど様々なロボットが空港や商業施設、介護施設などの一般の人と共存する場で用いられると予想されます。その際、ロボットが人に危害を与えない安全性の確保が必須となります。

人と共存するロボットサービスの例

2.JIS制定のポイント

ロボットの安全性を確保するために、まずロボットの製造者に対する要求事項として2014年2月に我が国提案によるサービスロボットの国際安全規格ISO13482が発行され、普及が進んできました*2。

さらに今回、様々なロボットを用いてサービスを提供するロボットサービスプロバイダに対して、安全な管理や運用に関する要求事項を体系化、標準化し、新JIS法におけるサービス分野規格第一号として「JISY1001サービスロボットを活用したロボットサービスの安全マネジメントシステムに関する要求事項」を制定しました。

規格では、これまで工場の中だけで用いられてきた産業用ロボットと異なり、公共の場所等で、一般の方を対象にサービスを提供する際の安全性を確保したり、周囲の第三者への影響を考慮したりする必要がある場合を想定し、ロボットサービスプロバイダが実施すべきリスクアセスメントや安全管理、教育、運用体制、マネジメントシステムなどについて規定しています。

3.期待される効果

サービスロボットを用いたロボットサービスにおける安全マネジメントシステムの必要性は日本国内に限るものではありません。本規格が国内外におけるロボットサービスの安全な普及に役立つものとして期待されるとともに、今後は日本発のロボットが世界中で活躍できるよう、国際標準化に向けた提案を行っていきます。

参考

*1 産業標準化法(新JIS法)
*2 2016年4月20日ニュースリリース参照

国立研究開発法人産業技術総合研究所の同時報道発表(2019年5月20日)「ロボットサービスの安全マネジメントに関する規格JISY1001発行」外部リンク

担当

産業技術環境局 国際標準課長 黒田 浩司
担当者:堀坂、岡本
電 話:03-3501-1511(内線 3423~3427)
03-3501-9277(直通)
03-3580-8625(FAX)