冒頭発言

(1)河野大臣のタジキスタン訪問

【河野外務大臣】今日の夜から20日まで,「中央アジア+日本」対話第7回外相会合に出席するためにタジキスタンにまいります。外相会合では,中央アジアの安定と発展にとって重要な地域協力の推進について,地域情勢も踏まえつつ議論してまいりたいと思います。
 中央アジアは,地政学的観点からも,エネルギー安全保障やテロ・麻薬対策といった観点からも,国際社会の安定に非常に重要な地域と認識をしております。日本は二国間の協力のみならず,2004年から「中央アジア+日本」対話の枠組みを立ち上げて,地域協力を促すため触媒として,この地域の「開かれ,安定し,自立的な発展」を支援してまいりました。
 昨年3月に第1回中央アジア諸国首脳会合が開催されるなど,中央アジアの各国の中での地域協力を進めていこうというダイナミズムも生まれてきておりますので,この外相会合を通じて,地域協力の機運を更に後押ししていきたいと思いますし,日本とそれぞれの関係,あるいは中央アジア地域との関係のみならず,国際社会の安定にも資するような会合にしてまいりたいと思っております。
 外相会合をやるだけでなく,中央アジア各国,並びにアフガニスタンの外務大臣が一部参加されますので,アフガニスタンの外務大臣との間も,二国間の外相会談を行って二国間関係の強化について意見交換を行いたいと思っています。
 中央アジア諸国といろいろ実践的な協力について,二国間の外相会談では話し合いをしていきたいと思います。
 また,「中央アジア+日本」対話にちなんだツイッター・アカウントが開設されております。「中央アジアと愉快な仲間たち」で,検索をしてフォローしていただきたいと,担当課から要請がございました。

(2)国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)への司令部要員派遣期限の延長

【河野外務大臣】本日,閣議におきまして国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)への司令部要員の派遣期限の1年延長が決定されました。
 今月,日本の外務大臣として初めて南スーダン訪問をいたしましたが,その際,キール大統領やシアラーUNMISS国連事務総長特別代表との会談で,南スーダンの平和と安定への日本のコミットメントを改めて表明し,先方からは感謝の意が表明されたところでございます。その際,大使公邸で司令部要員として派遣されている自衛官4名をはじめ,UNMISSで勤務する邦人職員とも面会をし,激励してきたところです。
 UNMISSへの司令部要員の派遣は,南スーダン並びに東アフリカ,「アフリカの角」と言われている地域の平和と安定に資するのみならず,日本が国際社会の責任ある一員としての役割を果たす上でも,極めて重要でございます。今後ともしっかり協力を続けていきたいと思います。

楊潔篪中国共産党中央政治局委員の訪日

【上海東方テレビ 宋記者】のちほど,中国政治局委員楊潔篪(よう・けつち)との会談がありますが,その内容について大臣としてどんなことを期待されているかを教えていただきたいのですが。そして楊潔篪さんとの面談ですが,何回目でしょうか。

【河野外務大臣】昨年でしたか,北京を訪問した際にお目にかかりました。そのときは日曜日だったものですから,「日曜日に申し訳ありません」と言って会談を始めることになったのではないかなと思っております。
 日中の関係,正常化しつつあるという中でございますので,様々な事柄についてしっかり意見交換をさせていただきたいと思っております。

【朝日新聞 鬼原記者】今回の楊潔篪さんとの会談では,北朝鮮問題について取り上げるおつもりはあるでしょうか。安倍首相が条件を付けずに日朝首脳会談を目指すという考えを表明されていますけれども,その件についても説明をされるお考えがあるのかということと,先ほど「何を期待するか」という質問でしたけれども,これだけハイレベル往来が連続して続いているということの意義を改めてお願いいたします。

【河野外務大臣】日中間のハイレベル往来がしばらく途絶えていたときから比べると,李克強(り・こくきょう)国務院総理,安倍総理の訪中,あるいは習近平(しゅう・きんぺい)主席のG20へのご出席ということで,ハイレベルの往来がしっかり続いているということは,両国関係の強化にきわめて望ましいことだと思っております。そういう意味で日本にも非常にお詳しい楊潔篪さんの訪日を歓迎をしたいと思います。様々,地域情勢についても意見交換をさせていただきたいと思っております。

中国の大手通信社に対する米国の対応

【共同通信 斎藤記者】中国絡みでお伺いします。ご案内のとおり,トランプ米政権,中国の通信大手,ファーウェイに関連して供給規制措置に踏み切りました。サプライチェーンの影響もいろいろ指摘されているわけですが,大臣は,このファーウェイをめぐるアメリカの対応,他国のことですけれども,トランプ政権の対応,どういうふうに見ているのか。そして,中国にもこの問題で対応すべき問題点はあるのかどうか,そして日本として,どう取り組んでいくのか,説明願いたいと思います。

【河野外務大臣】日本としては政府の申し合わせがございますので,それの運用状況などを含め,しっかり情勢を見極めて,判断をしていきたいと思っているところでございます。5GはIoTですとか,自動運転ですとか,この社会を大きく変える技術の言わば基盤になる技術でございますから,この5Gのシステムのセキュリティというのは非常に重要なものだと認識をしております。この,5Gのサイバーセキュリティをしっかりと守るために,どういうことが必要なのかということを日本としてもしっかり見極めながら,アメリカの実際の運用その他を注視していきたいと思っております。
 安全保障絡みの観点はございますが,国際的なサプライチェーンが今や様々な製品で張り巡らされているわけでございますから,貿易についての様々な施策は,WTOルールに則っていることが望ましいというのは,言うまでもないことだと思います。ただ,安全保障の視点というものがあるわけですから,そことの関わり合いというのはしっかりみなければならないと思っております。
 中国につきましては,様々な貿易上の問題点というのが指摘されているわけですから,中国側にも是正すべきところはしっかりと是正していただいて,米中両国が国際経済の発展のために,お互い,ルールに則った米中協議というものを進めていただきたいと思います。

イラン情勢

【毎日新聞 秋山記者】昨日,ザリーフ外相とも会談されましたけれども,この間,米国がイランの核合意から離脱して,その後,イランへの制裁を強化,そして日本等にも原油禁輸措置を求めると。更には最近では軍事的な動きも強めていますけれども。こうした一連の米国の対イラン政策について,非常に一方的であるという指摘もあると思うんですけれども,この点についてはどういうふうに見ておられるのでしょうか。今後,緊張緩和に向けて,米国にどういった働きかけをされるおつもりでしょうか。

【河野外務大臣】日本としてはJCPOAが維持されていくことが非常に大事だと思っております。他方,地域がやや不安定になっている,あるいはミサイルの問題といった様々な指摘もされているわけでございますから,これはイラン,そしてアメリカにしっかりと自制を求め,よもや偶発的な衝突などが起こらないように,両国には自制を求めていきたいと思っております。
 特にホルムズ海峡で様々な事案が発生したり,あるいはサウジアラビア国内のパイプラインに攻撃が行われた,これはホーシー派が名乗りを挙げたと承知をしておりますが,この地域の石油,あるいはガスというのは日本経済にとって,非常に重要なだけでなく,国際経済にとっても極めて重要なわけでございますので,この地域で軍事的な衝突が起こるということは,これはもう国際的にも絶対に避けなければならないことだろうと思っておりますので,そこは,日本としてもイランとは伝統的な友好関係がございます。イランとはしっかりと対話を続けながら,アメリカとは同盟関係にあるわけですから,アメリカともしっかりと話し合いをしていきたいと考えているところでございます。

河野大臣のタジキスタン訪問

【河野外務大臣】先ほどのツィッターのアカウント,是非のぞいてみてくださいということでございます。よろしくお願いします。