1.  平成31年4月11日(ジュネーヴ時間)にWTO上級委員会から公表された「韓国による日本産水産物等の輸入規制措置」についての報告書の結果を踏まえ,農林水産省,外務省,復興庁,厚生労働省,経済産業省で連携し,復興に向けて努力されてきた被災地の水産業者の気持ちに寄り添い,希望を持って漁業・加工流通業に取り組める環境を整備していくための対応方向を取りまとめたところ,以下のとおりです。

    1 輸入規制措置の解除に向けた戦略見直しと輸出拡大に取り組みます。

    (1)放射性物質に係る食品規制を緩和・撤廃
     関係省庁がこれまで以上に緊密に連携し,G20や首脳・閣僚会談等あらゆる機会を活用したハイレベルの働きかけ,事務レベルの協議や在外公館からの働きかけの強化により,規制措置を維持する23か国・地域で放射性物質に係る食品規制の更なる緩和又は撤廃を目指す。
     具体的には,(ア)輸出額が大きい主要な国・地域,(イ)周辺諸国である東南アジア諸国,(ウ)中東・アフリカ等のその他の諸国など,協議の進捗状況や実情等に応じて働きかけを抜本的に強化。

    (2)現在輸出が認められていない東北水産品(ホタテ・活牡蠣等)の輸出解禁
     青森県,岩手県又は宮城県産のホタテ・活牡蠣・ホヤのうち,EU・米国等への輸出が認められていないものについて,年内に海域モニタリング等を実施し,輸出解禁に取り組む。

    2 予期せぬ経営環境に窮する被災地水産業者を支援します。

    (1)被災地水産業者向けに大都市圏での展示商談会を開催
     被災地水産業者の販路回復・拡大を図るため,「復興水産加工業等販路回復促進事業」等を活用し,3大都市圏をはじめ大都市圏での展示商談会を開催。

    (2)ホヤ養殖業等からの魚種・漁業種転換を支援
     販路回復に苦しむホヤ養殖業者等に対し,「漁業・養殖業復興支援事業」(いわゆる「がんばる漁業復興支援事業」)を活用し,例えば,ワカメなど漁業者が希望する魚種への転換を支援。

    3 徹底した風評払拭に取り組みます。

    (1)訪日外国人客の多い外食店で被災県産水産物の安全性をPR
     新たに,外食店で被災県産水産物を訪日外国人等に提供することを支援し,被災県産水産物の安全性とおいしさをアピール。併せてインフルエンサーを活用し,SNS等を通じ魅力発信。

    (2)福島県産水産物の魅力や安全性をPRする供給ルートの拡大
     大型量販店において,福島県産水産物を,その魅力や安全性を説明しながら常設販売する取組を拡大し,福島県産水産物の消費地における供給ルートを拡大。

    (3)映像メディアを活用し被災地の水産現場の魅力をアピール
     被災地の水産現場の実情とその魅力を映像化し,被災県産水産物を提供する外食店や大型量販店で放映することで購買意欲を喚起する他,電車内ビジョン等を活用し広く安全性と魅力をPR。

    (4)「復興五輪」海外発信プロジェクトの実施
     在京大使館関係者の参加を募り,被災地の視察ツアーを実施予定。被災地の養殖現場の視察や,魚介類を食する機会を提供。

    (5)2020オリンピック・パラリンピック競技大会関連レセプションにおける被災地食材の利用・紹介
     東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会及び東京都が実施予定の海外向けの大会関連レセプション等の機会に,水産物を含む被災地の食材を提供し,食材の安全性を発信。

    (6)海外への適切な情報発信
     在外公館等からの各国・地域当局関係者への情報提供や,国内外のレセプション等の外交機会を最大限活用した効果的な情報発信。また,海外のインフルエンサー等の招へい等による被災地等の食品安全の情報提供,複数言語による食品安全に関するウェブ記事の発信等。