冒頭発言

ハーグ条約改正実施法の成立

【河野外務大臣】5月10日,ハーグ条約実施法の改正法が成立いたしました。ハーグ条約は,国境を越えて連れ去られた子の迅速な返還を主な目的としております。我が国は,子の利益が最も重要であるとのハーグ条約の基本理念に基づき,この条約を着実に実施してまいりましたが,同時に子どもの返還の強制執行について見直しの必要性が指摘されておりました。今回の改正によって強制執行の迅速性や実効性が高まることが期待されております。
 今年は日本のハーグ条約締結5周年で,6月10日にはそれを記念したシンポジウムも開催予定です。是非,メディアの皆さまもご参加をいただけたらと思っております。

日韓外相会談の開催(OECD閣僚理事会)

【時事通信 越後記者】一部報道で,来週のOECDの閣僚会合のために大臣が訪問されるパリで,日韓外相会談が調整されているという報道がございまして,事実関係ともし実施する場合にはどういったテーマを取り上げたいか教えてください。

【河野外務大臣】私(大臣)の出張日程についてはまだ調整中でございます。

四島交流訪問事業参加国会議員の発言

【NHK 奥住記者】ロシアの関連でお伺いします。昨日,維新の丸山穂高衆院議員が,ビザなし交流の訪問団の団長に「戦争で島を取り返すことには賛成か反対か」などと質問して,それを批判を受けて発言を撤回して謝罪しました。こうした発言をどのように受け止めるかということと,こうした発言が日露の平和条約交渉に影響を及ぼすかどうか,その辺,どのように考えているか教えてください。

【河野外務大臣】交渉は政府がやっているものでございますから,影響が出るとは思っておりませんが,ご本人が謝罪し撤回されたというふうに聞いております。発言にはしっかり気をつけていきたいと思います。

トランプ大統領の北朝鮮ミサイル発射についての発言

【共同通信 福田記者】北朝鮮のミサイルをめぐるトランプ大統領の発言について質問します。トランプ大統領は10日の『ポリティコ』のインタビューで,北朝鮮が最近発射した弾道ミサイルをめぐって,短距離なので金委員長による信義則違反とは見なさない。ありふれた短距離ミサイルでごく普通のものだとして,問題視しない考えを示しました。この問題視しないという点について,日米では一致しているのでしょうか。

【河野外務大臣】トランプ大統領のツイート・コメントに,いちいち私(大臣)から何か申し上げることはしませんけれども,日米の間でしっかりと安保理決議を履行するよう国際社会に呼びかけると同時に,抜け穴となっている「瀬取り」対策など,抜け穴を塞ぐことを一生懸命やっていかなければいけないということで一致しておりますので,昨日も外相会談あるいはASEAN事務局長との会談がございましたけれども,私(大臣)のほうから,この北朝鮮問題についてはそうしたことを呼びかけをしたところでございます。

楊潔篪(よう・けつち)中国共産党中央政治局委員の訪日

【上海東方テレビ 宋記者】中国,楊潔篪政治委員がこれから来日されるようですが,そのとき日本側がいろいろな会談をセットされているようですが,大臣のほうがどういう期待をされているのでしょうか。そして東京都内以外のところも会談をセットされているのでしょうか。

【河野外務大臣】楊潔篪委員におかれては16日から18日でしたか,訪日予定ということでございます。まだ会談を含め日程については決まったものはございません。

四島交流訪問事業参加国会議員の発言

【朝日新聞 清宮記者】丸山議員の発言に戻るんですけれども,今回ビザなし交流の場でお酒を飲んだ後にああした発言をしたということなんですが,ロシアとの間の信頼関係で成り立っているビザなし交流で,そういう態度というかをされていることについての受け止めと,議員辞職などに値するものか,お考えがあればお願いします。

【河野外務大臣】議員のポジションは選挙で選ばれているものでございますから,進退についてはご本人がお決めになることだろうと思っております。日露,様々な平和条約の交渉をしているところでございますので,なるべく波静かな中で交渉はやっていきたいというのが,私(大臣)の本心でございます。そういう中でこのような発言・行動というのは,決してプラスになるとは正直思いません。しっかりと襟を正していただきたいと思います。

【読売新聞 梁田記者】同じく関連して,丸山議員の発言の件なんですけれども,「戦争しなくては」という発言は裏を返せば,戦争という現状変更を伴うような手段をもってしないと,北方領土は返ってこないという見方なわけで,政府の方ではないですけれども,やはり公職にある方が,政府が主張している不法占拠であるという状態を否定するような発言をされているということになります。この点に関しては政府,今,交渉の責任者としてなさっている大臣としては,どのようにお考えでしょうか。

【河野外務大臣】本人が酒に酔っての発言ということでございますので,特に政府から何かコメントを申し上げることはございません。

中東情勢

【毎日新聞 秋山記者】中東情勢についてお伺いしますけれども,いまイランをめぐって,アメリカとイラン,あるいはサウジアラビア,UAEとも,自国の船が何か妨害を受けたということを言って,緊迫感高まっていますけれども,大臣は現状,どうご覧になっているかという点と,日本として何か働きかけるおつもりはあおりでしょうか。

【河野外務大臣】日本の言わばエネルギー供給の生命線とも言うべきホルムズ海峡の周辺で,このような事態が進行していることを極めて由々しき事態と考え,注視しております。現在,調査が行われているということでございますが,我が国としても,ホルムズ海峡の封鎖というのは,以前からもそういう可能性について,様々提起がありましたけれども,現実にホルムズ海峡が封鎖されるような事態が起きた場合に,どのように対応したらいいのかということを少し,政府としても真剣に考え,対応を検討していきたいと思っております。

NPT運用検討会議準備委員会

【中国新聞 田中記者】先ごろのNPT再検討会議の準備委員会についてお伺いしたいんですけれども,来年の再検討会議に向けた勧告については,残念ながら,核兵器保有国と非保有国との溝が埋まらずに,採択をされずに終わるということになりました。日本政府の橋渡し役としての役割が十分に果たせてないという指摘もあると思うんですが,これについてどうお考えか伺いたいのと,もう一つ,アメリカが今回の会議では,更なる核軍縮を前進させるには,新しい安全保障環境作りが必要であるというような主張に,非常に重点を置いていたような印象を受けましたけれども,これについては受け止めを伺えますでしょうか。

【河野外務大臣】勧告案が採択に至らなかったというのは残念なことではあります。日本としてやはり橋渡しの役割というのをもう少しできていたらというふうにも思いますが,なかなかこの勧告案の採択というのは,これまでを見てもいろいろ議論が出るところでありますから,そう悲観的になる必要はないのかなとも思いますが,決していい状況というふうには思っておりません。
 アメリカが様々イニシアティブを提起しておりますので,日本としてはですね,それに対して,言わば賢人会議の結果などを含め,貢献できる部分はあろうかと思いますので,アメリカのイニシアティブに参加することを含め,しっかり内容を見て,検討していきたいと思っております。

中東情勢

【共同通信 斎藤記者】先ほど,ホルムズ海峡の件で大臣,ご発言ありました。この件について補足してお伺いしたいんですが,先ほど封鎖の場合はどう対応するか,政府として真剣に対応を検討したいと発言されたわけですけれども,そうした事態を回避するために,外務省として,また大臣として,どのような努力をしうる,すべきだとお考えになっているか。また,そうした事態になった場合に,なかなか想像するのは難しいと思いますが,政府全体として,どのような観点からこの問題を克服すべきだと考えているのか,コメントをお願いします。

【河野外務大臣】いま日本政府が行っていることを全て,公の場で申し上げるわけにはいきませんけれども,このイランをめぐる情勢については,日本もイラン産の原油を輸入してきたということもありますし,イランとは伝統的にいい関係を築いてまいりましたので,少し日本としてこの状況を緩和するための努力というのは,引き続きやってまいりたいと考えているところでございます。
 具体的に,海峡封鎖という事態になるようなことをまず避けるというのが大事なことだと思いますし,技術的にも様々とりうることはあるんだろうと思います。そうしたことの検討を含め,何か起きた時に,影響がダイレクトに日本経済,あるいは世界経済に跳ね返ることがないようなことを,やはり考えていく必要があるだろうと思います。