冒頭発言

【河野外務大臣】本日ラブロフ外務大臣との間でワーキングランチを含んで約4時間平和条約交渉を行いました。平和条約締結については昨年11月での首脳間の合意にしたがって双方受け入れ可能な解決策を見いだすべく突っ込んだやりとりをいたしました。2月のミュンヘンでの外相会談のあとの次官級で論点整理をしてきたことを踏まえて,今日の協議に向けて準備をしてきましたが,今日は特に立場の異なる部分について相当率直に協議を行いました。会談における合意事項については共同記者発表で述べたとおりです。会談の内容については申し上げませんが,日露の立場が異なる部分につきましてはこれまでの外相会談に加えて,明確に日本の主張を申し上げて参りました。かなり厳しいやりとりになりましたが,ラブロフ外務大臣との会談は全部で外務大臣就任以来10回目になるかと思いますが,これまでの信頼関係の上で率直に議論ができたと思います。ラブロフ外務大臣とは6月の首脳会談を実りあるものにするとの共通の目標に向けて様々議論もできました。共同記者発表の際に申し上げたとおり,共同経済活動に関する作業部会の日程で一致しましたし,元島民の方々のための人道的措置についても引き続き着実に取り組みを進めていくことを確認をすることができました。事務方に精力的に作業を進めるように改めて二人で指示を出し,今月末のラブロフ外務大臣の訪日の機会に進捗状況を改めて確認をしたいと思います。日露両国の戦略的利益である真のパートナーシップ構築に向けて平和条約交渉を粘り強く,前進をさせていきたいというふうに思います。ワーキングランチでも引き続き日露の平和条約交渉に関して議論いたしました。
 ラブロフ外務大臣が5月30日に訪日し,東京において日露2+2,それと日露外相会談を実施いたします。6月の首脳会談に向けて引き続きよい議論ができることを楽しみにしております。私からは以上です。

質疑応答

【記者】先ほどの共同記者発表の後,ワーキングランチが行われたと思いますが,そちらの方では具体的にどういったことを意見交換されたのか,また先ほど会見の中でも北朝鮮について飛翔体ですとか露朝の件についてもお話をされるとのことでしたが,そういった件についてどのような話をされたのか,拉致についても取り上げられたのかお願いします。
【河野外務大臣】ワーキングランチは引き続き平和条約締結問題の議論が続きました。最後までほとんどその問題に終始をいたしました。また,北朝鮮についても若干触れることはありましたが,詳細についてそちらは控えたいと思います。
【記者】もう一問,少し別件になりますが,昨日北朝鮮が短距離弾道ミサイルを発射しました。国連の制裁決議違反になると思うんですけれども,改めて今後日本政府としてどのように対応していくか,また総理が日朝首脳会談に条件なしでということで譲歩を示していますが,それについて今回の件がどう影響するのか,お願いします。
【河野外務大臣】短距離弾道ミサイルの発射は明確に安保理決議違反でございます。日米あるいは日米韓3カ国でしっかりと連携をしながら,国際社会による国連決議の完全な履行をしっかりと続けていきたいと思います。抜け穴になっております瀬取り対策その他しっかり対応をとれるようにしていきたいと思っております。また拉致問題につきましては,ご家族がご高齢になられていることもあり,あらゆる機会を逃がさず前に進めたいという総理のご意向もありますので,この件につきましては引き続きしっかり追求をしていきたいというふうに思っております。
【記者】日露外相会談の件なんですけれども,先ほどの共同記者発表の中で,今の発言でもそうですけれども,立場の隔たりがあるということを認められ,一方でその,真のパートナーシップ構築を目指すとおっしゃっています。やはりロシアが信頼ということをよく言っていますが,日本とロシアの間での信頼というのはまだまだ未成熟なものだというご認識なのでしょうか。またそれを育てるためにはどういった取組が必要になって,それがどういうふうに平和条約締結に資するというふうにお考えでしょうか。
【河野外務大臣】安倍総理とプーチン大統領の間の個人的な信頼関係はきわめて強いと思っていますし,私とラブロフ外相との間の信頼関係もしっかり築けてきていると思っております。その上に平和条約交渉をしっかりやってですね,70年間未解決の問題でございますからそう簡単に双方の受け入れができる合意にはなかなかなりませんが,きっちりと論点を整理しながら一つずつ前へ進めていきたいとふうに思っております。
【記者】今日の会見でも1月,2月外相会談をされて今回3回目の会談ということですけれども,基本的な立場の認識というのは埋まらなかったと,やはりかなり難しいというのは,やはり当初想定されていたよりかなり難しい,思ったより難しいという認識なのでしょうか。
【河野外務大臣】70年間未解決の問題ですからそう簡単ではないとお互い認識をしているところではありますが,首脳が条約締結の交渉を加速化させようというところですでに合意をしているところですので,お互い交渉の責任者としてその指示に従って交渉をしっかりと前へ進めていきたいと思っております。
【記者】日程のことなんですが,ラブロフさんが30日,31日に日本に来てですね,具体的に何日に何をやるということは決まったんでしょうか。
【河野外務大臣】30日から訪日をされて,2+2と外相会談をやろうということになっております。詳細はこれから詰めていきます。
【記者】31日に何かがあるかもしれないと。
【河野外務大臣】詳細はこれから詰めていくことになります。
【記者】先ほどの共同記者発表の中でラブロフ外相の方から,サハリンと北海道の人の交流の件について言及がありましたけれども,そういった件についてもお話があったりとか,調整ができたというふうに言ってらっしゃいますけれども,そういったお話があったのでしょうか。
【河野外務大臣】共同経済活動をするためには双方の法的立場を崩さない中で人の移動というのをどうするかそういう話し合いもしていかなければなりませんので5月に作業部会をおこなってそれをしっかりと詰めていきたいというふうに思っております。
【記者】今日の会見のなかでラブロフ外相が第二次世界大戦の結果を認めることが必要だとおっしゃったことに対して,河野大臣の方から平和条約が結ばれていないのは領土,北方領土の国境が確定していないからであることはご承知のとおりですとおっしゃられたと思うのですが,その発言の意図を改めてお伺いしたいのと,そこのところが最大の立場の違いということなのでしょうか,大臣の発言の意図をもう一回もうすこし詳しく教えていただきたいのと,最大の立場の違いを教えていただきたいです。
【河野外務大臣】様々な分野で日露の立場の違いがあるわけでございますが,それはどういう違いかというのはもう皆さんご存じというところがあるかと思います。何が交渉のなかで合意され,また隔たりがあるかいうことについて公の場で申し上げるのは差し控えたいと思います。