冒頭発言

(1)河野大臣のロシア訪問

【河野外務大臣】5月9日から11日にモスクワへ出張いたしますが,10日にモスクワでラヴロフ外相と外相会談を行い,平和条約締結を始めとする二国間の問題及び北朝鮮など喫緊の国際情勢等についても,意見交換をしてまいりたいと思っております。

(2)外交史料館の土曜日開館

【河野外務大臣】外交史料館の本館の閲覧室及び別館展示室を,5月25日から当面第4土曜日に限って,土曜日を開館して様子を見たいと思っております。かつて特別展のときに土曜日の展示室を開けたことがあったと記憶をしておりますが,本館の閲覧室を土曜日に開館するのは初めてになろうかと思います。
 昨年12月に所蔵史料をインターネットで検索できるサービスを始めましたが,そのサービスと併せてこの土曜開館を利用していただければ,遠方の方にも外交史料館を活用していただけるのではないかと思っております。
 展示室のほうはどなたにもオープンで午前10時から午後5時半まで,来た方に見ていただこうと思いますが,閲覧室は事前予約制で午前11時から午後5時半ということになります。詳しくはホームページ等を参照していただきたいと思いますが,ご覧いただきたい史料を申し込んでいただければ,それを用意しておいて,来たらすぐに見られる形にしていきたいと思います。第4土曜日ですから5月は25日,6月は22日,7月は27日,8月は24日,そこまでやった上で様子を見て,そこから先を決めていきたいと思います。

日朝関係

【朝日新聞 鬼原記者】北朝鮮政策について伺います。安倍首相が昨日,日米の電話,首脳協議を行ったあとのぶらさがりで,条件を付けずに金正恩(キム・ジョンウン)委員長と会談を目指すという考えを表明されました。安倍首相,これまで拉致問題の解決に資する会談でなければならないということで,条件付けをされていたようにも聞こえるのですが,これは日本政府として方針が変わったということを意味するのでしょうか。まずこの点についてお願いします。

【河野外務大臣】何も方針に変わりはございません。日朝平壌宣言に謳っているように,核・ミサイル,拉致問題を包括的に解決し,国交正常化していこうということでございますので,最終的にそれを目指すという方針に何ら変わりはございません。

【朝日新聞 鬼原記者】関連で,大臣は5月5日のエチオピアですか,ぶら下がりで,日朝の首脳会談について拉致問題を入口として取り上げるわけではないというふうに述べられています。拉致問題を入口にせずに,今後,日朝の会談を目指すに当たってどういうふうに外交的に取り組んで行かれるか,改めて伺います。

【河野外務大臣】拉致問題の何か解決についてが入口ではないということで,当然に出口は核・ミサイル,拉致問題の包括的解決ということが出口になります。そこについては変わりはございません。

【読売新聞 梁田記者】条件を付けずに会談と総理はおっしゃっているわけですけれども,一方で国交正常化に関しては拉致,核・ミサイルの包括的解決というものが前提になるわけですね。そこの整合性というのはどのように考えた上で,これからの国交正常化に向けての段取りを描いていらっしゃるのでしょうか。

【河野外務大臣】米朝の会談をご覧いただいても分かるように,北朝鮮というのは決断がトップレベルで行われるということが多い国でございますから,当然に日本としても拉致問題の解決,あるいは核・ミサイルということを考えれば,日朝の首脳会談というのがかなり国交回復前に必要であるというのは明白なのだろうと思います。そこは以前から何も変わっておりません。

【共同通信 福田記者】日朝関係について改めて伺います。総理が言われていることは拉致問題で前進が見込めないリスクがあっても,日朝首脳会談を行う用意があると理解すればいいのでしょうか。

【河野外務大臣】要するに,何か拉致で動きがなければ,日朝の首脳会談をやらないということではないよと,入口の前に拉致問題を置いていないということです。出口では当然,核・ミサイル,拉致問題の包括的解決というのが出口になります。

【時事通信 越後記者】関連で伺います。先ほど大臣は,北朝鮮はトップレベルで会談を行うことが多い国だというふうにおっしゃいましたけれども,そうしますと,日朝の文脈でも,米朝のようにいきなりトップ会談,あまり事務方の積み重ねがなく,いきなりトップ会談という可能性も,いまお考えでいらっしゃるということでしょうか。

【河野外務大臣】それは様々なルートがあって然るべきと思います。

【朝日新聞 清宮記者】入口の段階では拉致の解決を置いていないということでしたが,日朝の首脳会談は複数回重ねて,拉致,核・ミサイルの解決に至るというイメージをお持ちなんでしょうか。

【河野外務大臣】まだ,何も決まっておりません。

北朝鮮による飛翔体発射について

【朝日新聞 清宮記者】先日,北朝鮮が飛翔体を発射しまして,それについて分析中だと思うのですが,米朝で完全な非核化を合意している中でこのような発射があったことについてどう受け止められているか,また,弾道ミサイルであれば制裁決議違反となる可能性についてどうお考えでしょうか。

【河野外務大臣】おっしゃるとおりだと思います。いま日本は防衛省,アメリカはペンタゴンが情報収集・分析をしているところであります。

【朝日新聞 清宮記者】現時点での受け止めがあればお願いしたいんですが。

【河野外務大臣】いま情報分析をしているところでございますので,それを待ちたいと思います。

令和時代における外交政策

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)

「Beautiful Harmony(美しい調和)」と訳される「令和」の時代が始まりました。外務省は,外交面ではどのように調和を達成されるお考えでしょうか。特に,調和が著しく欠如している東アジアと西アジアの間の調和を目指すようなお考えはあるのでしょうか。

【河野外務大臣】
(以下は英語にて発言)

先代の天皇陛下が御即位30周年記念式典で仰ったように,平成は,日本が関わる戦争がない時代でした。我々は皆,この平和な時代が続くよう,令和では更に努力を重ねなければなりません。日本は外交努力の一環として軍事力を行使することはありませんし,また,ODAは着実に減少しています。そのため,日本は外交力を向上させる必要があり,外務省は外交官の個々の能力を高める必要があると思います。これはまさに他国とも共有していくべき目標だと考えます。また,ロシアとの平和条約の締結,及び拉致被害者の北朝鮮からの帰国という,戦後未解決のまま令和時代まで残された2つの問題の解決を期待しています。我々はこれら2つの問題解決に向け,さらに推し進めていく必要があると考えています。

旧朝鮮半島出身労働者問題

【時事通信 越後記者】韓国なんですけれども,連休中に,いわゆる徴用工訴訟をめぐりまして,原告団が現金化を韓国の裁判所に申請しました。外務省はすぐに抗議されていますけれども,現金化が進めば実害が生じることになりまして,これまで検討されてきた,日本政府としての対抗措置の発動をいうことも視野に入ると思うんですけれども,現時点でどういった段階にございますでしょうか。

【河野外務大臣】この問題について何か変わったことはございません。韓国政府にきちんと韓国側で国際法違反の状態を是正する努力をしていただく必要があろうと思っております。その状況になんら変わりはございません。

日朝関係

【東亜日報 金記者】北朝鮮問題についてちょっと伺いたいんですけれども,個人的な感情か分からないですけれども,以前と比べて,批判の声が少し減っている感じがしますけれども,もし,日朝首脳会談を目指すために,どうされますかと伺いたいです。

【河野外務大臣】特に何か変わっているということはございません。

【共同通信 福田記者】日朝で確認をさせていただきたく思います。日本が最優先としてきた拉致問題を,入口としないという判断をされた理由を教えてください。拉致被害者の家族の高齢化などで,この問題をやはりしっかり取り組む必要があるという判断なのか,入口に置かないと判断された理由について。

【河野外務大臣】そこは特に何か変わっているわけではありません。先ほど申し上げたように,北朝鮮というのは首脳レベルで物事が決まることが多いわけですから,物事が決まらなければ首脳レベルの会談をやらないということでは何も解決しませんので,ここは何か変わったわけではございません。