冒頭発言

【河野外務大臣】アンゴラ,南スーダンに続いて,エチオピアを訪問いたしました。私にとりましては,2年ぶりの訪問になります。今日,アビィ首相を表敬し,日本とエチオピアの二国間関係,地域情勢,それから国際場裡における協力といったことを確認いたしました。
 昨年7月に,エチオピアはエリトリアと20年ぶりに外交関係を再開し,また,アビィ首相のリーダーシップのもと,国内の経済改革,そしてこのアフリカの角の平和構築といったことに非常に強いリーダーシップを発揮されているということを歓迎するとともに,今年のTICADに是非ご出席をいただきたいという安倍総理からの招待状をお渡しし,TICADへのご出席を確認をすることができました。
 また,円借款の再開に向けて,財政状況について,あるいは財政の専門家を日本から派遣することについても意見交換をいたしました。
 3月に,エチオピアにおいて,外国人,インド人,日本人女性を含む5人が襲撃に遭って亡くなられたことについてお悔やみを申し上げると同時に,この事件に関して,日本人女性も犠牲になったということもありますので,きちんと捜査が行われ,必要な人間をきちんと処罰をしていただきたいという旨申し上げ,首相からは非常に力強いお言葉をいただきました。この事件の一日も早い全容解明をエチオピア政府としても努力をされているところだというふうに理解をしております。
 その後,AU本部でクオティ・アフリカ連合委員会AUC副委員長にお目にかかって,TICAD7に向けての協力関係の確認,準備状況の確認などを行いました。
 また,IGAD南スーダン特使のワイス氏にもお目にかかり,5月3日にこの統一暫定政府設立を半年間延期をするという決定がすべての関係者の合意によって行われたことを歓迎するとともに,この南スーダンの和平プロセスに日本としても今後ともしっかりとコミットしていく旨申し上げました。日本としては,日本だけでなく,多くの国がこの現在の和平プロセスに対して,政治プロセスに対してしっかりとコミットし,また支援をしていただきたいというふうに思っておりますので,国際社会に向けてしっかり日本としても働きかけをしていきたいというふうに思っているところであります。私からは以上です。

質疑応答

【記者】冒頭のご発言と多少かぶるかもしれないんですけども,今回大型連休の後半にアフリカという地域を選んだ理由と,中でもこの3か国を選んだ狙いというのはどこにあるのでしょうか。

【河野外務大臣】今年はTICAD7を横浜で開催をいたしますので,その準備ということもあってアフリカを訪問いたしました。まずエチオピアはAUの本部でこのTICAD7に向けての協力関係,準備状況の確認をすると同時に,エリトリアとの間で外交関係を再開をする,あるいは国内の経済改革を実行するたいへん強いアビィ首相のリーダーシップがあるわけですから,日本としてもしっかりとエチオピアと協力関係を築いていきたいというふうに思っております。
 南スーダンに関していえば,この現在の和平プロセス,政治プロセスを,日本が今IGADとともに支援をしている状況ですので,この日本のコミットメントをしっかりと確認をすると同時に,この5月3日,このアディスアベバで行われた会議の状況についても意見交換をいたしました。
 アンゴラはサブサハラのアフリカ諸国の中でナイジェリア,南アフリカに次いで3番目の経済規模,そしてたいへん豊富な資源を持っている非常に発展する潜在力の高い国でありますので,2国間の関係をしっかりと構築していく,そういうこともあって,アンゴラ,南スーダン,エチオピアをこの3か国を訪問することになりました。

【記者】今回訪問されたアンゴラにしてもエチオピアにしても,中国による多額の貸し付けというのが問題になっていると思います。先日麻生副総理兼財務大臣も中国の貸し付けについて「サラ金と同じだ」というような発言をされておりまして,まあちょっと言葉の使い方の方は別としても,認識としては大臣も似たようなご認識でしょうか。

【河野外務大臣】国際社会の中で中国の途上国向けの融資が「債務の罠」を巻き起こしているという懸念があるのは事実だと思います。先般の「一帯一路」フォーラムで習近平主席が国際スタンダードあるいは債務の持続可能性といったことを発言されておりますので,そうしたことに我々としてもしっかりと注目していきたいというふうに思っております。

【記者】ちょっと質問変わりまして北朝鮮の関係なんですけれども,先日北朝鮮が飛翔体を複数発射したとの報道がありました。これについて,米朝の首脳会談3回目に向けた動きがまだ見られない中で,北朝鮮側がこういう行動に出たということをどのように受け止めているのか。それから,北朝鮮がこういう行動をとった狙いといいますか,そのへんをどのように分析されているかおしえてください。

【河野外務大臣】すぐポンペオ国務長官,ならびに康京和韓国外交部長官と電話会談を行いました。今3か国でこの飛翔体についての情報収集・分析をしているところでございますので,実際に何がどういうふうに行われたかということをまずしっかり確認をしていきたいというふうに思っております。今のところ,ボールは北朝鮮側にあるという状況に変わりはないというふうに思っておりますので,日米韓3か国の連携をしっかりと維持しながらこの問題に当たっていきたいというふうに思います。

【記者】北朝鮮の関連で今度は拉致なんですけど,先日産経新聞の安倍総理の単独インタビューがありまして,その中で,日朝の首脳会談について前提条件なしでやるんだということが新聞に載っていました。以前から日朝首脳会談については国会等でもですね,やるのであれば拉致問題の解決に資するようにという言葉があったんですけれど,これは方針が変わったというふうに考えればいいのか,どのように受け止めればよいのでしょうか。

【河野外務大臣】拉致問題に関していえば,これは日朝間で解決しなければならない問題でありますし,これまでも安倍総理は首脳会談に向けて前向きに考えてこられました。首脳会談への入り口として拉致問題を取り上げるわけではないということですが,出口として,日朝平壌宣言に謳っているように,核・ミサイル・拉致問題を包括的に解決する,そこについての姿勢についてはなんら変わりはございません。

【記者】拉致の関連ですみませんちょっと前もって投げてなくて恐縮なんですが,報道で,金正恩委員長が前の米朝首脳会談の時に拉致問題について日本側ともいずれ日朝首脳会談をやりたいという意向を示しているという報道があるんですけれども,これ外務省として把握している状況はどういう……

【河野外務大臣】米朝の会談について様々報道が行われておりますけれど,その報道のいちいちについてコメントすることは差し控えたいと思います。

【記者】ちょっとまた話題変わりまして,次,韓国なんですけれども,先日,徴用をめぐって原告側が差し押さえた株式の現金化の手続に踏み切りました。こうした動きをどのようにとらえているかということと,康京和長官が,あくまでも司法の判断を尊重をするということで政府は介入しないという方針を示しているんですけれども,こうした韓国政府の対応をどのようにお考えなのかと。で,併せてですね,前々から対抗措置ということを検討されていると思うんですけれども,まさにこの現金化の手続が進められている中で,その発動のタイミングとか内容というのはどのようにお考えでしょうか。

【河野外務大臣】日韓請求権協定という両国の関係のいわば法的基盤が損なわれようとしているのが,この問題のいちばんの根底にあるわけで,これは韓国側の問題でございますから,韓国政府として責任を持って対応していただかなければならない問題であります。韓国政府として,司法に介入するとかなんとかという問題ではなくて,韓国側でこの問題はきちんと解決してもらわなければならないわけで,長官のご発言はやや誤解を生みかねないご発言だと心配しております。韓国側には責任を持った対応をしていただかなければならないというふうに思っております。今後日本側としてどうするかということはなんら変わりはありません。万が一,韓国政府の対応が日本企業への「実害」を生むような状況があれば,日本として速やかに必要な措置をとるということに変わりはございません。