冒頭発言

【河野外務大臣】平成最後の記者会見となってしまいました。まだ平成はあと数日残っておりますが,この平成という時代が,日本にとっては戦争のない平和な時代でここまでまいりました。あと数日間,しっかりと平和な時代を続けていけるように,また次の令和の時代も平和で,我が国が平和であり,戦争がないそういう時代にするためにしっかり頑張ってまいりたいと思っております。

(1)河野大臣のサウジアラビア訪問

【河野外務大臣】本日夜から29日にかけて,サウジアラビアを訪問することにいたします。今回の訪問では,「日本・サウジビジョン2030」の着実な実施を通じた,サウジの将来世代のための改革への日本の支持,戦略的パートナーシップの強化,こういったものを再確認していきたいと思っております。
 サウジアラビア,いろいろ事件もございましたが,司法当局が真相究明,再発防止というようなことを取り組んでおられると認識しておりますので,日本としてこのサウジアラビアの改革をしっかりと後押しをする,そういう日本の姿勢に揺るぎがないということを先方にしっかり伝えると同時に,中東情勢が大きく変化する中,中東地域の安定の要でありますサウジアラビアと,地域安定に向けた議論を行っていきたいと思っております。
 また,今年のG20大阪サミット,来年のG20議長国サウジアラビアということでありますので,緊密な連携を確認してまいりたいと思っております。

(2)河野大臣のアンゴラ,南スーダン,エチオピア訪問

【河野外務大臣】諸般の事情が許せば,5月2日から6日まで,アンゴラ共和国,南スーダン共和国及びエチオピア連邦民主共和国を訪問する予定でございます。アンゴラは日本の外務大臣としては17年ぶりの訪問になります。日本からの投資が活発であり,3月には地上デジタル放送,日本方式の採用が決定されました。今年のTICADの主要なテーマの一つであるビジネス推進等に向けて,協力関係を強化していきたいと思っております。
 南スーダンは日本の外務大臣としては,おそらく初めての訪問になるんだろうと思いますが,UNMISSに自衛隊員が司令部要員として参画をして活躍しているわけでございます。アフリカ自身の手による平和と安定が,いわばそこで実践されているわけでございますから,和平プロセスへの日本の支援を中心に,しっかり議論したいと思います。
 エチオピアに関しては,アビー首相がエリトリア紛争を解決し,20年ぶりに外交関係を再開するなど,アフリカの角といわれている地域の平和と安定をリードされてきております。こうしたエチオピアの取組をしっかりと後押ししてまいりたいと思いますし,TICADの共催者でありますAUCとも,アディスアベバでしっかりと議論・意見交換をしていきたいと思っております。

(3)スリランカにおける爆発事案(報道のあり方)

【河野外務大臣】スリランカの爆発事案につきまして,被害者となられた邦人の方々及びそのご家族・ご親族の動向などが大きく報じられてきているところですが,被害者及びご家族については,人定事項を公開して欲しくないというかなり強いご意向があったのも事実でございます。いろいろございますが,こうしたご家族・ご親族のご意向と心情に配慮した報道がなされるよう,皆さまのご理解をお願いしたいと思うところでございます。

(4)大型連休中における機内での安全対策アナウンス実施

【河野外務大臣】大型連休中,明日から10連休になりますが,海外旅行を予定されている方が多いと思いますので,ぜひテロあるいは犯罪について細心の注意を払った上で,ご旅行を楽しんでいただきたいと思っております。
 今般,日本航空及び全日空の協力を得て,ゴールデンウィーク中,両航空会社の対象路線において,海外滞在中の安全対策について,機内アナウンスを実施していただくことになりました。
 いずれにせよ,安全な海外渡航のために,外務省の海外安全情報発信サービス「たびレジ」に登録し,最新の治安情報などを確認し,安全対策万全で行っていただきたいと思います。

露朝首脳会談

【NHK 奥住記者】昨日行われたロシアと北朝鮮の首脳会談の関連でお伺いします。この中でプーチン大統領が6か国協議について言及されましたけれども,日本としてはこの協議,この枠組みの必要性についてどのように思いますでしょうか。また,プーチン大統領は北朝鮮は安全の保証と体制の保証を必要としているのだと発言されていますが,この点,日本としてはどのように受け止めていますでしょうか,お願いします。

【河野外務大臣】北朝鮮あるいはこの朝鮮半島の非核化について,日本は日米で緊密に連携をするとともに,日米韓,しっかり意思疎通をしながら連携をしていきたいと思っておりますし,もとより中国,ロシアともしっかり協力をしてまいりたいと思っております。
 北朝鮮の体制保証については,もうすでにティラソン前国務長官がそのようなことを発言し,体制を変更する意思はないということをはっきりされておりますので,新しい話ではないと思っております。

河野大臣のロシア訪問

【読売新聞 梁田記者】ゴールデンウィーク明けにロシアへの外遊の日程がすでに発表されているかと思います。改めてラヴロフ外相とお会いになって平和条約交渉,かなり難航していると大方に見られていますけれども,どのように突破していきたいとお考えでしょうか。また,先ほどの質問とも重なるのですが,ちょうどロシアと北朝鮮の首脳会談が行われたところで,その北朝鮮の非核化に向けて,ラヴロフ外相とどのようなところで連携を確認できたらいいか,お考えを伺えればと思います。

【河野外務大臣】平和条約交渉につきましてはお答えを差し控えたいと思いますが,この露朝の話につきましてはすでにロシア側から話を聞いているところでございます。朝鮮半島の非核化は日露共通の目標でもありますので,それに向けてしっかり協力をしていきたいと思います。

イラン産原油の輸入規制

【朝日新聞 清宮記者】2点お伺いしたいんですけれども,まずイランの関係で先日,ポンペオ国務長官がイラン産原油の輸入について,輸入を認める特別措置,日本など8か国について,5月2日に打ち切ることを発表していますが,これについて先日のポンペオ長官との会談ではやりとりがあったんでしょうか。また,日本企業に影響が出ないように求めてきたと思いますが,今後,米側とどう協議されるのでしょうか。

【河野外務大臣】先般の「2+2」に先だった,外相会談の中でイラン情勢についても意見交換をしてまいりました。日本企業に対して影響が出ないような方策については,ポンペオ長官とこれまでもいろいろと意見交換をしてきているところでございますので,様々なレベルで米側とやり取りを続けていきたいと思います。

河野大臣のサウジアラビア訪問

【朝日新聞 清宮記者】もう1点,冒頭にあったサウジアラビア訪問の関係でお伺いしたいんですけれども,記者殺害事件について,きちんと対応,真相究明されてきているとおっしゃっていましたが,この事件の真相解明を求めるなど,大臣側から今回,言及される予定はあるでしょうか。また,イランの原油の輸入が米国から制限されますが,原油輸入というところをめぐって,サウジと今回協議されたり,あるいはイラン関係について協議される見通しはありますか。

【河野外務大臣】イランについて,あるいは中東情勢全般についての意見交換というのは,当然にやろうと考えているところでございます。カショギ事件については,ミュンヘンだったかダボスだったか,すみません,ちょっと今,はっきりしませんが,ダボスだったかな,外務大臣と会談をしたときに既にこちら側の意向については先方にお伝えしているところでございます。

河野大臣のアンゴラ,南スーダン,エチオピア訪問

【共同通信 福田記者】冒頭,発表ありましたアフリカ訪問についてお伺いします。アンゴラ,エチオピア,いずれも中国から多額の債務があって,債務の罠に陥っているという指摘がありますが,日本としてこうした国々への支援のあり方,中国とどう差別化を図っていくのか,ご所見を教えてください。

【河野外務大臣】支援の競争をするつもりはありません。日本は日本としてやれるところをしっかりやっていきたいと思っております。中国の得意な分野,日本の得意な分野,それぞれいろいろあると思いますし,国際スタンダードに則ったインフラ投資を始めとする国際基準に合った様々な支援というのが必要だろうと考えます。

G20サミット

【テレビ朝日 安西記者】G20サミットまで2か月あまりとなりました。大臣,以前に他省庁からの応援も含めてG20に備えるというお話がありましたが,現在の状況はどうなっていますでしょうか。

【河野外務大臣】すみません,G20事務局にお尋ねいただきたいと思います。

【テレビ朝日 安西記者】あとですね,初めて日本で開催されるということで,現在,準備が着々と進んでいると思いますが,懸念等々,いま大臣の中でありましたら教えていただければと思います。

【河野外務大臣】伊勢志摩サミットの時に国家公安委員長をやっておりまして,地元の皆様にご理解をいただいて,かなりの交通規制をやらせていただきました。あの時と比べると今回,少し規制規模が大きくなるだろうと思いますし,参加国,あるいは国際機関の数も多いものですから,そうした方々が移動するその間の交通規制をやらせていただくことになりますので,様々,地元にはご迷惑をかけるかと思いますが,是非,このG20の意義をご理解をいただいた上で,ご協力を賜りたいと思っております。警察ともしっかり連携をしながら,なるべく地元にご迷惑をかけないようにはしたいと思いますが,いずれにしろ,交通規制など必要な措置はとらざるをえませんので,そこはご理解を賜れるように,しっかりとご説明をしていきたいと思います。

国際連帯税

【東京新聞 大杉記者】国際連帯税について伺いたいんですけれども,国際連帯税をG20大阪サミットで取り上げるという,ご発言が以前あったかと思うんですが,それについて,いま現在どう考えていらっしゃるかということと,改めて国際連帯税の必要性についてと,憲法記念日が近いんですけれども,憲法の前文との関係でどのように,何か御所見があれば教えていただきたいんですが。国際連帯税との関係で。

【河野外務大臣】SDGsを達成するために,毎年2兆5,000億ドルの投資が必要だ,ちょっと数字が正確ではありませんが,2兆5,000億ドルの資金ギャップを克服しなければいけないのかな。ODAを倍増,3倍増してもこのギャップは埋められないわけですから,これは日本だけではなくて,今の世界各国のODAを倍増,3倍増しても埋められない,この2兆5,000億ドルというギャップをどう埋めるかというのは,非常に大きな課題だと思っております。
 また,冷戦は終わりましたけれども,昨年,約7,000万人という難民・避難民,これは第二次世界大戦後,最大の数になるわけですが,気候変動の影響でさらにこの自然災害が増え,避難民が増えるということも容易に予想できる中で,こうした方々への人道支援というのも行っていかなければなりませんが,他方,日本は財政的な制約からこれ以上ODAを飛躍的に増やすということができる状況にはございません。多くの国が財政的な制約があって,様々な支援を増やすことができない中で,じゃあどうするかという,少し創造的な資金調達の方法を考えなければならないということで,今,我が国は「開発のための革新的資金調達リーディンググループ」という集まりの議長を今年やります。
 この中で,国際社会の中の先頭に立って,資金調達の新しいメカニズムの議論を主導していきたいと思っております。G20の中では外相会合の中で,こういうものをしっかりと取り上げていきたいと思っておりますし,G7外相会談の中等でも少し,こういう話をさせていただきました。G20サミットの中で今,どういう議題でいくか,これは定かではありません,決まっておりませんが,様々な国際的な場でも日本として,これを訴えてまいりたいと思っております。
 憲法との関係で言えば,世界の平和という観点からも,あるいは,全ての人が人間らしい尊厳を持った生き方をするためにも,必要なことだと思いますので,どの文章,どの条文がということではありませんが,そういう精神にも合うものだと考えております。

河野大臣のサウジアラビア訪問

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)

 河野大臣,有り難うございます。平成時代最後の質問をすることができ,光栄に思います。大臣のサウジアラビア訪問の話に戻ります。大臣は今回の訪問で,安全保障や核エネルギー協力に関し議論する予定はありますでしょうか。サウジアラビアは米国の協力で原子炉を建設するとの報道もあります。日本は中東地域で核エネルギー分野における協力を推進する計画はあるのか,また大臣は今回の訪問でそれを議論するお考えなのでしょうか。

【河野外務大臣】
(以下は英語にて発言)

 核問題に特化してサウジアラビアの外相,もしくは要人と議論することはないと思います。しかし,エネルギーは二国間関係において重要なトピックですので,一般的な意味でエネルギーはアジェンダになるのではないかと考えています。