2019年4月24日

石油・化学プラントでは、法令に基づき危険区域の設定が求められており、その区域内では通常の電子機器やセンサー等は使用できません。今回、経済産業省は、最新の海外規格を用いて、危険区域の精緻な設定方法を「ガイドライン」として取りまとめました。これにより、法令が定める保安レベルを低下させることなく、プラント内での電子機器等の活用範囲が拡大するため、データ分析を通じた事故の予兆把握など保安力の更なる向上が期待されます。

電子機器等の使用可能エリア拡大の考え方

1.背景

石油・化学プラントにおいては、生産性の向上や安全・安定的な操業の維持が求められる中、プラント設備の高経年化やベテラン従業員の引退などによる保安力の低下が大きな課題となっています。こうした課題を解決するため、電子機器やセンサー等を活用し、プラントの安全性の向上や保安業務の合理化等による生産性の向上を図ることが重要です。

一方、プラント事業者は、法令に基づき危険区域を設定する必要がありますが、実態上、プラント内全体を危険区域として設定しています。このため、これまでは通常の電子機器等をプラント内で効果的に使用することができませんでした。

2.ガイドライン

上記を踏まえ、経済産業省は、有識者等から構成される委員会を開催し(座長は新井充東京大学教授、オブザーバーとして厚生労働省や消防庁等も参画)、最新のIEC規格*に基づき危険区域を精緻に設定する方法を、「ガイドライン」として取りまとめました。また、実際にガイドラインに沿って危険区域を設定する際の参考例として、プラント事業者の協力のもと「自主行動計画」を策定しました。(*国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission:IEC)が制定する国際規格)

これにより、法令が定める保安レベルを低下させることなく、危険区域の精緻な設定が可能となり、プラント内での電子機器等の活用範囲が拡大し、データ分析を通じた事故の予兆把握など保安力の更なる向上が期待されます。

3.関連資料

【概要版】「プラント内における非防爆機器の安全な使用方法に関する調査」PDFファイル

【詳細版】「プラント内における非防爆機器の安全な使用方法に関する調査」PDFファイル
※上記調査における有識者委員会のメンバーは、以下ガイドラインの末尾を参照。

プラント内における危険区域の精緻な設定方法に関するガイドラインPDFファイル

自主行動計画(A)PDFファイル

自主行動計画(B)PDFファイル

担当

産業保安グループ 高圧ガス保安室長 伊藤(浩)
担当者:小林、近藤、宮川
電話:03-3501-1511(内線 4951~4)
03-3501-1706(直通)
03-3501-2357(FAX)