平成31年4月16日(火)

 今朝の閣議において,刑事訴訟法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令が閣議決定されました。これは,平成28年に成立した刑事訴訟法等の一部を改正する法律についてのものですが,この法律は,捜査・公判が取調べ及び供述調書に過度に依存している状況を改め,刑事手続を時代に即したより適正で機能的なものとし,国民からの信頼を確保するため,刑事手続における証拠の収集方法の適正化・多様化及び公判審理の充実化を図るものです。
 この政令は,その施行期日を本年6月1日と定めるものです。
 同日から,取調べの録音・録画制度,そして通信傍受の手続の合理化・効率化に関する規定が施行され,これによって,改正法は全て施行されることになります。
 法務省としては,新たに施行となる制度が適切に運用されるよう,引き続き施行準備に努めてまいりたいと考えています。

新たな外国人材受入れに関する質疑について

【記者】
 労働力不足に対応する在留資格「特定技能」の技能を測る試験が先日の土日にかけて初めて,国外では介護,国内では宿泊業の分野で行われました。ですが対象分野のうち,技能実習生からの移行が可能な業種では,大半で日程すら固まっておらず,二国間協定が未締結のために試験がまだ実施できていない国もあるようです。こうした状況について,制度全体を所管する法務省としてどう受け止めていますか。

【大臣】
 在留資格「特定技能」における技能試験については,4月13日及び14日に,フィリピンにおいて介護分野の技能試験を実施し,14日,日本国内において,宿泊分野の技能試験を実施しました。
 また,日本語試験についても,フィリピンにおいて,4月13日及び14日に実施したものと承知しています。
 今後の試験実施予定についてですが,外食業分野の技能試験については,4月25日に国内2箇所(東京・大阪)で実施予定です。
 他の分野の技能試験についても,年度内に,準備が整い次第,速やかに実施される予定であると承知しています。
 先ほど,「二国間協定が未締結のために試験がまだ実施できない国もある」との御指摘がありましたが,協力覚書の作成は試験や特定技能外国人の受入れを適正かつ円滑に行うための環境整備の一つとして重要であることから,その作成に取り組んでいるところであり,本日までに4か国との間で署名交換を行うに至っています。
 4か国というのは,フィリピン,カンボジア,ネパール及びミャンマーです。
 なお,ベトナム及びモンゴルとの間では,内容についての実質合意に至っています。特にモンゴルについては,近日中に署名するという段取りができています。
 法務省としては,引き続き,その他の国についても,できる限り早く協力覚書を作成することができるよう,関係省庁とともに取り組んでまいります。また,各分野所管省庁と緊密に連携し,速やかな試験の実施に向けて準備を進めてまいりたいと考えています。

刑事司法制度に関する質疑について

【記者】
 先ほど冒頭で御発言がありました,本日施行日政令が閣議決定されたことにより平成28年に成立した刑事訴訟法の改正が全面施行ということになりましたが,この点を受けて改めて御所感をお願いします。

【大臣】
 刑事訴訟法の改正は,捜査公判が取調べ及び供述調書に過度に依存している状況を改め,刑事手続を時代に即したより適正で機能的なものとするために,大きな意義を有するものと考えています。私自身も検事の経験もあり,今回の改正の意義については,新しい時代の刑事手続として大きな意義を有するものと感じています。
 改正法に盛り込まれた各制度については,着実な運用が必要であると思いますし,こうした運用を積み重ねて我が国の実務に定着していくということがまずは重要であると考えています。
 警察その他の捜査機関がこの改正法について,その趣旨等を踏まえ適切に対処していくものと承知しており,法務省としても適切な運用がされるよう引き続き尽力してまいりたいと思います。

(以上)