2019年4月16日

特許庁は、ユーザーの声を品質管理施策に反映させるため、毎年度、審査の質についてのユーザーの評価を調査し、その分析結果を公表しています。

平成30年度調査の結果、特許審査の質全般に対する肯定的な評価は62.2%(前年比3.9%増)、国際特許(PCT)出願の国際調査等の質全般に対する肯定的な評価は57.8%(前年度比3.6%増)でした。

意匠審査の質全般に対する肯定的な評価は59.5%(前年度比1.5%増)、ハーグ協定ジュネーブ改正協定に基づく国際意匠登録出願に対する審査の質全般に対する肯定的な評価は48.2%(前年度比18.8%増)でした。

商標審査の質全般に対する肯定的な評価は47.7%(前年度比0.6%減)でした。

1.本調査の背景

国際的に信頼される質の高い審査は、企業の円滑な事業展開を支援し、イノベーションの促進や健全な取引維持を図る上で重要です。特許庁は、審査の質の現状や、審査に対するユーザーの声を把握し、今後の品質管理施策に反映させるため、特許・意匠・商標の審査の質についてのユーザーの評価を調査し、分析しています。

2.調査手法

平成29年度の審査の質全般と、特定の出願の審査の質(特許・商標はサンプル抽出、意匠は回答者自身が選択)における複数の項目について、それぞれ5段階で回答をいただきました。調査は平成30年5月~6月に実施し、回答率は約9割でした。調査対象は下記のとおりです。

(特許)731者のユーザー、2,652件の出願
(意匠)348者のユーザー、225件の出願
(商標)420者のユーザー、420件の出願

3.調査結果の概要

(1)特許

  • 国内出願の審査の質全般に対する肯定的な評価(5段階評価の4以上)は62.2%(前年度比3.9%増)。(図1参照)

  • 国際特許(PCT)出願の国際調査等の質全般に対する肯定的な評価は57.8%(前年度比3.6%増)。

  • 国内出願の審査の質全般に関する個別項目の「面接、電話等における審査官とのコミュニケーション」の肯定的な評価は、実施庁目標(※)の60%を達成。

  • 国内出願の審査の質全般及び国際特許(PCT)出願の国際調査等の質全般に関する個別項目の「判断の均質性」について、肯定的な評価は平成29年度調査時より増加しているものの、分析の結果、今後も優先的に改善していくことが必要。


図1.国内特許出願の特許審査の質全般の評価

(2)意匠

  • 意匠審査の質全般に対する肯定的な評価(5段階評価の4以上)は59.5%(前年度比1.5%増)。(図2参照)

  • ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく国際意匠登録出願に対する審査の質全般に対する肯定的な評価は48.2%(前年比18.8%増)。

  • 意匠審査の質全般に関する個別項目の「面接、電話等における審査官とのコミュニケーション」の肯定的な評価は、実施庁目標(※)の60%を達成。

  • 意匠審査の質全般に関する個別項目の「判断の均質性」について、肯定的な評価は平成29年度調査時より増加しているものの、分析の結果、今後も優先的に改善していくことが必要。


図2.意匠審査の質全般の評価

(3)商標

  • 商標審査の質全般に対する肯定的な評価(5段階評価の4以上)は47.7%(前年比0.6%減)。一方で、満足(5段階中の5)という評価は8.0%(前年比2.4%増)。(図3参照)

  • 商標審査の質全般に関する個別項目の「審査官とのコミュニケーション(電話・面接対応)」の肯定的な評価は、実施庁目標(※)の60%を概ね達成。

  • 商標審査の質全般に関する個別項目の「識別性の判断」は、分析の結果優先して取り組む必要があり、平成31年1月に審査基準を改定し、改善に向けて対応。

  • 商標審査の質全般に関する個別項目の「基準・便覧との均質性」、「審査官間の均質性」、「審判決との均質性」について、肯定的な評価は平成29年度調査時より増加しているものの、分析の結果、今後も優先的に改善していくことが必要。


図3.商標審査の質全般の評価

(※)平成29年度に特許庁が達成すべき目標の1つとして「コミュニケーションに関するユーザーの評価について、上位評価割合を60%以上とする。」が設定されています。

参考:「平成29年度において特許庁が達成すべき目標に対する実績評価について」

4.詳細な調査結果

報告書全体は、下記URLから参照できます。

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担当

特許庁 審査第一部 調整課 品質管理室長 石原
担当者:南川
電話:03-3581-1101(内線3121)
03-6810-7459(直通)
03-3595-4553(FAX)