1.  本12日,午前8時50分頃から約15分間,河野太郎外務大臣は李洙勲(イ・スフン)駐日韓国大使の来訪を受けたところ,概要は以下のとおりです。

     河野大臣から,韓国による日本産水産物等輸入規制に関し,日本産食品は科学的に安全であり,韓国の安全基準を十分クリアするものとしたパネルの事実認定が,WTO上級委員会でも維持されたことは喜ばしい,他方,パネルの判断が一部取り消され,韓国が是正措置をとらなかった場合に日本が対抗措置をとることができなくなったことは誠に残念であり,今後は韓国との2国間協議を通じ,輸入禁止の撤廃を働きかけていきたい旨伝えました。

    【参考】本件の経緯と概要
    (1)2011年3月の東京電力(株式会社)福島第一原子力発電所における事故後,韓国は日本産水産物等への輸入規制を順次導入。更に2013年9月に輸入規制を強化した((1)8県産水産物(注)全面輸入禁止及び(2)追加的な放射性核種検査要求の対象を水産物を含む全ての日本産食品に拡大)。
     (注)8県:青森,岩手,宮城,福島,茨城,栃木,群馬,千葉

    (2)こうした措置がWTO協定上の義務に違反しているおそれがあるため,2015年5月,我が国は韓国に対してWTO紛争解決手続に基づく協議を要請し,同年6月に協議を実施した。同年8月,我が国は,WTOにパネル設置要請を行い,翌9月パネルが設置された

    (3)2018年2月,パネルは,韓国による日本産水産物等の輸入規制措置は「衛生植物検疫措置の適用に関する協定」(SPS協定)に非整合的であると判断し,韓国に対して措置を同協定に適合させるよう勧告する報告書を公表した

    (4)WTO紛争解決制度においては,紛争当事国はパネル報告書について上級委員会に申立てをすることができる(いわゆる二審制)。2018年4月,韓国はパネルの判断を不服として上級委員会へ申立てを行った。

    (5)今般発出された上級委員会報告書は,パネルの判断(上記3)の一部を取り消した。

    (6)上級委員会報告書は,WTO紛争解決了解の規定により,加盟国への送付の後30日以内に開催されるWTO紛争解決機関(DSB)の会合において採択され,紛争当事国は,これを無条件で受諾することとなる(上級委員会報告書に関する更なる申立てはできない)。