平成31年3月29日(金)

 今朝は閣議前に,「統合イノベーション戦略推進会議」及び「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」に出席しました。
 また,本日の閣議においては,主意書に対する答弁書が1件ありました。
 私からは2件報告があります。まず1点目は,「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」において,特定技能制度の施行準備状況や総合的対応策に盛り込まれた各施策の進捗状況について,私から御報告したほか,関係大臣からも御報告がありました。
 法務省としては,引き続き関係省庁と緊密に連絡し,特定技能制度が円滑に運用されるよう努めてまいるとともに,我が国で生活される外国人の皆様との共生社会の実現に向けた環境整備の推進に全力を尽くしてまいります。
 次に,「技能実習制度の運用に関するプロジェクトチーム」では,門山法務大臣政務官の指揮の下で,技能実習生の失踪・死亡事案等についての調査・検討を行ってまいりましたが,その結果が取りまとめられたので,本日公表します。
 失踪事案については,平成29年1月から平成30年9月までの聴取票に係る失踪技能実習生について,実習実施機関を対象とする調査を行い,調査の結果最低賃金違反などの労働関係法令違反の疑いが認められたものは,全て,労働基準監督機関に通報しました。
 死亡事案については,平成24年から平成29年までの合計171件を調査しました。各事案について,警察や労働基準監督機関等の関係機関が対応していることが認められました。
 ただ,今回の調査により,監理団体からの報告漏れや入管当局の確認不十分などにより,従来法務省が作成していた死亡事案一覧の資料に記載されていなかった事案が43件確認されました。
 この点は大変遺憾に思っており,今後は,定期的な確認作業等により,技能実習生の死亡事案の把握を徹底することとしたいと思います。
 このほか,取りまとめ結果によれば,平成29年に施行された技能実習法による適正化策が全体として一定の機能を果たしていることが確認された一方,従来の運用について,失踪事案への初動対応が不十分であるなどの問題も認められました。
 そこで,私は,取りまとめ結果を真摯に受け止め,今後の運用を改善するため,失踪事案等に対する初動対応を強化すること,取りまとめ結果で示された新たな様式の聴取票を適切に活用すること,技能実習生に対する支援の充実や,在留カード番号を活用した不法就労等の摘発強化について,関係機関と連携しながら着実に実施することについて指示したほか,特定技能制度の省令を参考に,技能実習制度でも,失踪に帰責性がある実習実施者は技能実習生の新規受入れを一定期間停止する措置や,口座振込み等による報酬支払を求める措置を導入することに向け,省令等の改正を迅速に検討することを指示しました。
 なお,この調査・検討結果を取りまとめたことについても,本日の関係閣僚会議において,御報告しました。
 今回の取りまとめ結果をも踏まえ,4月1日に発足する出入国在留管理庁の下,引き続き,制度の適正な運用に努めてまいりたいと思います。
 2点目は,成年年齢引下げ動画コンテストの表彰式についてお知らせします。
 既に御案内のとおり,成年年齢の引下げの周知活動の一環として,動画コンテストを実施しましたが,本日午後1時10分からその表彰式を法務大臣室で行います。
 法務大臣賞など各賞の受賞作品の発表は,表彰式の場で行いますが,高校生を始めとする若い皆さんの創意工夫あふれる作品が多く集まり,私としても大変嬉しく思っています。
 引き続き,若年者の皆さんに成年年齢の引下げの意義や内容を理解していただけるよう,参加型の周知活動をおりまぜるなどして,積極的な広報に努めてまいります。

外国人材の受入れ拡大に関する質疑について

【記者】
 週明けの4月1日,いよいよ外国人材の受入れを拡大する新制度がスタートします。最終的な準備状況と,制度開始を控えての大臣の所感をお教えください。
 
【大臣】
 まず,特定技能制度については,関連の政省令を今月15日に公布しました。そして,新しい制度を広く活用していただく上で,利用者の皆様に制度の内容を御理解いただくために,今月20日に,制度を解説した運用要領をホームページ上に掲載しているところです。
 また,広報活動として,全国47都道府県において説明会を実施しました。また,分野所管省庁においても,説明会を実施していると承知しております。また,法務省ホームページの特設サイトにおいて,これまでの地方説明会等で寄せられた疑問等を参考にして,できるだけ分かりやすいQ&Aを作成・公表するなど,利用者目線での説明に努めているところです。
 日本語試験の準備状況ですが,「特定技能」として受け入れるための試験についても,各分野所管省庁で着々と準備が進められていると承知しており,中でも制度開始当初は技能実習からの移行が見込まれない介護分野,宿泊分野及び外食分野については,4月に技能試験を実施予定です。また,国際交流基金日本語基礎テストも4月に実施予定と承知しており,その他の分野でも,2019年度中に技能試験を実施予定と承知しています。
 また,特定技能に関する二国間協定については,昨日までに4か国,フィリピン,カンボジア,ネパール,ミャンマーが署名済みで,その他2か国が実質合意に至っており,署名の準備を整えております。日本語試験を予定している9か国との署名交換を目指すということでしたが,残りの3か国についても精力的に交渉を行っているところですので,そうした二国間協定の取決めも進めてまいりたいと思っています。
 そして,外国人との共生の面においては,「総合的対応策」に盛り込まれた施策の進捗状況について,本日の関係閣僚会議において関係省庁から報告されました。
 このうち,地方公共団体におけるワンストップセンター,一元的窓口の整備を支援する外国人受入環境整備交付金につきましては,現段階で,整備費の申請団体が37団体,運営費の申請件数が62団体ということですが,4月以降に予算措置をして窓口の整備をしたいとする多数の地方公共団体の事情にも配慮して,この交付金の整備費及び運営費について,4月1日から第2次募集を実施する予定です。また,我が国で暮らされる外国人の方に生活就労ガイドブックを作成して,4月1日にホームページにおいて日本語と英文で読めるようにします。ゴミの出し方まで書いてあるもので,多言語化も随時関係大使館などとも協議しながら進めているところです。こうした形でしっかりと,共生社会の実現に向けた取組を進めてまいりたいと思います。
 4月1日から始まりますが,新制度の内容をより一層分かりやすく丁寧に説明するなど,利用者の方々が十分な理解を得られるよう,新設される出入国在留管理庁を中心に,引き続き全力を尽くしてまいりたいと考えています。

技能実習制度の運用に関するプロジェクトチームに関する質疑について

【記者】
   「技能実習制度の運用に関するプロジェクトチーム」の報告の内容について,専門家や弁護士の中から,国会でのこれまでの議論がなかったら明るみにならなかったのではないか,見えてこなかったのではないかや,監理自体がこれまでずさんだったのではないか,という指摘も出始めているのですが,この点についての御所感がありましたらお願いします。

【大臣】
 まず,国会での御議論は非常に有益なものであったと考えています。もとより法務省としては,技能実習法が平成29年11月に施行され,その適正な運用に努めていたところですが,今回,改めて弁護士でもあります門山大臣政務官をヘッドに,プロジェクトチームを設けて,調査・検討結果を発表する機会を持てたことは,制度の更なる適正な運用にとって非常に有益であったと思います。そうした中で得られた知見,あるいは運用の中で改善策等について提言が得られましたので,所管省庁でもある厚生労働省ともしっかりと連携を強化し,実施してまいりたいと考えています。
 

(以上)