冒頭発言

(1)日本NGO連携無償資金協力(一般管理費の引き上げ)

【河野外務大臣】昨年11月の「ODAに関する有識者懇談会」の提言を踏まえて,今年度の外務省予算の中で,日本の国際的なNGOに対する資金協力の中の一般管理費の割合を,今の5%から最大15%まで引き上げようという予算折衝をやってきておりましたが,財政当局との協議も整いましたので,最大15%まで引き上げる,全部そうするわけではありません。こうした措置をとることによって,NGOの組織的な基盤というものが強化されることを期待しております。
 その結果,NGOが中長期的には,自前の資金源を拡大することによって,日本政府からの資金の投入が中長期的には今より低下をしていく,それはNGOの基盤が拡大することによって,さらに自前の資金を増やすことができる,そういうことを期待しておりますし,さらにNGOが国内外で活発に活動することができるようになる,認知度も高まってくるということを期待したいと思っています。

(2)対北朝鮮措置(入港禁止措置及び輸出入禁止措置)の延長

【河野外務大臣】我が国として北朝鮮をめぐる諸般の情勢を総合的に勘案し,安保理決議の履行を担保するという観点から,対北朝鮮措置として実施してきた入港禁止措置及び輸出入禁止措置の期限を2年間延長することといたしました。国際社会が一致して安保理決議をきちんと履行をするということが,今後,核・ミサイルといった様々な懸案の包括的な解決につながっていくということを考え,しっかりと国際社会の中で協力してまいりたいと思っています。

対北朝鮮措置(入港禁止措置及び輸出入禁止措置)の延長

【共同通信 原記者】今お話がございました北朝鮮の制裁の件についてお伺いします。政府はこれまで北朝鮮に対して,国連安保理決議に基づく制裁の他,独自制裁を続けてきました。この一連の制裁圧力を通じて,これまでにどのような効果が得られたか,またどのような効果を見込んでいるのか,大臣のご認識をお願いします。
 一方で,政府は今年,北朝鮮の人権状況に改善が見られないにもかかわらず,北朝鮮人権状況決議のEUとの共同提訴を見送る判断をしていますが,この対応の差をどう考えているのかお願いします。

【河野外務大臣】人権決議については,総合的な判断ということを記者会見でも申し上げました。国際社会の一員として安保理決議をしっかりと履行していくことが,この北朝鮮情勢の解決に向けて非常に重要だと考えておりますので,そこはしっかりと今後も対応してまいりたいと思います。

日本NGO連携無償資金協力(一般管理費の引き上げ)

【朝日新聞 清宮記者】冒頭のNGOとODAの関係でお伺いしたいのですが,一律引き上げるわけではないということでしたが,外交演説でもODAの効果を明確に示していくということもおっしゃっていましたが,どうやって質などを判断していくのでしょうか。もう1点,資金援助と別に,大臣が以前から言われているように,NGOもODAの担い手としていくために,参加を募る仕組みなど具体的に検討されている状況を教えてください。

【河野外務大臣】今の5%の一般管理費では事業をやることに赤字になってしまうというご指摘もいただいていますので,少なくともそういうことがないようにしていきたいと思っております。また様々,条件をクリアしたNGOについては,最大15%まで一般管理費を取れるということにして,基盤の強化にそこは使っていただきたいと思っております。
 今まで,様々なものを自動的にJICAがやるということになっていましたが,今後はJICAがやるかNGOがやるか,そこを含めしっかり見ていきたいと思っております。どうしてもJICAがコスト高ということもございましたので,そういうことがないように,今後きちんと必要なところは競争してもらいたいと思っております。

ロシア国防省による北方領土への無人偵察機の配備

【NHK 奥住記者】ロシア軍が北方領土に新型の無人機を配備したという報道があります。日本が把握している事実関係と抗議の有無について教えてください。またロシア外務省が先日,日本政府からの電話による抗議は受け付けないという方針を示していますけれども,抗議の方法についても何か検討していることがもしあれば,併せてお願いいたします。

【河野外務大臣】詳しい状況については事務方に後でお尋ねをいただきたいと思いますが,こうした問題を解決するためにも,北方領土の帰属の問題を解決し,平和条約を締結することが大事だと思います。しっかりと今後も日露の交渉を続けてまいりたいと思います。

日露「2+2」の開催

【今日のロシア ザハルチェンコ記者】ロシアとの「2+2」,次回の外務・防衛閣僚会合を開催する予定に関して,何か決まったことがあるかどうか聞きたいと思います。また,「2+2」会談を続ける意義について大臣のお考えを教えていただけますか。

【河野外務大臣】「2+2」開催をしようということは合意をしておりますが,まだ詳細については何も決まっておりません。「2+2」,日露間でやるということは日露の信頼醸成に非常に役に立つわけですし,日本とロシアが様々,外交当局,防衛当局を交え議論することで,この地域情勢に関しての意見交換も進めることができると期待しているところでございます。

対北朝鮮措置(入港禁止措置及び輸出入禁止措置)の延長

【朝日新聞 鬼原記者】冒頭の質問にもありましたけれども,北朝鮮について伺います。質問,まだちょっと答えられてなかったような気がしたんで,若干かぶるんですけれども,制裁を延長することによってその重要性は理解しますが,何年も続けてきて,なかなか制裁が効いていないんじゃないかという議論はいつも同時にあると,その点について,今回の延長の判断も含めて,北朝鮮への制裁というのがどういう効果を得られると期待されているのかということと,あと,人権理事会の話,やはりちぐはぐに映ると,この人権理事会の対応と今回の制裁の延長というもののちぐはぐさというのは,日本政府としてどういう狙いがあるのかということ,この2点お願いします。

【河野外務大臣】先ほど申し上げたとおり,人権理事会での対応は情勢を総合的に勘案した結果,決めたことでございます。
 制裁が効いてないという議論はおそらく国際的にはないと思います。制裁がしっかりと効いているという議論,それから,だからこそ瀬取りあるいは北朝鮮労働者の帰国,そしてサイバーによる仮想通貨の奪取,こういったことをきちんと対応しなければいけないということが,先般のG7の外相会合でもありましたので,制裁が効いてないという議論は,私(大臣)は聞いたことがございません。

米国政府によるイラン革命ガードの外国テロ組織指定,アルジェリア・リビア情勢

【毎日新聞 秋山記者】中東に関していくつかお聞きしたいんですけれども,一つは,アメリカ政府がイランの革命防衛隊をテロ組織に指定するということを発表しましたけれども,不必要に緊張を高めているのではないかという指摘もあると思いますが,大臣の受け止めをお願いします。あとですね,北アフリカで,アルジェリアで大統領がお辞めになるというようなことになっていますけれども,隣国のリビアとかスーダンでも非常に戦闘が激しくなったり,反体制デモが激化していますけれども,この一連の事象について,大臣はどのようにご覧になっていましたでしょうか。

【河野外務大臣】イランの革命ガードについては,これまでも,アメリカが制裁の対象にはしてきたと認識をしておりますが,こうした組織をテロ支援と結びつけたのは,今回大きな特徴なのかなと思います。日本として,そうした動きに追随するつもりはございません。イランがミサイルあるいは地域における様々な活動について,しっかりと自制をしてもらうということが,この地域の安定に必要なことだと思いますので,我々としても少しイランと意見交換をしていきたいと思っております。
 また,アルジェリアの大統領が任期半ばで辞任されるということでございますが,これはアルジェリアの国民の皆さんの民主的なプロセスによって,新しい大統領が選ばれることが大切だと思っております。ただ,それと今のリビア云々の動きとの関連ではないというふうには認識をしておりますが,リビアは少し今までの東と西で対立があったところから,少し軍事的な動きになってきたというところは注意して見ておかなければいけないと思っております。国連のリーダーシップにしっかりと期待をしていきたいと思っております。

インフラ整備に関する資金協力

【読売新聞 梁田記者】モルディブの総選挙の関係なんですけれども,現職の与党が大勝したということで,背景として,一つ前政権が進めてきた中国に依存しているというか,中国がかなり投資をすることによって債務の負担が過重になったことが,国民の反発を招いたという指摘があります。それに関して,大臣はどのようにご覧なっているでしょうか。また,インド太平洋という地域全体を見た時に,日本だけでなくアメリカですとか,今回,ヨーロッパの方も,英独仏などかなり関心が高まっているんだと思うですけれども,そういった国々とはどのような協力が今後,必要だと思われているでしょうか。

【河野外務大臣】モルディブを含め,発展途上国のインフラ整備に関する資金ニーズがあるということは,我々もよく理解をしておりますが,やはり,このインフラプロジェクトは質の高いプロジェクトである必要があるということを,我々常々申しあげてまいりました。透明性であったりライフサイクルを通じた経済性であったり,そして,何よりも受け手側の債務が健全であるかどうかというのは,これは大事なことだと思います。日本が提唱してきた自由で開かれたインド太平洋構想の中でも,この質の高いインフラというのは常々指摘をしてきたところでございます。インフラに関して,途上国の中でも,質の高さというところがしっかりと認識され議論されるようになるのは喜ばしいことだと思っております。
 他方,日本,アメリカを始めとしている国々としては,このインフラに対する資金ニーズにどのように応えることができるかということを,やはり検討していかなければならないと考えておりますので,質の高いインフラと主張するだけではなく,それを実現させる資金の状況についても様々の場で意見交換をし,やれることはしっかりやりたいと思っておリます。

米国政府によるイラン革命ガードの外国テロ組織指定

【共同通信 福田記者】イランの革命ガードをテロ支援と結びつけた今回の米国の対応に追随するつもりはないと今おっしゃいましたが,やはり,追随するつもりはないというのは,米側の対応が行き過ぎだというご判断なんでしょうか。

【河野外務大臣】日本として,イランとはこれまでも伝統的に関係を維持してきているところでございますので,イランに対して言うべきことはきちんと言っていかなければならないと思っておりますが,核・ミサイルの観点から見ても,北朝鮮とイランというのは明確に体制から何から違うわけでありますから,もう少し,日本としてはイランとの意見交換,協議といったものを通じて,しっかりとこの問題の解決に資するように努力をしていきたいと思っております。