(H31.4.2(火)9:32 ~ 9:47 省内会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
私の方から申し上げたいと思います。世界自閉症啓発デーについてであります。本日4月2日は、全世界の人々に自閉症への理解を深めていただくために、国連が定めた「世界自閉症啓発デー」です。日本においては、本日から8日までの1週間を「発達障害啓発週間」としています。国連の呼びかけにより、世界各地のランドマークが「癒やし」や「希望」を表す青色にライトアップされ、日本でも全国170か所でライトアップされる等、各地で啓発イベントが行われます。発達障害は、先天的な脳機能の障害であり、その特徴は一人ひとり様々です。発達障害の特性から、日々生きづらさを感じながら生活している方もいらっしゃいます。そのような生きづらさは、周囲が発達障害を理解することにより軽減されます。厚生労働省の主催で1810分から東京タワーで啓発イベントを行います。私も参加する予定であり、多くの方に、本イベントを発達障害を知るきっかけにしていただきたいと考えております。皆様も情報発信をお願いいたします。社会の理解が一層深まるよう、発達障害の啓発に引き続き取り組んでまいります。私からは、以上です。

質疑

記者:
昨日、新元号の令和が発表されました。平成もあと一か月で終わりますが、社会保障をとりまく構造の変化など、厚生労働行政に関して平成での課題と来月から始まる令和をどのような時代にしていきたいか大臣の抱負をお願いいたします。
大臣:
まず、私の個人的な感想を言えば、令和は、日本の国柄と悠久の歴史をよく表している元号だと思います。新しい時代の息吹を感じます。身の引き締まる思いとともに、さわやかな気持ちであります。次に、平成30年余りの間に高齢化率は12%から28%となり、急速に少子高齢化が進展いたしました。年金・医療・介護の給付と負担のバランスを図り、また、少子化対策を社会全体の課題と位置づけ取り組むなどしてきた結果、社会保障制度は国民の安心の基盤として機能していると思います。また、平成は、女性の社会進出が進み、働き方も多様化するなど、社会の意識も大きく変化しました。労働分野でも、その変化に対応した制度の構築に取り組んできました。昨年には、多様な働き方を選択できる社会を実現するために労働制度の抜本改革を行う「働き方改革関連法」が成立し、まさに、昨日、4月1日から、時間外労働の上限規制をはじめとする関連規定が施行されたところであります。令和の時代では、高齢化が引き続き進展する一方で、現役世代の人口減少へと局面が変わっていきます。また、働くことに対する意識の多様化は一層進んでいくと思います。このような新たな時代の変化に対応するべく取り組んでいきたいと思います。令和の時代における取組みで、いくつか私の関心を申し上げると、まず、社会保障の枠内で考えるのではなく、農業、金融、住宅などにもウィングを拡げ、関連する政策領域との連携の中で新たな展開を図っていきたいと思います。また、ナッジの考え方など個人の行動変容を促す、民間の創意工夫を活用する、といった新たな視点も取り入れていきたいと思います。働き方改革の着実な推進とともに、高齢者雇用、障害者雇用、円滑な労働移動、兼業・副業を含めたより多様で柔軟な制度を検討していきたいと思っております。
記者:
昨年度は、統計の問題も含めて様々な不祥事といいますか問題が厚労省であったのですが、この中で最近、大臣が厚生労働省の改革に取り組むということを繰り返しおっしゃっていますが、現時点でどのような改革に取り組むご予定かお考えを教えてください。
大臣:
統計の問題があったわけですが、個人レベルで法令遵守の意識を徹底することはもとより、統計部門の組織や業務の改革だけではなく、厚生労働省全体が、国民の目線を忘れず、国民に寄り添った行政をできる体制を構築していかなければならないと思っております。統計問題の再発防止に向けては、次の3点を柱とする改革の策定に早急に取り組みたいと思います。1つ目は、統計に関する認識・リテラシーの向上。例えば、全職員に対する統計研修の実施や、他府省や民間の統計専門家などとの人事交流等が考えられます。2つ目は、統計業務の改善。統計の調査内容の正確な公開や利用者の視点に立った統計の見直し等が考えられます。3つ目は、組織の改革とガバナンスの強化。統計を外部有識者により審議する仕組みの強化や民間人材の活用、内部組織の強化等が考えられます。厚生労働省としては、猛省の上に立って、統計委員会での検証に当たって適切に説明していくとともに、私が先頭に立って、速やかに再発防止策を作り上げ、しっかりとした組織のガバナンスを確立するなど、国民の皆様の信頼回復に努めていきたいと考えています。
記者:
先週内閣府からひきこもりに対する調査結果が発表されました。その結果を踏まえますと若い世代の調査も含めると合算すると100万人を超えるのではないかとも言われております。これまでその中高年のひきこもりの方に対する対策という施策がちょっと薄かったという指摘もありますが、厚労省として今後どのように取り組まれていくお考えでしょうか。
大臣:
40歳以上のひきこもりについては、厳しい就職環境の下、未就職や不本意な職業選択を余儀なくされた「就職氷河期世代」が含まれるほか、近年、支援の現場でも、80歳代の高齢者の親とひきこもり状態の50代の単身・無職の子が同居している「8050」問題が指摘されるなど、新たな社会問題として認識されていたところであります。今回の調査結果では、ひきこもりの高齢化や、その期間も長期に及んでいることが伺えるなど、支援現場からの指摘が具体的な数字として明らかになったものと認識しております。ご本人の状態に応じたきめ細かい支援を実施し、多様な社会参加・就労を通じて社会とのつながりを回復していくことが重要だと思います。厚生労働省では、これまで、40歳以上の方も含め、ひきこもり状態にある方が社会とのつながりを回復していくことを支援する観点から、都道府県・指定都市に設置された「ひきこもり地域支援センター」での相談支援のほか、生活困窮者自立支援制度による包括的な支援や、直ちに就労が困難な方への就労に向けた支援等を行ってきたところであります。今回の調査結果も踏まえ、40歳以上の人も含め、ひきこもり状態にある方やひきこもり状態にあった方の多様な社会参加・就労に向けた支援をさらに充実させるため、生活困窮者自立支援制度の「就労準備支援事業」における訪問支援、アウトリーチ等による早期からの個別支援の重点的実施や、地域若者サポートステーションとのワンストップ型支援の新たなモデル事業の実施、「ひきこもり地域支援センター」のバックアップ機能の充実など相互の連携の強化、そして市町村によるひきこもりの早期発見や支援につなげるための居場所や相談窓口の拠点づくりの推進などの取組を行うこととしています。さらに、ひきこもり状態にある方や生活困窮の状態にある方、複合的な課題を有する世帯も含め、様々な生きづらさを抱えていても、一人ひとりが尊重され、その本人にあった形での社会参加が可能となる社会を実現していくことが重要だと思います。このため、改正社会福祉法に基づき、各市町村における地域住民相互の支え合いの体制づくりや、関係機関の連携による包括的な支援体制の整備を推進しており、「8050」世帯も含めて対応していくこととしております。厚生労働省としては、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現を目指し、私を本部長とする「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」を立ち上げています。そのテーマの一つである多様な就労・社会参加においても、就職氷河期世代対策や、地域共生社会の実現に向けた検討を行っているところであり、ひきこもり状態にある方への支援についても、これらの検討の中でしっかりと取り組んでいきたいと思います。
記者:
先ほど統計の関連の改革に取り組むということで3点柱をご発言いただきましたけれども、いつぐらいから実施していきたいと考えていらっしゃるかそのあたりの考えを教えてください。
大臣:
できるだけ速やかにこの統計改革をはじめとする厚生労働省の改革のための体制を立ち上げたいと思います。その中で具体的な検討をしていきたいと思います。
記者:
同じ件ですけれども、先ほど全職員を対象とした研修というようなことをおっしゃいましたけれども、具体的にどういうものなのか、例えばそれにはe-ラーニングみたいなものを含むのかそれともきちんと講師を招いての研修というものをお考えなのかお願いします。
大臣:
それはこれからですね。要は統計に対する認識、リテラシーの向上が必要で、やはり統計研修の実施、これをやっていきたいと。ただそれを具体的にどういう形でやるかはそこを詰めていきたいと思います。

(了)