冒頭発言

(1)河野大臣のフランス訪問

【河野外務大臣】5日及び6日,G7の外相会合に出席するため,フランスのディナールを訪問いたします。民主主義や女性といったテーマのほか,北朝鮮や中東,アフリカ,テロ・暴力的過激主義といった国際社会が直面する喫緊の課題や地域情勢について,忌憚のない意見交換を行ってまいりたい,また,国際秩序の牽引役としてのG7の連携を確認したいと思っております。
 今年は我が国にとりまして,G20サミットやTICAD7が開催されるところ,この議論に積極的に参加し,G7外相会合の成功に貢献するとともに,この成功をG20大阪サミット,TICAD7につなげてまいりたいと思っております。

(2)MFOへの自衛官派遣

【河野外務大臣】今日の閣議におきまして,シナイ半島に駐留するMFO(多国籍部隊・監視団)に司令部要員として2名の自衛官を派遣することとなりました。外務省としても派遣に全面的に協力していく考えでございます。今次派遣は中東の平和と安定への更なる貢献となるとともに,国際平和協力分野への貢献に対する国際社会の評価を高めるものとなると考えております。

(3)TICAD7官民円卓会議(民間による安倍総理大臣への提言書の手交)

【河野外務大臣】「TICAD7官民円卓会議」の民間共同議長の方々から,安倍総理大臣に「民間からの提言書」が提出されました。この提言書は,昨年3月に私も共同議長を務める形で発足したTICAD7官民円卓会議の下で,8月末に開催するTICAD7に向けて,アフリカでのビジネスに携わる民間企業の方々の議論をベースに作成されたものでございます。日本の民間企業がアフリカに進出する上での課題,問題意識,あるいは提案等が,率直かつ具体的に盛り込まれております。TICAD7に向けて政府としては,今回の提言書の提出を契機に,日本とアフリカのビジネス関係が新たな次元に飛躍できるよう,オールジャパンとして努力していきたいと考えております。

外務省の文書における年号表記

【NHK 奥住記者】外務省が省内で作成する文書の表記を,西暦に統一する検討に入ったという報道が一部ありました。その事実関係と,事実であれば狙いを教えてください。

【河野外務大臣】外務省が作成する文書の中で,例えば閣議関連の文書ですとか,会計関連の文書は,これは和暦でやることになっております。これは引き続きそうなると思います。それからシステムを使って作成するものについても和暦ということに,これはなると思いますので,それはそのままになると思います。
 外務省,特に在外公館等で外国とやりとりをする,あるいは駐日各国大使館とのやりとりなど,外国とのやりとりを文書化した公電ですとか,メモですとか,その他の文書についてはこれまでも西暦ということにしてございます。その文書を作るときに,わざわざ西暦の後ろに(和暦)をつける必要はない。あるいは縦書きのときには和暦ということがありましたけれども,公電で縦書きというのはあまり見たことがありませんけれども,外国とのやりとりについてはこれまでどおり西暦でいいよ,あるいは和暦をわざわざ付ける必要はないということを,確認をするということにしたいと思っております。
 令和というのが発表された省内の各職員も,昨日は元号について頭が向いているときでしたから,西暦のものは西暦でやることにしようという議論が始まったというか,これまでのやり方を少しきちんと徹底しようという意味で,そういう話が若干役所の中で盛り上がっておりますが,特にシステムを変更するとか,和暦の提出が求められている会計文書などを西暦に直すということではありません。

【朝日新聞 清宮記者】関連なんですけれども,今回徹底するという,原則西暦にするということを省内に指示,文書などで出される予定なんでしょうか。また,自民党の萩生田幹事長代行が会見で,外務省に対して,報道を受けて,国内の行政文書については元号も大切にしていただきたいと発言されています。一方で,一般市民の中で西暦と元号の計算が難しいと,大臣も前,言われていましたが,西暦にしてほしいという声もありますが,そういった外務省以外への広がりについてはどうお考えになりますか。

【河野外務大臣】外国とのやりとりで和暦を使うということは,まず現実的に考えられないと思いますので,そういう意味で外国とのやりとりを記録した公電などは,そもそも先方と西暦を使って話をしたものを文書化するわけですから,それをわざわざ和暦にする必要はないという,今までも外務省,そういうことだったと思いますが,それを少しきちんと,徹底をしてもいいのかなと思っております。
 文書を出す,出さないというのはこれから考えようと思っておりますが,行政文書を全部を和暦から西暦にするということは閣議関連,あるいは会計文書,あるいはシステムを使っているものなど,できないものもありますので,全てのものを西暦にするというということではなくて,西暦でやりとりしたものを記録をする時に,わざわざ和暦を足したり,和暦に変換したりする必要はないよというこれまでの原則を確認するということです。
 それから,何故かそういう場合,縦書きだと和暦という話になっていましたけれども,そもそも西暦でやっていたものを横書き・縦書きにかかわらず,和暦にする必要はないよということです。特に何か大きくルール変更をするというわけではないというふうに認識をしています。

【朝日新聞 清宮記者】外務省以外にも,大臣は以前から分かりやすさで西暦に統一した方がいいということも言われていたと思うんですが,更に外務省以外に広がりは期待されていますか。

【河野外務大臣】外務省は主に,外国とのやりとりが多いわけで,その時に和暦を使うということは現実的には考えられませんので,外務省が西暦を使って諸外国とやりとりをしたものを,わざわざ和暦に置き換える,あるいは和暦を併記する必要はないということでございます。

G7外相会合

【読売新聞 梁田記者】冒頭,ご発言があったG7外相会議の関連で2点,伺いたいんですけれども,主な出席するヨーロッパの国々ですが,近年,特に3月には対中戦略がまとまったものを欧州理事会が出して,かなり中国の,特に経済面での懸念というのも強まっていると思われます。こういったものを大臣としてG7の場で共有するお考えがあるのか,また,おそらく二国間での会談もいろいろ計画なさると思うんですけれども,そういったところでも中国に関する問題意識,あるいは協力できること,そういったものを共有していきたいというお考えはおありでしょうか。

【河野外務大臣】中国を始め,様々地域情勢に関する議論もG7の外相会合あるいはディナールでのバイの会合で当然,様々な地域情勢の議論は行われると思っております。

ミャンマー情勢

【読売新聞 梁田記者】ミャンマーに関してなんですけれども,NLDの政権が発足して3年経って,内外での報道もやはり現在のアウン・サン・スー・チー国家最高顧問が率いる政権への支持が,最近落ちているというような報道も出ています。日本政府としてやはりスー・チー政権を支えなくてはいけないという方針をとってこられているわけですけれども,経済条件等も含めて,どのように支援を今後もしていきたいとお考えでしょうか。
 また,昨年のG7外相会合でもやはり,特にいわゆるロヒンギャ,ラカイン州のムスリムの問題というのがかなりスタックしたポイントだったというふうに大臣,振り返っていらっしゃいますけれども,今年もその問題に関して,どのように日本としてアウトプットしていければよいとお考えでしょうか。

【河野外務大臣】ようやく,軍政から民主化がスタートしたばかりのミャンマーですから,民主化政権というのを日本として様々な面で支えていく必要があると思っております。
 ラカイン州の問題については,恐らく欧米から見ると動きが遅いということなのかもしれませんが,我々としては,この問題はミャンマーが自らきちんと調査をし,結論を出すということがミャンマーの民主化にとって大切なことだと思っております。そういう意味で独立調査団というのが動き始めておりますから,その独立調査団の動きというものをきちんとG7でサポートしていくべきだということを,日本として申し上げていきたいというふうに思っております。

ゴラン高原

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)

 ゴラン高原について伺います。日本政府は,ゴラン高原におけるイスラエルのいわゆる主権を認めない旨立場を明確にされ,また,関連安保理決議を支持していると承知しています。この点に関し,日本政府の立場に何か変更はありますでしょうか。また同様に,米国政府は何年も前に尖閣諸島の主権については立場を示さないとしましたが,米国政府がこの問題について立場を変更し得るとお考えでしょうか。

【河野外務大臣】
(以下は英語にて発言)

 ゴラン高原に関する日本の政府の立場は非常に明確であり,菅長官が記者会見で述べたとおりであり,また,同様に私が申し上げているとおりです。何の変化もありません。尖閣諸島についても全く変化ありません。