冒頭発言

(1)平成31年度外務省予算

【河野外務大臣】平成31年度の予算が27日に成立をいたしました。外務省予算は平成30年度当初とくらべて339億円増の7306億円ということになりました。G20ですとかTICAD,あるいは即位の礼といった大きな国際会議がございますので,それに対応する予算を確保いたしました。それから外交に関係する足腰予算をしっかり確保し,足場固めというのができたのかなと思っております。またNGOの活動を支援していくための,NGOに関連する予算が確保できたということは大きなことだったのではないかと思っております。

(2)訪日外国人査証ホットラインの開設

【河野外務大臣】外務省は4月1日から,訪日外国人査証ホットライン,長いから何か略称が必要かなと思いますが,これを開設いたします。近年,査免でない国,査免の国からもあるのかもしれませんが,ビザに関する問合せが急増している中で,ビザに関する電話での相談,照会といったものをアウトソーシングで対応していきたいと思っております。このホットラインの開設によりビザ申請者に対するサービスの向上を図ると同時に,査証審査の強化をはじめ領事業務の対応をしっかりやりたいと思います。開始時においては49の国と地域で,ニーズの多い英語・ロシア語・ベトナム語,この3か国語で対応いたします。英語については365日,24時間対応を行います。ベトナム語,ロシア語については,平日の在外公館の開館時間に合わせた対応にしたいと思っております。

新元号の発表

【日経新聞 林記者】新しい元号が発表されたときに,外務省として各国にどう周知するか,考えていらっしゃることがあれば教えてください。また,10月の即位の礼で多くの元首が来日すると思うんですけれども,外務省としての対応と準備状況,懸案などがあればこちらも合わせて教えてください。

【河野外務大臣】4月1日に元号の発表は行われますけれども,実際に新天皇がご即位されるのは5月1日で,改元もそれに合わせて行われることになりますので,時間的な余裕というのはそれなりにあろうかと思います。我が国が承認をしている195か国,それから国際機関などに,在外公館それから在京の大使館などを通じてご説明をさせていただこうと思っているところでございます。
 即位の礼につきましては,まだどれだけの方がいらしてくださるか把握に努めている段階でございますので,ちょっと状況がまだなんとも言えませんが,前回よりもおそらく首脳レベルその他,増えるのではないかと思っておりますので,万事遺漏なきよう努めてまいりたいと考えております。

【NHK 奥住記者】大臣御自身も,当日,全閣僚会議ですとか,そして元号を改める政令を決定するための臨時閣議に出られると思うんですけれども,その場に立ち会うということについて,今どのようなお気持ちでいらっしゃいますでしょうか。またちょっと抽象的な質問になってしまうのですが,日本人にとっての元号はどういうものだと大臣はお考えでしょうか。

【河野外務大臣】実際に新天皇がご即位されるのは5月1日でございますので,元号が新たに発表されるわけですが,新しい御代は5月1日からスタートということになりますので,私(大臣)としては,むしろそちらのほうが感慨深いかなというふうに考えているところでございます。
 この元号は千数百年にわたり使い続けられてきたものでございますので,日本の伝統文化の中で非常に重要な位置を占めていると思いますが,2019年が元年ということになりますと,これは計算をどうするのか,いろいろこのあと西暦と元号の間の行ったり来たりというときに,間違いがないようにしっかり対応していきたいと思っております。

CCW,LAWS

【朝日新聞 清宮記者】今週のCCWの専門家会合に合わせて,日本政府として先週LAWSに関する意見,立場を発表されましたけれども,その中で「法的拘束力のある文書をまとめるのは困難だ」という認識を初めて示されたり,規制対象も完全自律型に絞るべきというのを初めて示されましたが,そのあたりの狙いと,条約作りにはかなり否定的な立場を示されていますが,また今年の夏の専門家会合で文書を,政治文書をまとめたいというお考えなのでしょうか。

【河野外務大臣】本当は先週の金曜日に,記者会見でいろいろ申し上げようと思っておりましたが,若干体調管理に落ち度がございまして失礼いたしました。
 日本として人間の,なんと言うんでしょうか,関与がない完全な自律型致死性兵器というのは開発しないということを申し上げておりますし,そうしたものが開発されるべきではないと考えているところでございます。ただ,規制に全く後ろ向きかといえばですね,そんなことは決してないのですが,現時点で定義その他,多くの国にまだまだ隔たりがあるということから,一足飛びに規制をするということについてなかなか難しいのが現状だという認識でございます。
 AIの開発の妨げになってはならないと思っておりますし,AIというものが人間を置き換えることによって,様々なヒューマンエラーを減らすことができたり,あるいは省人化・省力化ということにつながったりという,安全保障上の様々なインプリケーションもあることは事実でございます。一概に全部だめというつもりはございません。
 人間の有意な関与が必要だというのは,そのとおりでございます。ただその人間の有意な関与と言ったときに,どう関与することを求めるか,何らかの意思決定でゴーサインを出すのか,あるいは何かAIが暴走したときに,エレベーターの非常用スイッチのようにバンと押したら全部止まるというような関与の仕方というのも当然あろうかと思います。
 そうしたことを含め,国際社会というよりも人間社会がこれはしっかり議論をする必要があって,最低限のルール作りというのはやはりすべきだろうと思っているところでございますが,そこを目指す中でまだまだ様々考え方の隔たりがあるというのが現実なんだろうというふうに考えております。

女性の参画

【読売新聞 梁田記者】これも大臣,お休みになっている期間の話なんですけれども,先週末に行われた国際女性会議の中で行われた議論の提言がまとまリました。今年は日本がG20の議長国だということで,そちらの議論に反映させたいという意図を持ってまとめられたものと認識しておリます。G7であるとかG20であるとか様々な国際的な会議等の場で,やはりジェンダーとか女性の活躍というのはすごく重要な論点になってきていると思うですけれども,一方で,日本は女性の議員の比率もG20の中でも一番低いですし,まだまだやはり,女性が活躍している国となかなか見なされていないのではないかというふうに思います。そういう国として,どのように自国の状況を改善して,なおかつ国際的に発信していきたいとお考えでしょうか。

【河野外務大臣】WAW!をかなり私(大臣)も楽しみにしておりましたが,ちょっと残念な状況になってしまいまして,阿部副大臣を始め,多くの皆さんにカバーをしていただきました。日本の女性の政治進出が例えば諸外国に比べて遅れている、これは国会を見ればそうですけれども,例えば,私(大臣)の地元の大磯町なんというのは,ついこの間まで女性議員が町議会の過半数を占めておりまして,そういう期間が長く続いておりました。平塚は女性市長が活躍をされた町でもありますし,茅ヶ崎,二宮で女性の議長が誕生していたということもあります。地域によってもやはり様々な差があるのが現実だろうと思っております。
 大事なのはなるべくそういう差をなくしてですね,日本全体として女性の政治進出というのをしっかりと後押ししていく必要があろうかと思いますし,政治だけでなく,あらゆる分野で女性のロールモデルを誕生させるというのが大事なことだと思っております。
 私の地元で女性の高校生・中学生に,様々な場で活躍をしている女性に来ていただいて,自分たちの経験を語ってもらおうという会議の企画をしたことがございますが,その時に,教師の側から,「なんで,そんな女性に焦点を当ててやらなければいけないんだ」という発言があったりして,私(大臣)はびっくりしたことがございますが,やはり,女性が活躍している現場を見る,現実を見ることによって,ああ,自分もそういう場で活躍することができるんだと,若い頃から女性にも男性と同じように思っていただくという機会を作るということが今なお,必要なんだろうと思います。そういう場に,女性だけでなく,男の中学生,高校生にも来てもらおうと思ったわけですけれども,そういうバリアを最初から張らないということが大事だと思います。
 それから,もう一つ,これは自分自身も反省しなければいけませんけれども,やはり家庭内の役割分担というところで,なんと言うんでしょうか,もう少しいろいろやらなければいけないことがあるなと、これはもう完全に,なんとなくブーメランで戻ってきているような気がいたしますけれども,そういうとことが,女性が外でいくら活躍しても家庭内の役割分担というところがネックになってしまってはいかんと思いますので,自戒の念を込めて,少しそういうことも日本としてやっていく必要があろうかと思います。

在外公館名称位置給与法

【NHK 小泉記者】国名の件についてお伺いして申し訳ないんですが,在外公館名称位置給与法案が参議院で採決されて法改正が決まりました。改めて,所感をお願いしたいのと,また,それから参議院外交防衛委員会で昨日,イギリス,ヨルダンなど様々な国に対する意見が寄せられていましたが,今後,どのように対応されていくお考えか,合わせてお伺いしたいと思います。

【河野外務大臣】参議院の委員会で具体的な問題の指摘がございました。例えば北マケドニア,これは通知をいただいたのが閣議決定の二日後ということで,次回ということになるわけですが,国名の変更に本当に法律変更までする必要があるんだろうかという問題提起だったのかなというふうに私(大臣)は思っておりまして,必要なら例えば国名については,政令で改めるということがあってもいいのかなと。そういう検討をしてもらう必要があろうかと思います。在勤手当ですとか子女教育手当といった,金目のものは法律改正が必要なんだろうと思いますけれども,国名について少し今後どうするかということは考える余地があるというふうに思っております。
 なんで,英国なのに米国ではないのかというのは,まさにそのとおりで,イギリスがいいのか英国がいいのか,議論の必要があると思いますし,東チモールなのか,ティモール・レストなのか,ティモールなのかチモールなのかということも当然議論しなければならないと思いますし,大野議員からはヨルダン・ハシェミット王国なのか,ヨルダン・ハシェム王国なのか,そういう問題提起がありましたので,これは少し,一つ一つ丁寧に見ていく必要があるかなというふうに思っております。
 また,今回,国名が中心に議論されましたけれども,先般のカショギ事件のときもですね,カショギなのかハーショクジなのかとか,人名それから地名についても様々,いろんな呼び方があろうかと思いますので,ちょっと外務省としてどうするのか。
 それからもう一つありますのは,2020年東京オリンピック・パラリンピックを控えてですね,なんで,ムン・ジェイン,シー・チーピンなのに,シンゾウ・アベなんだ,アベ・シンゾウじゃないかという,そういう議論は当然あろうかと思います。かつては中国,韓国も,名前と性を逆に呼んでいたということから,今,性・名という呼び方にどうも違和感がなくなってまいりましたが,日本だけ,いまだにシンゾウ・アベだし,タロウ・コウノだしということでいいのか。そこは日本もちゃんと日本語の発音に合わせるのかということも考えていかければいけないだろうなと思っておりますので,これは即位の礼に合わせるのか,東京オリンピックに合わせるのか,あるいはそういうものではないのか,そこはよく分かりませんが,そういうことも当然議論していかなければいけないと思います。